【地域No,1を目指す】外壁塗装業の組織拡大ロードマップ

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【地域No,1を目指す】外壁塗装業の組織拡大ロードマップ

外壁塗装業を営む皆様、地域No. 1を目指し、さらなる組織拡大を実現したいとお考えではありませんか?事業を大きくするためには、売上向上はもちろんのこと、人材育成も不可欠です。しかし、日々の業務に追われる中で、具体的な戦略を立てる時間がない…とお悩みの方もいるかもしれません。この記事では、外壁塗装業の組織拡大における課題を解決し、成長を加速させるためのコツをご紹介します。

なぜあの会社の成長は止まったのか?組織拡大を阻む3つの壁

外壁塗装業の経営者様の中には、ご自身がトップ営業マンとして顧客対応に奔走し、現場管理者として職人を束ねるなど、多岐にわたる業務を一人で担うあまり、これ以上手が回らないと感じている方もいらっしゃるかもしれません。目の前の業務に追われる中、会社の売上や組織規模の停滞に直面している方も少なくないでしょう。

このような成長の停滞は、個々の会社の努力不足によるものではなく、多くの外壁塗装業者が共通して直面する構造的な「壁」に起因している場合がほとんどです。特に外壁塗装業界では、人手不足や職人の高齢化、下請け業務への依存による利益率の低下、そして集客の難しさといった課題が顕在化しています。

【壁1】昔ながらの営業スタイルへの依存と新規顧客の減少

外壁塗装業界において、かつて主流であった飛び込み営業やポスティングといった営業スタイルは、現代の顧客行動の変化により、その効果が著しく低下しています。インターネットでの情報収集が当たり前となった現在、これらの営業手法では多額の費用を投じても期待する成果が得られにくく、費用対効果の低い状況に陥りがちです。

このような旧来の営業手法に固執することは、営業担当者の疲弊やモチベーション低下を招きかねません。成果が見えにくい、あるいは目標達成が困難な状況が続くことで、自信の喪失やストレスの蓄積につながり、結果として組織全体の生産性低下にもつながりかねません。

顧客がウェブで情報を比較検討することが一般的になった現代において、企業からの働きかけを待つだけの「待ち」の営業スタイルでは、本来獲得できたはずの意欲的な見込み客を取り逃してしまうのが実情です。その結果、新規顧客の獲得数が頭打ちになり、既存顧客や紹介案件への依存度が高まることで、事業の成長が停滞し、「先細り」の経営状態に陥るリスクが高まります。

【壁2】職人の高齢化と若手不足による現場の疲弊

外壁塗装業界が直面する大きな課題の一つに、熟練職人の高齢化とそれに伴う若手不足が挙げられます。現在、ベテラン職人の平均年齢は上昇の一途をたどり、数年後には多くの熟練工が引退する時期を迎えます。これにより、長年培われた技術やノウハウの継承が滞り、経営者としては将来への大きな不安を抱えていることでしょう。

若手人材の確保も喫緊の課題です。「きつい・汚い・危険」という、いわゆる3Kのイメージや、他業種との待遇差が背景にあり、塗装業界に魅力を感じる若者が少ないのが実情です。結果として、採用市場では応募すら来ないという厳しい現実に直面し、人材確保が急務となっています。

慢性的な人手不足は、現在在籍している職人一人あたりの業務負荷を増大させます。残業の常態化や休日の減少は避けられず、現場全体の士気の低下や疲弊に直結しています。このような現場の疲弊は、施工品質の低下や工期遅延のリスクを高めるだけでなく、会社が受注できる案件数にも限界を生じさせます。結果として、売上拡大の直接的な足かせとなり、組織の成長を阻害する要因となっているのです。

【壁3】価格競争の激化と利益率の低下

外壁塗装業界では、大手リフォーム会社やハウスメーカー、量販店のリフォーム事業参入により、市場における価格競争が激化しています。さらに、リフォーム一括見積もりサイトの普及により、顧客は複数の業者から簡単に相見積もりを取れるようになり、価格を比較検討する傾向が顕著になりました。このような状況下で、安易な値下げ競争に巻き込まれることは、中小規模の塗装会社にとって大きなリスクです。

資金力に勝る大手企業と同じ土俵で価格競争を展開しても、自社の経営を圧迫する結果になりかねません。過度な値下げは、施工品質の低下やサービスの質の悪化を招き、結果として顧客からの評判を損ねる悪循環に陥る危険性があります。利益率の低下は、従業員の給与や教育、高品質な材料の仕入れ、新たな広告宣伝など、会社の成長に不可欠な投資を抑制します。この投資不足こそが、組織拡大を停滞させる根本的な原因となるでしょう。

組織拡大の土台作り!社長が最初に行うべきビジョン設定

組織拡大を目指す外壁塗装業の経営者の皆様の中には、会社の成長が頭打ちになったり、思うように組織が拡大しなかったりすると感じている方もいるかもしれません。その根本的な原因として、社長と従業員が共有する明確な「ビジョン」(会社の目指す姿)が不足している点が挙げられます。漠然とした目標ではなく、具体的な未来像を描き、それを組織全体で共有することが、今後の集客、採用、人材育成といったあらゆる経営施策の強固な土台となります。

会社の「強み」を言語化し、他社との差別化を図る

自社の「強み」を「技術力が高い」「地域密着」といった漠然とした表現になっていませんか?これでは、顧客や求職者に対して具体的な魅力が伝わりにくく、他社との明確な差別化を図ることは困難です。貴社が持つ独自の「売り」を明確に言語化することが、組織拡大の第一歩となります。

自社の強みを見つけるためには、具体的な手法を活用しましょう。主な手法は以下の通りです。

  • 顧客アンケート: お客様の具体的な意見を集め、貴社のサービスがどの点で評価されているのか、どのような独自の価値を提供できているのかを把握することが可能です。アンケート結果を定量的に分析し、顧客満足度が高い側面を数値化することで、評価されている要素を特定することもできます。

  • 従業員へのヒアリング: 日々の業務の中で感じている自社の強みや改善点を洗い出すことも重要です。

  • 競合他社のサービスや営業戦略調査: 貴社が市場において優位に立てる独自性を見つけ出すヒントが得られます。

これらの調査で得られた情報を基に、強みを「〇〇という悩みを持つお客様に対し、△△という独自の価値を提供する」といった明確な言葉に変換しましょう。例えば、「外壁のひび割れにお悩みの顧客に対し、熟練職人の手作業による高品質な補修と、最長10年のアフターサポートで安心を提供する」といった具体的な表現が考えられます。言語化した強みは、ウェブサイト、チラシ、営業トーク、名刺といったあらゆる顧客接点で一貫して発信することが不可欠となります。これにより、貴社独自のブランドイメージが確立され、他社との明確な差別化が図れるでしょう。

3年後、5年後の理想の会社像を具体的に描く

組織を確実に成長させるためには、漠然とした目標ではなく、具体的な数値目標を設定することが不可欠です。売上高や利益率、従業員数、年間施工棟数など、測定可能な指標で目標を定めましょう。ある製造業の事例では、売上高を前年比20%増加させる数値目標を設定し、達成に成功しています。採用においても、応募数や内定承諾率、定着率といった数値目標を各フェーズで設定することが重要です。

数値で測れない定性的な目標も併せて言語化することで、会社の目指す姿をより明確にできます。「地域で最も評判の良い会社」や「若手が憧れる職場」といった理想像に加え、「丁寧な顧客対応」や「新入社員の育成」といった行動目標も設定しましょう。これらは、従業員一人ひとりの意識を高め、日々の業務の質を向上させる指針となります。

目標達成時、自社がどのような状態になっているかを具体的にイメージすることも大切です。例えば、目標達成後に想定される状態として、以下のような例が挙げられます。

  • 新しい事務所の開設

  • 社用車の増加

  • 顧客からの感謝の声

描いた理想像を単なる夢で終わらせず、経営計画書などの具体的な文書に落とし込むことで、目標達成に向けたロードマップが明確になり、組織全体で同じ方向へ進む原動力となるでしょう。

従業員と未来を共有し、全員で同じ方向を向く方法

策定したビジョンを経営層に留めることなく、全従業員と共有し、全員が同じ方向を向くことが、組織拡大には不可欠です。まず、社長自らが全社会議や定期的な面談の場で、会社の目指す未来像を情熱的に語りかけましょう。単なる一方的な伝達ではなく、従業員からの質問や意見を引き出すような双方向のコミュニケーションを促すことで、共感を深めることができます。例えば、定期的な「1on1ミーティング」は、個々の従業員の疑問を解消し、ビジョンへの理解を深める効果的な機会となります。

次に、会社のビジョンや目標を、部署やチーム、さらには個人レベルの具体的な行動目標にまで落とし込むことが重要です。これにより、従業員は自身の日常業務が会社の未来にどのように貢献するのかを明確に実感できます。また、ビジョンに沿った行動をした従業員を積極的に称賛する文化を醸成しましょう。従業員を称賛する具体的な方法として、以下のような取り組みが考えられます。

【集客力アップ】安定的に元請け案件を獲得する仕組み作り

外壁塗装業において、下請けに依存した経営では、利益率が低く、経営の安定化が難しい側面があります。安定した収益を確保し、組織を拡大していくためには、高利益率が見込める元請け案件を継続的に獲得する仕組みが不可欠です。単発の集客に頼るのではなく、見込み客が常に自然に集まるような「集客の仕組み」を構築することが、これからの時代には求められます。

この「集客の仕組み」とは、以下の要素を組み合わせ、それぞれが有機的に連動して機能する状態を意味します。

  • WebサイトやSNSなどのオンライン施策

  • チラシやイベントなどのオフライン施策

  • 既存顧客からの紹介・リピート

Web広告の出稿やSEO対策、自社の強みを効果的に打ち出すホームページ運用を通じて、新規顧客を獲得し、同時に地域での信頼を築き、既存顧客との関係を深めることで、持続的な集客基盤を築くことが重要です。

「あなたにお願いしたい」と言われる地域での信頼構築術

元請け案件を安定的に獲得するには、地域住民から「あなたにお願いしたい」と指名されるような強い信頼関係を築くことが不可欠です。そのためには、日々の業務だけでなく、地域社会との接点を増やし、「顔の見える塗装屋さん」になる努力が求められます。

具体的には、地域のお祭りやボランティア清掃活動へ積極的に参加することが挙げられます。例えば、NPO法人「塗魂ペインターズ」が福島県双葉町の小学校でボランティア塗装を実施した事例や、浜松市内の公園で塗装会社がボランティア活動を行った事例のように、地域貢献を通じて自社の存在をアピールする方法も有効です。このような活動は、住民との距離を縮め、親しみやすい存在として認識されるきっかけとなるでしょう。

パソコンが苦手でも大丈夫!今日から始めるWeb集客の第一歩

Web集客と聞くと難しく感じるかもしれませんが、まずは費用をかけずに始められる「Googleビジネスプロフィール」から着手することをおすすめします。貴社の店舗情報やサービス内容、施工事例などを登録することで、Google検索やGoogleマップでユーザーが近くの塗装業者を探した際に表示されやすくなります。これはMEO対策の第一歩となるだけでなく、口コミ機能の活用により信頼性向上にもつながります。

さらに、スマートフォンひとつで手軽に始められるSNSの活用も効果的です。特に「Instagram」は、施工のビフォーアフター写真や短い動画の投稿が有効です。工事の前後で劇的に変化する様子は、貴社の技術力や丁寧さを視覚的にアピールし、見込み客に強く訴えかけます。

何を投稿すれば良いか迷う場合は、以下のような具体的なネタを参考にしてください。

  • 施工事例(ビフォーアフター)

  • お客様の声

  • 職人紹介

  • 塗料に関する豆知識

Web集客において大切なのは、完璧を目指すことではなく、貴社の強みや人柄が伝わる情報を定期的に発信し続けることです。まずは身近なツールから、小さな一歩を踏み出してみましょう。

紹介・リピート受注を倍増させるOB顧客との関係維持

外壁塗装業界において、一度施工を終えたOB顧客は、貴社の生きた広告塔となり得る貴重な存在です。継続的な関係を維持することで、リピート受注はもちろん、顧客満足度が高ければ新たな紹介案件へとつながる可能性が高まります。OB顧客との関係を深めるためには、施工後の手厚いフォローアップが欠かせません。

まず、施工後の定期点検を制度化しましょう。例えば、完工から1年後、5年後、10年後といった間隔で点検を実施することが有効です。これにより、顧客は貴社からの継続的なサポートに安心感を抱き、信頼関係がより一層深まるでしょう。点検時には、外壁の状態確認だけでなく、新たな塗装ニーズの兆候がないかを確認し、適切なタイミングで次の提案を行う機会にもなります。

施策のカテゴリ

具体的な行動例

期待される効果

定期点検

完工後1年、5年、10年など定期的な実施

顧客の安心感、信頼関係の深化、新たなニーズの早期発見

情報発信

ニュースレター(季節の挨拶、豆知識、スタッフ紹介など)

貴社の記憶維持、心理的なつながりの維持

紹介依頼

満足度の高いタイミング(アンケート、点検時)に依頼、キャンペーン

新規案件獲得、紹介意欲の向上

また、顧客に貴社を思い出してもらうための情報発信も重要です。毎月約900件ものニュースレターを発行し、顧客との接点を維持している塗装会社の事例もあります。季節の挨拶状や塗装の豆知識、スタッフの紹介などを盛り込んだニュースレターを送付することで、顧客との心理的なつながりを維持できます。

紹介依頼は、顧客満足度が最も高いタイミングを狙うのが効果的です。例えば、完工後のアンケート時や定期点検時に「もしお知り合いで外壁塗装をご検討の方がいらっしゃいましたら、ぜひ弊社をご紹介ください」といった形で、自然な会話の中で依頼してみましょう。さらに、紹介者と被紹介者双方にメリットのある「紹介キャンペーン」を設けることで、紹介を促しやすくなります。

営業マンに頼らない!会社としての提案力を高めるコツ

営業活動において、担当者による提案品質のばらつきを解消し、会社全体の提案力を高めることが重要です。そのためには、劣化診断報告書や見積書、施工工程表などの提案資料を標準化し、テンプレートの活用を推奨します。統一されたフォーマットは提案作成の時間短縮につながり、誰が担当しても高品質な内容を顧客に提供できます。図表や具体的な数値を盛り込み、顧客が自社サービスの導入メリットを明確にイメージできるよう工夫しましょう。

また、顧客が施工後のイメージを具体的に描けるよう、施工事例集を体系的に整理し、提案時に積極的に活用しましょう。高画質のビフォーアフター写真やお客様の声を豊富に掲載することで、貴社の技術力と実績を視覚的にアピールできます。これらの事例は、新規顧客が依頼先を検討する際の重要な判断材料となり、集客力向上にも貢献するでしょう。

【人材育成・定着】職人が辞めずに成長する職場環境の秘訣

集客力や営業力が向上し、多くの元請け案件を獲得できたとしても、その案件を高品質で実行し、顧客満足度を支える現場の職人がいなければ、会社の持続的な成長は望めません。外壁塗装業において、人材は単なる「コスト」ではなく、会社の未来を築く重要な「資産」と捉える視点が不可欠です。職人が離職してしまう原因は、給与面だけにとどまりません。仕事への「働きがい」や「成長実感」、職場の「人間関係」、さらに世代間のコミュニケーションギャップなど、複合的な要因が絡み合っています。人材が流出するたびに、採用や育成に多大なコストがかかり、現場の士気低下にもつながるため、職人の定着促進は重要な課題です。

このような課題を解決し、職人が定着して意欲的に働き、成長し続けられる魅力的な職場環境を構築することが、組織拡大の鍵となります。本章では、この目標を達成するための秘訣を、以下の4つの観点から具体的に解説します。

  • 若手もベテランも納得する評価制度

  • 熟練の技を次世代へつなぐ技術継承

  • 報連相のミスをなくす社内コミュニケーション円滑化

  • 「ここで働きたい」と思われる魅力的な労働条件の見直し

具体的には、「若手もベテランも納得する評価制度」で公正な評価を実現し、「熟練の技を次世代へつなぐ技術継承」で技術力を維持・向上させます。さらに、「報連相のミスをなくす社内コミュニケーション円滑化」で風通しの良い職場を作り、「『ここで働きたい』と思われる魅力的な労働条件の見直し」で定着率を高める方法を提示していきます。

若手もベテランも納得!モチベーションを高める評価制度とは

公正で納得感のある評価制度は、職人のモチベーション向上と定着に不可欠です。まず、評価項目を具体的に明確化しましょう。建設業で特に重視される項目を含め、若手からベテランまで全ての職人が何をすれば評価されるかを明確にすることで、成長意欲を引き出せます。

評価項目の例:

  • 施工品質、勤務態度、顧客満足度

  • 安全管理に関する指標(例:安全パトロールの実施回数、ヒヤリハット報告数)

  • 資格取得、後輩指導、業務改善提案といった個人の努力やチームへの貢献度

評価は、定量評価と定性評価をバランス良く組み合わせることが重要です。評価結果は必ず1on1の面談で直接フィードバックし、良かった点や今後の課題を具体的に伝えて、成長をサポートする姿勢を示しましょう。これにより、従業員は自身の強みと改善点を把握し、目標設定に活かせます。また、昇給や賞与への反映ルールを公開し、頑張りが正当に報われる安心感と納得感を醸成することが、職人のモチベーション維持と定着につながります。

熟練の技を次世代へ繋ぐ技術継承の仕組みづくり

外壁塗装業における技術継承は、熟練職人の高齢化が進む中で喫緊の課題です。特に、下地処理から仕上げまでの一連の工程には、長年の経験から培われた感覚的な「コツ」や「判断基準」が多分に含まれています。これらの「職人技」を次世代へ確実に引き継ぐためには、属人的な指導に頼るだけでなく、ノウハウを言語化し、マニュアル化する仕組みが不可欠です。

このため、写真や動画を積極的に活用した社内マニュアル作成をおすすめします。映像で実際の作業工程を記録することで、以下のような効果が期待できます。

  • 若手はいつでも復習でき、視覚的に理解を深められます。

  • 教える側の負担が軽減されます。

  • 技術の習熟度が効率的に向上します。

実際に、作業動作を映像で記録し、技能吸収効率を高めた成功事例も存在します。

場当たり的な指導ではなく、「誰が・いつ・何を教えるか」を定めた計画的なOJTプログラムを導入しましょう。特定の技術、例えば「下地処理の最適化」や「特殊な塗装方法」などをテーマにした定期的な社内勉強会を開催することも有効です。さらに、ベテラン職人が若手を指導することを正式な業務として評価し、指導手当を支給するなど、教える側のモチベーションを高める仕組みづくりも重要です。改善提案を表彰する報奨制度の導入も、教える意欲向上につながります。

「報連相」のミスをなくす社内コミュニケーション円滑化のヒント

外壁塗装業では、現場が広範囲に点在し、職人の直行直帰が多い特性上、情報共有の漏れや認識のずれが生じやすい環境にあります。これにより「言った・言わない」といったトラブルや作業の手戻りが発生し、結果として業務効率の低下を招きがちです。こうした課題を解決するには、スマートフォンを活用したビジネスチャットツールの導入が効果的です。

LINE WORKSやSlackといったツールは、テキストだけでなく、現場の状況を写真や動画でリアルタイムに共有できるため、情報伝達の正確性を高め、認識の齟齬を防ぐのに役立ちます。特に、現場の進捗状況や資材の状況を視覚的に共有できる点は、「言った・言わない」といったトラブルの防止に繋がり、業務効率化に貢献するでしょう。

さらに、報告の属人化や情報の抜け漏れを防ぐには、日報や週報の簡単なフォーマットを作成し、報告すべき項目を明確化する「仕組み化」も重要です。具体的には、以下のような項目が考えられます。

  • 作業進捗

  • 問題点

  • 翌日の予定

  • 安全に関すること

そして何よりも大切なのは、ミスを報告しても責められるのではなく、むしろ早期発見を感謝されるような「心理的安全性」の高い職場風土を醸成することです。社長や現場リーダーが率先してオープンなコミュニケーションを心がけ、従業員が安心して報連相を行える環境を整えることが、信頼関係の構築と業務の円滑化につながります。

「ここで働きたい」と思われる魅力的な労働条件の見直しポイント

人材確保において、労働条件、特に給与は極めて重要な要素です。貴社が地域で選ばれ続けるためには、業界水準を意識した給与体系への見直しが不可欠です。一般的な市場調査によると、多くの業種で平均年収が上昇傾向にあり、自身の会社の給与水準が市場で競争力を持つかを検討することが重要です。さらに、個人の頑張りが正当に評価される昇給・賞与制度を導入し、従業員が将来を見据えて安心して働ける環境を整備しましょう。

次に、働きがいを高める上で欠かせないのが休日制度の充実です。週休二日制の導入はもちろんのこと、心身のリフレッシュを促す有給休暇の取得促進も重要です。労働基準法により、年5日の年次有給休暇取得が義務化されており、これらを確実に消化できるよう会社として働きかける必要があります。

社長の仕事をアップデート!会社を成長させる経営管理術

これまでの解説では、集客力強化や人材育成といった、組織拡大に不可欠な施策について触れてきました。これらの取り組みを成功に導くためには、社長である皆様が現場のプレイヤー業務から脱却し、経営者としての役割へシフトすることが不可欠です。多くの外壁塗装業の経営者は「現場も営業も自分がいないと回らない」というプレイングマネージャーの状態に陥りがちです。しかし、これでは会社が属人的な構造から抜け出せず、持続的な成長は見込めません。

現場を離れて経営に集中するための時間管理術

社長が現場のプレイヤーであり続けることは、会社の成長を妨げる大きなリスクとなり得ます。日々の現場業務や目の前の営業活動に追われることで、本来最も注力すべき経営戦略の立案や新たな施策の検討といった重要な時間を確保できません。これにより、組織全体の停滞を招き、結果的に事業拡大の機会を逸してしまう可能性があります。

まずは自身の1週間の業務を詳細に棚卸し、社長にしかできない仕事と、他の従業員に任せられる仕事を明確に切り分けましょう。具体的な業務の例は以下の通りです。

社長業務と権限移譲可能な業務の例

そして、意図的に「経営に集中する時間」をスケジュールに確保する「タイムブロック」の手法を取り入れることをお勧めします。例えば、「毎週水曜日の午前中は、事務所から出ずに経営分析と戦略立案に充てる」といった具体的なルール設定が有効です。

現場業務を安心して部下に任せるためには、適切な「権限移譲」が不可欠です。初めは小さな業務から任せ、部下に成功体験を積ませることで、その成長を促し、社長自身の時間創出へと繋がる好循環が生まれます。このように時間を戦略的に管理することで、経営者としての仕事に集中し、会社の持続的な成長を実現できるでしょう。

どんぶり勘定から脱却!会社の状態がわかる数字の読み方

外壁塗装業の経営において、「どんぶり勘定」では会社の正確な状況を把握できず、適切な経営判断が難しくなります。

まず、各案件の「売上総利益(粗利)」を把握することが重要です。売上総利益は、売上高から売上原価を差し引いた金額です。案件ごとに粗利を明確にすることで、赤字につながる要因を早期に特定し、原価管理を徹底できます。例えば、ある工事で粗利が25万円だった場合、その金額が適正だったのかを検証することが、次の改善につながるでしょう。

次に、会社の「本当の儲け」を示す「営業利益」に注目しましょう。営業利益は、売上総利益から人件費、家賃、広告費などの固定費を差し引いたものです。この数字を注視することで、会社の収益構造全体を理解し、無駄なコストがないか、利益を生み出す力がどれだけあるかを見極めることができます。

さらに、自社が最低限どれだけの売上を上げれば赤字にならないかを示す「損益分岐点」を把握することも大切です。この損益分岐点を計算することで、具体的な売上目標を明確に設定し、経営の安定化を図ることが可能となります。

地域で選ばれ続ける塗装会社になるために

本記事では、外壁塗装業の組織拡大を阻む3つの「壁」を乗り越え、地域で選ばれ続ける企業へと成長するための5つの秘訣について解説いたしました。明確な「ビジョン設定」から始まり、「集客力アップ」、職人が定着し成長する「人材育成・定着」、そして社長が現場から離れて会社全体を俯瞰する「経営管理術」まで、多岐にわたる側面から組織強化の重要性をお伝えしました。

組織拡大は一朝一夕に実現するものではありません。しかし、社長の強い意志と、個々の課題に対する真摯な取り組みがあれば、必ず道は開けるでしょう。明確なビジョンを設定することで、組織全体が同じ方向を向き、一体感が生まれます。集客においては、旧来の営業スタイルから脱却し、Web集客や地域貢献活動を通じて「あなたにお願いしたい」と選ばれる仕組み作りが、安定的な元請け案件獲得につながります。


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