外壁に塗装する塗料は、大きく分けると「艶あり」「艶なし」のふたつがあります。それぞれ塗料に艶があるかないかという違いなのですが、単純そうに見えて奥が深いので注意しましょう。
外壁塗装で重要な艶について、基本からメリット、デメリットまでわかりやすく解説します。
外壁塗装の艶あり・艶なしとは
あまり気にしたことがない方も多いと思いますが、外壁塗装の塗料には「艶あり」と「艶なし」があります。外壁塗装の艶は光沢のことをいい、外壁用の塗料は艶のあるものが一般的です。
一方で艶のない塗料もあって、この塗料で塗装するとマットで落ち着いた仕上がりになります。
塗料の艶には種類がある
塗料の艶には程度があって、艶の程度によってそれぞれ見え方が異なります。もっとも艶のあるのが艶あり塗料(全艶塗料)で、次いで7分艶塗料、5分艶塗料(半艶塗料)、3分艶塗料となり、艶のない艶消し塗料もあります。
しかし、すべての塗料に5種類も艶が用意されているわけではなく、艶あり塗料(全艶塗料)しかない塗料もあれば、艶あり塗料か5分艶塗料(半艶塗料)かの2種類だけという塗料もあります。
艶消し塗料しかないものもあるため、艶に希望がある場合は塗装業者に相談するか、各塗料メーカーのWebサイトや製品カタログなどで確認する必要があります。
艶の程度は特に明確な基準があるわけではなく、5分艶塗料でも塗料メーカーによって艶の程度が異なることがあります。そのため、塗料の色決めを行う際には、A4サイズ以上の色見本で艶の程度を確認することが大切です。
また、現場で塗料に艶消し調整剤を混ぜて艶の程度を調整することもできますが、しっかりと品質管理された工場とは異なり気温や湿度などの影響を受けるため、あまりおすすめできません。
艶あり塗料の特徴
艶の度合いは、公的に定められた基準があるわけではありません。塗装業界では塗装された外壁面に60度の角度から光をあてて、そのうちどれくらいの強さの光が反対方向に反射されるのかを測定しています。これを光沢度といいます。
艶あり塗料とは光沢度が70%以上のものをいい、艶があるということは塗膜の表面が平らで滑らかであるといえます。そのため、塗膜を劣化させる原因となる埃や排ガスなどの汚れが付着しにくくなり、塗膜の寿命が長くなります。
艶なし塗料の特徴
艶なし塗料は「艶消し」、「マット仕上げ」、「フラット仕上げ」とも呼ばれていて、光沢度が5%以下のものをいいます。
艶のある塗料にフラットベースと呼ばれる艶消し剤を混ぜることによって、光沢を鈍くしたものです。フラットベースは滑らかな表面に凹凸をつけることで光を乱反射させ、艶を少なく見せるものです。
また、光の反射が少ない性質の原料や材料で光沢を抑えている、リシンや多彩色塗料、石材調塗料などもあります。しかし、多くの場合は艶のある塗料に艶消し剤を混ぜることで、塗装後に艶が出ないように調整されています。
艶ありは艶なしより耐用年数が長い
艶なし塗料には艶を消すための添加材が加えられているため、全体的に塗料が薄くなってしまって耐久性が落ちてしまいます。
また、艶なし塗料で仕上げた塗膜の表面は凹凸があるため、塗膜劣化の原因になる汚れがつきやすくなります。それに対して艶あり塗料で仕上げた塗膜の表面は、平らで滑らかなので汚れがつきにくくなります。
さらに艶あり塗料の撥水性が高いため、カビやコケなども発生しにくくなるでしょう。そのため、艶あり塗料のほうが艶なし塗料より、耐用年数が長くなります。
艶あり・艶なし塗料のメリット、デメリット
外壁塗装は一度行うと、同じ塗料のまま10年は保ち続けることになります。そのため、艶あり塗料と艶なし塗料の選択は慎重に行わねばなりません。それぞれのメリット、デメリットを見ていきましょう。
艶あり塗料のメリット、デメリット
艶あり塗料のメリット、デメリットには次のものがあります。
- メリット
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- 添加剤を混ぜないため、塗料本来の耐久性・耐候性が期待できる
- 汚れやコケ、カビなどが付着しにくい
- 塗りたてときは光沢が美しい
- 塗料の種類が豊富
- デメリット
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- 2~3年が経過すると艶が徐々に消えて、ムラが生じることがある
- 外壁の種類や艶の度合いによっては、艶が目立ち過ぎて安っぽく見えることがある
- 光の加減によってまぶしく感じる
艶あり塗料は塗りたてのうちは光沢があって美しく見えますが、艶は2~3年が経過すると経年劣化で徐々に薄れていき、数年で消えてしまいます。また見る人によっては艶があり過ぎると安っぽく感じることがあります。しかし、これはあくまでも個人の好みなので、一概にはいえません。
また艶あり塗料で塗装すると、建物を見る角度によっては光沢がまぶしいと感じることがあります。特に屋根を艶あり塗料で塗装した場合には、近隣の方からまぶしいと指摘されることもあるので注意が必要です。
しかし、塗料の種類が豊富なので、さまざまな塗料を比較して最適なものを選択できます。
艶なし塗料のメリット、デメリット
艶なし塗料のメリット、デメリットには次のものがあります。
- メリット
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- 経年による見た目の変化が少ない
- マットで自然な仕上がりが上品に見える
- 落ち着いた雰囲気で和風建築に合う
- モルタル外壁などとの相性がよい
- 艶なしだけでなく3分艶、5分艶(半艶)などを選択できる
- デメリット
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- 汚れが付着しやすく落ちにくい
- 艶あり塗料と比較して劣化が早い
- 流通している塗料の種類や色の選択肢が少ない
- 色によっては地味に見える
- 塗り替えをしても目新しさを感じにくい
艶なし塗料は経年による見た目の変化が少なく、マットで高級感のある仕上がりになるため、どんな家にも合いやすいことが最大のメリットです。
しかし、塗料は基本的に艶ありで流通されているため、塗料の種類の選択肢が少なく、選べる色も限られてしまいます。また、塗膜の表面に凹凸があるため汚れが付着しやすく、艶あり塗料よりも経年劣化が早まるデメリットがあります。
外壁塗装の艶あり・艶なしを選ぶポイント
外壁塗装をするときは、艶ありと艶なしのどちらを選べばよいのでしょうか。艶ありと艶なしの判断をするときのポイントを紹介します。
塗料をどちらにするか迷ったら、参考にしてください。
シックで落ち着いた雰囲気の和風住宅
艶なしがおすすめ!
黒やグレー、濃茶色、深緑、抹茶色などの艶なし塗料で塗装することで、家の外壁がより高級感を増して、独特の重厚感を演出できます。特に和風の家では落ち着いた雰囲気になって、意匠性の高い仕上がりになります。
明るい色で外壁を塗装したい
艶ありがおすすめ!
新築のような新しさを感じさせる白、温かみとポップさを感じさせる赤や黄など、外壁を明るい色で塗装したいのであれば艶あり塗料がおすすめです。
カラーバリエーションが豊富なうえに、艶によって明るい雰囲気の外壁にできます。
マットで温かみのある仕上がりが希望
艶なしがおすすめ!
派手さのない、マットで温かみのある自然な仕上がりを望むのであれば、艶なし塗料を選びましょう。艶がないため、落ち着いた仕上がりになります。
艶が感じさせる新しさとは異なる、成熟した風合いを表現できます。
メンテナンスコストを抑えたい
艶ありがおすすめ!
外壁塗装は約10年ごとに塗り替える必要があるほか、表面にコケやカビ、汚れが付着したら除去するなどのメンテナンスが必要です。こういった手間を少しでも減らしたいのであれば、艶あり塗料がよいでしょう。
艶あり塗料は艶なしと比べて汚れが付着しにくく、耐久性も優れています。排ガスなどで汚れやすい地域に家がある場合も、艶あり塗料がおすすめです。
風合いや見た目の雰囲気の変化を避けたい
艶なしがおすすめ!
徐々に艶が失われていく塗装の変化は、見た目の雰囲気を変えるだけでなく、劣化を連想させてしまいます。外壁の風合いや見た目の変化を避けたいのであれば、艶なし塗料を選びましょう。
そもそも艶がないため、艶が失われる見た目の変化を避けられます。
艶の有無にこだわりがない
艶ありがおすすめ!
色には好みがあるものの、艶の有無にこだわりがないのであれば、艶あり塗料を選びましょう。艶あり塗料は塗料の種類が豊富なため、選択肢が多いというメリットがあります。また、耐久性に優れているなど、機能的なデメリットがないのもポイントです。
外壁塗料は基本的に艶があるものなので、艶あり塗料を選ぶのが無難でしょう。
信頼できる施工会社は「ぬりマッチ」で見つかる
塗料の艶あり、艶なしを選ぶ悩みは、専門の施工会社に相談するのがもっとも近道です。「ぬりマッチ」を利用すれば、複数の施工会社に相談できます。各社の提案内容や見積もりを比較すれば、信頼できる施工会社を見つけられるでしょう。
外壁塗装で悩んでいるのであれば、ぬりマッチをご利用ください。