外壁塗装にはプライマー塗装という重要な工程があることをご存知でしょうか。プライマー塗装は、最終的な仕上がりにも影響する大事な工程です。しかし、外壁塗装を依頼する際の見積書などで初めて見る方が多いかもしれません。
そこで今回は、外壁塗装の重要な工程でもあるプライマー塗装について解説していきます。プライマー塗装をしないリスクにも触れているので、ご参考になさってください。
プライマー塗装とは、そもそも何のこと?
外壁塗装におけるプライマー塗装とは、一般的に下塗り塗装のことです。
ここではプライマー塗装の意味や役割、プライマー以外の下塗り塗料との違いについて解説していきます。
プライマーの意味
プライマーの語源は、英語のプライマリーで、最初の、1番目のという意味を持っています。
外壁塗装の工程では下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りが一般的です。工程の中で1番目に行う下塗り塗装のことを、プライマー塗装といいます。
また、コーキングの打ち替えや打ち増し工事においても、コーキングを充填する前にプライマー塗装を1番目の工程で行うことが一般的です。
外壁塗装工事全体の工程については、以下の記事をご確認ください。
プライマー塗装の役割
プライマー塗装の主な役割は、経年劣化してしまった既存の外壁(古い塗膜)と新しく塗装する塗料の密着性を高めることです。つまり、接着剤の役割を担っています。職人は、上塗りに使用する塗料との相性を考慮して、適切なプライマーを選んでいます。
また、経年劣化で傷んでしまったサイディングなどの下地の状態を均一にすることもプライマー塗装の役割です。十分に役割を果たすためには、サイディングの経年劣化の状態や塗装する下地の種類に合わせて、使用するプライマーを選択することが重要です。
プライマーとシーラー、フィラーの違い
外壁塗装の下塗りで使用される塗料には、プライマーのほかにも、シーラーやフィラーという塗料があります。シーラーやフィラーも外壁塗装の下塗りで使用する塗料なので、プライマーの一種と言えます。
シーラーの語源はシールで、接着する、覆い隠すなどの意味があります。シーラーの主な役割は、プライマーと同様に既存の下地と新しい塗料の密着性を高めることです。ただし、プライマーは下地が金属系の塗装で使用することが多く、シーラーはサイディングやコンクリート、モルタル外壁などで使用されることが多いです。
フィラーには充填する、詰め物といった意味があります。経年劣化してしまった下地にできた凹凸に充填することで既存の下地を均一にする役割があります。また、小さなひび割れなどの隙間を埋めることにも使われます。
プライマーの種類は?
外壁塗装で使用するプライマーは、建物の経年劣化の状態や、使用する素材によって選択すべきものが異なります。
ここでは、外壁塗装で使用されるプライマーを3種類、紹介します。
水性プライマー
水性プライマーは、シンナーなどの有機溶剤を使用しない環境に優しいプライマーです。水性のため塗料特有の臭いが少ないことから、室内での塗装作業でも使われることがあります。
ただし、既存のサイディングなどへの浸透性が後述の油性プライマーに比べて低いので、経年劣化が進んでいない状態の建物で使用されるプライマーです。
油性プライマー
油性プライマーは、水性プライマーに比べて浸透性が高いので、建物の経年劣化が進んでしまった場合に使用されるプライマーです。
経年劣化が進んでしまった下地の場合には、プライマー塗装を繰り返し行うことが重要です。油性プライマーは乾燥時間が30分から1時間程度と短いため、塗装作業の効率があがります。
しかし、油性プライマーは有機溶剤を使用していることから、塗料特有の臭いがあります。そのため、室内などでの塗装作業には向いていません。屋根などの劣化しやすい場所で使用されることが多いです。
機能性プライマー
一般的なプライマーに機能性を持たせた塗料です。
たとえば、鉄部の下塗りに使用される塗料として「防錆プライマー」があります。プライマー本来の下地との密着性を高める役割の他に、鉄部のサビを防ぐ機能が追加されているプライマーです。既存の鉄部がすでにサビてしまった状態ならば、サビを撤去した後で塗装することが理想的な工程です。しかし、新しい防錆プライマーの中には既存のサビの上からそのまま塗装することができる商品も開発されています。
また、コンクリートなどの塗装をする場合には、コンクリートの内部にまでしっかりとプライマーを浸透させることが大事です。
そのため、油性プライマーよりも浸透性が高い、「浸透性プライマー」というプライマーが使われることがあります。コンクリート内部にプライマーを浸透させることで、最終的な仕上がりの塗りムラを減らすことができます。
プライマー塗装をしないリスクは?
プライマー塗装は最初に行う下塗りですが、外壁塗装の最終的な仕上がりにも大きく影響する大事な工程です。プライマー塗装をしなければ、さまざまな不具合の原因になります。
ここでは、外壁塗装のプライマー塗装をしないリスクについて解説していきます。
塗膜の密着不良
前述の通り、プライマー塗装には下地との密着性を高めるという接着材の役割があります。逆に言えば、プライマー塗装をしなければ既存の下地と新しい塗料の密着が悪くなるリスクがあります。また、プライマー塗装をした場合でも、下地に合わないプライマーであれば、塗膜の密着不良の症状が出てしまうことがあります。
塗膜がしっかりと密着していないと、塗装後すぐに塗膜の浮きや剥離が発生してしまうことにもつながります。プライマー塗装をしないことでメンテナンス頻度が増えたり下地の状態悪化を招いたり、さらなるコストになることも考えられるでしょう。
仕上がりのムラ
プライマー塗装には、「塗料の吸い込み止め」という機能があります。それにより、経年劣化でバラバラになってしまった下地を均一にすることができます。プライマー塗装をしなければ、バラバラになった下地を均一化できず、外壁塗装の仕上がりを悪くしてしまいます。
経年劣化は建物全体で一定に進む症状ではありません。たとえば、日当たりの良い南側と湿気の溜まりやすい北側とでは、経年劣化の症状や状態が違います。
このように塗装する場所によって経年劣化はかなり違うので、プライマー塗装は重要な工程であると言えるでしょう。
発色が悪くなる
プライマー塗装をしない場合には、仕上がりの発色が悪くなるリスクがあります。
下塗りに使用されるプライマーは白色の塗料が多く、また、建物全体を下塗りの段階で同じ色に統一することができます。建物全体が統一されることで、その後に行う中塗りや上塗りの塗料の発色がよくなります。プライマー塗装をしないことで、既存の建物の塗料が透けてしまい、思うような発色にならないことがあります。
プライマー塗装も専門家に相談を
プライマー塗装の特徴や、それをしないことによるリスクについて紹介してきました。ご覧の通り、外壁塗装は非常に専門性が高く、自身ですべてを理解するには難しいでしょう。
そこで、外壁塗装を検討している段階で、まずは専門の事業者に相談することをおすすめします。いろいろな疑問を解決できるだけでなく、気づかなかった外壁のトラブルを指摘してもらい、結果としてメンテナンスコストを下げられることもあります。当サイトでは、外壁塗装の専門事業者に無料で、一括見積もり依頼や相談ができるサービスを提供しています。ぜひ利用の際に活用してみてください。