かつて外壁材としてのアルミには、塗装しにくい、すぐに剥がれるというイメージがありました。しかし塗装技術が発達したことで、アルミ塗装が行いやすくなってきています。
そんなアルミ素材の外壁について、特徴や塗装方法、塗料などについて解説していきます。
アルミ外壁の塗装を検討している人だけでなく、新築やリフォームで外壁材を探している人も参考にしてください。
アルミ外壁の特徴
外壁材としてのアルミの特徴とメリットについて解説します。アルミは外壁材として使用したとき、多くのメリットがあります。
アルミニウムの特徴
アルミニウム(アルミ)は、とても強い素材です。比強度(重量あたりの強度)がとても大きく、表面に加工を施すことでさらに強度を増すことができます。強さだけでなく、熱伝導率の高さ、加工のしやすさもアルミの大きな特徴です。
このような優れた特徴からアルミは、調理器具や装飾品、車、自転車などさまざまな分野で用いられている、とても身近な素材のひとつです。。
アルミ外壁のメリット
アルミ外壁は、アルミ素材のサイディングボード(板状の外壁材)を貼り合わせることによって作られます。外壁材としてのアルミには、以下のメリットがあります。
- 軽量性
- 耐久性
- 防水性
- デザイン性
- 断熱性
それぞれのメリットについて解説します。
軽量性
アルミ外壁のもっとも大きな特徴は「軽い」ことです。ほかの外壁素材、たとえば「窯業系サイディング」と比べると、重量は約1/8です。
とても軽い素材なので、建物に負荷がかかりにくく、サイディングの重ね貼りができます。重ね貼りをすることで、断熱性や防音性などを向上できます。
耐久性
サビにくくて耐久性が高いのもアルミ外壁の特徴です。
同じ金属系サイディングでも、ガルバリウム鋼板の耐久年数は20年程度ですが、アルミサイディングの耐久年数は約30年もあります。
防水性
防水性の高さも、金属製のアルミ外壁ならではです。
外壁は素材によっては水が入り込み、少しずつひびが入ってしまうことがあります。しかし、アルミは金属なので水が入り込む心配がありません。
デザイン性
デザイン性の高さも、アルミ外壁の大きなポイントのひとつです。
アルミは加工しやすいためデザインのバリエーションが豊富で、おしゃれなマイホームを建てたい方にはぴったりの外壁素材です。
断熱性
断熱性に優れているため、アルミ外壁を採用する人も多いです。
「断熱性が高い」=「外気の影響を受けにくい」ということです。そのため、夏は涼しく、冬は暖かい、快適な暮らしを手助けしてくれます。
アルミ塗装について
耐久性の高い素材ですが、アルミも劣化はします。傷が付きやすいという特徴もあるため、アルミ外装は定期的にメンテナンスをすることが大切です。アルミ外壁への塗装は、見栄えをよくするのはもちろん、劣化を防ぐ効果もあります。
しかしアルミ塗装は、ほかの素材に比べてると難易度が高いです。自分で塗装を行うのではなく、信頼できる専門業者に依頼することを強くおすすめします。
アルミ外壁の劣化症状
アルミの劣化症状には、大きなものが4つあります。
- 傷
- 凹み
- チョーキング
- 雨漏り
それぞれについて解説していきます。
劣化症状① 傷
アルミは金属のため、ひっかき傷などに弱く、目立つ傷が残りやすいです。
猫がひっかいた場合でも傷がつき、跡が残ってしまいます。猫などの動物を放し飼いにしている場合は注意しましょう。
劣化症状② 凹み
アルミの加工しやすさは、デメリットでもあります。
力が加わると変形するので、サッカーボールが当たるなど衝撃を受けると変形してしまうことがあります。
強い衝撃を与えないよう、近くでボールを使ったスポーツなどはなるべく控え、細心の注意を払いましょう。
劣化症状③ チョーキング
紫外線や風雨などの影響で塗料が劣化し、壁に手で触れたときに白い粉が付く、チョーキングという現象が起きます。塗膜が劣化し、顔料が粉状になって浮いている状態です。
チョーキングを放置するとサビに発展するおそれがありますが、初期段階ならばDIYでも対処できます。早めの対処がおすすめです。
劣化症状④ 雨漏り
チョーキングを放置すると、劣化が進んで雨漏りを起こすようになります。雨漏りは隙間から虫が侵入したり、内部が腐敗したりする原因になります。
建物の耐震性を弱めてしまうこともあるため、絶対に放置しないようにしましょう。
雨漏りにまで発展している場合は、DIYで修復できません。自分で修理しようとせず、専門の業者に依頼しましょう。
アルミ外壁の塗装
アルミの塗装方法や手順を紹介します。アルミ外壁はほかの壁材と比べて塗装の難易度が高いため、より注意して作業を行う必要です。
塗装方法、手順
アルミ外壁の塗装は、以下の手順で行います。
下地
アルミ塗装では、下地の塗装がとても重要な工程です。
サンドペーパーなどで下地の汚れを落とし、また塗料の付着をよくするために細かい傷をつけます。表面に凹凸を作ることで塗料との密着性が上がります。これにより、塗装が剥がれにくい下地を作ることができます。
下塗り
下塗りは、塗料が接着しやすくなるように行います。下塗りは2回行うのが主流です。表面を整える効果も非常に高く、塗装の仕上がりを左右します。
本塗り
本塗りでは、塗料を2回塗り、もしくは3回塗りします。最低でも2回塗ることで厚みを確保し、耐久性がさらに増します。
仕上げ塗り
仕上げ塗りは必須ではありませんが、行うことで表面の美しさなどを長く保つことができます。仕上げ塗りはコーティング剤などを用いて行います。
腐敗を防ぎ、長持ちさせるためにも、仕上げ塗りを実施してくれる業者を選ぶことをおすすめします。
仕上げ塗りの際も3回に分けて塗ることが一般的です。信頼できる業者か見極めるにあたり、3回塗りを実施しているかどうか質問するのもよいでしょう。
アルミ塗装に使われる塗料の種類
溶剤系の下塗り材は、主に「プライマー」というものを用います。プライマーには水性と油性があり、アルミの塗装には水性が主流です。
水性は浸透性が低く、吸い込みも少ないので、塗装時の手間がかかりにくく、ほかの道具を汚すこともありません。油性タイプは浸透性が高く、密着度に優れています。そのため、下地の劣化が激しい場合、つまり修理やリフォームの際に用いられます。
仕上げの塗料は、水溶性のものが主流です。油性塗料は扱いづらく、匂いがきついためです。さらにステイン系の塗料は化粧合板などの木材向きなので、アルミ素材に適していません。
DIYでなく専門業者がおすすめ
アルミ塗装は難易度が高いので、専門の業者への依頼をおすすめします。
DIYでは失敗することが多く、問題がないように見えても、施工ミスがあると経年劣化が非常に早いです。結果的に業者に依頼することになります。
業者選びでは、以下のポイントに注意しましょう。
- 下地や下塗りが丁寧
- 実績が豊富
下地や下塗りが丁寧
アルミ塗装では、下地処理や下塗りを適切に行っているかどうかは非常に重要です。
下地処理や下塗りは外壁塗装では、とても大切な工程です。見積もりの段階で塗料や施工方法について、丁寧な説明がある業者を選びましょう。
実績が豊富
実績が豊富かどうかも大きなポイントです。 アルミ塗装は難易度の高い塗装なので、施工実績の写真がサイトに載っていたり、相談のときに施工実績を見せてもらえたりする塗装業者がおすすめです。
アルミは、軽量性と耐久性だけでなく、デザイン性にも優れる素材です。専門業者にメンテナンスを依頼する必要がありますが、それでもアルミは魅力的な外壁素材のひとつです。アルミの魅力を引き出すためにも、定期的にメンテナンスを行いましょう。