家の外壁材で主流になっているのがサイディング外壁です。サイディング外壁は種類が豊富でデザイン性も高いため、理想の外観に仕上げられます。
しかし、サイディング外壁は劣化を防ぐために塗装されており、定期的な塗り直しが必要です。サイディング外壁のデザイン性を維持するのなら、クリア塗装がおすすめです。
クリア塗装にはどのような特徴や注意点があるのか確認しておきましょう。
クリア塗装とは?
クリア塗装とは、無色透明の塗料で外壁を塗装することをいいます。外壁に使われる塗料には、顔料、添加剤、合成樹脂などの成分が含まれていますが、クリア塗装には、着色成分である顔料が含まれていません。
クリア塗装と一言にいっても使用される塗料にはいくつかの種類があります。それぞれの塗料の特徴を確認しておきましょう。
クリア塗装に使われる塗料
クリア塗装に使われる塗料の大きな違いは、樹脂の成分です。樹脂の成分によって価格や性能、耐用年数が異なるため、塗装の前に確認しましょう。
塗料の種類 | 耐用年数(年) | 特徴 |
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アクリル塗料 | 3~5 |
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ウレタン塗料 | 7~10 |
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シリコン塗料 | 10~12 |
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フッ素塗料 | 12~15 |
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無機塗料 | 10~25 |
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クリア塗装に使用される塗料は、性能が上がるほど価格も高くなる傾向にあります。また、サイディング外壁の材質によって施工ができない塗料もあるため、確認が必要です。
クリア塗装の特徴
サイディング外壁のクリア塗装には、次の特徴があります。
- サイディングのデザインを残せる
- 光沢感が選べる
- 塗装費用が抑えられる
それぞれの特徴を詳しく解説します。
サイディングのデザインを残せる
サイディング外壁にクリア塗装をする最大の特徴は、色合いや風合いを残したまま塗り直しができることです。
サイディング外壁は、御影調やレンガ調、砂壁調などデザイン性を高めた製品も多く、さらに色や模様などのバリエーションも豊富です。
クリア塗装では、無色透明の塗料を使用するため、塗装したあともサイディング外壁のデザインはそのままの状態を残せます。
一方、一般的な外壁塗装では、サイディング外壁のデザインは塗料に含まれる顔料で塗りつぶされます。単調な色彩になりやすくデザイン性を保てません。
サイディング外壁のデザイン性が失われることが原因で塗り替えを迷っている人は、クリア塗装を選びましょう。
光沢感が選べる
外壁のつや出しもクリア塗装の特徴のひとつです。サイディング外壁にクリア塗装をすることで、水に塗れたような光沢感が出て、美しく仕上がります。
さらに、クリア塗装では、つや消し、3分つや、5分つや、7分つやといった光沢度の異なる塗料が用意されています。光沢度を細かく指定することで、サイディング外壁に合わせた仕上がりに調整が可能です。
サイディング外壁によっては、つやを出しすぎると安っぽく見えることがありますが、適切なつやの塗料を選べれば対応できます。
ただし、塗料の光沢度はメーカーによって違います。必ずサンプルで確認しておきましょう。
塗装費用が抑えられる
サイディング外壁を塗装する場合、一般的な塗料よりもクリア塗料の方が費用を抑えられます。
外壁塗装の工程は、一般的な塗料では下塗り、中塗り、上塗りの3度塗りが基本ですが、クリア塗装では下塗りがありません。塗装の工程が2回のため、下塗り分の塗料の使用量や作業工程が一般的な塗装よりも少なく、それだけ塗装費用を抑えられるのです。
クリア塗装に下塗りがない理由は、下塗り用の塗料による着色です。クリア塗装で下塗りをすれば、サイディング外壁の表面が下塗り用塗料でつぶれてしまいます。
そのため、クリア塗装では下塗りの工程が省かれるのです。
チョーキングが発生しない
クリア塗装では、チョーキング現象が起きないため、塗装したあとも、サイディング外壁の外観を長期間きれいに保てます。
チョーキング現象とは、外壁塗装の劣化により白い粉が表面にふきでる現象です。チョーキング現象が出てくるとサイディング外壁の表面が白くなり、建物の外観が悪くなります。
チョーキング現象が起きる原因は、塗料に含まれる合成樹脂の分解です。塗装が紫外線や雨風にさらされることで、合成樹脂に含まれる顔料が粉状になって表面に現れてくるのです。
ただし、チョーキング現象は塗装の劣化が始まるサインでもあります。外壁の劣化具合がわからずサイディング外壁に深刻な被害を及ぼすおそれがあるため、定期的な検査を行いましょう。
サイディング外壁の劣化に伴う症状は関連記事をご確認ください。
クリア塗装の注意点
サイディング外壁のクリア塗装には、注意点もあります。
- サイディングの傷や汚れがそのまま残る
- 一般的な塗料よりも機能が少ない
- 2度塗りなので耐久性が低い
- チョーキングが発生していると塗装できない
それぞれの注意点について確認しておきましょう。
サイディングの傷や汚れがそのまま残る
クリア塗装の塗料は無色透明のため、サイディング外壁の傷や汚れがそのまま残ります。塗装をすることで光沢感は出ますが、サイディング外壁の傷や汚れがひどい状態では、外観をきれいにできません。
また、一般的な外壁塗装では、下塗りで細かなヒビ割れなどを補修できますが、クリア塗装ではその工程がありません。
そのため、サイディング外壁の状態が悪い場合は、クリア塗装が向かない場合があります。
一般的な外壁塗装でもデザイン性を高められる
サイディング外壁の状態が悪く、クリア塗装ができない場合は多彩模様塗装やツートンカラーでの塗り替えを検討してみましょう。多彩模様塗装とは、色調の異なる塗料や粒状の素材が混ぜ込まれた塗料で塗装をする方法です。
サイディング外壁を多彩模様塗装することで素材の凹凸による立体感が出るため、デザイン性を高められます。
また、ツートンカラーは、2色の塗料で塗装をする方法です。色を分けることで、重厚感や立体感を出せます。
2つの方法は、一般的な外壁塗装と同じ3度塗りで施工するため、サイディングの状態が悪くても行えます。
一般的な塗料よりも機能が少ない
塗料に含まれる顔料は、成分によってさまざまな性能を持たせられます。たとえば、酸化チタンを顔料に含んだ塗料は、光触媒機能によって外壁についた汚れを落とします。
また、顔料にセラミックが含まれる塗料は、断熱効果があるため、室内の温度が安定します。
クリア塗装では塗料に顔料が含まれないため、そのような機能を持たせられません。
2度塗りなので耐久性が低い
外壁塗装は、塗料を数回に分けて塗ることで、層を厚くして耐久性を高めます。しかし、一般的な塗料は3度塗りなのに対し、クリア塗装は2度塗りです。
使用する塗料が少ない分、層も薄くなり、耐久性が低下します。そのため、一般的な塗料よりも塗り替え時期が早まることがあります。
チョーキングが発生していると塗装できない
すでにチョーキング現象が起きているサイディング外壁には、クリア塗装ができません。白い粉が浮き出ている状態でクリア塗装をしても、白く濁ってしまうためです。
クリア塗装をしても仕上がりが悪くなるため、サイディング外壁の経年劣化が進んでいる場合は、一般的な外壁塗装を行いましょう。
クリア塗装にかかる費用
クリア塗装にかかる費用は、次のとおりです。
クリア塗料の種類 | 価格相場(円/m2) |
---|---|
アクリル塗料 | 1,400~2,500 |
ウレタン塗料 | 1,700~2,500 |
シリコン塗料 | 2,200~3,500 |
フッ素塗料 | 3,000~4,800 |
無機質塗料 | 3,800~5,500 |
クリア塗装の価格相場は、塗料の耐用年数が長いほど高いです。しかし、耐用年数が長ければ塗り直しの回数が少なくなるため、長期間住み続ける場合は、耐用年数の長い塗料を選ぶとトータルの費用を抑えられます。
また、施工の際は、足場を設置する必要があるため、足場代として20万~30万円が別途かかります。
同じ種類の塗料でも商品によって性能が異なる
同じ種類の塗料でもメーカーが違えば性能も違います。たとえば、アクリル塗料と一言でいっても、メーカーやグレードも違います。当然、価格も変わってくるため、施工会社の見積もりを比較する場合、塗料の種類だけでなくメーカーや商品名なども確認することが大切です。
外壁塗装のクリア塗装の費用を抑える方法
サイディング外壁のクリア塗装は、一般的な塗装よりも費用が抑えられる傾向があります。しかし、外壁塗装をするには、ある程度まとまった費用が必要です。クリア塗装の費用を抑えるには、どのような方法があるのでしょうか。
助成金や補助金を活用する
クリア塗装をするときは、市区町村の補助制度が利用できるか確認しておきましょう。多くの市区町村では、外壁塗装の工事に対して助成金や補助金を出しています。条件を満たせば、費用の一部を負担してもらえるため、外壁塗装にかかる費用の負担を減らせます。
申請できる条件や金額は市区町村によって異なるため、助成金や補助金はお住まいの市区町村に確認してください。
複数の施工会社を比較する
サイディング外壁のクリア塗装は、依頼する施工会社によって使用する塗料や工程が変わります。費用も施工会社によって変わるため、安く抑えるには複数社に問い合わせをして、提案内容を比較することが大切です。
複数の施工会社に査定を依頼するなら、一括査定サイトの「ぬりマッチ」を利用しましょう。問い合わせに必要な情報をチャット形式で入力することで、お住まいのエリアに近い施工会社を紹介します。
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