外壁塗装業者のポスティング集客｜メリット・デメリット

【メリット】新聞を購読していない世帯にも情報を届けられる

近年、新聞購読率は低下傾向にあり、それに伴い新聞折込チラシだけでは情報が届かない世帯が増えています。特に若年層や一人暮らしの世帯など、新聞を購読していない層が多く存在します。これらの層の中にも、将来的に外壁塗装や屋根塗装が必要となる潜在的な顧客が存在します。

ポスティングは、各戸のポストへ直接チラシを投函するため、新聞を購読しているかどうかにかかわらず情報を届けられるという大きな利点があります。新聞折込ではアプローチが難しかったターゲット層にも情報を届けられるため、これまで獲得できていなかった見込み顧客を獲得できる可能性が高まります。デジタル化が進む現代において、幅広い層へ情報を届ける有効な手段と言えるでしょう。

【デメリット】効果測定が難しく、見られずに捨てられる可能性も

ポスティングは、Web広告のようなクリック数やコンバージョン率といった具体的な数値での効果測定が難しい点がデメリットです。どのチラシから問い合わせがあったかを正確に把握するには、チラシに特定の電話番号やQRコードを掲載するなどの工夫が必要ですが、それでもWeb上の広告ほど詳細なデータを得るのは難しいのが現状です。

また、ポストに投函されたチラシが、他の郵便物や広告に埋もれてしまい、ターゲットとなるお客様の目に触れることなく捨てられてしまうリスクも否定できません。一般的なポスティングの反響率は0.01%〜0.3%程度、塗装業に近いリフォーム業界では0.01%〜0.03%程度が目安とされており、配布した多くのチラシが必ずしも見られているわけではないことがうかがえます。効果測定の難しさや視認性の低さは、投下した費用に対する効果、つまり費用対効果の判断を難しくする可能性があります。

前章では、塗装業者がポスティング集客を行う上でのメリット・デメリットについて解説しました。デメリットとして効果測定の難しさや、チラシが見られずに捨てられてしまう可能性にも触れましたが、適切な戦略と工夫を凝らせば、ポスティングでも高い反響を得ることは可能です。では、実際に成果を上げている事業者はどのような施策を行っているのでしょうか。

事例1：配布エリアを築15年以上の戸建て住宅街に限定し問い合わせ増

この事例は、外壁塗装のメンテナンスニーズが高まる「築15年以上」の戸建て住宅にターゲットを絞り込み、配布エリアを戦略的に選定した成功事例です。多くの外壁材は築10年が最初の塗り替え時期の目安とされていますが、築15年を経過すると劣化が進行し、ひび割れなどの症状が現れやすくなるため、塗装の必要性を感じ始める方が増える時期と考えられます。この仮説に基づき、市区町村が公開する住宅関連の統計データや過去の自社顧客データなどを分析することで、築年数の古い戸建て住宅が多く存在する特定のエリアをリストアップしました。

事例2：近隣で施工中の現場周辺に絞って配布し地域での信頼を獲得

この事例では、現在施工中の現場があるエリアに絞り、その近隣住民を対象としたポスティングを実施しました。配布したチラシは一般的な広告とは異なり、「現在、お近くの〇〇様邸で工事をさせていただいております」といった丁寧な挨拶文を添え、工事内容や期間、そして騒音などご迷惑をおかけする可能性について事前に周知する「工事のお知らせ」という形式をとりました。工事現場の住所も分かりやすく記載することで、受け取った方がどの現場かすぐに把握できるよう工夫しました。

事例3：施工前後の写真を大きく載せたチラシで仕上がりを具体的に訴求

この事例では、お客様が抱える具体的な外壁や屋根の悩みを解決した施工事例の写真を、チラシのメインビジュアルとして大きく掲載しました。例えば、長年の紫外線で色あせてしまった外壁が鮮やかに蘇った様子や、ひび割れやカビで傷んだ箇所が綺麗に修繕されたビフォー・アフター写真を厳選して掲載しました。これにより、「我が家もこのように綺麗になるのか」と読者が自身の状況と重ね合わせ、工事後の具体的なイメージを持ちやすくすることを目指しました。

写真の配置においては、左右や上下に並べて比較しやすいレイアウトにし、仕上がりの変化が一目で伝わるよう工夫しました。また、写真のクオリティにもこだわり、プロのカメラマンに依頼して鮮明で魅力的な写真を使用しました。それぞれの写真には、「〇〇様邸 築〇年外壁塗装工事」「色あせとひび割れを補修」といった具体的なキャプションを添えることで、どのような工事でどう変わったのかを明確に伝えました。

事例5：梅雨前や台風シーズン後など、季節のニーズに合わせて配布を計画

本事例は、季節ごとの住宅メンテナンスニーズに合わせたポスティングを実施し、成功した事例です。

例えば、梅雨入り前には雨漏りや外壁の防水性を気にする方が増える傾向にあります。そこでこの時期に、防水塗装の重要性や雨漏り対策に関する情報を盛り込んだチラシを配布しました。防水塗装は、雨水が建物内部に侵入するのを防ぎ、建物の劣化を抑える上で効果的です。

また、台風シーズン後には、強風による屋根や外壁の破損、雨樋の不具合などが懸念されます。このため、建物の早期診断や修繕の必要性を強調する内容で訴求を行いました。

このように、季節の変わり目に起こりやすい顧客の不安や悩みに寄り添い、「今の時期に必要なメンテナンス」として塗装工事を提案することで、タイムリーな需要を喚起しました。

事例6：「チラシを見た方限定」の特典を付けて反響率を可視化

ポスティングの効果測定は難しいという側面がありますが、この事例では、特典を活用し、その課題を克服しました。チラシに「このチラシをご提示いただいたお客様、またはお電話で『チラシを見た』とお伝えいただいたお客様限定」といった文言と、具体的な特典を掲載しました。特典内容は、足場代の割引、塗料のグレードアップ、高圧洗浄無料など、顧客にとって魅力的なものです。

これにより、問い合わせや見積もり依頼があった際に、顧客が「チラシを見た」と自己申告するようになり、どのくらいの反響があったかを正確に把握できるようになりました。配布枚数に対する反響数をカウントすることで、「反響数÷配布枚数×100」という計算式で反響率を算出することが可能です。一般的なポスティングの反響率は0.01%〜0.3%程度と言われますが、自社の施策の効果を具体的な数値で把握できたことは大きな収穫です。

ホームページ上では、チラシには載せきれなかった豊富な施工実績を掲載しました。例えば、様々な種類の外壁・屋根の施工前後の写真を多数掲載し、具体的な変化や仕上がりを分かりやすく示しました。また、工事内容の詳細、使用した塗料の種類、そして実際にサービスを利用したお客様の声なども掲載することで、顧客が知りたい情報を深く掘り下げて確認できるように工夫しました。

加盟店募集中！

詳細はこちら

事例8：2ヶ月に1度の定期的な配布で地域住民への認知度を着実に向上

この事例では、ある塗装業者が特定の地域に対し、2ヶ月に1回の頻度でポスティングを継続的に実施しました。一度きりの配布ではなく、定期的に情報を提供し続けることで、地域住民への認知度を段階的に高めることを目指した戦略です。

継続的にチラシを目にする機会が増えることで、受け取る側は自然とその会社名を記憶し、親近感を抱きやすくなります。これは、繰り返し接触することで好意度や信頼性が増すという「ザイオンス効果（単純接触効果）」によるものです。

また、住宅の塗装ニーズは突発的に発生するものではなく、築年数や劣化状況によって潜在的に存在します。定期的なポスティングは、住民が「そろそろ我が家も塗装が必要かな」と感じたタイミングで、「そういえば、あの会社のチラシがよくポストに入っていたな」と思い出してもらう「リマインダー効果」も生み出します。

事例9：A4サイズのクリアファイルに入れて配布し視認性と保存性をアップ

多くの家庭に日々投函されるポスティングチラシの中で、自社の情報をいかに顧客の目に留め、印象に残すかが重要な課題です。この事例では、ポスティングするチラシをA4サイズのクリアファイルに入れて配布するというユニークな手法を採用しました。

クリアファイルに入れることで、まず物理的にチラシが折れたり濡れたりすることなく、受け取った方の手元にきれいな状態で届くというメリットがあります。これにより、チラシ自体の視認性が高まります。また、クリアファイルは資料をまとめたり一時的に保管したりする際に日常的に使用される機会が多いため、そこにチラシが入っていると、他の郵便物と一緒にすぐに捨てられるのではなく、クリアファイルごと保管してもらえる可能性が高まります。これは、後から必要になったときに見返してもらえるという保存性の向上につながります。

事例10：無料の屋根・外壁診断会への参加を促し見込み客との接点を創出

塗装の必要性をまだ感じていない潜在顧客との接点を創出するため、無料の屋根・外壁診断会への参加を促すチラシをポスティングした事例です。この施策の狙いは、単にサービスを告知するだけでなく、専門家による診断という具体的な価値を提供することで、顧客との関係構築の機会を得ることにあります。

チラシでは、診断会に参加するメリットを明確に訴求しました。例えば、外装劣化診断士などの有資格者がお住まいの現状を丁寧に診断すること、自分では気づきにくい劣化状況を正確に把握できること、今後の修繕の必要性や適切な時期について専門的なアドバイスを受けられることなどを具体的に提示しました。診断は基本無料であり、結果報告やアドバイスまで無料で行う点も強調しました。

反響率が変わる！塗装業者のポスティングチラシ作成3つのコツ

ポスティングで集客効果を最大限に引き出すには、単に配布するだけでなく、配布する「チラシ」そのものの質が非常に重要です。どんなに正確にターゲット層へ届けられても、顧客の心に響かない内容やデザインでは、他の郵便物と同様に見られずに捨てられてしまう可能性が高いからです。残念ながら、多くの塗装業者がこのチラシ作成でつまずき、期待した反響を得られていないのが現状です。

コツ1：誰に何を伝えたい？ターゲットとメッセージを明確にする

ポスティングチラシの反響率を高めるために、最も重要な最初のステップは、「誰に情報を届けたいか」、つまりターゲット顧客を明確に設定することです。例えば、築10年以上が経過し、外壁や屋根の劣化が気になり始めている可能性が高い戸建て住宅にお住まいの方々や、現在お住まいの地域で近隣の家が塗装工事を始めたことで「うちもそろそろか」と感じている家主様などが考えられます。

設定したターゲット層は、外壁のひび割れや色褪せといった具体的な劣化症状、まとまった費用への不安、数ある業者の中からどこを選べば良いか分からないといった、様々な悩みや不安を抱えています。チラシでは、こうしたお客様の心に寄り添うメッセージを盛り込み、その悩みや不安を貴社がどのように解決できるのかを分かりやすく伝える必要があります。

コツ2：一目で分かる！安心と信頼を伝えるデザインのポイント

ポスティングチラシは、受け取った方に「この会社なら安心して任せられそう」と感じてもらうことが重要です。そのためには、視覚的な要素であるデザインが大きな役割を果たします。

まず、配色には信頼感を与える青系、安心感のある緑系、温かみを感じさせるベージュ系など、塗装業者としての誠実さが伝わる色を選ぶのが効果的です。文字は、誰もが読みやすいゴシック体や丸ゴシック体を使用し、情報がスムーズに頭に入ってくるように配慮しましょう。

また、職人の顔写真や丁寧な作業風景、そして何より施工後の美しい仕上がり（ビフォーアフター写真など）を大きく掲載することは非常に有効です。言葉だけでなく、実際の写真で技術力や仕事ぶりを見せることで、視覚的に安心感を訴求できます。

さらに、重要な情報は、以下の点をパッと見て理解できるよう整理されたレイアウトを心がけましょう。

• 連絡先

• 料金プラン

• 保証内容

• 会社の強み（地域での実績数、有資格者の在籍など）

「地域No.1の実績」「国家資格保有の職人が施工」「安心の長期保証」など、具体的な強みやお客様にとってのメリットをキャッチーな言葉でデザインに盛り込むことで、信頼性を一層高め、お問い合わせへの第一歩に繋げることができます。

コツ3：具体的な行動を促す「お問い合わせ」までの導線設計

ポスティングチラシを見て「ここに依頼したい」と思ってもらえても、問い合わせ方法が分かりにくいと、顧客は行動をためらってしまう可能性があります。そこで重要となるのが、読者が次に取るべき行動を明確に示す「お問い合わせまでの導線設計」です。電話、ウェブサイト訪問、資料請求など、様々なアクションにスムーズに繋がるよう、分かりやすいデザインを心がけましょう。

具体的な問い合わせ方法としては、以下のような要素を目立つ場所に配置します。

• 電話番号

• ホームページへ誘導するQRコード

• メールアドレス

電話ならその場ですぐに相談できる手軽さ、QRコードならスマートフォンで手軽に詳しい施工事例やお客様の声を確認できるといった、それぞれのメリットを簡潔に添えると良いでしょう。

さらに、「今すぐ無料見積もり！」「まずはご相談だけでもお気軽にどうぞ」といった、具体的な行動を促すキャッチコピー（CTA）を盛り込むことで、読者の検討意欲を高めることができます。「ご相談・お見積もり無料」「しつこい営業は一切いたしません」といった、問い合わせの心理的なハードルを下げる一文を加えることも効果的です。

加盟店募集中！

詳細はこちら

失敗しないためのポスティング配布方法と注意点

ここまで、ポスティング集客のメリット・デメリット、成功事例、そして反響が変わるチラシ作成のコツについて解説しました。魅力的なチラシを作成できても、それをいかに効率よく、そして適切に配布できるかが、実際の集客効果を大きく左右します。やみくもに配布するだけでは十分な反響は得られず、さらには思わぬトラブルに発展する可能性も否定できません。

自社で配る？業者に頼む？それぞれの特徴を比較

ポスティングを実施するにあたり、自社のスタッフが配布を行うか、専門のポスティング業者に委託するかの二つの選択肢があります。それぞれにメリットとデメリットがあり、どちらの方法が適しているかは、会社の規模や目的、かけられる費用や時間によって異なります。

自社配布の最大のメリットは、コストを抑えられる点です。配布スタッフを雇用する必要がないため、人件費を削減できます。また、自社の商圏やターゲット層に合わせて、柔軟に配布エリアやタイミングを調整できる自由度もあります。ただし、配布にはかなりの時間と労力がかかり、本来の業務を圧迫する可能性があります。広範囲をカバーするには限界があり、配布の質を均一に保つための管理も煩雑になりがちです。

一方、ポスティング業者に委託するメリットは、広範囲への効率的な配布が可能な点です。プロのノウハウを活用できるため、より精度が高く、反響に繋がりやすい配布が期待できます。クレーム対応を代行してもらえる場合もあります。デメリットとしては、委託費用が発生するためコストがかかること、そして数多くある業者の中から信頼できる業者を選定するのが難しい点が挙げられます。また、自社スタッフのように配布状況を細かく把握しにくい場合もあります。

どちらの方法を選ぶべきか判断するために、以下の比較表をご参照ください。

項目	自社配布	業者委託
コスト	低い（人件費以外）	発生する
配布エリア	限定的になりやすい	広範囲・特定のエリアに強い
配布の質	スタッフの教育による	業者のノウハウと管理体制による
時間・労力	かかる	削減できる
管理の容易さ	煩雑になりやすい	委託先に依存
クレーム対応	自社で行う必要がある	委託先が代行する場合がある

配布禁止エリアの確認方法とクレームへの誠実な対応策

ポスティングによる集客を円滑に進め、地域住民との良好な関係を維持するためには、配布が禁止されているエリアへの投函を避けること、そして万が一クレームが発生した場合に誠実に対応することが非常に重要です。事前に確認すべき配布禁止エリアとしては、マンションやアパートの管理規約でポスティングが禁じられている物件や、エントランス、集合ポスト、または個別の郵便受けに「チラシお断り」「ポスティング禁止」といった明確な表示がある場所が挙げられます。また、公共施設や病院、学校などの敷地内も、トラブルを避けるために配布を控えるべきエリアと言えます。