【塗装業】自社ブランドのフランチャイズを作る!成功するFCの作り方

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【塗装業】自社ブランドのフランチャイズを作る!成功するFCの作り方

塗装業を営む皆様の中には、自社の技術やノウハウを活かして事業を拡大したいとお考えの方もいらっしゃるのではないでしょうか。その一つの選択肢として、フランチャイズ化が挙げられます。しかし、実際に「フランチャイズブランドの作り方」となると、何から始めれば良いかわからず、不安に感じる方もいるかもしれません。本記事では、フランチャイズ本部を立ち上げ、成功させるための具体的なステップを解説します。

塗装業でフランチャイズ本部(フランチャイザー)を目指す

現在の塗装業界は、職人不足に加え、カカウ競争の激化や集客の課題など、多くの厳しい課題に直面しています。このような状況下で、自社が培ってきた技術やノウハウを活かし。事業をさらに発展させる有効な選択肢の一つとして、フランチャイズ本部化が挙げられます。自社がフランチャイザーとなることで、安定的な収益基盤の確立、地域におけるブランド力の向上、加盟店との連携によるコストメリットなど、様々な利点があります。

価格競争から脱却し、安定した収益基盤を確立できる

現在の塗装業界は、新規参入の増加や一括見積もりサイトの普及などを背景に、価格競争が激化しています。この競争は、技術力や品質よりも価格の安さが重視される傾向を生み、結果として適正な利益を確保しにくい状況に陥っている事業者も少なくありません。このような価格競争は、経営を圧迫し、安定した事業継続を困難にする要因となり得ます。

フランチャイズ本部を設立し、自社独自のブランドを確立することで、こうした価格競争から一線を画すことが期待できます。高品質なサービスや独自の技術・工法を「ブランド力」として打ち出すことで。顧客から信頼を得やすくなり、不当な値引き競争に巻き込まれるリスクを低減できます。

ブランド力を高め、地域での影響力を拡大できる

フランチャイズ展開を行うことで、自社がこれまで培ってきた技術やサービスを基盤とした統一のブランドイメージを広範囲に展開できます。これにより、個々の店舗だけでは到達し得ない広範囲の顧客層からの信頼を獲得することが期待できます。

各加盟店がそれぞれの地域で事業を展開することで、地域に密着した活動が可能となり、ブランドの認知度は加速度的に向上していきます。これは、単なる広告宣伝に留まらず、地域社会の一員としての活動を通じて、より強固な信頼関係を築くことにつながります。確立されたブランド力は、価格だけではない価値を顧客に提供できる証となり、他社との明確な差別化を実現します。その結果、地域市場における競争において優位性を確立し、事業の持続的な成長を支える基盤となります。

加盟店との連携で仕入れコストなどの優位性を得られる

フランチャイズ本部を設立することで、加盟店全体の仕入れを本部が一括して取りまとめ、交渉に当たることが可能になります。このため、個々の加盟店がそれぞれ単独で仕入れる場合と比べ、塗料や資材のメーカー、あるいは卸売業者に対し、より有利な条件で価格交渉を進めることができます。

複数の加盟店が商品をまとめて購入する「共同購買」の仕組みを導入すれば、チェーン全体の仕入れ量が大幅に増加します。これは「スケールメリット」と呼ばれ、大量に購入することによるボリュームディスカウントを引き出しやすくなります。その結果、各加盟店は高品質な塗料や資材を、単独で仕入れるよりも安価に調達できるようになるでしょう。

さらに、特定のメーカーと本部が密接に連携することで、そのフランチャイズチェーン専用の独占的な仕入れルートを確保したり、特別価格を実現したりできる可能性もあります。こうした仕入れコストの削減は、直接的に加盟店の利益率向上に繋がります。

業界全体の発展に貢献し、リーダーシップを発揮できる

自社が塗装業のフランチャイズ本部を設立し、事業を拡大することは、自社の成長のみならず、塗装業界全体の発展に貢献することにもつながります。自社で培った高い技術力や効果的な経営ノウハウを標準化し、加盟店へ広く提供することで、業界全体の技術水準の底上げや経営力の向上に貢献することが可能です。

また、統一された教育システムや研修制度を構築し、質の高い塗装職人を安定的に育成できる体制を整えることは、業界が抱える深刻な人手不足の解消や若手育成に大きく貢献する可能性を秘めています。経験の浅い人でも安心して技術を習得し、プロとして活躍できる仕組みは、新たな人材の参入を促すでしょう。

フランチャイズ本部を設立する前に理解すべき基本構造

フランチャイズビジネスは、本部(フランチャイザー)と加盟店(フランチャイジー)がそれぞれの役割を担い、協力して事業を展開するモデルです。この仕組みを正しく理解することは、塗装業でフランチャイズ本部を立ち上げる上で非常に重要となります。本部が加盟店に提供するもの、そして加盟店が本部から得るメリット、さらに本部がどのように収益を得るのかといった、フランチャイズビジネスの根幹をなす要素を知っておくことが成功への鍵となるでしょう。

フランチャイズ本部の役割:ブランドとノウハウの提供

フランチャイズ本部が加盟店に対して担う主要な役割は、大きく分けて「ブランド」と「ノウハウ」の提供です。まず、本部は、自社が長年培ってきた信頼性の高いブランド、具体的には商標やロゴなどの「使用権」を加盟店に貸与します。これにより、加盟店はゼロから知名度を築く必要がなく、既に確立されたブランドイメージを活用して事業を開始できます。ただし、その使用にはフランチャイズ契約によって厳密な条件が定められています。

加えて、本部が提供するのは、事業を成功させるための具体的な「ノウハウ」です。これには、塗装技術や施工方法、効果的な集客や営業活動の戦略、日々の経理や経営管理の方法など、事業運営に必要なあらゆる知識や経験が含まれます。これらのノウハウは、誰でも再現できるように詳細なマニュアルとして体系化されており、本部の最も重要な資産の一つと言えます。また、これらのマニュアルに基づいたトレーニングプログラムも提供され、加盟店は効率的に事業を進めることが可能です。

加盟店に提供するパッケージ内容とは

フランチャイズ本部が加盟店に提供する「パッケージ」とは、加盟店が円滑に事業を開始し、継続的に成長していくために不可欠な要素を体系化したものです。塗装業のフランチャイズにおいては、まず本部が持つ確立されたブランド(商標やロゴなど)の使用権が含まれます。これにより、加盟店はゼロから認知度を高める労力を省き、一定の信頼性をもって事業をスタートできます。

さらに重要なのは、本部が長年の経験で培った独自の技術・ノウハウです。これらは詳細なマニュアルとして提供され、特定の施工方法や品質基準、安全管理に至るまで、事業運営の根幹となる知識が網羅されています。未経験者でも安心して取り組めるよう、実践的な研修制度もパッケージに含まれます。集客・営業活動についても、効果的なノウハウやツールの提供、あるいは本部による顧客紹介といった支援が行われる場合もあります。また、塗料や資材の共同購買によるコストメリットも、加盟店にとって大きな魅力です。

本部の主な収益モデル:加盟金とロイヤリティ

フランチャイズ本部を運営する上で、主な収益源となるのは、加盟店から支払われる「加盟金」と「ロイヤリティ」です。これらは性質が異なり、本部の安定した経営と、加盟店の事業継続性の両方を支える重要な要素です。

まず「加盟金」は、加盟店がフランチャイズチェーンに加盟する際に、本部に対して最初に支払う費用です。これは、本部が長年培ってきたブランドの使用権、開業前に行われる初期研修、店舗開設に関するコンサルティングなど、開業に必要な初期段階のサポートや権利の対価として設定されます。加盟金の金額は、提供されるパッケージの内容や業種によって大きく異なり、加盟店にとっては開業時の初期費用のかなりの部分を占めるのが一般的です。

次に「ロイヤリティ」は、加盟店が事業を継続している期間中、定期的に本部へ支払う費用です。これは、本部が提供する継続的な経営指導や技術サポート、ブランド力の維持・向上に向けたプロモーション活動、新しい商品やサービスの開発といった、事業運営を継続的に支援するための対価です。ロイヤリティの徴収方法としては、毎月一定額を支払う「定額方式」、加盟店の売上高や粗利益の一定割合を支払う「売上歩合方式」や「粗利分配方式」など、いくつかの種類があります。

塗装業フランチャイズ本部設立を成功に導く具体的な5ステップ

塗装業で自社ブランドのフランチャイズ本部設立を目指すことは、事業拡大の大きなチャンスです。しかし、成功裏に運営していくためには、明確な戦略と段階的な準備が不可欠となります。単に看板を貸すだけでなく、加盟店が安定して収益を上げ、共に成長できるような、再現性の高いビジネスモデルを構築する必要があります。

【ステップ1】再現性のある「成功モデル」を自社で確立する

フランチャイズ本部設立の最初のステップであり、かつ最も重要なのは、自社で「成功モデル」を確立することです。これは、自社の事業で安定的に利益を上げ、顧客から高い評価を得られている「勝ちパターン」を明確にし、その収益性や集客力を客観的に実証することを意味します。フランチャイズ展開は、この自社の成功モデルを加盟店に提供し、同様の成果を出してもらうことで成り立つビジネスだからです。

確立すべき成功モデルは、「誰が運営しても同等の成果が出る」再現性の高いものである必要があります。そのためには、塗装技術、サービス提供の方法、効果的な集客・営業手法、顧客管理の仕組み、見積もり作成プロセスなど、事業運営に関わる全ての業務プロセスを徹底的に標準化し、分かりやすいマニュアルとして体系化することが不可欠です。デジタルマニュアルなども活用し、スムーズな情報共有を目指しましょう。

【ステップ2】加盟店が成功できる「パッケージ」を設計する

ステップ1で自社の成功モデルを確立したら、次にそのノウハウや仕組みを、加盟店が活用しやすい「パッケージ」として設計する段階です。フランチャイズにおけるパッケージとは、加盟店が事業をスタートさせ、継続的に成功するための本部からの提供物全体を指します。

このパッケージには、まず本部が持つ確立されたブランド(屋号やロゴ、サービスマークなど)を加盟店が使用できる権利を明確に含めます。加えて、ステップ1で体系化した塗装技術や施工方法、効果的な集客・営業ノウハウ、さらには顧客管理システムといった、本部の成功につながる具体的な手法やツールを、再現性の高い形で提供できるようにします。

開業前の基本的な研修はもちろんのこと、開業後の継続的な技術指導や経営指導、スーパーバイザー(SV)による巡回サポートなど、加盟店の成長を支える具体的なサポート体制の内容もパッケージに盛り込むことが重要です。有益なサポートを提供することは、加盟店の成功に直結し、ひいては本部の発展にもつながります。また、高品質な塗料や資材を安定的に供給できるルートの確保や、チェーン全体での共同仕入れによるコストメリットを提供できる仕組みを構築することも、加盟店にとって大きな魅力となります。

【ステップ3】法務・財務の「基盤」を固める

フランチャイズ本部を安定的に運営していくためには、法務面および財務面の強固な基盤構築が不可欠です。まず、本部と加盟店との間の権利義務関係を明確にする「フランチャイズ契約書」を作成します。この契約書は、両者のトラブルを未然に防ぐための最も基本的な対策となります。作成にあたっては、経験豊富な弁護士など専門家によるリーガルチェックを受けることが極めて重要です。これにより、自社だけでは気づきにくいリスクを洗い出し、法的に不備のない契約書を作成することができます。契約書には、契約期間、ロイヤリティの算定・支払い方法、テリトリー制、提供する研修内容、契約解除の条件など、将来の事業運営に影響を与える多くの重要項目を含める必要があります。

また、中小小売商業振興法など、フランチャイズ事業に関連する法規制を遵守する体制を整えることも、信頼される本部となるために欠かせません。

【ステップ4】加盟店を募集し「サポート体制」を構築する

ステップ3で法務・財務の基盤が整ったら、いよいよ加盟店の募集を開始し、受け入れ体制を構築します。優秀なパートナー候補と出会うためには、複数の募集チャネルを活用することが効果的です。自社のウェブサイトでの情報発信はもちろん、フランチャイズ募集に特化したポータルサイトや比較サイト(例:フランチャイズ比較ネット、フランチャイズビズなど)、業界の専門イベント、個別説明会の開催などが挙げられます。それぞれのチャネルの特性を踏まえ、ターゲットとする加盟希望者に響くような募集戦略を立案することが重要です。

募集の際には、本部の理念に共感してくれるか、事業継続に必要な資金力があるか、経験の有無など、明確な選考基準を設け、質の高いスクリーニングを行うことで、将来的なトラブルを防ぎ、強固なパートナーシップの土台を築くことができます。加盟が決定したら、開業前の技術研修、営業・経営管理に関する知識習得のための研修を徹底的に行います。

【ステップ5】直営店で「テスト運営」と改善を繰り返す

フランチャイズ本部設立に向けた最後のステップは、これまでに確立したビジネスモデルや設計した加盟店向けパッケージを、自社の直営店で実際に運用し、その有効性を徹底的に検証することです。直営店は本部の方針をダイレクトに反映させやすいため、フランチャイズシステムをテストするための最適な場となります。

このテスト運営では、確立したビジネスモデルが加盟店の立場で本当に再現可能なのか、期待通りの収益性が見込めるのかなどを、具体的な数値に基づいて検証します。また、マニュアルの分かりやすさ、研修プログラムの内容に不足はないか、設計したサポート体制は実際に機能するのかといった、運用上の細かな問題点も洗い出すことが重要です。

成功モデルの核となる「強み」の作り方

フランチャイズ本部として長期的に成功するためには、加盟店が安定して収益を上げられる「再現性の高い成功モデル」を構築することが不可欠です。これは、特別なスキルや経験がなくても、本部のシステムに従うことで一定以上の成果を出せるビジネスモデルを意味します。この成功モデルこそが、多くの加盟希望者を引きつけ、チェーン全体の成長を支える土台となるのです。

そして、この再現性の高い成功モデルの核となるのが、他社にはない、御社独自の「強み」です。この「強み」が明確であればあるほど、競争の激しい市場でも優位性を保ち、加盟店も自信を持って事業を展開できます。

独自の技術・工法をマニュアル化する

塗装業のフランチャイズ本部として成功を収めるためには、自社が長年培ってきた独自の技術や工法が、成功モデルの核となります。例えば、特定の塗料における他社にはない高品質な仕上げ技術や、難易度の高い建材への最適な施工方法、あるいは作業時間を短縮しつつ品質を維持できる効率的な工法など、自社独自の「強み」となる技術を明確に定義することが重要です。この優位性が、競合との差別化を図り、加盟店が自信を持って営業できる基盤となります。

確立した技術や工法を、経験の浅い職人でも容易に習得し、再現できるようにするためには、徹底したマニュアル化が不可欠です。単なる文章だけでなく、写真や図、動画などを豊富に活用し、視覚的にも分かりやすいマニュアルを作成しましょう。これにより、以下のような大きなメリットが得られます。

  • 技術の伝承がスムーズに行われる

  • 加盟店のスキルレベルに関わらず、常に一定以上の施工品質を保つことが可能になる

  • 提供するサービスの品質が均一化され、顧客からの信頼を得やすくなる

ただし、技術や工法は常に進化するため、一度マニュアルを作成して終わりではありません。定期的に内容を見直し、新しい技術や改善点があれば随時追加・更新していく継続的な取り組みが重要です。これにより、フランチャイズチェーン全体の競争力を維持・向上させることができます。

効果的な集客・営業ノウハウを体系化する

フランチャイズ本部が加盟店に提供すべき重要な要素の一つは、効果的かつ再現性の高い集客・営業ノウハウです。事業の安定的な成長には、いかに効率よく見込み顧客を獲得し、受注につなげるかが不可欠です。このノウハウを体系化することで、加盟店は開業初期から安定した集客と売上を見込めるようになります。

集客においては、まず戸建て住宅所有者やアパート・マンションオーナーなど、主要なターゲット顧客層を明確に定義します。そして、それぞれの層に効果的なアプローチ方法や響くメッセージを具体的に示します。集客手法としては、Webサイトを活用したSEO対策やSNS運用、リスティング広告といったオンライン施策、チラシのポスティングや紹介キャンペーンなどのオフライン施策まで、実績のある手法を洗い出し、それぞれの成功パターンをマニュアル化します。

利益を安定して確保できる見積もり・原価管理手法を確立する

塗装業で安定した収益を確保し、加盟店が成功するための核となるのが、標準化された見積もり作成と正確な原価管理です。手書きやExcelによる見積もり作成は、担当者によって内容がばらつきやすく、計算ミスや過去データの参照が煩雑になりがちです。この課題を解決し、誰でも一定水準の見積もりを迅速かつ正確に作成するためには、見積管理システムの導入が有効です。システムを活用することで、以下の効果が期待できます。

  • 入力ミスを防ぐ

  • 見積もり業務を効率化する

  • 見積もり作成を標準化する

原価管理においては、材料費、人件費(労務費)、経費といった項目ごとに、工事にかかる費用を正確に計算する方法を確立することが重要です。これらの要素は外部環境や個別の現場状況によって変動するため、変動要因を適切に見積もりに反映させる仕組みが必要です。これらの原価計算に基づき、自社のサービスや品質に見合った適正な利益率を確保できる価格設定の考え方をマニュアル化し、加盟店に提供します。また、チェーン全体として目指すべき適正な利益目標を設定し、共有します。

フランチャイズ本部設立に必要な資金計画

塗装業でフランチャイズ本部を立ち上げ、事業を成功させるためには、綿密な資金計画が非常に重要です。事業開始までに必要となる初期費用だけでなく、本部を安定的に運営するための継続的なコストも考慮に入れる必要があります。これらの費用を正確に把握し、どのように資金を調達するのかを事前に計画しておくことが、本部運営の成否を左右すると言っても過言ではありません。

本部運営に必要なランニングコスト

フランチャイズ本部を設立し、事業を継続的に展開していくためには、初期費用に加えて毎月発生するランニングコストも考慮する必要があります。これらの継続的な費用を適切に管理することが、本部の安定した運営につながります。

主なランニングコストとしては、以下の項目が挙げられます。

  • 人件費

  • 広告宣伝費やマーケティング費用

  • 研修・システム関連費用

  • その他諸経費

具体的には、まず加盟店のサポート体制を維持するための「人件費」があります。これには、加盟店を巡回し、指導や相談対応を行うスーパーバイザー、研修プログラムを担当するスタッフ、そして本部全体の管理運営を行うスタッフの人件費などが含まれます。スーパーバイザーのキャリアや実績によっては年収400万円から600万円以上となるケースもあります。

また、ブランドイメージの維持・向上や、新規加盟店を募集するための「広告宣伝費」やマーケティング費用も継続的に発生します。さらに、加盟店向けの研修プログラム開発・実施費用、業務システムや情報共有ツールの維持管理費用といった「研修・システム関連費用」なども必要となります。外部に研修を委託する場合、個人講師で10万円〜15万円程度、法人に依頼すると20万円〜30万円程度が相場です。その他、事務所の家賃、光熱費、通信費、法務や会計に関する専門家への報酬など、本部運営に付随する諸経費もランニングコストに含まれます。これらの費用を正確に見積もり、資金計画に組み込むことが重要です。

知っておきたい資金調達の方法

塗装業のフランチャイズ本部を設立し、事業を軌道に乗せるためには、設立や運営にかかる費用を賄うための資金計画が不可欠です。自己資金だけで全てを賄うのが難しい場合、外部からの資金調達を検討することになりますが、その方法は多岐にわたります。ここでは、フランチャイズ本部設立にあたって知っておきたい主な資金調達方法について解説します。

フランチャイズ本部の主な資金調達方法を以下にまとめます。

まず、公的機関からの融資があります。代表的なのは日本政策金融公庫や地方自治体の制度融資です。これらの特徴として、民間の金融機関と比較して低金利である点が挙げられます。例えば、日本政策金融公庫の融資は一般的に年利1〜3%前後で提供されるケースが多く、民間の銀行の金利(目安として5〜15%以上)と比べても有利です。また、長期での返済が可能な場合が多く、創業初期の事業者でも審査が通りやすいというメリットがあります。ただし、中小企業事業の場合、繰り上げ返済に制限がある制度も存在するため、事前に確認が必要です。

資金調達方法

概要

公的機関からの融資

日本政策金融公庫、地方自治体などからの融資

民間の金融機関からの融資

プロパー融資、信用保証協会付き融資

出資(VC・エンジェル)

投資家からの資金提供

クラウドファンディング

インターネットで不特定多数から資金を集める

次に、民間の金融機関からの融資です。主にプロパー融資と信用保証協会付き融資があります。プロパー融資は金融機関が独自の判断で融資を行うもので、信用力が重視されます。信用保証協会付き融資は、信用保証協会が保証人となることで、企業の借り入れを支援する制度です。

出資による資金調達としては、ベンチャーキャピタルやエンジェル投資家からの資金提供も選択肢の一つです。資金だけでなく、経営ノウハウやネットワークといった支援も期待できますが、経営への関与を受ける可能性があります。近年注目されるクラウドファンディングは、インターネットを通じて不特定多数の人から資金を集める方法で、購入型や寄付型、融資型など様々な種類があります。本部設立の資金として活用する場合は、プロジェクトの内容やリターンを明確にする必要があります。

フランチャイズ本部設立で失敗しないための3つの注意点

塗装業でフランチャイズ本部を設立し、多店舗展開を目指すことは、事業成長の大きな可能性を秘めています。しかし、成功には多くのメリットがある一方で、リスクや注意すべき点が存在することも事実です。特に、本部と加盟店はパートナーシップであり、相互の信頼関係なくして長期的な事業継続は難しいと言えます。

加盟店の成功が第一。共存共栄の理念を持つ

フランチャイズビジネスの根幹は、本部と加盟店との間に築かれる信頼関係にあります。特に、本部が加盟店から得る主な収益源であるロイヤリティは、加盟店の売上や利益に連動する場合が多いため、加盟店が成功し、安定的に収益を上げ続けることが、本部の継続的な成長にとって不可欠です。

この基本的な構造を踏まえ、フランチャイズ本部としては、常に「加盟店の成功が第一」という理念を持つことが極めて重要です。単にシステムやノウハウを提供するだけでなく、加盟店が直面する課題に対し、迅速かつ的確なサポートを提供できる体制を構築しなければなりません。技術指導、経営相談、集客支援、トラブル発生時の対応など、手厚いサポートは加盟店の事業継続を強力に後押しします。

サポート体制が機能不全に陥らない仕組みを作る

フランチャイズ本部が失敗しないためには、加盟店へのサポート体制が機能不全に陥らない仕組みを構築することが極めて重要です。加盟店が安定した経営を続け、成長していくためには、本部の継続的な支援が不可欠だからです。具体的には、まずスーパーバイザー(SV)制度を導入し、各加盟店に対して経営指導や技術的なアドバイス、個別の問題解決支援をきめ細やかに行える体制を整備することが重要です。SVは単なる監督者ではなく、加盟店の最も身近な相談相手として機能します。また、定期的な集合研修やオンラインでの情報共有会を実施し、加盟店のスキルアップやモチベーション維持を図ることも大切です。ここでは、他の加盟店の成功事例や自社の失敗事例などを共有することで、互いに学び合い、チェーン全体のレベルアップにつながります。

ブランドイメージを守るためのルールを明確にする

フランチャイズビジネスにおいて、統一されたブランドイメージはチェーン全体の信頼性と競争力の源泉です。特に塗装業では、施工品質や顧客対応の質がブランドの評判に直結するため、加盟店ごとにサービスの内容や仕上がりにばらつきがあると、顧客からの信頼を損ない、チェーン全体のイメージ低下につながるリスクがあります。確立されたブランドイメージは、価格競争に巻き込まれにくい強力な差別化要因となるため、その統一性を維持することが不可欠です。

ブランドイメージを適切に維持するためには、本部が明確なルールやガイドラインを定め、それを加盟店に徹底させることが重要です。具体的には、以下の要素を標準化し、マニュアルとして体系化することが推奨されます。

  • 施工品質基準:使用する塗料の種類やメーカーの指定、下地処理から仕上げまでの具体的な施工手順、安全管理基準などを詳細に定めること。

  • サービス提供基準:顧客へのあいさつ、身だしなみ、現場でのマナー、清掃、近隣住民への配慮など、サービス提供における統一ルールを設けること。

  • 顧客対応マニュアル:問い合わせ対応、現地調査、見積もり提示、契約後のコミュニケーション、クレーム対応、アフターフォローといった顧客接点ごとの対応方法を標準化すること。

  • ビジュアルアイデンティティガイドライン:ロゴやブランドカラーの使用規定、広告・販促物におけるデザインルール、ウェブサイトやSNSでの情報発信に関するガイドラインなどを設けること。

これらのルールやガイドラインは、単に定めるだけでなく、加盟店が正確に理解し、遵守できるような仕組みを構築することが重要です。具体的には、開業前研修での徹底した指導に加え、開業後もスーパーバイザー(SV)による定期的な巡回指導や、技術・サービス品質に関する継続的な研修を実施します。抜き打ちでの品質チェック(監査)なども効果的でしょう。もしルール違反が発生した場合には、まずは改善指導を行い、改善が見られない場合や悪質なケースに対しては、フランチャイズ契約に基づき、ペナルティ(例:違約金、契約解除など)を適用するといった方針を明確にしておく必要があります。これらの取り組みを通じて、チェーン全体の品質とブランドイメージを高い水準に保つことが、長期的な成功につながります。


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