外壁の塗り替えは、住まいの美観を保つだけではなく、建物を守る重要なメンテナンスです。しかし、残念ながら外壁塗装の業界には、一部の闇と呼べるような不透明な部分も存在します。杜撰な工事や不当な価格を提示する悪徳業者も存在し、手抜き工事によるトラブルも少なくありません。この記事では、そうした塗装業界に潜む闇を明らかにし、悪質業者に騙されないための知識を解説します。
その不安、間違いではないかも?知っておくべき業界の実態
外壁塗装は一般の方にとって、専門知識が必要な分野であり、初めて経験する際には多くの不安が伴います。具体的には、以下のような疑問を抱く方が少なくありません。
- 適正な費用相場がわかりにくい
- 提示された工事内容の品質をどう判断すれば良いのか
こうした不安は決して的外れなものではなく、むしろ業界の特性から生じる当然の感覚と言えるでしょう。
外壁塗装業界には、消費者と業者の間に、「情報の非対称性」が大きく存在します。これは、業者の持つ専門知識や情報に比べ、消費者が得られる情報が圧倒的に少ない状態を指します。一部の悪徳業者はこの知識や情報格差を巧みに利用し、消費者を欺く手口を繰り返す傾向にあります。例えば、実際には不要な工事を強引に勧めたり、相場から著しくかけ離れた高額な見積もりを提示したりするケースも報告されています。同じ外壁塗装工事でも、業者によって見積もり額が2倍以上異なることは珍しくありません。
これが外壁塗装業界の「闇」!悪徳業者が使う代表的な手口
外壁塗装は専門性が高く、一般の方々には工事内容や品質の良し悪しが判断しにくいという特性があります。この知識の差を悪用し、不当な利益を得ようとする悪徳業者が後を絶ちません。彼らは巧妙な手口を使い、消費者の不安や知識不足につけ込み、契約を結ばせようとします。
外壁塗装業界で悪徳業者が用いる手口は、主に以下の3つのパターンに大別できます。
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見えない箇所で手を抜く「手抜き工事」
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契約を急がせる「悪質な営業トーク」
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手抜き工事の温床となる「業界の構造的な問題」
これらの手口は年々巧妙化しており、知識がなければ悪徳業者だと見抜くのが非常に困難なケースも少なくありません。後悔のない外壁塗装を実現するためには、どのような手口があるのかを事前にしっかりと理解し、適切な知識を身につけることが不可欠です。本記事では、それぞれのパターンについて詳しく解説していきます。
見えない箇所で手を抜く「手抜き工事」の典型例
悪徳業者が用いる手口の中でも、「手抜き工事」は特に多く見られます。一般の人が見えにくい箇所で作業を怠るケースが散見されます。
一つ目は、高圧洗浄や下地処理(ケレン作業)の省略、または不備です。これらは、汚れや錆、古い塗膜を除去し、塗料の密着性を高める重要な工程です。この作業を怠ると、塗料が適切に付着せず、数年で塗膜の剥がれや浮きが発生する原因となります。塗装で覆われてしまうため、手抜きされやすい箇所と言えるでしょう。
二つ目は、塗料を規定以上に薄めて使用する手口です。材料費削減のために塗料を水やシンナーで過度に希釈すると、塗料本来の耐久性や防水性が発揮されなくなります。結果として、外壁の早期劣化を招き、塗り替え時期が早まる可能性もあります。
三つ目は、規定の乾燥時間を守らないことです。塗料に応じた乾燥時間を無視し、未乾燥のまま次の工程に進むと、塗膜の密着不良や早期のひび割れ、膨れに繋がります。これは主に工期短縮を目的としたものです。
四つ目は、本来3回塗るべきところを2回で済ませるケースです(中塗りの省略など)。塗膜の厚みが不足するため、外壁を紫外線や雨風から守る機能が著しく低下します。期待される塗料の耐用年数を大幅に下回るだけでなく、建物の保護機能も損なわれるリスクがあります。
手抜き工事の典型的な例とその主な影響を以下にまとめました。
手抜き工事の例 |
具体的な内容 |
発生する主な問題点 |
---|---|---|
高圧洗浄や下地処理の省略 |
汚れ、錆、古い塗膜の除去を怠る。 |
塗料の密着不良、数年での剥がれや浮き。 |
塗料の過度な希釈 |
材料費削減のため、水やシンナーで塗料を薄める。 |
本来の耐久性・防水性の低下、外壁の早期劣化。 |
乾燥時間の無視 |
塗料の規定乾燥時間を守らず次の工程へ進む。 |
塗膜の密着不良、早期のひび割れや膨れ。 |
規定回数未満の塗装 |
3回塗りを2回にする(中塗りの省略など)。 |
塗膜の厚み不足、保護機能の低下、耐用年数の短縮。 |
契約を急がせる「悪質な営業トーク」の罠
悪質な営業トークは、顧客に冷静な判断や他社との比較検討の機会を与えず、その場で契約を迫るのが特徴です。消費者を焦らせ、適正価格であるかどうかの判断を難しくする手口が多く見られます。
具体的な悪質な営業トークの手口としては、以下のものが挙げられます。
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限定的な割引の提示
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特定費用を無料にする誘い
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専門知識のない顧客の不安を過度に煽る
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客観的なデータが乏しいオリジナル製品の推奨
例えば、「本日中にご契約いただければ〇〇円引き」「今だけの特別キャンペーン価格です」といった限定的な割引を提示し、即決を促す手口がその典型です。
また、「近所で工事をしているので、今なら足場代を無料にします」といった甘い誘い文句にも注意が必要です。一見するとお得に感じられますが、実際には足場代が他の工事費用に上乗せされているだけで、総額では安くなっていないケースが大半です。このように、特定の費用を無料にすることで顧客の心理を操り、契約に誘導しようとします。
さらに、専門知識のないお客様の不安を過度に煽るトークも頻繁に用いられます。「このまま放置すると雨漏りしますよ」「屋根がずれていますね、地震が来たら屋根が落ちるかもしれません」といった言葉で緊急性を訴え、冷静な判断力を奪おうとします。
手抜き工事の温床となる「多重下請け構造」の問題点
外壁塗装業界における「多重下請け構造」とは、元請けから下請け、さらに孫請けへと、複数の業者を介して発注される形態を指します。この構造では、中間マージンが何度も発生するため、実際に施工する現場の予算が大幅に削られます。
限られた予算で利益を確保するため、材料費や人件費を削減せざるを得ず、これが手抜き工事に直結する危険性があります。また、施主の要望が末端の職人まで正確に伝わらず、いわゆる「伝言ゲーム」のような状態になることで、品質低下や仕様間違いのリスクも生じます。
トラブルが発生した際も、責任の所在が曖昧になり、補修対応の遅延や、業者間での「たらい回し」に遭うケースも少なくありません。
実際にあった!笑えない外壁塗装のトラブル事例
前の章で解説した悪徳業者の手口は、残念ながら実際に深刻なトラブルに発展するケースが後を絶ちません。手抜き工事により塗膜が数年で剥がれてしまったり、悪質な営業トークに乗せられ高額な追加料金を請求されたりといった事例が報告されています。これらのトラブルは、金銭的な損失にとどまらず、施工不良による精神的な負担も大きく、住宅の資産価値にも影響を及ぼす可能性があります。
全国の消費者センターには、外壁塗装に関するトラブルや相談が多数寄せられており、決して他人事ではありません。適切な知識がなければ、あなた自身にも起こりうる問題と言えるでしょう。これからご紹介する具体的なトラブル事例を通して、悪徳業者が仕掛ける罠の恐ろしさを知り、後悔のない塗装工事を実現するための備えとしてください。
ケース1:施工後わずか数年で塗膜が剥がれてきた
ある日、突然訪問してきた業者に「今ならキャンペーン価格で施工できます」と誘われ、相場も分からずその場で契約してしまったAさんの事例です。施工後、一見問題はないように見えましたが、わずか2年後には自宅の北側の外壁を中心に異変が現れ始めました。塗膜が風船のように大きく膨らみ、触れるとパリパリと音を立てて剥がれ落ちる状態にまで悪化しました。
不安に感じたAさんは、別の専門業者に調査を依頼しました。その結果、以下の複数の手抜き工事が原因であったことが判明しました。施工不良により、塗膜が本来の性能を発揮できていなかったと言えます。
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高圧洗浄が不十分だったこと
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下地処理が適切に行われていなかったこと
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塗料の乾燥時間を守らずに次の工程に進んだこと
Aさんは当初の施工業者に連絡し、補修を求めましたが、「それは経年劣化によるもの」「保証期間外」の一点張りで、一切の対応を拒否されました。結局、高額な再塗装費用を自己負担せざるを得なくなり、泣き寝入りする形となりました。
ケース2:見積もりになかった高額な追加料金を請求された
外壁塗装を検討していたBさんは、複数社から見積もりを取り、中でも一際低価格を提示した業者と契約を交わしました。しかし、工事が始まって数日後、業者はBさんに対し、「壁の内部が腐食している」「下地の劣化が激しいので、このままでは塗装できない」と告げました。不安を煽るような言葉で、高額な追加工事が必要だと強く迫られたのです。工事が途中で止まることを恐れたBさんは、言われるがまま追加契約に応じてしまい、結果的に当初の見積もりを大幅に上回る費用を支払うこととなりました。
これは、悪徳業者がよく使う典型的な手口の一つです。彼らは意図的に初期の見積もりを安く提示して契約を獲得します。そして工事中に「予期せぬ問題が発生した」と称し、高額な追加料金を請求するのです。消費者は工事中断のリスクや専門知識の不足から、こうした追加契約に応じざるを得ない状況に追い込まれてしまいます。
この事例から学ぶべき教訓は、以下の二点です。
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「追加工事が発生する可能性とその際の費用」について、契約前に書面で明確に確認しておくこと。
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工事中に予期せぬ事態を伝えられても、その場で即決せず、内容を冷静に検討したり、必要であれば第三者の専門家に意見を求めたりする時間を持つこと。
ケース3:「火災保険で無料」と言われたのに適用されなかった
Cさんのケースは、突然訪問してきた業者からの「火災保険を使えば無料で外壁塗装ができる」という甘い誘いから始まりました。業者は「台風で屋根が破損している」などと自然災害を口実に、緊急性を装い、契約を迫ってきたのです。Cさんは自己負担なく工事ができるならと、その場で契約に同意してしまいました。
しかし、実際に保険会社へ申請したところ、現地の調査の結果、主な原因が「経年劣化」であることが判明しました。火災保険は自然災害による損害が対象であり、経年劣化は適用外となるため、結局、保険金は全く下りず、ごく一部しか認められないという結果に終わりました。
業者は「保険申請が通らなかったのはお客様側の責任だ」などと言い逃れました。すでに工事が始まっていたため、Cさんは高額な工事費用を全額自己負担せざるを得なくなりました。中には、契約解除に応じず、トラブルに発展するケースも少なくありません。
「火災保険で無料」という言葉は、悪徳業者がよく使う典型的な詐欺の手口です。安易に信用せず、以下の点を必ず確認することが肝要です。
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契約する前に、ご自身で保険会社に連絡すること。
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保険の適用条件を十分に確認すること。
悪徳業者を回避!契約前に必ず確認したい7つのチェックリスト
これまでの章では、外壁塗装業界に潜む悪徳業者の手口や、実際に起きたトラブル事例を詳しく解説しました。これらの情報をご覧になり、業者選びに不安を感じた方もいらっしゃるかもしれません。しかし、ご安心ください。適切な知識と準備があれば、悪質な業者を見抜き、信頼できるパートナーを選ぶことは十分に可能です。
見積書の項目は「一式」でなく詳細に記載されているか
「一式」といった大まかな表記が多用されている見積書には注意が必要です。例えば、「足場代一式」や「塗装工事一式」といった記載では、どのような作業に、どれだけの費用がかかるのかが不明瞭になります。このような曖昧な表記は、手抜き工事の温床となりかねず、後から不当な追加料金を請求されるリスクを高める可能性があるため、警戒が必要です。
信頼できる業者の見積書では、各項目が詳細に明記されています。具体的には、以下の項目が個別に記載されているかを確認しましょう。
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使用する塗料名(メーカー名や製品名)
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塗料の塗布面積(㎡)
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各項目の単価
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必要な数量(缶数など)
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足場設置費用(明確な面積や単価と共に)
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高圧洗浄費用(明確な面積や単価と共に)
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養生費用(明確な面積や単価と共に)
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下地処理費用(明確な面積や単価と共に)
特に、高圧洗浄の費用については、洗浄面積や単価が明確であるかを確認することが重要です。
このように、細部まで詳細な見積書を提示できる業者は、工事内容を正確に把握しているだけでなく、透明性を持って誠実な施工を行う意思があることの表れと言えます。見積書は単なる価格提示の書類にとどまらず、業者の信頼度を測る重要なツールとして活用できるでしょう。
極端な値引きや「モニター価格」を提示してこないか
「今だけ」「本日契約で特別価格」「足場代無料キャンペーン」など、極端な値引きや限定感を強調する営業トークは、悪徳業者が契約を急がせる常套手段です。こうした言葉は、お得感を演出することで顧客の冷静な判断を奪い、他社との比較検討の機会を与えないように仕向ける目的があります。
大幅な値引きの裏には、もともとの見積もり金額が不当に高く設定されているケースが少なくありません。例えば、提示された金額から半額にできるということは、元の価格設定自体が異常に高い可能性があります。さらに、材料費や人件費を削り、手抜き工事を行うことで利益を確保しようとするリスクも潜んでいます。
「モニター価格」も同様の手口です。この地域で施工事例を増やしたいなどと理由をつけ、市場価格と変わらないか、むしろ高額な見積もりを「モニター価格」と称して提示し、限定感を煽ることで即決を促します。
本当に信頼できる優良業者は、不必要な値引きで工事の品質を落とすことはしません。適正な価格で質の高いサービスを提供することを重視しています。安易な値引きに惑わされず、提示された金額の根拠や工事内容をしっかりと確認することが大切です。
会社の所在地や建設業許可などの情報が明確か
悪徳業者は、トラブル発生時に責任を逃れようと、会社の身元を曖昧にしたり、情報を不明瞭にするケースが多く見られます。そのため、契約前に業者の基本情報を徹底的に確認することが非常に重要です。
以下に、特に確認すべき主要な業者情報をまとめました。
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会社の所在地: Googleマップなどで実在性を確認します。
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建設業許可番号: 500万円以上の工事で必要となります。国土交通省のシステムで実在性を確認しましょう。
まず、ホームページや名刺に記載されている会社の所在地が実在するかどうか、Googleマップなどの地図サービスで確認しましょう。バーチャルオフィスや、実在しない住所が記載されている場合は、極めて危険な兆候です。実体がない業者である可能性が高く、万が一トラブルが発生しても連絡が取れなくなる恐れがあります。
次に、塗装工事の費用が500万円以上となる場合、その業者は「建設業許可」を取得している必要があります。信頼できる業者は、この建設業許可番号を明記しているのが一般的です。許可番号は、国土交通省が提供する「建設業者・宅建業者等企業情報検索システム」で実在性を確認できます。手間を惜しまず、必ず検索して正規の許可を持つ業者であるか確認しましょう。
こちらの質問や不安に誠実に答えてくれるか
外壁塗装は専門的な知識が必要なため、施主側には多くの疑問や不安が伴います。信頼できる業者は、そうした施主の疑問や不安に真摯に向き合い、誠実に答える姿勢を持っています。
例えば、塗料の種類や工法に関する専門的な質問に対し、専門用語を多用せず、素人にも分かりやすい言葉で丁寧に説明してくれるかどうかを確認すると良いでしょう。質問をはぐらかしたり、面倒そうな態度を見せたりする業者は、その後のコミュニケーションにおいても不安が残るため、避けるべきです。
また、工事中の騒音や塗料の臭い、近隣住民への影響など、施主が抱きがちな懸念について、業者側から先回りして具体的な対策を提示してくれるかどうかも重要な判断基準となります。例えば、以下のような具体的な対策を提示してくれるか確認しましょう。
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工事前に近隣への挨拶回りを行うこと(目安は工事の1週間前)。
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足場の設置・解体や高圧洗浄など、騒音が発生しやすい工程について事前に説明し、作業時間帯への配慮を約束すること。
さらに、提案するプランのメリットばかりを強調するのではなく、デメリットや、天候による工期の遅れといった潜在的なリスクについても正直に伝えてくれるかどうかを見極める必要があります。誠実な業者は、良い面と悪い面の両方を説明することで、施主が十分納得した上で契約できるよう努めます。根拠のない「とにかく任せてください」「大丈夫です」といった言葉で不安を押し切ろうとするのではなく、一つひとつの懸念点に真摯に向き合い、納得できるまで対話に応じてくれる業者を選ぶことが重要です。
施工実績や過去の事例を具体的に示してくれるか
外壁塗装業者を選ぶ際、その業者の技術力や経験を客観的に判断するために、施工実績の確認は非常に重要な指標です。豊富な実績を持つ業者は、多様な状況に対応できるノウハウを蓄積しており、安心感につながります。
単に「実績多数」と謳うだけでなく、公式サイトやパンフレットに掲載されている完成写真だけでなく、実際に「施工前・施工中・施工後」の工程がわかる写真を見せてもらうよう依頼しましょう。これにより、作業の丁寧さや、見えない部分の品質まで意識して施工しているかを確認できます。
また、ご自身の自宅と似たような条件の施工事例があるかを確認することも大切です。例えば、以下の条件が類似していれば、仕上がりのイメージがより具体的に湧き、業者選びの参考になるでしょう。
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築年数(築10年、築15年、あるいは築20~30年、築40~50年といった同程度の建物)
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建物の種類
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外壁材
さらに、提示された実績が本当にその業者のものかを確認するため、「その現場でどのような苦労がありましたか」「特にどのような工夫を凝らしましたか」といった具体的な質問を投げかけてみてください。具体的なエピソードや技術的な説明がスムーズに出てこず、曖昧な回答しか返ってこない場合は注意が必要です。誠実な業者は、自身の実績について自信を持って語れるはずです。
保証やアフターフォローの内容が書面で確認できるか
外壁塗装工事は、完了後に塗膜の剥がれや膨れといった不具合が発生する可能性もゼロではありません。万が一のトラブルに備え、保証やアフターフォローの内容は必ず書面で確認することが重要です。口約束は「言った、言わない」のトラブルに発展しやすく、後々の対応で不利益を被るおそれがあります。
書面で確認すべき保証内容は、主に以下の3点です。
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保証期間: 一般的に5年から10年程度が目安ですが、使用する塗料の種類や施工方法によって変わる場合があります。高品質な塗料を使用している場合は、より長期の保証が付くことも多く見られます。
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保証対象: 外壁塗膜の剥がれ、塗りムラ、ひび割れ、膨れ、著しい退色など、具体的に何が保証されるのか明確に記載されているか確認しましょう。
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免責事項: 保証が適用されないケース(地震などの自然災害や施主側の過失など)も記載されているため、こちらも必ず目を通してください。
その場での契約をやたらと急かしてこないか
悪徳業者は、顧客に冷静な判断をさせず、他社との比較検討を避けさせるため、その場での契約を執拗に急かしてきます。彼らは、「本日ご契約いただければ大幅な値引き」「今だけの特別キャンペーン価格です」といった限定感を煽る言葉や、「早く塗装しないと危険ですよ」などと不安を煽るセールストークを駆使し、即決を迫ります。これらの言葉は、一見お得に聞こえますが、冷静な判断を妨げるための罠であるため注意が必要です。
一方で、信頼できる優良業者は、お客様がじっくりと検討する時間を尊重します。十分な説明を行い、疑問点や不安を解消した上で、お客様が納得して契約に進むことを重視しています。そのため、その場での即決を迫ることはありません。
以下は、悪徳業者と優良業者の契約への姿勢とセールストークの違いをまとめたものです。
悪徳業者と優良業者の違い
項目 |
悪徳業者 |
優良業者 |
---|---|---|
契約への姿勢 |
その場での即決を執拗に迫る |
お客様がじっくり検討する時間を尊重する |
セールストーク |
限定感や不安を煽り、即決を促す |
十分な説明を行い、疑問点解消を重視する |
もし業者から契約を急かされるような場面に遭遇した場合は、どのような魅力的な条件を提示されても、必ず「一度持ち帰って検討します」と伝えましょう。この一言が、悪徳業者の巧妙な手口から身を守り、冷静に適正な業者を選択するための重要な防御策となります。焦らず比較検討する時間を持つことが、後悔のない外壁塗装を実現する鍵です。
安心できる塗装工事のために!信頼できる優良業者を見つける3つのコツ
これまで、外壁塗装で失敗しないために「悪徳業者を見極め、回避する」知識を解説してきました。しかし、塗装工事で真に満足のいく結果を得るには、単に「騙されない」という守りの姿勢だけでは不十分です。ここからは、より積極的に「信頼できる優良業者を見つける」ための具体的な3つのコツをご紹介します。お客様自身が「満足のいく工事をしてもらう」という攻めの姿勢で業者選びに臨むことが、成功への鍵となるでしょう。
優良業者を見極めるための3つのポイントは以下の通りです。
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必ず3社以上から相見積もりを取って比較する
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地元で長く営業している評判の良い業者を候補に入れる
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下請けに丸投げしない自社施工の会社を選ぶ
これらのポイントは、単に適正価格を提示するだけでなく、確かな技術力と誠実な対応を兼ね備えた優良業者を見極める上で非常に効果的です。相見積もりで適正価格を把握し、地元での実績や自社施工の透明性を持つ業者を選ぶことで、品質の高い塗装工事を安心して任せられるようになるでしょう。これらのコツを押さえることで、後悔のない外壁塗装を実現できるはずです。
必ず3社以上から相見積もりを取って比較する
自宅の外壁塗装で適正価格や必要な工事内容を把握するには、相見積もりが最も有効な手段です。1社だけの見積もりでは、提示された金額や工法が妥当か判断しにくいため、複数の業者から見積もりを取り、比較検討することが不可欠です。
見積もりを比較する際は、単に総額の安さだけで判断せず、内訳まで確認することが重要です。工事の品質と価格のバランスを見極めるようにしましょう。
見積もり比較時に確認すべき主な項目:
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使用する塗料の種類とメーカー
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塗装回数(基本的な3回塗りなど)
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高圧洗浄や養生などの付帯工事の詳細
2社では判断に迷うケースが多いため、最低でも3社から見積もりを取得することを推奨します。3社の見積もりを比較することで、価格相場だけでなく、業者ごとの提案内容や担当者の人柄の違いも明確になります。これにより、ご自身に最適な一社を総合的に選びやすくなるでしょう。
地元で長く営業している評判の良い業者を候補に入れる
地域で長年営業を続けている業者は、その地域住民からの信頼を長年にわたり積み重ねてきた証拠です。悪評が広まりやすい地域社会において、存続できているという事実自体が、その業者が誠実な営業姿勢と高い技術力を持っていることの裏付けとなるでしょう。
地元で長く営業している業者を選ぶことには、主に次のようなメリットがあります。
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信頼性の高さ:長年の営業実績は、地域住民からの信頼が厚いことの表れです。
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地域特性への深い理解:多雨、積雪、塩害、強い日差しなど、その土地特有の気候風土を熟知しています。そのため、各地域に最適な塗料選びや、劣化状況に応じた的確な施工方法を提案してくれるでしょう。これは、遠方の業者では得がたい専門知識です。
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迅速なアフターサポート:施工後に万が一不具合が発生した場合や、定期的なメンテナンスが必要になった際も、物理的な距離が近いため迅速な対応が期待できます。顔が見える関係性の中で、きめ細やかなサポートを受けやすい点も大きな利点です。
実際にその業者の評判を確認するには、近隣住民への聞き込みや、Googleマップなどのオンラインサービスでの口コミ評価を参考にすると良いでしょう。地元の工務店やリフォーム店から紹介してもらうことも、信頼できる業者を見つける有効な手段です。
下請けに丸投げしない「自社施工」の会社を選ぶ
外壁塗装において「自社施工」とは、お客様から直接依頼を受け、契約から実際の施工、アフターフォローまで全ての工程を一貫して自社で行う体制を指します。優良な業者を選ぶ上で、この「自社施工」であるかどうかが非常に重要なポイントとなります。
自社施工の大きなメリットは、仲介業者を挟まないため中間マージンが発生しない点です。多重下請け構造の場合、中間マージンが何重にも発生し、現場の予算を圧迫する傾向がありますが、自社施工であれば無駄な費用が削減され、適正価格で高品質な工事が実現しやすくなります。
また、施主の要望やニュアンスが営業担当から現場の職人へダイレクトに伝わるため、認識の齟齬が生まれにくい利点があります。工事に対する責任感が強く、責任の所在も明確になるため、施工品質が安定しやすいでしょう。万が一のトラブル時も、迅速かつ誠実な対応が期待できます。
自社施工の業者を見分けるには、以下の点を確認すると良いでしょう。
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会社のホームページに職人の顔写真や資格が掲載されているか
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打ち合わせの担当者が施工に関する専門的な質問にスムーズに答えられるか
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現場を管理する人間が自社の社員であるか