外壁塗装の価格差はなぜ?高い見積もりと安い見積もりの違いを徹底比較

更新日:
外壁塗装の価格差はなぜ?高い見積もりと安い見積もりの違いを徹底比較

外壁塗装の見積もりを取ってみると、業者によって提示される金額に大きな差があって驚いた経験はありませんか?同じ工事のはずなのに、どうしてこんなに「価格が違う」のか、疑問に感じる方もいるかもしれません。外壁塗装工事は、決して安い工事ではありません。だからこそ、提示された見積もりが適正なのか、その「違い」をしっかりと見極める必要があります。

なぜこんなに違う?外壁塗装の価格が決まる3つの大きな要因

外壁塗装の見積もりでは、同じ条件の家でも業者によって提示される金額が数十万円以上異なるケースも珍しくありません。例えば、100万円の工事であれば10万円、200万円の工事では20万円程度の差が生じることもあり、大きな価格差に疑問を感じている方もいらっしゃるでしょう。

この価格差には、主に以下の3つの要因が複合的に影響しています。

  • 塗料の材料費:使用する塗料の種類やグレードによって、原価が大きく変動します。
  • 工事に関わる人件費:職人の技術レベルや、足場設置、洗浄、養生などの作業工程に必要な人件費
  • 業者の運営体制:業者の規模や営業形態、中間マージンの有無、広告費などの諸経費が価格に反映されます。

これらの要素が複雑に絡み合うことで、最終的な見積もり金額が決まります。次の項目からは、それぞれの要因についてさらに詳しく解説していきますので、ぜひ参考にしてください。

塗料のグレードと種類

外壁塗装の費用内訳で大きな割合を占めるのは、塗料の材料費です。塗料は外壁を保護する重要な役割を担っており、その選択が塗装工事全体の価格に直結します。塗料には、アクリル、ウレタン、シリコン、フッ素、無機といった「グレード」があります。一般的に、グレードが高いほど耐久性や機能性に優れるため、その分価格も高くなる傾向にあります。

例えば、アクリル塗料は耐用年数が3〜8年程度と比較的短く、価格も最も安価な部類に入ります。一方、ウレタン塗料は耐用年数が7〜10年程度とアクリルよりも長く、その分費用も高くなるのが一般的です。さらに、シリコン、フッ素、無機といった高グレードの塗料は、より長い耐用年数と高い機能性を持ち合わせています。

また、単に耐久年数が長いだけでなく、以下の特殊な付加機能を持つ塗料は、通常の塗料よりも高価です。

  • 遮熱・断熱

  • 防カビ・防藻

  • セルフクリーニング(汚れを雨で洗い流す機能)

このように、見積書に記載されている塗料がどのグレードで、どのような機能を持つかによって、塗装工事の総額は大きく変動することを理解しておきましょう。

職人の技術力と人件費

外壁塗装の品質を大きく左右する重要な要素の一つが、職人の技術力です。熟練した職人の有無は、塗装の仕上がりだけでなく、その後の耐久年数にも直結します。経験豊富な職人は、塗料が持つ本来の性能を最大限に引き出し、下地の状態を見極めながらムラなく丁寧に施工を進めることが可能です。また、お客様の要望を細部まで聞き取り、それを具体的な塗装プランに落とし込むコミュニケーション能力も備えています。このような高度な技術と対応力を持つ職人の人件費は、当然ながら高くなる傾向にあります。

一方で、極端に安い見積もりを提示する業者には注意が必要です。経験の浅い職人や適切な訓練を受けていないアルバイトが作業を行うケースもあり、施工不良のリスクを高める原因になりかねません。例えば、塗膜の剥がれや早期の色褪せなど、外壁塗装本来の「建物を風雨や紫外線から守る」という役割が十分に果たされない事態も考えられます。

職人の人件費は、塗装工事費用の大きな割合を占めます。塗装技能士などの国家資格を持つ職人は、一定以上の技術力が保証されており、その知識や経験は高品質な仕上がりを約束するため、人件費に反映されるのが一般的です。

一般的な住宅における外壁塗装工事の人件費目安

項目

目安

人工数

約20〜25人工

工事価格全体に占める人件費

40万円〜50万円程度

業者の運営形態と利益構造

外壁塗装の価格が変動する大きな要因の一つに、依頼する業者の運営形態や利益構造の違いが挙げられます。大手ハウスメーカー、リフォーム会社、地域密着の塗装専門店など、それぞれのビジネスモデルによって、会社を維持するための経費や利益の出し方が根本的に異なるため、見積もり価格に大きな差が生じます。

大手ハウスメーカーやリフォーム会社の場合、集客のために多額の広告宣伝費や営業担当者の人件費をかけています。さらに、実際の工事は外部の下請け業者に発注するビジネスモデルであり、その際、中間マージンが発生します。この中間マージンは、工事費とは別に上乗せされる費用であり、結果として顧客が支払う価格を高くする傾向があります。一般的に、ハウスメーカーの利益率は30~40%と高く設定される傾向にあります。

一方、地域密着型の塗装専門店、特に自社施工を掲げる業者は、営業から施工まで自社で完結させる場合がほとんどです。これにより、中間マージンや大規模な広告費が不要となり、比較的コストを抑えた価格設定が可能になります。塗装専門店の利益率は15%前後が一般的です。同じ工事内容であっても、こうした業者の運営形態や利益構造の違いが、見積もり価格に大きな差をもたらす主要な理由の一つです。

以下に、外壁塗装業者の運営形態と利益構造の比較を示します。

項目

大手ハウスメーカー/リフォーム会社

地域密着型塗装専門店

広告宣伝費

多額

不要または少額

営業人件費

多額

不要または少額

中間マージン

発生する

発生しない

利益率の目安

30~40%

15%前後

価格傾向

高い

比較的低い

【徹底比較】外壁塗装の価格を左右する8つの要素

外壁塗装の見積もり額は、一見すると複雑で、何が価格を左右するのか分かりにくいと感じるかもしれません。しかし、その金額は複数の具体的な要素で構成されています。これらの要素を正しく理解すれば、提示された見積もりの妥当性を判断でき、後悔のない業者選びにつながるでしょう。

この章では、塗料の種類、施工単価、職人の人件費、さらには業者の利益構造や諸経費といった、外壁塗装の価格を決定づける8つの要素について、一つずつ掘り下げて詳しく解説します。それぞれの要素がどのように価格に影響を与えるのかを把握し、納得のいく契約を目指しましょう。

具体的には、以下の8つの要素が挙げられます。

  • 塗料の種類

  • 施工単価

  • 職人の技術力

  • 作業工程ごとの人件費

  • 下地補修の有無

  • 業者の利益率

  • 中間マージンの有無

  • 広告宣伝費など諸経費

塗料の種類:シリコン・フッ素・無機塗料の価格と耐用年数の違い

外壁塗装における塗料の選択は、費用と耐久性を大きく左右する重要な要素です。現在、外壁塗装で主流となっている塗料は、主に「シリコン塗料」「フッ素塗料」「無機塗料」の3種類です。それぞれ特徴や価格、耐用年数が異なるため、ご自身の希望や予算に合ったものを選ぶことが大切です。ここでは、各塗料の特徴について詳しく見ていきましょう。

「シリコン塗料」は、最も一般的に採用されており、コストパフォーマンスに優れているため、多くの住宅で選ばれています。

次に、シリコン塗料よりも高価ながら、優れた性能を持つのが「フッ素塗料」です。耐候性や防汚性に非常に優れており、長期間にわたって外壁の美しい状態を維持できる点が魅力です。

そして、最もグレードが高く、超高耐久性を誇るのが「無機塗料」です。紫外線による劣化が極めて少ないため、建物の保護性能も高まります。価格は高価ですが、メンテナンス回数を減らせるため、長期的な視点で見るとコストメリットが大きい場合もあります。

各塗料の種類ごとの費用相場と耐用年数の目安を以下に示します。

塗料の種類

費用相場(1㎡あたり)

耐用年数

シリコン塗料

1,800円〜3,500円

10年〜15年

フッ素塗料

3,500円〜4,800円

15年〜20年

無機塗料

4,500円〜5,500円

20年〜25年

 

施工単価:塗料グレードによる平米あたりの価格差

外壁塗装における「施工単価」とは、塗料の材料費と塗装作業の人件費を合わせた、1平方メートルあたりの工事費用のことを指します。この施工単価は、選ぶ塗料のグレードによって大きく変動するのが一般的です。高グレードの塗料ほど材料費自体が高価になるだけでなく、その塗装には専門的な技術や丁寧な作業が求められるため、人件費も上乗せされる傾向にあります。

主要な塗料グレードごとの平米あたりの施工単価相場は次の通りです。

塗料グレード

平米あたりの施工単価相場

シリコン塗料

1,600円〜3,000円/㎡

ラジカル制御塗料

1,900円〜4,500円/㎡

フッ素塗料

3,500円〜4,800円/㎡

無機塗料

4,500円〜5,500円/㎡

このように、塗料のグレードが上がるにつれて施工単価も高くなります。特に、耐候性や防汚性、セルフクリーニング機能などの特殊な性能を持つ塗料は、高い材料費と技術を要するため、単価がさらに上がる要因となります。ただし、これらの施工単価はあくまで一般的な目安です。建物の形状や劣化具合、下地の状況によって必要な作業内容が異なるため、正確な費用は必ず複数の業者から見積もりを取り、詳細な内訳を確認するようにしましょう。

職人の技術力:保有スキルによる人件費(工賃)の変動

外壁塗装の品質は、職人の技術力に大きく左右される重要な要素です。熟練した職人は、塗料の本来の性能を最大限に引き出し、下地の状態を正確に見極めながら、ムラなく丁寧に施工を進めます。このような高度な技術と豊富な経験を持つ職人の人件費(工賃)は、当然ながら高くなる傾向にあります。

特に、国家資格である「一級塗装技能士」は、実務経験に加えて高度な知識と技術が求められる難関資格です。その合格率は約38.3%から50%程度と高くはなく、取得には相応の努力が必要です。この資格を持つ職人や、長年の実務経験を積んだベテラン職人の単価は、高品質な施工を保証する対価といえます。

職人のスキルとそれに伴う人件費の目安

スキル・資格

特徴

1日あたりの人件費目安(1人あたり)

一級塗装技能士

実務経験に加え、高度な知識と技術が求められる国家資格。合格率は約38.3%〜50%程度。

1万5,000円〜2万円程度

長年の実務経験を積んだベテラン職人

高品質な施工を保証する豊富な経験と技術を持つ。

1万5,000円〜2万円程度

一方で、極端に安い見積もりを提示する業者の中には、経験の浅い職人や適切な訓練を受けていない作業員を多く起用することで人件費を削減しているケースがあります。このような場合、塗装の仕上がりが不均一になったり、塗料の性能が十分に発揮されず、結果として外壁の耐久性が損なわれるリスクがあるでしょう。職人の技術力は、見た目の美しさだけでなく、建物の寿命を延ばす上で極めて重要です。

作業工程ごとの人件費:足場・洗浄・養生費用の内訳

外壁塗装の費用は、塗料を塗る作業そのものだけでなく、その前後に発生する準備作業にも多くの費用がかかります。これらの付帯作業は、塗装の品質と安全性を確保するために不可欠であり、見積もりにおける重要な項目です。ここでは、代表的な付帯作業である「足場設置」「高圧洗浄」「養生」の3つについて、それぞれの費用内訳と重要性を解説します。

足場設置費用

安全な作業環境を確保し、塗装品質を高めるために、足場の設置は必須の工程です。専門職人の人件費が主な費用で、1平方メートルあたり700円から800円が相場です。一般的な戸建て住宅では、総額で15万円から20万円程度を見込むと良いでしょう。

高圧洗浄費用

外壁の汚れや古い塗膜、カビなどを洗い流す高圧洗浄は、塗料の密着性を高め、美しい仕上がりと耐久性を実現するために非常に重要です。この洗浄作業にかかる費用は、人件費を含め、1平方メートルあたり100円から300円程度が目安です。

養生費用

窓やサッシ、植木など、塗料が付着してはいけない箇所を保護する「養生」は、仕上がりの美しさに直結する重要な工程です。この養生作業にかかる費用は、手間賃(人件費)として1平方メートルあたり250円から400円程度が含まれることが一般的です。

外壁塗装における主な付帯作業の費用目安

作業工程

費用目安(1平方メートルあたり)

戸建て総額目安(参考)

備考

足場設置

700円から800円

15万円から20万円

専門職人の人件費が主

高圧洗浄

100円から300円

塗料の密着性向上に重要

養生

250円から400円

仕上がりの美しさに直結

下地補修の有無:建物の劣化状況で変わる補修費用

外壁塗装は、単に塗料を塗るだけの作業ではありません。塗装の仕上がりと耐久性を大きく左右するのが下地補修です。建物の下地が健全であってこそ、塗料が持つ本来の性能が最大限に発揮され、外壁を長期間保護できます。下地補修は、まさに塗装工事の土台作りともいえる重要な工程です。

外壁には、ひび割れ(クラック)、コーキングの劣化、塗膜の剥がれ、外壁材の欠損など、様々な劣化症状が現れます。これらの主な劣化症状と一般的な補修方法を以下の表にまとめました。

外壁の主な劣化症状と一般的な補修方法

劣化症状

具体的な症状と補修方法の例

ひび割れ(クラック)

微細なものから大きなものまで、状態に応じエポキシ樹脂などを注入する工法が用いられます。

コーキングの劣化

サイディングボードの目地などに使用されるコーキング材は、紫外線や雨風によってひび割れ、剥がれ、硬化などの症状が見られます。既存のコーキング材を撤去して新しいものに打ち替える「打ち替え」や、既存の上から新しいものを充填する「増し打ち」といった補修が行われます。

塗膜の剥がれ

状態に応じた補修が必要となります。

外壁材の欠損

状態に応じた補修が必要となります。

これらの補修にかかる費用は、劣化の程度や範囲によって数万円から数十万円単位と幅広く変動することが一般的です。安価な見積もりには、必要な下地補修が省略されていたり、簡易的な補修で済まされていたりする可能性も考えられます。そのため、見積書に補修内容が具体的に記載されているかを確認し、不明な点があれば担当者に質問して、納得できるまで説明を求めることが非常に重要です。適切な下地補修が施されない場合、せっかくの塗装も早期に劣化してしまう可能性があるため、十分な注意が必要です。

業者の利益率:見積もりに含まれる利益と経費の仕組み

外壁塗装の見積もりにおいて、業者の「利益率」は価格を大きく左右する要素の一つです。一般的に、外壁塗装業の利益率は工事費用全体の15%から35%程度が目安とされています。この利益は、単なる業者の「儲け」ではなく、会社を健全に運営し、高品質なサービスを提供し続けるために不可欠なものです。具体的には、以下のような運営に必要な様々な経費が含まれています。

  • 事務所の家賃

  • 事務員の人件費

  • 車両の維持費

  • 社会保険料

多くの場合、見積書に「利益」という項目が明確に記載されることは稀です。塗料代や人件費、諸経費などの各項目にすでに上乗せされていることが一般的です。そのため、見積もりの総額だけでなく、個々の項目に提示された単価が適正であるかを注意深く確認することが大切でしょう。

適正な利益を確保している業者は、長期保証やアフターフォローといったサービスも充実している傾向にあります。極端に安価な見積もりは、これらの重要なサービスが削られている可能性も考えられるため、注意が必要です。

中間マージンの有無:大手と地域密着業者での価格差

外壁塗装の見積もり価格に影響を与える大きな要因の一つに、「中間マージン」の有無があります。中間マージンとは、元請け業者が実際の工事を下請け業者へ依頼する際に発生する手数料です。この手数料は工事費用に上乗せされ、最終的に顧客が支払う金額に含まれます。

大手ハウスメーカーや一部のリフォーム会社では、自社の職人を抱えず、実際の施工を外部の塗装業者に外注するのが一般的です。この場合、元請け業者と下請け業者の間に複数の会社が入ることもあり、そのたびに中間マージンが発生します。その結果、見積もり価格が高額になる傾向があります。

一方、地域に根差した塗装専門業者や自社施工店は、自社の職人が直接施工するため、中間マージンは発生しません。これにより、余分な費用が削減され、比較的リーズナブルな価格で工事を提供できます。同じ品質の工事内容であっても、こうした業者の形態の違いによって、最終的な費用に20%から50%程度の差が生じる可能性があります。例えば、100万円の工事であれば、20万円から50万円もの差が出ることが考えられます。そのため、業者を選ぶ際には、その運営形態や中間マージンの有無を確認することが非常に重要です。

広告宣伝費など諸経費:工事費以外にかかるコストの内訳

外壁塗装の見積もりには、塗料費や職人の人件費といった工事に直接関わる費用だけでなく、業者の運営に必要な「諸経費」も含まれています。諸経費は、会社を維持し、事業を円滑に進めるために必要な費用であり、適正な見積もりには不可欠です。

諸経費には、具体的に以下のものが含まれます。

  • 事務所の家賃や光熱費

  • 営業担当者や事務員の人件費

  • 営業車両の維持費

  • 通信費

  • 広告宣伝費

これらの費用は、一般的に見積もり総額の10%から20%が相場とされており、工事費用に上乗せされる形で計上されます。

特に、広告宣伝費は諸経費の中でも大きな割合を占めることがあります。テレビCMや大規模なインターネット広告を展開する大手ハウスメーカーやリフォーム会社は、その分、広告宣伝費の割合が高くなる傾向が見られます。一方、地域密着型の自社施工店は、口コミや紹介を主な集客手段とすることで広告費を抑えられるため、諸経費の総額に差が生まれる要因となります。このような諸経費の違いが、業者ごとの価格差につながる一因となるのです。

その見積もりは適正?信頼できる業者を見極める5つのチェックポイント

外壁塗装の見積もりには決まった「定価」がなく、業者によって提示される金額や内容が大きく異なります。「価格.com」のデータが示すように、50万円以下から121万円以上と幅広い価格帯が存在し、平均施工費用は約110万円とされています。

高額な見積もりは不安に感じるものですが、極端に安すぎる見積もりにも注意が必要です。安すぎる業者の中には、手抜き工事を行ったり、後から追加費用を請求したりする悪質なケースも少なくありません。「今だけ特別価格」や「モニター価格」といった言葉で契約を急かす業者には、特に警戒が必要です。

適正な価格で信頼できる業者を見つけるためには、提示された見積もりの妥当性と、業者の信頼性を慎重に見極めることが重要です。これからご紹介する5つのチェックポイントを確認することで、悪質な業者に騙されるリスクを減らし、安心して外壁塗装を任せられる優良業者を選ぶことができるでしょう。

必ず複数の業者から相見積もりを取る

外壁塗装の価格は業者によって大きく異なるため、1社だけの見積もりではその価格や工事内容が適正であるかを判断する基準がありません。提示された金額が妥当なのか、必要な工事がすべて含まれているのかなどを客観的に見極めるためには、複数の選択肢と比較することが不可欠です。

複数の業者から見積もりを取る「相見積もり」は、地域の費用相場を把握する上で非常に有効です。これにより、極端に高額な見積もりだけでなく、品質に問題がある可能性のある安すぎる見積もりを見抜くことができるようになります。適切な相場観を持つことで、適正価格での契約につながるでしょう。

理想的な相見積もりの社数は、3社から4社が妥当とされています。2社では比較対象が少なく、見積もりの妥当性を判断しにくい場合があります。一方、5社以上になると比較検討が煩雑になり、時間と手間がかかりすぎてしまう可能性もあります。この3社から4社という数は、バランスの取れた選択肢を得るのに適しています。

以下に、相見積もりを行う際の推奨社数と、それぞれの社数で考えられるメリット・デメリットをまとめます。

社数

評価

特徴

2社

不足

比較対象が少なく、見積もりの妥当性を判断しにくい可能性があります。

3〜4社

適切

比較検討がしやすく、バランスの取れた選択肢から選ぶことができます。

5社以上

多すぎる

比較検討が煩雑になり、時間と手間がかかりすぎることがあります。

見積書の内訳が詳細に記載されているか確認する

信頼できる外壁塗装業者の見積書は、提示された金額の根拠が明確で、どの作業にいくらかかるのかが一目でわかるよう工夫されています。そのため、見積書を受け取ったら、まずその内訳が詳細に記載されているかを確認することが非常に重要です。曖昧な表現や「工事一式」といった大まかな記載しかない場合は、後から追加費用を請求されたり、手抜き工事につながったりするリスクがあるため、注意が必要です。

具体的な確認項目は以下の表にまとめた通りです。これらの項目が個別に記載されているか確認しましょう。

見積書で確認すべき項目例

単に「シリコン塗料」とだけ書かれているのではなく、具体的な商品名まで記載されていれば、使用される塗料の品質や価格帯がより明確になります。

また、各項目の数量、例えば「塗装面積 〇〇㎡」や、使用する塗料の缶数まで具体的に明記されていれば、さらに信頼性の高い見積書であると判断できます。これにより、工事の透明性が高まり、安心して依頼できる業者かどうかを見極めることができるでしょう。

確認すべき項目

詳細

塗料名

メーカー名、製品名

足場設置費用

個別に明記されているか

高圧洗浄

個別に明記されているか

養生

個別に明記されているか

下地処理

個別に明記されているか

各塗装工程

下塗り、中塗り、上塗り

付帯部塗装

雨樋、破風、軒天など

「工事一式」などの曖昧な表現に注意する

外壁塗装の見積書に「工事一式」とだけ記載されている項目がある場合、その内容は不明確であるため注意が必要です。このような曖昧な表記は、具体的な作業内容や使用する材料が不透明になるだけでなく、後から「この作業は含まれていない」として追加費用を請求されるトラブル、あるいは最悪の場合には手抜き工事につながるリスクを高める可能性があります。

信頼できる見積書には、主要な作業項目が数量、単価、金額とともに具体的に明記されているべきです。例えば、以下のような項目が挙げられます。

信頼できる見積書に記載されるべき項目例

項目

数量(例)

単価(例)

金額(例)

足場費用

〇〇㎡

〇〇円/㎡

〇〇円

高圧洗浄

〇〇㎡

〇〇円/㎡

〇〇円

下地補修

〇〇箇所

〇〇円/箇所

〇〇円

塗料代

〇〇缶

〇〇円/缶

〇〇円

塗装費用

〇〇㎡

〇〇円/㎡

〇〇円

 

もし見積書に「一式」と記載された項目がある場合は、必ずその詳細な内訳を業者に確認し、書面での提出を求めましょう。この際、担当者が内訳の説明をためらったり、詳細な見積書の再提出を拒んだりするようであれば、その業者の信頼性は低いと判断し、契約は避けるべきでしょう。明確な情報を提供しない業者は、後にトラブルを引き起こす可能性が高いといえるでしょう。

質問に対して担当者が丁寧に説明してくれるか

外壁塗装の業者を選ぶ際、見積もり内容や工事に関する質問への担当者の対応は、その業者の誠実さや信頼性を見極めるうえで非常に重要な指標となります。疑問や不安を解消するためにも、遠慮せずに質問をぶつけてみましょう。

例えば、「なぜこの塗料を選ぶのですか?」「この費用の内訳は具体的にどうなっていますか?」といった、塗料の選定理由や見積書に記載された各項目の詳細について質問することが大切です。優良な担当者であれば、専門用語を噛み砕いて分かりやすく説明し、依頼者の不安に寄り添いながら的確な回答をしてくれるでしょう。

優良な担当者は、以下の点で信頼できます。

  • 専門用語を噛み砕いて分かりやすく説明してくれる

  • 依頼者の不安に寄り添いながら的確な回答をしてくれる

  • 要望を親身に聞き、納得いくまで丁寧に解説してくれる

一方で、質問に対して回答をはぐらかしたり、「大丈夫です」「私たちに任せてください」といった曖昧な言葉でごまかしたりする担当者には注意が必要です。また、契約を急かしたり、他社を過度に批判したりするような営業トークを繰り広げる場合も、警戒すべきでしょう。

極端な値引きや高額な見積もりには理由を聞く

外壁塗装の見積もりで、価格が極端に安い、または高額な場合は、その根拠を必ず業者に問いただし、警戒することが重要です。安すぎる見積もりは、必要な工事工程を省いたり、低品質な塗料を使ったりといった「手抜き工事」のリスクを伴う可能性があります。例えば、塗料の密着性を高める高圧洗浄の省略、窓枠などを保護する養生が不十分なまま塗装されるといった手抜き行為は、塗膜の剥がれや早期の劣化につながりかねません。そのほか、ひび割れ補修が適切に行われないケースも存在します。

一方、高すぎる見積もりには、不必要な工事が追加されていたり、相場とかけ離れた過剰な利益が上乗せされていたりする可能性が考えられます。高品質な塗料の使用や特殊な工法の採用など、価格に見合う正当な理由があるのか、詳細な説明を求めるべきです。

見積もりの価格根拠について質問した際、明確かつ論理的に説明できる業者は信頼性が高いと判断できます。しかし、説明をはぐらかしたり、契約を急かしたりする業者には注意が必要です。焦らず、納得できるまで説明を求め、慎重に業者を見極めましょう。

賢く節約!外壁塗装の費用を適正価格に抑える4つのコツ

ここまで、外壁塗装の価格差が生じる要因や、信頼できる業者を見極めるポイントについて解説してきました。こうした知識があれば、単に「安い」というだけで業者を選ぶリスクを回避し、品質を保ちながら費用を抑えることができます。外壁塗装は大きな費用がかかる工事だからこそ、無駄をなくし、賢くコストを削減する方法を知っておくことが重要です。

この章では、中間マージンを減らす業者選びの視点、利用できる公的制度の活用、そして工事の効率化といった、具体的な節約のコツを4つのポイントに絞ってご紹介します。これらの方法を実践することで、適正価格で高品質な外壁塗装を実現し、長期的な安心感を得られるでしょう。ぜひ参考にしてみてください。

中間マージンがない自社施工の業者を選ぶ

外壁塗装の費用を適正価格に抑えるためには、中間マージンの有無に着目した業者選びが重要です。大手ハウスメーカーや一部のリフォーム会社では、実際の塗装工事を下請け業者に発注するのが一般的です。この際、「中間マージン(紹介料)」が発生し、最終的に工事費用に上乗せされるため、お客様が支払う金額は高くなる傾向があります。

これに対し、自社施工を行う業者は、営業から施工までを自社の職人が一貫して担当します。この体制では、下請け業者への発注がないため中間マージンが発生せず、費用を抑えることが可能です。例えば、同じ100万円規模の工事でも、中間マージンがないことで、より低い価格での施工が実現できるでしょう。

費用面以外にも、自社施工業者には複数のメリットがあります。営業担当者と現場の職人との連携がスムーズであるため、お客様の要望が直接職人に伝わりやすく、認識のずれが生じにくい点が挙げられます。また、工事における責任の所在が明確であり、高品質な施工が期待できるのも特徴です。しかし、小規模な業者も多いため、業者によって技術力やアフターフォローを含む保証体制に差があるのも事実です。そのため、契約前には以下の点を確認することが大切です。

  • 施工実績

  • 口コミ

  • 保証内容

火災保険が適用できるケースか確認する

外壁塗装の費用を抑えるため、火災保険の適用を確認すると良いでしょう。火災保険は火災だけでなく、台風、強風、雹(ひょう)、雪災といった自然災害による外壁の損害も補償対象となる場合があります。例えば、台風で飛来物が外壁に当たりひび割れが生じたケースや、雹によって外壁が損傷した事例などです。

お住まいの自治体の助成金・補助金制度を調べる

外壁塗装の費用を抑える方法として、お住まいの自治体が提供する助成金や補助金制度の活用があります。多くの市区町村では、住宅の省エネ化や耐久性向上、地域の景観維持、さらには地域経済の活性化を目的として、外壁塗装工事に対する支援制度を設けています。特に、遮熱性や断熱性に優れた塗料の使用が、補助金交付の対象となるケースが多く見られます。

これらの制度を利用するには、お住まいの市区町村の役所ウェブサイトを確認するか、「(お住まいの市区町村名) 外壁塗装 助成金」といったキーワードで検索すると良いでしょう。ただし、助成金や補助金には申請期間が定められており、予算の上限に達した時点で受付が早期に終了する場合があります。そのため、早めの情報収集と申請準備が非常に重要です。

また、制度を利用する際には、さまざまな条件が設けられている点にも注意が必要です。主な条件としては、以下の点が挙げられます。

  • 使用する塗料の種類が指定されている場合があります。

  • 特定の施工業者でなければ対象外となる場合があります。

  • 多くの制度では、工事の着工前に申請手続きを完了させる必要があります。

すでに工事が完了している場合は対象外となることがほとんどですので、事前に条件をしっかり確認し、計画的に進めるようにしてください。

外壁と屋根の塗装をセットで依頼する

外壁塗装と屋根塗装のいずれの工事でも、安全確保のために足場の設置と解体は必須です。これらを別々に依頼すると、それぞれで足場代が発生し、その都度およそ15万円から20万円程度の費用が二重に発生します。しかし、外壁と屋根の塗装を同時に行うと、足場の設置・解体費用を1回分に集約できるため、大幅なコスト削減につながります。

足場代の他にも、職人の人件費や現場管理費といった諸経費も一度に済ませられるため、工事全体が効率化され、総費用を抑えることができます。また、業者側も一度に大きな工事を受注できるため、「セット割引」を適用してくれるケースがよく見られます。

さらに、紫外線や雨風に常にさらされている外壁と屋根は、劣化がほぼ同じタイミングで進行するのが一般的です。そのため、同時にメンテナンスを行うことで、将来的な修繕計画を立てやすくなり、長期的なコスト管理にも役立ちます。


新着の施工会社様向けコラム

外壁塗装の価格差はなぜ?高い見積もりと安い見積もりの違いを徹底比較

外壁塗装の価格差はなぜ?高い見積もりと安い見積もりの違いを徹底比較

絶対に後悔したくない!外壁塗装工事のよくある失敗パターンとは?

絶対に後悔したくない!外壁塗装工事のよくある失敗パターンとは?

外壁塗装業界の闇とは?悪徳業者に騙されずに優良企業を選ぶ全知識

外壁塗装業界の闇とは?悪徳業者に騙されずに優良企業を選ぶ全知識

【脱・職人任せ】外壁塗装の技術継承を成功させる具体的ステップ

【脱・職人任せ】外壁塗装の技術継承を成功させる具体的ステップ

外壁塗装業者が熱狂的なファンを作る集客術!

外壁塗装業者が熱狂的なファンを作る集客術!

【外壁塗装営業】検討しますは怖くない!定番の断り文句をチャンスに変える!

【外壁塗装営業】検討しますは怖くない!定番の断り文句をチャンスに変える!

【外壁塗装の営業】「あなたから買いたい」を引き出す”自分を売る”営業術

【外壁塗装の営業】「あなたから買いたい」を引き出す”自分を売る”営業術

外壁塗装のクレームを信頼に変える!社長と社員の対応力を向上させる方法

外壁塗装のクレームを信頼に変える!社長と社員の対応力を向上させる方法

夏場の外壁塗装を乗り切る!職人の安全と施工品質を守るための注意点

夏場の外壁塗装を乗り切る!職人の安全と施工品質を守るための注意点

職人社長でもできる!外壁塗装の顧客紹介を増やして安定経営を実現する方法

職人社長でもできる!外壁塗装の顧客紹介を増やして安定経営を実現する方法

外壁塗装業の集客方法10選|メリット・デメリットを比較

外壁塗装業の集客方法10選|メリット・デメリットを比較

【地域No,1を目指す】外壁塗装業の組織拡大ロードマップ

【地域No,1を目指す】外壁塗装業の組織拡大ロードマップ

営業職必見!コミュニケーション力を向上させる方法とは?

営業職必見!コミュニケーション力を向上させる方法とは?

口下手でも契約が取れる!話し方の技術を向上させる7つのコツ

口下手でも契約が取れる!話し方の技術を向上させる7つのコツ

外壁塗装業者が行うべきブランディング戦略|価格競争からの脱却へ

外壁塗装業者が行うべきブランディング戦略|価格競争からの脱却へ

【外壁塗装】顧客から信頼されない営業マンの特徴8選!

【外壁塗装】顧客から信頼されない営業マンの特徴8選!

【外壁塗装の成約率UP】クロージングを強化する5つの方法

【外壁塗装の成約率UP】クロージングを強化する5つの方法

【成功事例10選】外壁塗装業者は必見!お客様の声の集め方

【成功事例10選】外壁塗装業者は必見!お客様の声の集め方

外壁塗装で元請け業者になるには?脱下請けで利益を上げる具体的な方法

外壁塗装で元請け業者になるには?脱下請けで利益を上げる具体的な方法

外壁塗装業者の採用戦略|若手が集まり定着する人材獲得

外壁塗装業者の採用戦略|若手が集まり定着する人材獲得

加盟店様募集!お客様紹介サービス

資料請求コチラ! 資料請求コチラ!