面積効果という単語を初めて耳にする方も多いでしょう。しかし、外壁塗装の色選びで失敗しないためには面積効果をはじめとする、さまざまな目の錯覚について理解しておいたほうがよいです。
本記事では、面積効果とは何か、色選びで起こる目の錯覚とその事例、外壁を理想の色にするためのポイントを紹介します。図を使ってわかりやすく説明していますので、ぜひ参考にしてください。
面積効果とは面積の大きさで色の見え方、イメージが変わること
外壁塗装の際に「なぜか思っていた色と違う…」というトラブルがよく起こります。これは面積効果をはじめとする視覚的、心理的な現象です。
面積効果とは、建物の外壁塗装などに関する建築用語。広い面積に色を塗ると、明るい色はより明るくあざやかに、暗い色はより暗くくすんだ感じに見える現象のことです。
少し専門的な用語を使うと、面積効果には次のような効果があります。
- 色の面積を大きくすると、明るい色は明度・彩度が高くなる
- 色の面積を大きくすると、暗い色は明度・彩度が低くなる
用語の解説などを含め、詳しく解説します。
色の基本=色相・明度・彩度
すべての色は3つの属性で決められます。色相・明度・彩度です。
色相
色相とは赤色、オレンジ色、黄色、緑色、紫色など、色みを表す用語です。
次のように色を20個の色相に分け、環状に配置した図がよく用いられます。マンセル色相環というものです。
画像引用:Wikimedia Commons 「MunsellColorCircle.png」
色相環の反対側にある色を補色といいます。たとえば赤の補色は青緑、黄色の補色は青紫です。
明度
明度とは色の明るさの度合いです。明度が高い色は明るく、白っぽく見えます。反対に明度が低い色は暗く、黒っぽく見えます。
彩度
彩度とは色のあざやかさを表す度合いです。同じ色相・明度でも、彩度が高いとビビッド(色鮮やかな)な印象になり、彩度が低いとくすんだ感じに見えます。
面積効果の事例
面積効果の事例を見ていきましょう。色見本の小さな面積と、実際に壁に塗ったときの大きな面積をイメージしてください。
面積効果の事例1:外壁の色が明るめのグレーの場合
明るめのグレーは次のようなイメージです。面積が大きくなると、少し明るい印象です。
面積効果の事例2:外壁の色が暗めのグレーの場合
暗めのグレーだとどうでしょうか。先ほどとは逆に、面積が大きくなると、少し暗く落ち着いた印象です。
面積効果の事例3:外壁の色が黒の場合
黒は次のようになります。面積が大きくなると、非常にクッキリした黒になっています。
外壁塗装の色選びで注意したい!面積効果以外の目の錯覚
外壁塗装で起こる目の錯覚として、面積効果のほかにも注意すべきものがあります。次のような同時対比といわれるものです。
明度対比
ある色の周囲を別の色で囲むとき、周辺色の明度の反対側に、中の色の明度がずれて感じられる現象を明度対比といいます。すなわち、次のような現象のことです。
- 周囲の色の明度が高いと、中の色の明度は低く感じられる
- 周囲の色の明度が低いと、中の色の明度は高く感じられる
具体例を見てみましょう。次の2つの図は、真ん中のマルの色は同じなのですが、次のように感じられます。
- 周囲の明度が高いとマルは暗く見える
- 周囲の明度が低いとマルは明るく見える
色相対比
周りを囲む色の色相から遠ざかるように、中の色の色相がずれて見える現象を色相対比といいます。
たとえば次の図のように、オレンジ色のマルを赤色で囲った場合と黄色で囲った場合を比べてみましょう。
少しマルの色合いが違って見えます。赤色で囲んだマルの色はやや黄色寄りに、黄色で囲んだマルの色はやや赤色寄りになっています。
これは色相環において、マルの色が周辺色から遠ざかるようにずれて見えているのです。マルの色が周辺色の補色に近づいている、と表現することもできます。
彩度対比
周りを囲む色の彩度の反対側に、中の色の彩度がずれて感じられる現象を彩度対比といいます。明度対比の彩度版といった感じで、次のようなものです。
- 周囲の色の彩度が高いと、中の色の彩度は低く感じられる
- 周囲の色の彩度が低いと、中の色の彩度は高く感じられる
次の図は同じ色のマルを彩度の高い赤・低い赤で囲っています。
周辺の色の彩度が高い(左の図)と、中のマルがくすんだ感じになっているのが感じられます。周辺の色の彩度が低い(右の図)と、中のマルは少しあざやかな印象です。
補色対比
中の色の補色を使って周囲を囲むと、中の色の彩度が増して感じられる現象を補色対比といいます。次の図のように、青紫色のマルを補色である黄色で囲んでみます。
黄色で囲まれたマルのほうがあざやかにクッキリ感じられるでしょう。
縁辺対比
明度が異なる色を並べると、色の境界部分で明度が違って見えます。これを縁辺対比といいます。縁辺対比には次のような特徴があります。
- 隣の色の明度が高いと、こちらの色は暗く見える
- 隣の色の明度が低いと、こちらの色は明るく見える
次の図は明度の違う黒を3色並べていますが、真ん中のグレーの帯の左端は少し明るく、右端は少し暗く感じられるでしょう。
外壁塗装の色選びで失敗しないポイント4選
外壁塗装では面積効果をはじめとして、色彩に関するさまざまな錯覚が起こります。
手間もお金もたくさんかかることですから、次のポイントをおさえて失敗しない外壁塗装を目指しましょう。
色見本はできるだけ大きなものでチェック
面積効果は色の面積で起こるわけですから、できるだけ大きな面積の色見本で確認できればある程度は解決できます。A4サイズ以上の色見本が望ましいでしょう。
さらに塗り板という、実際に使用する塗料を用いた見本もあります。これは色の希望をある程度絞った段階で塗装会社に依頼するとよいでしょう。ただし、有料になる場合があります。
明るい色は少し暗めを、暗い色は少し明るめを選ぶ
どのような見本でも、実際の壁ほど広い面積のものはありません。したがって面積効果は起こってしまうものと考えて、明るい色なら一段階暗めを、暗い色なら一段階明るめを選ぶ考え方もあります。
塗装会社の人にも「面積効果を考慮して色を選びたい」とはっきり伝えるとよいでしょう。
カラーシミュレーションを参考にする
面積効果以外にも、同時対比のように周辺色との組み合わせで起こる錯覚もありますし、天候によっても見え具合は変わってきます。
それらすべてを色見本だけで理解するのは難しいので、カラーシミュレーションが有効です。カラーシミュレーションとは、実際の建物に塗装をした場合にどんな風に見えるかを、Web上で総合的にシミュレーションする仕組みです。
「建物のタイプ」「外壁や屋根など部位ごとの色」などを自由に設定できます。無料で使用できるものがほとんどです。ワンタッチで色を変えられる利便性があり、大きな画面で表示すれば面積効果も含めてシミュレーションできるので、おすすめの方法です。
塗料メーカーや塗装会社のサイトにもありますし、相談に行った塗装会社で見せてもらえることもあるでしょう。なお、下記は大手塗料メーカーが提供するカラーシミュレーションサイトの一例です。
- 日本ペイント株式会社「カラーシミュレーション」
- 関西ペイント株式会社「カラーシミュレーション」
- エスケー化研株式会社「住宅塗り替えシミュレーション」
いろんな時間、いろんな天気の日に外で外壁の色を確認する
カラーシミュレーションも万能というわけではなく、やはり画面の中だと限界があるのも事実です。そこで、自分の希望に近い配色の建物が実際にあるのなら、その建物をいろんな時間帯や天候の日に見学に行くのも一つの手です。
シミュレーションと違って現実のものですから、やはり一番参考になります。特に朝夕のうす暗い時間帯と正午では見え方も違いますので、見比べたいところです。経年変化によってどうなるかをイメージできるのも優れたポイントです。
ただし個人宅を勝手に見に行くのは控えましょう。必ず塗装会社の紹介のもとで見学してください。
外壁を理想どおりの色にしたい方は「ぬりマッチ」へ
外壁塗装の色を選ぶにはさまざまな準備が必要であると述べてきました。
- 色見本で検討する
- カラーシミュレーションで色合いを確認する
- 実際の建物を見学に行く
これらの要望に丁寧に答えてくれる優良な会社を探し、しかも価格の見積もりや保証範囲まで1社ずつ確認していくのはとても大変です。
そこでおすすめなのが、外壁塗装の一括見積もりサイトの利用です。価格だけでなく各社の特徴も比較できます。一括見積もりサイトのぬりマッチは、ヒアリング調査をもとに厳選した会社しか加盟していないため、Web上の情報だけだと不安な方におすすめです。
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