外壁塗装で後悔する人があとを絶たない、色選びでの失敗。外壁の色はさまざまな条件を考慮して決めることが大切ですが、単に好みで選んでしまったり、工事前にしっかりと打ち合わせをして決めたのに塗装してみると思っていた色と違って見えたり、想像していた完成形とはかけ離れてしまうことが多々あります。
そこで今回は、外壁塗装に多い色選びの失敗が起こる原因と対策について解説していきます。
外壁の塗装色でなぜ失敗してしまうのか
外壁の塗装色での失敗には、どのような要因があるのでしょうか。
小さなサンプルでは判断しにくい
外壁塗装で色選びをする際には、色見本帳から好みの色を選ぶことが一般的です。しかし色見本帳に載っているサンプルは小さいため、実際に塗装した場合と色合いや感覚がずれてしまいます。
小さなサンプルで見る色と、外壁などの広い面積に塗装した色とでは、広い面積のほうが明るい色に見えることがあります。
また、サンプルの周囲にある白色の枠による、明度対比の効果にも影響を受けます。明度対比は隣にある色が明るいほどサンプルの色が濃く見える現象です。そのため、白い枠がない外壁に塗装した際には、色が薄く明るい色に見えてしまうことがあります。
外壁の素材やデザインで色合いが変わる
外壁塗装の色を小さなサンプルで選んだ後には、少し大きめのサンプルを作成してくれる事業者もあります。大きめのサンプルで外壁に合わせることで、実際の色合いに近い雰囲気を確認できます。
しかし、一般的なサンプルはフラットな板状の物が多く、実際のサイディングの凹凸に合わせて色見本を造るのは難しいです。
サイディングなどの凹凸がある素材に塗装した場合には、細かな凹凸による陰影で色合いや雰囲気が異なることがあります。特に細かなデザインの柄があるサイディングでは、選んだ色に多くの影が落ちるため、暗い印象になることがあります。
太陽光や艶によって見え方が変わる
晴れた日に太陽光の下で見るサンプルは、太陽光の光を受けて実際の色よりも明るく見えます。そのため、光を受けた状態の色を想定していると、思ったよりも暗い印象になってしまうことがあります。
サンプルであっても、南側(光が当たる側)と北側(光があまり当たらない側)、朝日や夕日などの影響など、いろいろな条件によっても見え方が異なります。
また、同じ色を選んだ場合でも、艶の有無や程度によっても色の雰囲気は変わります。
失敗したと感じる人が多い外壁の特徴とは
ここで、色選びで失敗したと感じる人が多い外壁の特徴を紹介します。
全体のバランスが微妙
外壁塗装中は仮設足場が設置されています。その上、通常は塗装中の道具の落下防止や塗料の飛散を防ぐために飛散防止ネットが張られています。そのため、建物全体を見渡すことが難しく、足場を解体して初めて建物全体のバランスが微妙なことに気づくケースが少なくありません。
部分的に見る外壁の色には違和感がなくても、建物全体に塗装することでバランスが悪く見えることもよくあります。
特に、2色や3色の塗料を使って塗分けをした場合には、それぞれの色のバランスのほかにも、塗装面積の対比なども検討することが大事です。
また、4色以上の多くの色を使って塗装した場合には、建物全体がチグハグした印象になってしまうこともあります。多くの色を使用するときにこそ、全体のバランスを入念に確認するとよいでしょう。
建物のデザインと合っていない
ほかのさまざまな要素を考慮せずに好みの色を外壁色に選んでしまうと、残念な印象の建物になってしまうことがあります。
外壁の色は、建物の印象に影響します。洋風の建物には明るい色の塗装が似合いますし、和風建築の場合には落ち着いた色合いの塗装が似合います。軒の出が広い重厚感のある建物なら、濃い色を採用することで高級感を演出できます。屋根の形状や素材についても、同じことがいえます。
また、周囲の景観に合わせた色選びも大事です。街並みを無視すると、やはり失敗したと感じる可能性が高いでしょう。地域の中で飛びぬけて奇抜な色などは、周囲の景観を乱してしまうことにもなります。地域によっては建物の色などに規制がかかった場所もあるので、外壁塗装を行う前にしっかりと確認する必要があります。
汚れが目立つ
外壁塗装の色には、汚れが目立つ色と目立ちにくい色があります。
一般的には白や黒などのはっきりとした色よりも、ベージュやグレーなどのくすんだ色や淡い色の方が汚れが目立ちにくいといわれています。
しかし、淡い色だけで塗装した建物は、のっぺりとした印象を与えてしまうため、アクセントとして濃い色を採用するケースもあるでしょう。その場合、濃い色は雨だれや排気ガスの汚れは目立ちにくいですが、黄砂などの砂ほこりや鳥のフンなどの汚れが目立ってしまうデメリットがあります。
汚れのことをある程度意識しておくことで、失敗したと感じにくい色選びができるでしょう。
外壁の色で失敗したら、どうすればよい?
外壁の色選びで失敗してしまった場合には、塗り直し以外で解決することは難しいでしょう。塗り直しをする場合には、外壁塗装と同様の費用が必要なこともありますが、塗り直しを依頼する時期によって差があります。
外壁の色で失敗した場合の対処法を、工事中と工事後に分けてみていきましょう。
工事中に塗り直しを依頼
外壁塗装の工事中に塗り直しを依頼する場合には、工程の進み具合によって必要な費用が変わります。
下塗りが完成するまでであれば、変更した塗料などの材料費だけで塗り直しが可能です。しかし、実際に外壁に塗装する前の段階になるため、失敗に気づくことは難しいでしょう。
中塗りが完成した段階で違和感がある場合には、塗装事業者に相談して、全体のイメージを確認することが大切です。おそらく足場の撤去はできませんが、部分的に飛散防止ネットを畳んでもらうなどして全体のイメージを確認できます。
上塗り前の段階であれば費用を抑えて塗り直しが可能です。「迷惑をかけてしまうのではないか」と心配かもしれませんが、安い買い物ではないので、しっかりと伝えましょう。きっと職人の方も応じてくれるはずです。
工事後に塗り直しを依頼
外壁塗装が完成し、足場が撤去された後に失敗に気づいた場合には、後戻りができません。塗り直す際は、1回目の外壁塗装と同額程度の費用が必要です。実態としては、もう一度塗装を依頼することになるので、塗り直しを諦めてしまう方が多いです。
外壁の色選びはシミュレーションが大事
外壁塗装の色選びでの失敗が生じるのは、小さなサンプルや少し大きめのサンプルで色を決定してしまうことが原因です。つまり、入念に確認すればある程度防ぐことができるわけです。
外壁の色選びではできるだけ建物の形状やデザインに合わせてシミュレーションをしましょう。また、シミュレーションで選んだ色を実際の外壁に塗装してみましょう。サイディングの凹凸に合わせた色合いを確認できます。
外壁の色選びに関するよくある質問
- 外壁の塗装色でなぜ失敗してしまう?
- 小さなサンプルでは判断しにくい、外壁の素材やデザインで色合いが変わる、太陽光や艶によって見え方が変わる、といった要因があります。事前に建物の形状やデザインに合わせてシミュレーションすることが大切です。
- 外壁の色で失敗したらどうすればよい?
- 工事中もしくは工事後に塗り直しを依頼する必要があります。上塗り前の段階であれば費用を抑えて塗り直しが可能です。