苔は、日当たりが悪く湿気の多い外壁に発生しやすい汚れです。広範囲に苔が発生するケースも珍しくなく、見栄えが悪くなるのはもちろんのこと、外壁の劣化を早めてしまいます。
外壁に苔が発生した場合に自分で落とす方法やおすすめの洗剤、さらに自分で外壁の苔を落とす場合の注意点を解説します。外壁に苔が発生して対処に悩んでいる方は、ぜひ本記事を参考に苔を除去しましょう。
【事前知識】外壁の苔落としに効く洗剤を選ぶには
外壁の苔落としを目的に洗剤を選ぶには、いくつかのポイントがあります。苔を落としやすい洗剤を選ぶ際のポイントを紹介します。
その汚れは苔か、苔以外か
外壁に生える生物は苔のほかに
苔と藻、カビの大きな違いは生える場所です。苔や藻は日光と水が欠かせません。したがって、日光が当たっていて湿気が高い場所に生えます。
たとえば、苔にとって最高の環境は下記のような場所です。
- 北側の壁や屋根付きガレージの壁面
- 水はけが悪く常にじめじめしているが、日は当たる
一方、カビは日光を必要としません。1日中、日が当たらない壁面に黒っぽい汚れが広範囲に付着している場合は、カビの可能性が高いでしょう。
このように、外壁に広がる汚れの正体をまずは突き止めましょう。汚れの正体の見分け方の詳細は、下記記事を参考にしてください。
洗剤で落としやすい苔
以下のような特徴を持つ苔は、個人でも洗剤を使って落とせます。
- 苔の生え方がまばらである
- 苔の生えている場所が狭い
- 苔の生えている場所が手の届く場所にある
苔は、繁殖に適した場所なら短期間で一気に広がるおそれがあります。苔の発生を認めたら、できるだけ早く除去しましょう。
洗剤で落ちにくい苔
個人で洗剤を使って落としにくい苔は、以下のような特徴があります。
- 苔が広範囲で多量に発生している
- 苔が手の届かない場所に発生している
- 苔の発生箇所が複数にのぼっている
苔は、表面だけ落としても根っこが残っている限り何度でも再発します。再発する点では、カビと苔はよく似ているといえるでしょう。
苔が広範囲かつ多量に発生している場合や、高所に広がっている場合は個人では落としきれません。しかし、放っておくと外壁自体の寿命が短くなります。
外壁についた苔は放ってはおかず、外壁塗装会社に依頼して除去してもらいましょう。会社に除去を依頼したほうが、長い目で見ればコストパフォーマンスがよいです。
外壁の苔落としに効く洗剤5選
前提として、ごく狭い範囲でわずかに発生した苔の場合は、中性洗剤でも落とせます。専用の洗剤を買う前に、浴室用洗剤などを苔にかけてこすり落としてもよいでしょう。
ただし、「できるだけ苔を落とす手間を省きたい」「よりきれいに落としたい」場合は、これから紹介する苔落とし専用の洗剤を使いましょう。
ここでは、外壁に発生した苔を落とすのに効果的と評判の洗剤を5種類、紹介します。値段はどれも1,000円前後で、セール時などで変動します。
アサヒペンの屋外用コケ・カビ・黒ずみ除去スプレー
画像引用:Amazon「アサヒペン 屋外用コケ・カビ・黒ずみ除去スプレー 800g」
アサヒペンより発売されている「屋外用コケ・カビ・黒ずみ除去スプレー」は、苔だけでなくカビや黒ずみにも効果があるといわれている洗剤です。壁の汚れが苔かカビか判別がつかない場合にも適しています。
泡で洗剤が出てくるので、その場に長くとどまって効果を発揮します。外壁だけでなく、コンクリートやレンガにも効果があり、床にも使用できます。
キエールコケ・カビ
画像引用:Amazon「トプラン キエ〜ル(キエール) コケ・カビ 屋外用 400mL」
キエールコケ・カビは、医療現場で殺菌消毒にも使用される「塩化ベンザルコニウム液」を主原料とした洗剤です。苔を落とすというより枯らすといった働きをします。効果を発揮すれば苔に吹き付けておくだけである程度落とすことができ、ごしごしとこする必要もありません。
外壁だけでなく、お墓やコンクリートブロックなどにも使用できます。できるだけ簡単に苔を落としたい方に適した洗剤です。
苔用除草剤のコケとーるスプレー
画像引用:Amazon「レインボー薬品 苔用除草剤 コケとーるスプレー 500ml」
こちらも苔にかけるだけで、こすらなくても苔を落とせるといわれているスプレーです。しかも、この洗剤を使用したあとは、一定期間苔が生えにくくなるそうです。
ただし、外壁の色がはっきりしている場合、まずは目立たない場所で試してから使いましょう。色落ちするおそれがあります。
友和ホームケアシリーズの外壁用
画像引用:Amazon「友和ホームケアシリーズ 外壁用 400ml」
外壁につく汚れ全般に効果があるとされる洗剤です。苔だけでなく、黒ずみや排ガス汚れなども一本で落としたい場合に適しています。
ただし、苔単体を落とす効果は、評価がやや分かれています。たとえば、一部の利用者からは、苔の落としにくさを指摘されています。これは苔の種類や発生場所によって、落としにくさが変わるためです。
そのため、効果を体感するには、苔の状態に合わせて適切な準備を行い、洗剤を使う前にブラシなどを使ってしっかりとこすってから使用することが大切です。また、効果が出るまでに時間がかかることもあるため、使用後しばらくは放置しましょう。
ワンステップ・スプレー・クリーナー
画像引用:Amazon「30 SECONDS ワンステップ・スプレー・クリーナー 1L」
外壁の汚れ全般に効果がある洗剤です。苔には、洗剤をかけて放置しておくだけである程度落とせるそうです。外壁だけでなく屋根や雨樋、ドアなどいろいろな場所に使用できるのが特徴です。
外壁の苔を自分で落とす手順
外壁に発生した苔を自分で落とす手順は次のとおりです。
- 苔以外の汚れを落とす
- 苔に洗剤をまいて必要ならこする
- 洗剤を十分に洗い流す
苔は発生した場所や状態によって落とし方が異なります。「かけるだけでこすらなくても大丈夫」という洗剤でも、苔の状態によっては準備が必要なので、参考にしてください。
1.苔以外の汚れを落とす
外壁は雨や風にさらされているので、苔以外の汚れも付着しています。まずは、水やスポンジなどを使って、苔以外の汚れを落としましょう。
苔は湿った環境を好むので、泥汚れが付着しているおそれもあります。泥汚れならば水でこするだけで落ちるので、試してみてください。
なお、近年人気の掃除アイテムに高圧洗浄機がありますが、外壁が明らかに劣化している場合は壁からの雨漏りの原因になるので、使わないようにしましょう。
下記のような場合は外壁が劣化している確率が高いため、高圧洗浄機の使用は避けたほうが無難です。
- 外壁塗料が剥がれている
- 外壁が剥がれないまでも、大きなひび割れが複数ある
2.苔に洗剤をまいて必要ならこする
苔に洗剤をまいて、必要ならばこすってください。こするものは、ブラシやスポンジで構いません。
こする必要がない場合は、指定通りの分量を苔のうえにまいてそのまま放置しておきましょう。
3.洗剤を十分に洗い流す
洗剤をまいてこする必要があるタイプを使った場合は、最後に洗剤をよく落としましょう。
洗剤がついたまま放置しておくと、外壁が変色するおそれがあります。じょうろやホースなどで多めに水をまいて、よく洗い流してください。
なお、洗剤で落としてもすぐ苔が生える場合は、外壁塗料が寿命を迎えて劣化しているおそれがあります。苔が何度も生えたり、苔以外にもひび割れなどが発生したりしている場合は、できる限り早く外壁塗装会社に依頼して外壁の調査をしてもらいましょう。
外壁の苔を楽に落とすには
以下のような場合は、苔を自分で落とすのは難しいので外壁塗装会社に依頼して落としてもらいましょう。
- 苔が大量に広範囲にわたって生えている
- 苔が高いところに生えていて手が届かない
- 掃除しても苔が何回も生えてくる
- 苔をきれいに落とせない
- 苔をきれいにする時間がない
苔は水分を含んでいるので、外壁に発生したまま放置しておくと湿気で外壁自体が劣化していきます。できるだけ早く外壁塗装会社に依頼して、掃除してもらいましょう。
個人で行う清掃に比べて、早くきれいに苔を落としてもらえます。見違えるように、外壁がきれいになるかもしれません。必要ならば、そのまま外壁の状態をチェックしてもらい、外壁塗装や屋根塗装をしてもらうのがおすすめです。
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ひび割れや外壁塗装の剥がれに比べると放置されがちな苔ですが、外壁の寿命を縮めてしまう厄介な生物です。自分で手に負えないと思ったらできる限り早く外壁塗装会社に依頼して、掃除してもらいましょう。依頼が早いほど掃除にかかる手間も費用も少なくて済みます。