外壁を白色にするか検討する際、気になるのが「白色の外壁はまぶしい」という声です。もし白色にしたせいで外壁がまぶしくなれば、近隣の人からクレームがくるかもしれません。
本記事では、白色の外壁がまぶしいといわれる理由や白色でもまぶしくならないための対策を紹介します。
内装材と異なり外壁の見え方は、近所の人に影響をもたらします。まぶしさが原因で白色の外壁にするか迷っている方、白色の外壁にして後悔したくない方はぜひ参考にしてください。
白色の外壁がまぶしいといわれる理由
外壁がまぶしいといわれる主な理由は、次のとおりです。
- 明度が高く光を反射しやすい
- 周囲の景観になじまないほど明るい
- 塗り替えた外壁を称賛している
それぞれ、理由を詳しく確認してみましょう。
明度が高く光を反射しやすい
白色の外壁がまぶしいのは、明度の高さが原因かもしれません。明度とは色の明るさの度合いを表す要素のことで、もっとも明度が高いのは白色です。
国際的な色彩の尺度である「マンセル表色系」で、白は最高値の10として表現されています。同様に、日本塗料工業会発行の塗料用標準色でも採用されています。(参考:各務原市役所「色彩の基礎知識」)
色と光の関係性では、明度が高いほど太陽光を反射しやすい特徴が確認されています。そのため明度が最高値の白色の外壁は、ほかの色と比較して太陽光を反射しやすく、まぶしいと感じられやすいのです。
また、反射する光源との距離が近いほど、まぶしさを感じます。特に、次のような位置に白色の外壁があると、まぶしさを感じやすいでしょう。
- 高低差のある土地で、高所にある白い外壁に太陽光が当たり低地にある住宅の室内に反射した光が差し込む
周囲の景観になじまないほど明るい
住宅の外壁は、周囲の景観に影響を与えます。地域の景観計画に基づき、明度について基準が設けられている場合もあります。
たとえば、石川県金沢市の「斜面緑地保全区域と重なる区域」では、外壁の明度は3以上6以下であることが求められています。(参考:金沢市「色彩基準等に関する色彩見本」)このように明度が10に近い白色では周囲の景観になじまないケースがあるため、不相応にまぶしいと感じられるでしょう。
光の反射の強さによるストレスはありませんが、景観の調和がとれない白い外壁は、景観を損なうことがあります。
塗り替えた外壁を称賛している
これまで、太陽光の反射の強さや、周囲の景観から浮いたような明るさを「まぶしい」としてネガティブに捉えていきました。しかし、白い外壁がまぶしいは、誉め言葉として使用されることもあります。
たとえば、外壁の色が暗い、あるいは元が明るい外壁でも汚れやコケなどが発生し、暗く感じられる場合です。白い外壁に塗り替えを行えば、外壁は明るくなり外観のイメージが変わります。
美観の向上によって「さわやかな白い外壁がまぶしい」というように、外壁を評価する誉め言葉として使用されるでしょう。
白色でもまぶしさ度合いには差がある
繊細な色合いの違いや、塗料の性質、外壁材によってもまぶしさの度合いに差があります。以下では、目に負担のかかりやすい白色の外壁と目に優しい白色の外壁を紹介します。
目に負担のかかりやすい白色の外壁
白色がまぶしく、目に負担のかかりやすい外壁の特徴に、以下の3つがあげられます。
- 明度の高い白色
- 高反射塗料でつくった白色
- 光沢のある白色
それぞれの理由を詳しく確認してみましょう。
明度の高い白色
明度、彩度の微妙な違いにより、あらゆる白色が作り出せます。たとえば、純白に少しだけ灰色などが混ざったオフホワイトや黄みがかったアイボリーなどは、白色の中でも明度は低めです。
オフホワイト | アイボリー |
---|---|
反対に純粋な白に近い色は明度が高く、太陽光を反射しやすいため注意が必要です。
高反射塗料でつくった白色
近年、政府による「カーボンニュートラル宣言※の達成に向け、住宅業界も省エネ対策に力を入れています。
- ※カーボンニュートラル
- 2050年までに、二酸化炭素などの温室効果ガスの排出ゼロを目指すこと
そのため、外壁や屋根自体に熱をため込まないよう、遮熱性能のある高反射塗料が多く流通するようになってきました。この高反射塗料を使用することで、太陽光を多く反射し、白色の外壁のまぶしさを増長させるでしょう。
地方公共団体(自治体)によっては外壁に高反射塗料を用いることで助成金が申請できるような制度も設けられ、個人宅の高反射塗料の使用を後押ししています。
光沢のある白色
塗料の艶感は太陽光の反射に影響を与えます。たとえば、艶感の種類は以下の5種類に分類されます。
- 艶あり
- 7分艶
- 5分艶(半艶)
- 3分艶
- 艶なし(マット)
艶あり塗料は色持ちがよいですが、その反射率の目安は70%以上と、まぶしさを感じやすいです。
反射の仕方には次の2種類があります。
- 正反射
- 拡散反射
正反射は外壁にあたった光がダイレクトに跳ね返る一方で、拡散反射は外壁にあたった光が分散してあらゆる方向に跳ね返る性質です。艶があると正反射、表面がマットであれば拡散反射しやすくなるしくみです。
目に優しい白色の外壁
まぶしいと感じにくい目に優しい白色の外壁は、目に負担のかかりやすい白色の外壁とは「対になる」ような特徴を持っています。
- 明度を低くした白色
- 反射率の低い塗料を使用した白色
- マットな質感の塗料を使用した白色
それぞれの特徴を確認してみましょう。
明度を低くした白色
アイボリーなど白色に別の色味を加えると、明度を低くできます。まぶしさが心配な方は純白の外壁ではなく、白っぽい外壁を取り入れてはいかがでしょうか。
反射率の低い塗料を使用した白色
同色の塗料でも、高反射塗料だとまぶしく感じられます。まぶしさを軽減したい場合には、セラミック塗料などの反射率の低い塗料を使用しましょう。
マットな質感の塗料を使用した白色
艶あり塗料は正反射しやすいため、外壁塗装にはマットな質感の艶消し塗料を選択しましょう。
艶消し塗料で塗装した外壁は、拡散反射によって目に飛び込んでくる光の量が少なくなり、まぶしさが軽減されます。
白色の外壁でもできるまぶしさ対策
外観の意匠性にこだわって「まぶしくなりやすいとわかったけれど、やはり白い外壁にしたい」と希望を持つ方もいらっしゃるでしょう。
長く親しむ自宅の外観ですから、こだわっておしゃれな外壁にするのもよい選択です。白い外壁にする場合、まぶしさ対策を取り入れましょう。
白い外壁でもまぶしく感じにくくする主な方法は、次の5通りあります。
- 庭の植栽を計画する
- 壁面緑化やオーニングを導入する
- 塗料にこだわる
- ツートンカラーにする
- 優良会社に依頼する
順に、内容を確認してみましょう。
庭の植栽を計画する
外壁に当たる光の量を、植栽で調整する方法です。日が当たりまぶしくなりやすい外壁に、木々の枝葉から木漏れ日が差し込むように調整できるとまぶしさ対策が可能です。
ただし、植栽は成長するため変化を伴います。定期的な伐採が必要なことや、落葉樹は冬場に葉が落ちやすい点には注意しましょう。自身での計画が難しければ、庭づくりに長けた外構事業会社などのプロに相談してみましょう。
壁面緑化やオーニングを導入する
まぶしい外壁面には、壁面緑化やオーニングの導入がおすすめです。壁面緑化は建物の外壁面に植物を育て、緑を取り入れる方法です。
具体的には、グリーンのカーテンのように植物を垂直にして壁を覆います。たとえば、夏場であれば朝顔やフウセンカズラ、きゅうり、ゴーヤなどが適しています。
導入する期間は、一定の季節のみ導入するか、通年で維持するか、植物の特性と照らし合わせながら計画できるとよいでしょう。
一方、オーニングは建物の外壁面に設置する日よけの一種です。遮光性能が高く、建物の外気温を下げられます。また、カーテンとは異なり、通年で設置できます。
壁面緑化やオーニングがまぶしさ対策によい理由は、日差しを遮りながらも光を拡散させられるためです。光を拡散させることで、建物の周りに明るさを残しつつ、まぶしさを和らげられるでしょう。また、オーニングには紫外線カット効果もあり、日焼けや紫外線の影響を防げます。
塗料の選定にこだわる
マットな質感の塗料、反射率ができるだけ低い塗料を使用するよう気を配りましょう。塗装会社に依頼する際には、「まぶしくない白色にしたい」と伝えるだけでは言葉足らずです。
こちらの意図を正確にくみ取れなければ、せっかく塗装してもイメージと異なる仕上がりになる場合もあるでしょう。要望をきちんと伝え、選定した塗料の性能も自身で確認できると安心です。
ツートンカラーにする
外壁のメインカラーは白色として、アクセントに異なる色を配色し、ツートンカラーで塗り分ける方法もあります。
アクセントカラーの割合にもよりますが、白い外壁の面積が減るため、まぶしさが軽減できるでしょう。
優良会社に依頼する
優良な外壁塗装会社は高品質で信頼性が高い材料や製品を使用するため、まぶしさ対策についても長期的な視野で考えられます。また、経験も豊富なため、まぶしさ対策について広範囲に知識を持っている可能性が高いです。
優良会社に依頼すると、白色の外壁を保ちながらまぶしさ対策を行う方法を提案してくれるでしょう。優良会社を選ぶには、外壁塗装の一括見積もりサイトぬりマッチの利用がおすすめです。
物件情報や名前を一度入力すると、すぐに一覧で外壁塗装の金額がわかります。金額や実際の電話対応などを確認し、優良会社かどうか判断しましょう。