外壁は壁面緑化が今どき?施工事例と住宅に採用するメリット・デメリット

更新日:
外壁は壁面緑化が今どき?施工事例と住宅に採用するメリット・デメリット

都市部の商業ビルやマンション、商業施設などの壁面に植栽をする事例が増えています。壁面を緑化すると、郊外よりも都市の気温が高くなる「ヒートアイランド現象」の緩和につながります。

また、美しく彩のある街並みの形成など数々のメリットがあるとして、国土交通省も壁面緑化を推奨しています。ただし、壁面緑化にはデメリットもあるので、実施する場合はメリットとデメリットの両方を把握しておくことが大切です。

本記事で詳しく解説するので、壁面緑化について詳しく知りたい方、外壁を壁面緑化にすべきか判断したい方は、ぜひ参考にしてください。

壁面緑化の施工事例

高層ビルの外壁は、日差しを受けることにより熱を吸収し、都市部の気温上昇につながるためヒートアイランド現象の一因となっています。その対策のひとつとして実施されているのが壁面緑化です。壁面の一部を緑化することで、熱の吸収を抑えられるため、気温の上昇を抑えられる可能性があるためです。

また、壁面緑化は技術の進歩によりさまざまなデザインで施工できるようになっています。さっそく、外壁における壁面緑化の施工事例を見ていきましょう。

JR熊本駅ビル

熊本駅ビル『ぼうけんの杜』の大滝

熊本駅ビル『ぼうけんの杜』の大滝。この画像は、実際の写真をもとにAIが作成しています。

熊本駅ビル『ぼうけんの杜』の壁面緑化

熊本駅ビル『ぼうけんの杜』の壁面緑化。この画像は、実際の写真をもとにAIが作成しています。

近年、壁面緑化でもっとも注目を集めたのがJR熊本駅ビルに造られた立体庭園です。室内に高さ10mの滝が地上3階から1階まで流れ落ち、滝つぼの周りの壁面には植栽が行われています。

また、3・5・7階には「緑の滞留空間」として、高さ30mの石壁と一体になった壁面緑化が設けられています。

大阪梅田ツインタワーズ・サウス

大阪梅田ツインタワーズ・サウス

大阪梅田ツインタワーズ・サウス

2022年に完成した大阪梅田ツインタワーズ・サウスで、壁面緑化・屋上緑化が行われ話題となりました。大阪梅田ツインタワーズ・サウスは百貨店なども入っている大型商業施設であり、大阪駅のすぐ前にある高層ビルですが、優しい緑が見る人に安らぎを与えています。

丸の内パークビルディング

丸の内パークビルディングの『緑の柱』のミスト

丸の内パークビルディングの『緑の柱』のミスト。この画像は、実際の写真をもとにAIが作成しています。

丸の内パークビルディングの『緑の柱』の壁面緑化

丸の内パークビルディングの『緑の柱』の壁面緑化。この画像は、実際の写真をもとにAIが作成しています。

東京では、丸の内パークビルディングの「緑の柱」などが有名です。丸の内パークビルディングは緑の柱の周りも緑が豊富で公園のようになっており、働く人々の憩いの場となっています。

壁面緑化の基礎知識

壁面緑化の基礎知識として、外壁に壁面緑化を採用する効果や壁面緑化の方法を紹介します。

外壁に壁面緑化を採用する効果

壁面緑化

壁面緑化

外壁緑化は、都市部におけるヒートアイランド現象や断熱保温効果、省エネルギー効果、空気清浄化効果などの環境改善や景観の向上、安心感や安らぎを与える心理的な効果などを目的に行われます。

また、外壁緑化はエクステリアとしても効果的です。無機質なビルが立ち並ぶ高層ビル群の中で、みずみずしい緑があれば、癒しの効果も期待できます。

屋上庭園も併設しているとあれば、入ってみたくなります。集客効果も期待できるうえ、奇抜なデザインにするよりも費用を抑えられるとあって近年人気が高まっています。

国土交通省も壁面緑化を推進

国土交通省をはじめとして、各自治体が屋上緑化と併せて壁面緑化を推進しており、都市部では一定以上の面積を持つ建物に、屋上や壁面の緑化を義務付けています

たとえば、東京では敷地面積1,000m2以上の民間施設(公共施設は250m2以上)は緑化する必要があります。

<緑化計画書制度>[屋上・壁面緑化の義務づけ]

敷地面積1,000m2以上の民間施設(公共施設は250m2以上)を対象として、新築や増築等の場合に、一定基準以上の緑化を義務づける。

同様に京都、大阪、埼玉でも下記のような緑化義務があります。

京都府地球温暖化対策条例>[屋上・壁面緑化の義務づけ/敷地の義務づけ緑化面積に算入可]

府内の市街化区域のうち、知事が市町村長と協議して定めた地域(特定緑化地域)内の敷地面積1,000m2以上の新築または改築が対象。

大阪府自然環境保全条例に基づく建築物の敷地等における緑化を促進する制度>[屋上緑化の義務づけ]

敷地面積1,000m2以上の建築物の新築・改築または増築を行う場合、規則で定める緑化基準に沿った緑化と、緑化計画書及び緑化完了書の届出を義務付ける。

<緑化計画届出制度(根拠:ふるさと埼玉の緑を守り育てる条例)>[その他:届出を義務づけ]

敷地面積3,000m2以上の建築行為を対象として、緑化計画の届出を義務づける。

引用:公益社団法人「みどりの技術プラットフォーム|屋上・壁面緑化の推進に関する諸制度

また、国土交通省は令和3年(2021年)には約14.4ha(ヘクタール)の屋上緑化、約2.8haの壁面緑化が行われたと発表しました。

令和3年には、約14.4haの屋上緑化、約2.8haの壁面緑化が新たに創出されました。

引用:国土交通省「魅力的な屋上緑化・壁面緑化事例が増加しています~令和3年 全国屋上・壁面緑化施工実績調査の結果~

外壁における壁面緑化の方法

外壁における壁面緑化には、登攀(とうはん・とはん)型下垂かすい基盤造成型の3種類あります。

登攀型や下垂型は、つる性の植物を外壁に這わす方法です。外壁にネットやワイヤーを設置してつる性の植物の成長を助けながら、外壁の緑化を進めていきます。外壁の下部に植物を植栽するのが登攀型、屋上付近に設置して垂らすように這わすのが、下垂型です。

基板製造型は、壁面に植栽基盤やプランターを設置して植物を育てます。シダ植物などつる性以外の植物でも栽培ができます。

※植栽基盤
「植物の根が支障なく伸長して、水分や養分を吸収することができる条件を備え、ある程度以上の広がりがあり、植物を植栽するという目的に供せられる土層」と定義しています。

引用:大阪府「植物の生育を支える植栽基盤

※プランター
植物を育てるために使う、底に穴の開いた浅い箱状の容器

基板製造型は外壁だけでなく内壁の壁面緑化にも適しており、オフィスや飲食店のインテリアとしてもおすすめです。

住宅の外壁に壁面緑化を採用するメリット

商業施設やオフィスビルでなくても 外壁の壁面緑化は可能です。実際に、一般住宅でもベランダでネットとプランターでグリーンカーテンをつくり、エコや景観を考えて外壁の壁面緑化を採用するケースが増えています

ここでは、住宅の外壁を壁面緑化するメリットを解説します。

省エネ効果が期待できる

外壁を壁面緑化にすると、日射しや暑さから建物を守る遮熱効果や部屋の熱が外に出ていかない保温効果が期待できます。

夏に山に入ると空気がひんやりと感じられるのは、植物の遮熱効果によるものです。遮熱効果や保温効果が高ければ、空調に使う電力も抑えられて省エネにつながります。

特に、都市部は緑が増えると「ヒートアイランド現象」も抑えられるため、より効果を実感できるでしょう。

建物の防水効果が高まる

近年、短期間に多量の雨が降るゲリラ豪雨が増えたことで深刻化しているのが、建物の浸水被害です。外壁には防水機能を持つ塗料が塗られていますが、あまりに激しい雨だと防水機能の限度を超えて雨漏りが発生することがあります。

しかし、壁面が植物に覆われていれば、外壁に当たる雨の勢いを弱められます。また、屋上を庭園にすれば、屋根の防水機能も高められるでしょう。

緑が気持ちを安定させてくれる

植物を見続けていると脳内でα(アルファ)波が増幅され、リラックス効果が高まります。ストレスの軽減も期待できるため、仕事の効率も上がりやすいといわれています。オフィスのインテリアにグリーンが多用されているのも、ストレスを軽減させてリラックス効果を高めるためです。

一般住宅でも、首都圏や大都市だと家の周囲に緑が乏しいこともあるでしょう。外壁を壁面緑化すれば、家を見るたびにリラックスできて落ち着けます。

また、緑化に使う植物を厳選すれば、四季を通じて植物のありさまが変化して素敵なエクステリアにもなります。「周囲が似たような家ばかりなので差別化を図りたい」という方にもおすすめです。

住宅の外壁に壁面緑化を採用するデメリット

ここでは、住宅の外壁を壁面緑化するデメリットを紹介します。

外壁の負担が増す

外壁を緑面壁化すると、壁への負担が増します。外壁の表面積が広いほど多量の植物が必要となり、重量も増えるでしょう。

一戸建ての壁をすべて緑面壁化した場合は、耐震強度にも影響が出るおそれがあります。植物を取り除いたあとは、外壁塗装や修繕が必要になる場合もあるでしょう。

手入れに手間と費用がかかる

植物は成長したり枯れたりします。いつまでも見目好く美しい状態を保つには、定期的なメンテナンスが必要です。

特に、壁面緑化として落葉する植物を採用する場合は、晩秋~冬の初めにかけて落ち葉の掃除をこまめにしないと近所迷惑になることもあるでしょう。また、台風などの自然災害が起こると、風で飛ばされた葉っぱが雨樋あまといを詰まらせる危険性も増します。雨樋のつまりは外壁からの雨漏りの原因にもなります。

また、手入れをせずに放置しておくと、植物によっては近隣の家の壁にまで枝葉を伸ばすかもしれません。そうなると、近所から多額の修繕費や清掃費を請求されるおそれもあります。

設置に費用がかかる

外壁を緑面壁化にするには、植物を植える費用、ワイヤーやネット、基盤を設置する費用のほか、水道代や肥料代、維持費もかかってきます。

さらに、たくさんの植物を壁面に設置する場合は、耐震補強費も必要です。建物の広さや外壁の強度によっては、10万円以上の費用がかかることもあるでしょう。

外壁を壁面緑化にする?しない?迷ったら外壁工事業者へ

外壁を壁面緑化にするか迷っている方は、外壁工事業者に一度相談してみましょう。外壁によっても、壁面緑化が適しているものと植物によって外壁が傷みやすく適していないものがあります。

「家の周囲にはたくさんの外壁塗装や工事を行う業者があり、どこに依頼していいか迷う」といった場合は、一括見積もりサイトぬりマッチを利用してみましょう。外壁工事を依頼したい地域を選択し、必要事項を入力すれば、一括で複数社の見積金額がわかります。

無料で家からインターネット経由でできるので、事務所や店舗まで足を運ぶ必要もなく、おすすめです。

【完全無料】ぬりマッチで複数社に見積もり依頼して比較しましょう!

今すぐ無料相談する

今すぐ無料相談する

おうちの塗装あなたの地域の相場は?

完全無料診断する 完全無料診断する