ブロック塀が倒れるのを防止する予防策|倒壊時の管理責任や保険可否も解説

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ブロック塀が倒れるのを防止する予防策|倒壊時の管理責任や保険可否も解説

地震で外壁のブロック塀が倒壊し、周りに被害が出ると所有者は管理責任を問われます

この記事ではブロック塀が倒壊したときの管理責任や倒壊防止策を紹介するとともに、住宅の外壁を倒壊させないための予防策についても解説します。「倒壊を心配されている方」「劣化が気になっている方」は、ぜひ参考にしてください。

倒壊のリスクが高いブロック塀の見分け方

ブロック塀が倒壊するリスクが高いか低いかは、ブロック塀の状態を確認するとわかります。

塀が傾いている

塀が傾いている場合や手で押すなどしたときにぐらつきがある場合には、少しの揺れでも倒壊するおそれがあります。

ひび割れがある

ブロック塀にひび割れが見られる場合は、塀の内側に雨水が浸入し鉄筋がさびているおそれがあります。その場合、十分な強度を確保できなくなっているため、倒壊の危険があるでしょう。

塀が高すぎる

ブロック塀は構造に応じて積み上げられる高さが、建築基準法施行令で定められています。補強などをしても2.2mが法で定められた最高の高さなので、「明らかに高く積み上げられている塀」であれば倒壊するリスクが高い、と考えて対策する必要があります。

第六十二条の八 補強コンクリートブロック造の塀は、次の各号(高さ一・二メートル以下の塀にあつては、第五号及び第七号を除く。)に定めるところによらなければならない。ただし、国土交通大臣が定める基準に従つた構造計算によつて構造耐力上安全であることが確かめられた場合においては、この限りでない。

一 高さは、二・二メートル以下とすること

引用:昭和二十五年政令第三百三十八号「建築基準法施行令

ひかかべの間隔が広すぎる

控え壁とは、以下のようにブロック塀に対して垂直に取り付けられた出っ張り部分のことです。「バットレス」ともいいます。

控え壁

控え壁

高くブロックを積み上げて塀をつくる場合は、控え壁を既定の間隔で設ける必要があります。

法律により、高さ1.2mを超えるブロック塀では控え壁を3.4m以下の間隔で設けなければいけません。そのため、控え壁の間隔が広すぎるのであれば倒壊のリスクがあると考えたほうがよいでしょう。

透かしブロックが連続で入っている

下記のような、模様などでくり抜かれた「透かしブロック」が連続して入っているブロック塀は、倒壊のリスクが高いです。

透かしブロックが連続で入っているブロック塀

透かしブロックが連続で入っているブロック塀

透かしブロックには、鉄筋が入っていないことがあります。鉄筋が入っていなければ、単純にブロックが積まれただけの状態です。そのため、地震などの揺れで倒壊するおそれがあります。

築年数がっている

築年数が30年以上経過しているようなブロック塀も、倒壊のリスクがあると考えたほうがよいでしょう。

見た目は何も問題ないように見えても、経年劣化によって見えない場所にひび割れなどを起こしているおそれがあります。倒壊のリスクを考え、点検や補修などを検討しましょう。

大地震や台風でブロック塀が倒壊。管理責任は?

大地震や台風などによってブロック塀が倒壊した場合、所有者が管理責任を問われる可能性があります。

所有者が責任を問われる

所有している建築物が原因で人にケガを負わせたり、ものを壊してしまったりした場合、その責任は所有者が負います

具体的には、民法第七百十七条で以下のように定められています。

第七百十七条 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。

2 前項の規定は、竹木の栽植又は支持に瑕疵がある場合について準用する。

3 前二項の場合において、損害の原因について他にその責任を負う者があるときは、占有者又は所有者は、その者に対して求償権を行使することができる。

引用:明治二十九年法律第八十九号「民法

建築物の所有者には、工作物責任が課せられています。工作物の瑕疵かしによって他人に被害を与えた場合は、工作物の所有者が賠償責任を負います。

手抜き工事が原因でも賠償責任は所有者

倒壊の原因が、施工会社の手抜き工事だったとしても、被害者の賠償責任を負うのは所有者です。

所有者からすると自身も被害に遭った気持ちになるところですが、倒壊による被害者と工事を請け負った会社は無関係とみなされます。

また、施工会社に対しては、所有者が賠償を請求します。素直に間違いを認め応じてくれる会社であればよいのですが、手抜き工事や法律に準じていない工事を行う会社ですので素直に応じることは、まずないでしょう。

この場合は消費生活センターや弁護士などの、専門家に相談するようにしてください。

予期せぬ災害が原因の場合、賠償責任を負う必要はない

ブロック塀が倒壊すると所有者が賠償責任を負うことになる、というのが基本的な考えですが、大きな地震など予期できない災害によって工作物が破壊されたときは、賠償対象になる確率は低いです。

そのため、法的な基準や維持管理をしっかりと行ったうえで予想外の災害に遭ってブロック塀が倒壊した場合は、賠償責任を負う必要はないでしょう。

ただし、賠償責任を負う必要があるかどうかの最終判断は、弁護士などの専門家に相談したほうが確実です。

ブロック塀が倒壊したときの賠償費用

ブロック塀が倒壊し、隣家を傷つけた場合や通行人がケガをした場合、賠償費用はどのくらいになるのでしょうか。

2016年の熊本地震では、倒壊したブロック塀の下敷きになり29歳の男性が死亡。57歳の女性も足をつぶされて障害が残ったまま生活を強いられる、という事故が起こりました。

この熊本地震によるブロック塀倒壊の事故では、ブロック塀の所有者が過失致死罪と過失致傷罪で刑事告訴され、民事訴訟も起こされています。結果、死亡した遺族には4,184万円障害が残った女性に対しては治療費などを含め2,604万円の支払いが求められることになりました。

万が一でも人が亡くなるような事故になることは避けなければいけません。倒壊させないために、維持管理を行うことが所有者には求められます。

火災保険で補償を受けられ場合も

ブロック塀が倒壊してケガをさせたり隣家を傷つけたりした場合に、個人賠償責任保険で補償を受けられることがあります。個人賠償責任保険は契約者やその家族が他人にケガを負わせたり、ものを壊したりしたときの賠償責任に備えた保険です。

火災保険の特約で個人賠償責任保険に入っていた場合、免責事項に該当しなければ補償を受けられる可能性があります。具体的には保険会社に確認と相談をしましょう。

ブロック塀を倒壊させたくない!いまからできる予防策

ブロック塀が倒壊するようなことがあれば、周囲に被害を与えるおそれがあります。ブロック塀を倒壊させないために、いまからできる予防策を解説します。

再塗装をする

ブロック塀に大きなひびが見られず、傾きなども見られないのであれば今後の劣化対策として再塗装を検討しましょう。ブロック表面が劣化しひびが入ると、そこから侵入した雨水によって内部の鉄筋がび、ブロック塀の強度を低下させます。

表面の劣化を防ぐことができ、汚れたブロック塀の見た目もきれいにできるので、初期の予防策として再塗装をするとよいでしょう。

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再塗装を依頼する

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控え壁をつくる

倒壊への対策として有効な予防策が、控え壁をつくることです。

控え壁はブロック塀に対して垂直に建てることで、ブロック塀にかかる横荷重よこかじゅうを受け止めて地震がおきても倒壊しないように補強する役割をもっています。

横荷重よこかじゅう
横方向にかかる力

控え壁をつくる手順は以下のとおりです。

  1. 控え壁を設ける位置のブロック塀を一部撤去する
  2. 鉄筋を配筋して型枠を組む
  3. コンクリートを打ってつくる

有効な対策である反面、コンクリートを打ってつくることから費用がかかる点は注意が必要です。具体的には、外構工事を行う専門業者に相談するとよいでしょう。

金物で支える

控え壁をつくる対策に似た考えですが、鉄などの金属製の補強用金物で支えを設ける予防策もあります。それは、鉄工所で製造した鋼製支柱を設置する工事です。

控え壁の場合も同様ですが、ブロック塀が建っている場所が狭いと有効な形での設置が難しい場合もあるので注意しましょう。

ブロック塀を撤去する

倒壊させないという予防策とは異なりますが、思い切ってブロック塀を撤去するのも、ひとつの考えです。いまにも倒れそうなほど劣化が進行している場合や、敷地に余裕がなく有効な予防策がとれない場合などは、ブロック塀を撤去することが一番の対策になるでしょう。

撤去したうえで、アルミフェンスなどを新たに設ければ、目隠しの役割も持たせられます。ブロック塀がかなり劣化しているのであれば、撤去もひとつの対策として検討してください。

地方公共団体(自治体)によっては、補助制度を利用できるところもあるので、専門業者に相談してみましょう。

外壁も倒壊させない予防策

劣化があまりにも進行してしまった場合、ブロック塀のように住宅の外壁が倒壊するおそれがあります。

外壁が倒壊するほど劣化が進んでいると柱やはりなどの構造部分もかなり劣化していると考えられます。修理することを考えるのであれば、相当な費用が必要になることを覚悟してください。

そのため、外壁はできるだけ早めにメンテナンスするのが望ましいです。

倒壊しそうな外壁は構造ごと変える必要

すでに外壁が倒壊しそうになっている場合、外壁を張り替える工事だけでは修理できないおそれがあります。劣化の状況から判断して雨漏りなどが原因で柱や梁などの構造部が傷み、強度が著しく低下しているため、それらの部材を入れ替える必要があるからです。

構造を入れ替えるためには高額な費用が必要です。外装も内装の仕上げもやり直す必要があり、工事範囲が広がるためです。

さらに、傷んでいる柱がとおばしらであれば、柱の入れ替えという手段も構造的な理由から難しくなります。最悪の場合は建て替えるしか手段がなくなります。

とおばしら
土台から外壁上部まで、つなぎ目のない柱

外壁は劣化が進みすぎてしまうと直すことができず、家を建て替える必要がある、ということを覚えておいてください。

予防策として外壁塗装を!

外壁の劣化防止に効果があるのが外壁塗装です。外壁が倒壊しそうなほど劣化する前に、早めに外壁塗装をしましょう。

劣化状態を長期間放置すると、雨水などが侵入して柱や梁が傷みます。具体的には、外壁にひびが入っていたり、外壁のつなぎ目やサッシ周りのコーキングが切れていたりした場合は、長期間放置すると雨水などが侵入して柱や梁が傷みます。その結果、外壁が倒壊するほどの被害が発生します。

新築時や前回の塗装から10年以上経過していると、外壁の劣化が始まりだしていると考えてください。先ほど述べた外壁のひびコーキングの劣化チョーキング現象などの初期の劣化状態が見られるのであれば、外壁を倒壊させない予防策として外壁塗装を検討しましょう。

チョーキング現象

チョーキング現象

※チョーキング現象
外壁表面を触ったときにチョークの粉のようなものが手につく現象

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