狭小地でも外壁塗装などの施工はできる?足場の設置には何センチ必要?

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狭小地でも外壁塗装などの施工はできる?足場の設置には何センチ必要?

狭小地とは20坪未満の狭い土地のことで、住宅が密集している地域でよく見られます。狭い土地を活用するため、境界ぎりぎりまで建物が建っていることもあります。そういった土地だと、足場を設置するのは困難です。そんな狭小地でも、外壁塗装はできるのでしょうか。

狭小地の外壁塗装は難しい、その理由…

都市部には土地にあまり余裕がないため、面積が20坪にも満たない狭小地をよく見かけます。土地の購入費用を抑えられる、駅近の便利な地域にあるなど、狭小地にはさまざまなメリットがあるのです。

しかし、狭小地に建つ家は、外壁塗装が難しいという一面もあります。狭小地だと外壁塗装が難しくなってしまう理由を見ていきましょう。

隣地との隙間が狭くて足場の設置がしにくい

外壁塗装には高所作業がともなうため、足場の設置が欠かせません。事業者は高さが2m以上の場所で作業を行う場合は、足場を組み立てる等の方法で安全な作業床を設けなければならないことが、労働安全衛生規則で定められているのです。

第五百十八条 事業者は、高さが二メートル以上の箇所(作業床の端、開口部等を除く。)で作業を行なう場合において墜落により労働者に危険を及ぼすおそれのあるときは、足場を組み立てる等の方法により作業床を設けなければならない。 労働安全衛生規則 第五百十八条

しかし、住宅の外壁塗装で一般的に使用されるくさび緊結式足場(ビケ足場)や枠組み足場を設置するには、70cmほどのスペースが必要です。そのため、塗装する建物から隣地境界線、または道路境界線まで70cmの距離を確保できないとこれらの足場を設置できません。

一般的に足場を設置できないときは狭小地用の足場を使用するほか、直径48.6mmの単管パイプとクランプという金具を組み合わせてつくる単管ブラケット足場や、単管抱き足場を使用します。これらの足場であれば、50cm程度の隙間があれば設置可能です。

一方、労働安全衛生法では幅が40cm以上の作業床を設置することが定められているため、それが設置できない場合には転落防止のために作業者は安全帯を使用して作業を行わなければなりません。

四 足場材の緊結、取り外し、受渡し等の作業にあつては、墜落による労働者の危険を防止するため、次の措置を講ずること。
イ 幅四十センチメートル以上の作業床を設けること。ただし、当該作業床を設けることが困難なときは、この限りでない。 労働安全衛生規則 第五百六十四条

さらに隣家との隙間が狭くなるほど、隣家の屋根や外壁などに足場材をぶつけて破損させてしまうおそれがあるため、細心の注意が必要です。

塗料が隣地に飛散するリスクがある

狭小地では自身の建物と隣家の建物が、非常に近接して建っていることがあります。そのため、外壁塗装工事中に高圧洗浄水や塗料、埃などが隣地の建物や車に飛び散って汚してしまうリスクが通常の塗装より高くなります。

トラブルを未然に防ぐためにも、隣家の建物や車、植栽などには、作業に着手する都度シートをかけて、塗料などが付着しないように注意しましょう。

塗料の臭いや騒音で近隣に迷惑をかけやすい

狭小地は住宅の密集地に建っていることが多いため、通常の外壁塗装より塗料の臭いや工事中の音などが周囲に伝わりやすく、近隣からのクレームに発展することがあります。特に足場の組み立てや外壁の高圧洗浄では、大きな音が発生します。

塗料の臭いは完全に防ぐことはできませんが、比較的臭いが少ない水性塗料を使用したり、大きな音が発生するときには事前にその旨を近隣住民に伝えておいたりすることが必要です。

朝早くからの施工や、夜遅くまでの施工はクレームの原因になるので、絶対に避けなければいけません。

工事車両の駐車場所にも注意が必要

工事中には足場材などの資材を現場に搬出入する車両が現場の前に停まります。多くの狭小地は敷地の間口が狭いため、駐車中の車両が隣地の前まではみ出してしまうことがあります。

別の場所に駐車スペースを確保していれば問題ありませんが、そうでない場合は事前に隣の家に挨拶しておくことが大切です。

さらに現場の前の道路が狭い場合は、施工会社の車が道路をふさいでほかの車が通れなくなったり、視界が悪くなって事故が起こりやすくなったりすることがあります。このような事態を避けるために、交通誘導員の配置が必要になることもあります。

隣地との隙間が狭くても外壁塗装は可能!

隣地との隙間が狭い場合はさまざまな問題が起こり得るため、外壁塗装をあきらめてしまう方もいるでしょう。しかし実際には、狭小地でも外壁塗装を行う方法があります。隣地との隙間が狭くても、外壁塗装を行う方法を紹介します。

狭所用の足場を使用する

足場の設置に必要な70cmを確保できない場合は、狭所用の足場を使用する方法があります。

狭所用の足場には踏板ふみいたの幅が25cmや15cmのものがあり、それでも足場を組むのが難しい場合は、支柱が踏板の中心を通る「センター踏板」の足場や、単管足場などがあります。

しかし、これらの足場は強度や作業中の安全性が低いため、作業には細心の注意が必要です。

隣の敷地を使わせてもらう

外壁塗装を行う建物と隣地境界線との距離が30cm未満の場合は、隣家の土地を使わせてもらうのがもっとも現実的な方法です。日ごろから隣地の方と良好な関係を築いていれば、隣地を借用したい旨を伝えれば、快く承諾してもらえるはずです。

実際に隣地を使用するときは、事前に施工会社の担当者と一緒に挨拶して隣人の承諾を得ておきましょう。

民法では、必要があれば隣地を通知したうえで使用できると記載されています。

第二百九条 土地の所有者は、次に掲げる目的のため必要な範囲内で、隣地を使用することができる。ただし、住家については、その居住者の承諾がなければ、立ち入ることはできない。
一 境界又はその付近における障壁、建物その他の工作物の築造、収去又は修繕 民法 第二百九条

空中越境で足場を設置する

ガーデニングを趣味にしている方や隣地境界線上に樹木のある方のなかには、自分の敷地に足場を設置されることに抵抗のある方も少なくないでしょう。

そのような場合には、足場の一部を空中で越境させるという方法があります。空中越境であれば、隣地境界線上にある樹木などにもそれほど悪影響がないため、比較的隣家の承諾が得やすいでしょう。

ロープアクセス工法を用いる

ロープアクセス工法とは、全身ハーネスと2本のロープを使って、作業員が吊り下がりながら高所作業を行う方法です。

足場を設置する必要がなく、最低40cm程度の隙間があれば施工できますが、部分的な補修作業や建物の点検・調査・診断・メンテナンス作業等に適した工法です。

足場を組まないので安価で施工できますが、通常より工期が長くかかり、落下などの危険性もあります。そのため、この方法で施工を行っていない施工会社もあります。したがって、ほかに方法がないときの、最後の手段と考えておきましょう。

狭小地で外壁塗装を行うときの注意点

狭小地に建つ家の外壁塗装では、一般的な家の塗装同じ感覚で施工してしまうと、トラブルが発生する原因になります。狭小地で外壁塗装を行うときの注意点を見ていきましょう。

事前に近隣への挨拶をしっかり行う

狭小地では隣家との距離が近いため、隣家に対して十分に配慮しながら施工しなければなりません。塗料や埃などの飛散や、足場の上からの工具の落下、工事中の騒音や塗料の臭いなどに細心の注意が必要です。あわせて、工事前の近隣への挨拶を決して怠らないようにしましょう。

工事に着手する1週間前には施工業者と一緒に近隣へ挨拶を行い、工事の期間や毎日の作業時間、休日、施工会社の担当者の連絡先、工事の内容などを伝えてください。洗濯物を干せない日や大きな音が発生する日などがあれば、施工会社に説明してもらいましょう。

大まかな工程表などがあれば、挨拶のときに渡しておくのがベストです。また、近隣の方からの質問に対して曖昧な回答をしてしまうと、かえってトラブルの原因になってしまうため注意が必要です。

不在のお宅には工事期間や作業時間、施工会社の連絡先、工事内容などを記入した挨拶文をポストに投函しておきましょう。

3階建てはやや平米単価が上がる

都市部の狭小地や住宅密集地に多く見られる3階建て住宅の外壁塗装では、工事費が若干高くなる傾向があります。特に足場代は架設する面積で費用が変わるため、2階建てより3階建ての費用のほうが高くなる傾向にあります。

また、足場が高くなるほど強度が必要になるため、頑丈に組み立てなければなりません。そのため、足場の単価が高くなって、2階建てと比較して外壁塗装の総額が高くなるのです。

耐用年数の長い塗料がおすすめ

外壁塗装で使用する塗料には、さまざまな種類があります。通常は10~15年程度の周期で外壁の塗り替えを行いますが、フッ素塗料や無機塗料といった耐用年数が長い塗料を選択すると塗装費用は高額になるものの、メンテナンス周期を20年程度に延ばすことが可能です。

特に狭小地では隣家の方に土地を借用するなどの手間がかかるため、少しでも耐用年数の長い塗料を使ってメンテナンスサイクルを延ばすことをおすすめします。

屋根塗装と同時に行うのがおすすめ

屋根の修繕や塗装でも、足場の架設は不可欠です。特に狭小地では足場代の節約、隣家の許可の手間などがあるため、外壁塗装と屋根の修繕、塗り替えを同時に行うことをおすすめします。

屋根と外壁を同時に塗装すれば、約15~20万円の足場代の節約につながります。

そして塗料の選択では、屋根と外壁のメンテナンスのタイミングが同じになるように、使用する塗料の耐用年数が同じものを選びましょう。

狭小地での施工実績が豊富な施工会社を選ぶ

狭小地の外壁塗装では、近隣への挨拶や隣地の借用許可、足場の架設・施工の際の注意点といったさまざまな問題をクリアする必要があります。

そのため、狭小地での施工実績が豊富な会社へ依頼すると安心です。施工会社を選ぶときは、会社のWebサイトやインターネットの口コミなどで、過去の施工実績や地域の評判などを必ず確認しておきましょう。

また、近くに施工中の現場がある場合は、実際の現場の様子を確認しておくことをおすすめします。

相談する施工会社を探すときはぬりマッチが便利です。建物の情報などを入力するだけで、施工に対応できる施工会社を紹介してもらえます。施工できないと諦める前に、まずはぬりマッチを通して施工会社に相談してみましょう。

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