築15年が経過した家の外壁塗装は、塗膜の劣化や損傷が進行していることが多く、適切な時期に塗り替えをしないと深刻なトラブルを引き起こすことがあります。
築15年の家の外壁塗装にかかる費用の目安や、塗装以外に発生する費用について解説します。また、外壁塗装を依頼するときに、あらかじめ知っておきたいポイントについても詳しく解説します。
築15年の家だと外壁塗装にいくらかかる？
マイホームも築15年が経過して、外壁の汚れや塗膜の剥がれなどが気になっている方が多いのではないでしょうか。ここでは、築15年が経過した家の、外壁塗装にかかる費用について紹介します。
築15年は外壁塗装のタイミングとしては遅め
近年では外壁塗装に使われている塗料は、シリコン系塗料が主流となっています。そして、シリコン系塗料の塗り替え時期の目安が10年前後といわれているため、15年間外壁塗装をしていない場合は、塗り替えのタイミングとしては遅めであるといえます。
そのため、築15年を過ぎて外壁塗装を行う場合は塗膜が著しく劣化し、塗膜の剥がれやひび割れなどが発生しているかもしれません。それにより、水分が壁の内部に浸入し、木材の腐食や雨漏りの原因になっていることも考えられます。
外壁塗装の費用の目安
一般的な木造2階建て、延べ床面積30坪、外壁モルタル仕上げの一戸建て住宅を、シリコン系塗料を使って外壁塗装を行う場合の、大まかな費用の内訳は次のようになります。
| 項目 | 数量 | 単価（円） | 合計（円） |
|---|---|---|---|
| 仮設足場 | 250㎡ | 900 | 225,000 |
| 飛散防止ネット | 250㎡ | 200 | 50,000 |
| 高圧洗浄 | 120㎡ | 250 | 30,000 |
| 養生 | 120㎡ | 200 | 24,000 |
| 下地処理 | 1式 | 25,000 | |
| 外壁塗装（シリコン塗料3回塗り） | 120㎡ |
2,500 |
300,000 |
| 付帯部分塗装 | 1式 | 100,000 | |
| 廃棄物処分 | 1式 | 20,000 | |
| 諸経費（10%） | 1式 | 77,000 | |
| 合計 | 851,000 |
塗装以外の想定される費用
築15年を過ぎても外壁の塗り替えを行っていない場合は、塗料による外壁の保護機能がすでに失われている状態です。そのため、塗装の費用以外にも補修費用が発生することがあります。
一般的な外壁塗装費用以外に発生するおそれのある費用には、次のようなものがあります。
ひび割れ補修費用
塗膜が劣化すると防水機能が低下してしまうため、外壁内部に浸入した水分が乾燥と収縮を繰り返すことでひび割れが発生することがあります。
軽微なひび割れの場合はシーリング材を充填して補修（シール工法）しますが、ひび割れの幅に応じてエポキシ樹脂を注入したり、Uカットシール材充填工法などの特殊な工法を用いたりして補修します。
ひび割れ補修費用の目安は、シール工法が約300円/m、Uカットシール材充填工法が約2,000円/mです。数量が少ない場合は、1カ所あたり10,000円前後が目安です。
欠け、穴、へこみ、傷等の補修費用
定期的な外壁塗装工事を怠った場合は、冬になるとモルタル外壁に浸入した水分が凍結して、外壁に欠けや傷などが発生することがあります。
補修費用は不具合部分の大きさや範囲によって異なりますが、1カ所あたり1～6万円程度が目安です。
外壁の浮きや膨らみ、反り、剥がれ等の補修費用
外壁がサイディング張りの場合には紫外線の影響や雨水の浸入などによって、サイディングボードに浮きや膨らみ、反りなどが発生することがあります。
補修費用は補修範囲や不具合の度合いによって異なりますが、10万円以上かかってしまうことも少なくありません。
雨漏り修理費用
塗料の防水機能が失われると、室内に雨漏りが発生することがあります。最悪のケースだと構造躯体の腐食やシロアリの繁殖につながり、その場合は外壁の塗り替えだけで対応できなくなってしまいます。
雨漏り修理費用や構造躯体の補修費用、シロアリ駆除費用のほかに、外壁の重ね張り（カバー工法）や張り替えが必要になる場合は、費用が150万円以上かかることもあります。
注意！外壁塗装をしないで放置すると家が傷む
外壁塗装は適切な時期に行うことが不可欠です。もし、外壁塗装を行わずに長年放置し続けたときに起こり得るトラブルには、次のものがあります。
塗装が色あせて見た目が悪くなる
外壁塗装を行わずにそのまま放置し続けると、紫外線や雨風の影響で外壁表面が色あせたり、塗膜が剥がれたりして建物の美観が著しく低下します。時間の経過とともに、外壁の汚れや劣化が目立つようになり、家全体の印象が悪くなってしまうのです。
美観の低下は、近隣住民からの印象が悪くなったり、悪質な塗装業者に狙われたりするリスクがあります。また、建物の資産価値が下がる原因にもなるため、決して軽視できるものではありません。早めの外壁塗装で、家の美しさを維持することが大切です。
外壁にひび割れが発生して雨水が浸入する
外壁塗装の役割のひとつが建物を雨水から守るための防水機能です。塗膜の防水機能が低下すると、外壁にひび割れが発生しやすくなります。ひび割れが発生すると、そこから雨水が浸入し、室内に雨漏りが発生してしまうことがあります。
雨漏りによる湿気は、カビやダニが発生する原因になるため、住人の健康被害につながるかもしれません。外壁塗装を適切に行うことで、こうしたトラブルを未然に防げます。
建物の構造躯体が腐食する
雨漏りが長期間続くと、柱や梁などの構造躯体が腐食する原因になります。木材は水分を吸収すると腐りやすくなるため、雨漏りによる湿気は構造躯体の耐久性を著しく低下させてしまうのです。
さらに、最悪のケースではシロアリが繁殖してしまうことがあります。シロアリは木材を食い荒らすため、建物の構造躯体にとって深刻なダメージを及ぼします。構造躯体の損傷が進行すると、最終的には家の寿命が短くなってしまいます。
補修費用が高くなる
外壁塗装を行わずに長年放置し続けると、外壁の劣化が進行し、大掛かりな修繕工事が必要になります。たとえば、外壁のひび割れが深刻な場合、外壁を一旦剥がす必要があるかもしれません。また、雨漏りによる内装材の損傷や、構造躯体の腐食が進行している場合は、それらの補修にも費用がかかります。
こうした大規模な修繕工事は、定期的な外壁塗装の費用よりはるかに高額です。外壁塗装を適切な時期に行うことで、大きな出費を避けられるでしょう。
外壁塗装を依頼するときのポイント
外壁塗装を行う際には、その過程で多くの注意すべき点があります。ここでは外壁塗装を依頼するときのポイントについて紹介します。
耐用年数の長い塗料を選択する
外壁塗装に使用する塗料にはさまざまな種類がありますが、塗料の種類によって価格と耐用年数が異なり、一般的には耐用年数の長い塗料ほど価格も高くなります。
主な塗料の種類とそれぞれの耐用年数の目安は次のとおりです。
| 塗料の種類 | 耐用年数の目安（年） |
|---|---|
| アクリル塗料 | 5～8 |
| ウレタン塗料 | 7～10 |
| シリコン塗料 | 10～15 |
| ラジカル（制御型）塗料 | 12～15 |
| 光触媒塗料 | 12～20 |
| フッ素塗料 | 15～20 |
| 無機塗料 | 20～25 |
次回の外壁塗装の時期をできるだけ先送りしてコストパフォーマンスを高めたいのであれば、耐用年数の長い塗料を選択することをおすすめします。
塗料の種類と特徴を把握しておく
塗料にはアクリル系、ウレタン系、シリコン系、フッ素系など樹脂による違いのほかに、水性塗料や油性塗料といった希釈剤の違いや、1液型と2液型の違いなどがあって、それぞれにメリットとデメリットがあります。
これらの大まかな特徴を、あらかじめインターネットなどで調べて把握しておきましょう。施工会社からの提案内容を理解したり、最適な塗料を選んだりするときに役に立ちます。
屋根と外壁を同時に塗装する
屋根も外壁と同じように、定期的な塗装が必要になります。築15年だと、外壁のように屋根も傷んでいると考えられます。
屋根の塗装にも足場の設置が欠かせないため、屋根と外壁を同時に塗装することで1回分の足場代を節約できます。また、工事を行うために必要になる色決めや打ち合わせ、近隣への挨拶などの手間と時間を省けるようになります。
悪質な施工会社に注意する
外壁塗装を行っている業者のなかには、いまだに悪質な施工会社が存在しています。
悪質な施工会社には、次のような特徴があります。
- 突然訪問してきて契約を迫る
- 足場代無料やモニター募集などの甘い言葉で特典をアピールする
- 不安をあおって契約を急がせる
- 自社開発のオリジナル塗料をすすめる
- 工事費用の前払いを要求してくる など
訪問営業を行っている会社が、必ずしも悪質な施工会社だとはいえません。しかし、少しでもこのような傾向があったら、決して外壁や屋根のチェックをさせてはいけません。チェックのときに、わざと破損させて契約を取ろうとする会社もあるためです。
複数の塗装業者に相見積もりを依頼して価格や工事内容を比較する
外壁塗装を施工会社に発注する際、一般の方には1社の見積もり書だけを見ても価格や工事内容が妥当なものなのかどうかの判断ができません。
したがって工事を発注する際には、事前に同じ条件で複数の塗装業者から相見積もりを取得して、その内容を比較検討することが大切です。
施工会社に必要事項を確認しておく
施工会社を選ぶときに確認しておきたい事項には、塗装技能士資格や建設業許可証（塗装工事業）の有無、過去の施工実績、損害保険加入や工事保証の有無、自社施工かどうかなどがあります。
これらは絶対に必要というものではありませんが、施工会社の信頼度を把握して、着工後のトラブルを避けるうえで大切なポイントといえます。
特に工事保証は非常に重要で、どんなに優良な会社であっても数年後に不具合が発生するケースがあります。そういったときに、保証があれば迅速な対応を期待できます。
まとめ
築15年の家の外壁塗装では、一般的に約100万円弱の費用がかかります。また、塗装以外にもひび割れや雨漏りなど、補修費用が発生するリスクにも注意が必要です。適切なタイミングで塗装を行えるよう、注意しましょう。
信頼できる施工会社選びでは「ぬりマッチ」のような、一括見積もりサイトの利用がおすすめです。複数の施工会社に見積もってもらい、費用や工事内容を比較して、信頼のできる施工会社に依頼できます。
施工会社選びは外壁塗装の結果を左右する、重要なステップです。手間を惜しまず、信頼できる会社に依頼してください。