ガルバリウム鋼板は金属製でありながら軽量で、屋根材や外壁材として多く使用されています。
住宅の屋根にはさまざまな傾斜のものが存在し、その傾斜の程度を勾配といいます。勾配によって使われる屋根材が決まります。
ガルバリウム鋼板を屋根に使用したい時、勾配はどれくらい必要なのでしょうか。本記事では、ガルバリウム鋼板の屋根と勾配の関係について詳しく解説します。
屋根の勾配について
そもそも屋根の勾配とは何か、確認方法と合わせてみてみましょう。
勾配とは
屋根勾配とは、屋根の傾斜の度合いや傾きの角度を表している建築の専門用語です。
基本的に勾配は以下の条件により決められます。
- 屋根材の種類や形状
- その地域の降雨量や降雪量などの気象条件
- 設計士や施主の意向
リフォームで屋根材を施工する場合は、希望する屋根材により必要最低勾配が決まっています。勾配は地域の条件などによっても基準が決められるほど、建物にとっても重要な要素といえます。
そのため、勾配に合った屋根材を選ぶことが必要です。
指定された勾配以下にすると、雨漏りや屋根材の吹き上げなどの問題が発生する可能性が高くなります。
雨漏りが発生すると建物内の材木を腐食させ、老朽化を促進させることにつながります。また吹き上げは、台風や強風での災害時など風に対して弱く破損するリスクもあるのです。
屋根材の中でも、ガルバリウム鋼板の屋根は緩い勾配にも適用でき、汎用性が高いです。
表記方法
日本の建築物では、設計で屋根の傾斜角度を決めるときに30度や40度などの角度では表現しません。「寸」で表されることがほとんどです。
具体的には、水平方向に10寸行ったところから垂直方向に何寸上に上がったかで表記されます。
たとえば、10寸水平に行き4寸上がった場合は、4/10もしくは40/100という表記方法で4寸勾配といいます。
図面では屋根近辺に記載されている直角三角形の周囲の数字で確認できます。
1寸=3.03cm
10寸=30.3cm
と覚えておくとよいでしょう。
自宅の勾配の確認方法
自宅の屋根勾配は、図面に書いてある数字で確認できます。
図面を見ると、屋根の近くに直角三角形の定規のような形に数字が記載されています。1辺は10と記載され、もう1辺に記載されている数字が2.5なら2.5寸勾配、4なら4寸勾配ということです。
このように10に対してもう1辺の数字を見るだけで、自宅の屋根が何寸勾配なのかが確認できます。
図面が見当たらない場合には、専門業者に実際の屋根を確認してもらうことをおすすめします。
また、屋根のメンテナンスについては以下の記事を参考にしてください。
ガルバリウム屋根の勾配における特徴
ガルバリウム屋根は汎用性の高い屋根材とお伝えしましたが、具体的に勾配との関係性においてどのような特徴があるのでしょうか。
なお、ガルバリウム屋根の特徴について詳細は以下の記事を参考にしてください。
自由度が高い
ガルバリウム屋根はさまざまなバリエーションがあり、幅広い勾配に使用できる大変便利な屋根材です。大抵の屋根に対応することが可能なので自由度が高い屋根材といえます。
たとえば、隣地の建物に日光が当たるようにするための北側斜線制限のある住宅では、勾配を緩やかにすることで、土地に対して建物の位置や高さを確保することができます。
和瓦デザインのガルバリウム屋根は、一般的な日本瓦の勾配が4寸に対して2.5寸の勾配から対応できます。
また、ガルバリウム屋根は急な勾配であっても施工は可能です。降雪量の多い地域で急な屋根勾配になっている住宅でも効果を発揮します。
急勾配にすることで、大雪が降っても雪の重みを受けない屋根にできます。また、和瓦デザインなど屋根を見せたい場合にも急勾配の屋根は有効です。
屋根勾配は、さまざまな理由からその角度に意味があります。ガルバリウム屋根は、緩やかな勾配から急な勾配まで対応することができる万能な屋根材といえます。
施工が難しい
ガルバリウム鋼板の屋根施工は、傷や凹みなどが生じるデリケートな素材です。
片流れや切妻(きりづま)のような単純な屋根形状は問題なく施工が可能です。しかし、入母屋(いりもや)屋根など複雑な屋根形状になると、金属製なので板金の高度な技術が必要です。
そのため、ガルバリウム屋根の施工経験が豊富で、細かな技術を持っている屋根業者に依頼することが重要です。
安心して任せられる信頼性のある業者を、いち早く見つけることができる一括査定サイトを活用することをおすすめします。一括査定サイトでは複数の業者を比較できるため、優良な業者を安心して探すことができます。
勾配によって施工方法が違う?
近年ガルバリウム屋根の需要は増加傾向にあり、何百種類という数の商品が販売されています。
その中でも代表的な種類として、以下が挙げられます。
- 縦葺き(たてぶき) 瓦棒葺き(かわらぼうぶき)
- 縦葺き(たてぶき) 立平葺き(たてひらふき)
- 横葺き(よこぶき) 断熱材無し
- 横葺き(よこぶき) 断熱材無し 石粒付き
- 横葺き(よこぶき) 断熱材有り
- 金属瓦調葺き
さまざまな種類がある中で、勾配によってできるものとできないものがあります。
自宅の屋根勾配が確認できたら、この種類の中でどのタイプが施工可能なのかを確認しましょう。
縦葺き
縦葺きとは、屋根の棟(屋根の一番高い部分)から、軒(屋根の一番低い部分)へ葺く施工方法です。
縦葺きは、あらゆる屋根材の中で最も緩やかな勾配で施工できます。ほかの屋根材では考えられない勾配に対応できる優秀な屋根材といえます。
たとえば、一般的によく使われているスレート瓦は、最低でも3寸以上の勾配が必要です。
一方、ガルバリウム屋根の縦葺きは2.5寸以下の勾配で施工できます。メーカーの商品によっては0.3寸や0.5寸から可能な商品もあります。
縦葺きと一括りにしても、立平葺き(縦ハゼ葺き)と瓦棒葺き(トタン葺き)という2種類の葺き方があります。
- 立平葺き(たてひらふき)
- 屋根のつなぎ目を折り曲げた金属だけで接合させて仕上げるタイプの施工方法
- 瓦棒葺き(かわらぼうぶき)
- 棟から軒まで芯木で屋根材を固定させている施工方法
最近の新築で使われているガルバリウム鋼板の屋根の多くは、立平葺きが主流です。屋根勾配が最も緩い家の場合におすすめの葺き方です。
横葺き
横葺きとは、縦葺きと反対に地面に対して平行に葺く施工方法です。
縦葺きと違いガルバリウム屋根材の継ぎ目の間隔が狭いため、縦葺きのように緩い勾配にはできません。
スレート瓦と同じような葺き方をするため、3寸勾配は必要です。自宅の屋根が3寸勾配以上であれば、横葺きでも施工可能でしょう。
現状の屋根材がスレート屋根であれば3寸あるということなので、ガルバリウム屋根に施工し直す場合、横葺きがおすすめです。
瓦調葺き
瓦調葺きとは、横葺きと同じ地面と平行に葺く施工方法ですが、使用する屋根材が日本瓦のような形状をした屋根材です。
素材がガルバリウム鋼板なので軽量で、見た目は本物の日本瓦のようで重厚感が欲しい方におすすめです。
瓦調葺きは横葺きと同様に縦葺きのような緩い勾配にはできません。最低でも3寸の勾配が必要です。
選び方
ガルバリウム屋根にする場合、屋根勾配が3寸以上あるなら横葺きか瓦調葺きで、2.5寸以下であれば縦葺きを選択することがおすすめです。
施工方法 | おすすめするケース |
---|---|
縦葺き | 屋根勾配が2.5寸以下の場合 |
横葺き | 屋根勾配が3寸以上の場合 |
瓦調葺き |
また、各メーカーの商品によって適用される勾配が違うので、自宅に合ったガルバリウム屋根材を選ぶことが重要です。 そのためには、プロの専門業者のアドバイスが必要不可欠です。まずは一括査定サイトを活用して信頼できる専門業者を探しましょう。