金属製の屋根材は、ほかの屋根材よりも耐久性が高く、重厚感があります。
金属屋根にはさまざまな種類があり、それぞれ性能は大きく異なります。そのため、事前に細かく調べて目的に合ったものを選びましょう。
本記事では、金属屋根の特徴や形状、性能など把握すべき情報を分かりやすく解説します。それらを詳しく理解し、理想に近い屋根材を選びましょう。
金属製屋根材は5種類
金属製の屋根材は、大きく分けて5種類あります。
- トタン(カラー鉄板)
- ガルバリウム鋼板
- 銅板
- ステンレス
- チタン
以下は、それぞれの性能比較表です。
屋根材の種類 | 耐用年数(年) | 価格(円) | 耐震衝撃性 | 耐食性 | 重さ |
---|---|---|---|---|---|
トタン | 10~20 | 4,500~6,000 | 多少低い | 多少低い | 普通 |
ガルバリウム鋼板 | 20~30 | 5,000~10,000 | 普通 | 普通 | 普通 |
銅板 | 60~ | 1万8,000~2万 | 普通 | 非常に高い | 普通 |
ステンレス | 50 | 1万~1万4,000 | 普通 | 多少高い | 普通 |
チタン | 1,500~ | 4万7,000~6万5,000 | 非常に高い | 非常に高い | 軽い |
トタン(カラー鉄板)
トタンは、鉄板の上を亜鉛で覆った素材です。
低コストであり、施工も簡単に行うことができるのが大きな特徴です。
ただ、耐震性能や耐久性が低いため、最近の新築住宅ではあまり採用されません。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板とは、アルミニウムと亜鉛、シリコンから形成されている、アルミ亜鉛合金めっき鋼板のことです。
アルミを使っているため、非常に軽量かつ安価で、高い人気を誇ります。
ただ、塩害が発生しやすいため、海沿いの地域の屋根には適しません。
似たような金属屋根に、ジンカリウム鋼板があります。
ガルバリウム鋼板とジンカリウム鋼板との違いは、亜鉛とシリコンが含まれている量です。
また、日本で使われているジンカリウム鋼板は表面を石粒でコーティングされています。
重さはガルバリウム鋼板より多少重たいですが、亜鉛の量や表面の石粒コーティングにより、塩害に強いです。
そのため、海沿いの建物に採用できる屋根材として重宝されています。
さらに、長い期間塗装のメンテナンスも必要ないため、手間がかからない金属屋根として高い評価を得ています。
銅板
銅板は、非常に高い耐久性を持ち、軽量で施工しやすいことが大きな特徴です。住宅ではなく寺社仏閣に多く使われています。
10円硬貨と同様の素材であり、年数が経過すると色が変色し、徐々に青緑色に変わっていきます。そのため、独特の風合いと重厚感を発揮します。
このように銅の色が変わる現象のことを
まれに住宅で使われますが、住宅地ではあまり見かけることがない屋根材です。
ステンレス
ステンレスは、鉄、クロム、ニッケルを含んでいる合金の金属です。
耐久性が非常に高いのが大きな特徴で、1度葺けばメンテナンスレスで使うことができます。
ただ、高額かつ施工ができる職人が少ないため、住宅で採用されることはほとんどありません。
学校の体育館やホテルなどの大型施設では多く採用されています。
チタン
数ある屋根材の中で圧倒的な耐久性能を持っているのが、チタンです。さらにとても軽量であり、和瓦の10分の1ほどの軽さです。
建物は、頂点を軽くすることで耐震性を高くできます。そのため、チタンを屋根材に採用する大型建築物が増えてきました。
浅草寺や東京ビッグサイトなど、有名な建築物に採用されています。
金属屋根の葺き方
金属屋根の
縦葺き
トタン、ガルバリウム鋼板、ステンレス、チタン
地上に対し縦向きに屋根を葺く工法です。
屋根の頂上から地面に向かって真っすぐ縦に降りて葺く形のため、縦ストライプのような見た目です。
水の流れと同じ方向に葺くので排水機能に優れており、雨漏りがしにくいのが大きな特徴です。
そのため、屋根勾配が低い屋根に適した葺き方です。
横葺き
トタン、ガルバリウム鋼板、銅板、ステンレス、チタン
地上に対して水平方向に屋根材を葺いていく工法です。横ストライプのような見た目となり、縦葺きと比べると採用できるデザインの種類が多くあります。
雨水が流れる方向と90度角度が違う葺き方なので、雨水を排水しづらいことが最大の欠点といえます。
そのため、横葺きは3寸勾配以上でないと葺くことができません。
平葺き
トタン、ガルバリウム鋼板、銅板、ステンレス、チタン
小さく加工した屋根材を重ねて葺く工法です。重ねて葺いていくため、さまざまな形状の屋根に葺くことができます。
曲面の屋根にも葺くことができるので、寺社仏閣や大型建築物、住宅などさまざまな建物に採用されています。
小さな屋根材を取り付けていく工法なので、手間がかかってしまいます。
菱葺き
トタン、ガルバリウム鋼板、銅板、ステンレス、チタン
先ほどご紹介した平葺きの菱形バージョンです。
菱形の屋根材を葺いていくので、平葺きとは違ったデザインで、現代的な雰囲気となります。
現代建築物や和風建築物、さまざまな建物にマッチする葺き方です。
瓦型
トタン、ガルバリウム鋼板、銅板、ステンレス、チタン
瓦型は、金属の屋根素材で瓦の形を作って葺く工法です。プレス技術にて、瓦型を形成します。
本瓦と違うところは、長尺板タイプと本瓦葺タイプの2種類あることです。
長尺板タイプは、一般的な瓦の形よりも1枚が長いため、雨漏りがしにくいのが大きな特徴です。仏閣や大型建物、住宅などに採用されることがあります。
折板
トタン、ガルバリウム鋼板、ステンレス、チタン
折板とは、0.6~1.2㎜の厚みの金属を、波型に成型している形の屋根材です。
平面の素材よりも曲げた素材の方が剛力や耐力などの強度が高いため、薄くても建物を守ることが可能です。
そのため、倉庫や工場、プレハブなどの、大きな建物の屋根に採用されることが多いです。
なお、素材には、低コストで軽いガルバリウム鋼板が使われることが近年非常に多くなりました。
おすすめの金属屋根と選び方
金属屋根にはさまざまな種類があることが分かりましたが、どれが自宅に適しているのでしょうか。
おすすめする2つの金属屋根と選び方も紹介します。
おすすめの金属屋根
ガルバリウム鋼板とトタンの2種類が、おすすめです。
ガルバリウム鋼板
ガルバリウム鋼板は、軽くて錆びにくいのが最大の特徴です。施工もしやすく、リフォームもしやすい素材です。そのため、どのような建物でも使用できます。
トタン
トタン屋根の最大の特徴は、安い費用で屋根を葺くことができることです。
トタン屋根は耐用年数が短いですが、定期的に葺き替えや塗装のメンテナンスをすることで、長く使うことができます。
短いスパンで屋根の雰囲気を変えたい方には、施工費用が安価なトタン屋根がおすすめです。
金属屋根の選び方
金属製の屋根の選び方は、
- 価格
- 耐用年数
- デザイン
の3つのポイントがあります。
それぞれどのような部分に着目するべきなのか、解説します。
価格
金属屋根の価格は、ピンキリです。
素材によっては、2倍以上価格が異なります。
そのため、低コストで金属屋根のリフォーム工事を行いたい場合は、トタンやガルバリウム鋼板を採用することをおすすめします。
耐用年数
種類によって、耐用年数は大きく異なります。耐用年数が長いのはよいことですが、比例して価格が高くなります。
そのため、予算と耐用年数のバランスが自分に見合ったものを選ぶようにしましょう。
デザイン
デザイン性は種類により大きく異なります。ステンレスは重厚感があり、高級感が出ます。
また、葺き方により雰囲気がまったく異なります。
屋根材だけでなく、シミュレーションなどで完成した全体像を確認して決めましょう。
屋根工事専門の業者に相談してみましょう
屋根は、雨水や災害から建物全体を守っている大事な部位です。
そのため、金属屋根の素材や葺き方は、慎重に選ばないといけません。
屋根工事の専門業者は豊富な知識と経験があるので、細かい部分まで相談して、納得ができる屋根を作りましょう。
パソコンでシミュレーションを作ってもらい完成図を確認すると、より具体的なイメージが湧きます。
屋根工事専門業者に依頼し、すぐに作成してもらい、納得のできる最高の屋根にしましょう。
屋根工事の専門業者を探すのは、一括比較サイトが便利です。複数の専門業者に一括で見積り依頼と相談ができるので、ぜひ利用しましょう。
金属屋根の種類に関するよくある質問
- 金属屋根には、どんな種類があるの?
- トタン・ガルバリウム鋼板・銅板・ステンレス・チタンの5種類あります。住宅で使われる屋根材は、主にガルバリウム鋼板とステンレスです。
- おすすめの金属屋根は?
- ガルバリウム鋼板とトタンです。どちらも多くの建物に低コストで施工が可能です。