ケレンは塗装に必要か。ケレン作業の役割や種類について解説

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ケレンは塗装に必要か。ケレン作業の役割や種類について解説

外壁塗装の見積もりをすると、見積書にケレン作業という項目があります。これを見て「ケレン作業ってよく分からない」「ケレン作業って必要なの?」と考える方も多いのではないでしょうか。

ケレン作業は、外壁と塗料の密着性を高める重要な作業で、これを怠ると数年で塗膜が剥れる不具合が発生するおそれがあります。裏を返せば、きちんと作業をすれば、塗料が本来の効果を発揮し、建物をより長く保てます。

今回は、このケレン作業の必要性とその種類について解説します。

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塗装に必要なケレン作業とは?

ケレン作業はなぜ塗装に必要なのでしょうか。基礎知識を確認しておきましょう。

ケレン作業の意味・役割

そもそもケレン作業とは、塗装をする前に行う下地処理のことです。語源は英語の「クリーン(clean)」にあるといわれ、「掃除」のニュアンスを含んでいます。

外壁や屋根のサビや古い塗膜を、ディスクグラインダーという電動工具やサンドペーパーを使って除去します。外壁は塗装をする前に高圧洗浄で汚れや脆弱な塗膜を除去しますが、高圧洗浄だけですべてを除去できません。そのため、除去できなかった部分については、ケレンで除去するのです。

この作業の役割をほかのものに例えるなら、スポーツの準備運動が近いです。スポーツでは準備運動をしないとケガをするリスクが高まりますが、塗装ではケレンをしないと後々の不具合が発生するリスクが高まります。

効果

ケレン作業を行うと、外壁に対してどのような効果が得られるのでしょうか。ここで、3つの効果を紹介します。

塗料が長持ちする

ケレンをしないと塗料がすぐに劣化するおそれがあります。特に鉄部に関してはその傾向が顕著であり、既存のサビなどを除去していないと、塗装後に内部からサビが進行します。塗料は内部からのサビに弱いため、サビの進行により簡単に塗膜が剥がれます。

外壁との密着性を高める

汚れや既存の塗膜を残したまま、その上から塗装をしても、外壁と密着せずにすぐに剥がれてしまいます。

塗装は下地処理、下塗り、上塗りという手順で進めます。そのうち、ケレン作業により密着させるのは、外壁と下塗り材の間です。外壁と下塗り材の密着性が高まることで、塗料が長持ちします

ちなみに、下塗り材は外壁と上塗り材の接着剤としての役目を持っています。

仕上がりがきれいになる

ケレン作業により、仕上がりがきれいになります。

DIYで塗装をしたことがある方は、ツルツルとした平滑な面に塗装をしても、なかなか塗料がのらず困ったことがあるのではないでしょうか。それはプロも同じで、ツルツルとした平滑な面に塗装をすると、塗料の垂れや塗りムラが発生することがあります。

ケレン作業をすれば、それを防げます。ざらっとした粗面にすることにより塗装面に塗料がよく食い付き、ムラなくきれいに塗れるのです。

外壁塗装に必須?

原則として、必須です。

ときどき、「高圧洗浄で脆弱な塗膜や汚れ、サビは除去するので、外壁塗装にケレン作業は不要です」という事業者がいます。しかし、そんなことはありません。たしかに高圧洗浄で一部の脆弱な塗膜は除去できますが、すべてを除去できるわけではありません。コストや工期を削減する目的で言っている可能性があるので、気をつけたほうがよいでしょう。

ケレンなしで塗装をするとどうなる?

ケレンなしで塗装をすると、耐用年数よりも短い期間で塗膜が剥がれてくるでしょう

塗膜が剥がれると、剥がれた部分から水が浸入し、どんどん被害が大きくなるので非常に厄介です。ケレンなしは、考えないようにしましょう。

なお、塗装の怖いところは、工事が完成した瞬間はなかなかその違いに気づかないところです。数年後に不具合が発生しても手遅れということもあるので、契約時や作業中にできる確認はしておきましょう。

ケレン作業にはどのような種類がある?

ケレン作業には、1種から4種の全部で4種類あります。外壁塗装の見積もりにケレンという項目があれば「これは何種のケレンですか」と聞くのもよいでしょう。これに答えられない事業者なら要注意です。

最も高価なのは1種ケレンですが、これを選べばよいというわけではなく、適材適所で選ぶことが大切です。ここでは、種類別に説明をしていきます。

1種ケレン

1種とは、ブラスト法と呼ばれる方法で行うケレン作業です。

ブラスト法とは、金属片が含まれている研磨剤を吹き付けて表面を研磨する方法です。一般住宅の塗装には使われることはなく、主に橋や船などの大型鉄骨に使われます。

また、鉄骨造の建物でもブラスト法が使われており、鉄骨のジョイント部分にブラスト法を使うことで鉄骨同士の密着性を高め、一体的な鉄骨にしています。

2種ケレン

2種とは、サビの範囲が広かったり、著しく状態が悪い場合に電動工具を使って行うケレン作業です。

既存の塗膜を完全に除去する方法で、1種と同様、あまり一般住宅では使われることがありません。主に鉄骨建築の外壁などに使われます。

3種ケレン

3種とは、既存の塗膜を残しつつ、脆弱な部分を電動工具で除去するケレン作業です。電動工具が入らない場所に関しては、サンドペーパーなどを使って除去します。主に一般住宅の外壁や屋根に使われる方法です。

4種ケレン

4種も、3種と同様で既存の塗膜を残しつつ、脆弱な部分のみを除去するケレン作業です。

3種が電動工具で除去するのに対し、4種はサンドペーパーなどを使って手作業で行います。3種ケレンをより簡素化した方法で、外壁の状態が比較的良好な場合に使われます。

ケレン作業の単価相場は?

ケレン作業の単価相場は、1平方メートルあたり200~1,000円です。

また、ケレンの種類によっても単価は異なります。

ケレン作業の種類と相場
ケレンの種類 単価相場(円)
4種ケレン 200~400
3種ケレン 600~1,000
2種ケレン 1,500~2,000

前の塗装から比較的早い段階で再度塗装をする際は、状態がよければ4種ケレンでも問題ありません。劣化がある場合は3種ケレンになるでしょう。あまりにも劣化が著しく、すべての塗膜を除去する必要がある場合は、2種ケレンになります。

状態の悪化につれ、ケレン作業の費用が高額になります。そのため、定期的に事業者に相談するなどして、外壁の適切な塗装時期を見極めることが大切です。

ケレン作業は自分でもできる?

DIYをやっている方なら「ケレン作業って自分でもできるのかな」と考えるかもしれませんが、ケレン作業を自分でするのはやめておいたほうがよいでしょう。専用の電動工具が必要で、危険を伴う作業でもあるからです。

なぜ自分でやるのが難しいのか、もう少し詳しく説明します。

使用する道具は?

ケレン作業では、主にディスクグラインダーという電動工具が使われます。

ディスクグラインダーとは円盤型の刃を高速で回転させることにより、研磨から切断までできる万能な電動工具です。手作業で行う場合は、サンドペーパーなどの研磨材を使います。

一般家庭でこれらを用意するのは、難しいでしょう。サンドペーパーの場合も、上下左右に広い外壁に対して、すべて手作業で行うことを考えると現実的ではありません。

ケレン作業を自分でするのは危険?

仮にディスクグラインダーを用意できたとしても、使い慣れていない場合は危険です。保護手袋に軍手を使うことを考える方がいますが、軍手はディスクグラインダーに接触すると巻き込まれる危険性があるので、使ってはいけません。

また、使っていくと刃が消耗するので刃の交換が必要ですが、刃の交換には研削砥石という特別教育が必要です。特別教育を受けていない方が刃の交換をすると、回転の遠心力で刃が外れるおそれがあります。

さらに、目を守る保護ゴーグルや保護手袋といった保護具も必要です。

どちらにせよ、素人がディスクグラインダーを使用してケレンを行うのは、危険性が高いうえに難しいです。安全になおかつ丁寧にケレンをするのであれば、やはり専門の業者に依頼するのがよいでしょう。

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