外壁塗装の保証期間は、長ければ長いほど安心です。最近は30年保証を謳う事業者もありますが、果たして本当なのでしょうか。
今回は、外壁塗装の保証について保証の種類や保証期間、注意点などについて解説します。
外壁塗装の保証には何がある?
「外壁塗装の事業者がすべて保証するのでは」と思うかもしれませんが、実はメーカーが保証してくれる場合もあります。
ここでは、外壁保証の種類とそれぞれの保証期間について解説していきます。
外壁塗装で受けられる保証とそれぞれの期間
外壁保証で受けられる保証の種類とそれぞれの保証期間は、以下のとおりです。
保証の種類 | 保証期間 |
---|---|
自社保証 | 3~10年 |
メーカー保証 | 塗料の種類による |
リフォーム瑕疵保険 | 1年 |
それぞれの保証について、もう少し詳しく説明します。
自社保証
一般的に外壁塗装の保証といえば、この自社保証のことを指します。事業者によって保証期間はさまざまですが、3~10年が一般的です。
自社保証は塗料の種類を問わず保証してくれるのが魅力的ですが、一方で事業者倒産のリスクもあります。事業者が倒産してしまうと保証が無効になってしまいます。
また、実際に外壁塗装に不具合が発生した際に保証を打診してみても、専門的な知識で丸め込まれて、保証してくれないというトラブルも多く発生しています。
契約前にきちんと保証の内容を確認し、必要であれば契約書に追記しておくといった対応を取りましょう。
メーカー保証
メーカーが直接保証してくれるので、先ほどの自社保証と違い、倒産のリスクは高くありません。また塗料メーカーは大きな会社が多いので、不具合が発生した場合は真摯に対応してくれます。長い目で見れば、保証する費用よりも保証しない風評被害のほうが大きいというのも、対応がよい理由のひとつでしょう。
ただし、すべての建物がメーカー保証を受けられるわけではありません。
- 特定の地域や特定の塗料でしか保証されない
- マンションなどの大規模建物のみで戸建てでは保証されない
- メーカー認定の事業者でないと保証されない
これらは一例ですが、一定の条件を満たす必要があります。メーカー保証を受けられるか契約前に事業者に相談しておきましょう。
メーカー保証の場合、保証期間は塗料の種類によって異なります。塗料の耐用年数が長いほど保証期間が長くなりますが、その分費用もかかります。
事業者によって取引しているメーカーが異なりますので、どこのメーカーを使用するかも確認しておきましょう。
リフォーム瑕疵保険
リフォーム瑕疵保険とは、保険の登録業者に工事を依頼した場合に適用できる保証です。
塗装の種類に関わらず、塗装した箇所すべてが対象となり、工事をした事業者が倒産しても保証が適用できます。
一方で、保証期間が1年と短く、使う機会はあまりありません。基本的には自社保証とメーカー保証でカバーできますが、知っていて損はありませんので、事業者が保険の登録業者であるか確認しておきましょう。
外壁塗装の保証に関する法律
外壁塗装の保証に関しての法律で、契約不適合責任という法律があります。以前は瑕疵担保責任という名称でしたが、2020年4月に民法が改正され、契約不適合責任となりました。
契約不適合責任とは、引き渡された物が契約書に適合していない場合、売主が買主に対して責任を請求できる法律です。契約不適合責任は、買主が不具合を発見してから1年以内にその旨を通知すれば、引き渡し後10年以内ならいつでも責任を請求できます。
ただし、契約書に適合していないのが前提条件です。たとえば、契約書に塗装の保証期間について記載があると、10年ではなくその期間が保証期間になります。
外壁塗装の保証期間は?
外壁塗装の保証期間は、保証の種類や塗料の耐用年数などによって決まります。ここで外壁塗装の保証期間について解説します。
なお、30年も保証できる塗料は存在しません。したがって、冒頭で紹介したような長期保証はほとんどないと考えてよいでしょう。
保証期間はどうやって決まる?
耐用年数が長く高価な塗料ほど、保証期間も長くなります。保証期間は、塗料の耐用年数から決めるのが一般的です。
塗料の種類別に耐用年数と保証期間の目安は以下のとおりです。
塗料の種類 | 耐用年数(年) | 保証期間(年) |
---|---|---|
アクリル | 3~5 | 3 |
ウレタン | 7~10 | 5 |
シリコン | 10~15 | 7 |
あくまで特別な不具合が生じた場合に保証をする目的であり、長過ぎるとメーカーの負担が大きくなるため、基本的に保証期間は耐用年数の約半分です。このあたりの考え方は、家電の保証と同様です。
メーカー保証だけでなく、自社保証についても塗料の種類によって保証期間が変わりますので、予算と相談しながら塗料の選定を行いましょう。
新築で外壁塗装をした場合、保証期間はどのくらい?
新築で外壁塗装をした場合も保証期間は、塗料の耐用年数によって決まります。新築だから保証期間が長いというわけではありません。
新築時の引き渡し書類があれば、その中に塗装の保証書があるかもしれませんし、契約書に記載がある場合もあります。建物の保証期間がわからない場合は、引き渡し書類を確認してみましょう。
外壁塗装の保証に関する注意点は?
外壁塗装の保証に関しては、いくつか注意すべきポイントがあります。必要なときに必要な保証が受けられなくならないよう、参考にしてください。
耐用年数を大きく上回った保証期間は注意
塗料の耐用年数を上回る保証期間を提示する事業者は、オーバートークをしている可能性が高いです。
まれに「何回も塗り重ねることによって塗料の耐用年数が増す」というような説明をしてくることもありますが、どれだけ上手に塗装をしても塗料そのものの耐用年数を上回ることはできません。そもそも、外壁塗装において2~3回塗り重ねることは通常のことです。
外壁塗装の保証を適用するのは、工事をしてから少なくとも数年後になります。そこに付け込み、都合のよい話で顧客をだまそうとする悪徳業者も少なからず存在しています。そのような事業者にも注意が必要です。
免責事項の内容に注意
外壁塗装にかかわらず、多くの保証において免責事項が設けられています。免責事項とは不具合が工事や材料によるものでなく、天災などの不可抗力による場合、保証の対象外になることです。
一般的には下記のような免責事項が設けられています。
- 天災や異常気象による塗料の劣化、破損
- 建物の構造が起因する塗料の劣化、破損
- その他、不可抗力による塗料の劣化、破損
どのような項目が免責事項になるかきちんと確認しておかないと、いざ保証を適用した際に「それは免責事項です」とつっぱねられる可能性があります。
外壁塗装の工事には保証書が必須!
保証を受けるなら、保証書は必須です。口頭での約束はほぼ無効にされますので、やめておきましょう。
保証書を残していても「それは保証の対象外」と言われることもありますので、保証書には保証の範囲や期間を記載しておく必要があります。
また、保証書にどこの押印があるかも重要です。事業者だけでなく塗料メーカーや販売店の連名になっていれば、より安心できるでしょう。