外壁の塗り替えを検討している際に「外壁塗装は火災保険でできる」と聞いたことがある方も多いのではないでしょうか。
実は適用条件をクリアしていれば、外壁塗装は火災保険で対応できます。
この記事では火災保険で外壁塗装ができる条件や申請の方法、デメリットなどについて解説していきます。
外壁塗装で火災保険が適用されるって本当?
冒頭でもお伝えしましたが、条件次第では、火災保険の保険金で外壁塗装ができます。
ただし、保険の種類や適用条件に合致していないと火災保険は適用されません。ここでは火災保険の種類や適用条件について解説します。
火災保険の種類
火災保険を含む保険にはいくつか種類があり、それぞれ保険の適用範囲や条件が異なります。
主な保険は以下の4つです。
- 住宅火災保険
- 住宅総合保険
- オールリスクタイプ
- 特約火災保険
それぞれ解説していきます。
住宅火災保険
最も一般的なものが住宅火災保険です。
火災による損害に加え、落雷・爆発・風・雪災による損害も補償してくれます。台風の飛来物により外壁が損傷した場合なども補償の対象内です。
ただし住宅火災保険では、水害による損害については保険が適用されません。水害とは、洪水・高潮・集中豪雨などです。特に近年は異常気象による水害が多発しているので、対策の必要性が高まっています。
住宅総合保険
水害まで補償してくれるのが住宅総合保険であり、住宅火災保険をグレードアップしたイメージです。
水害だけでなく、盗難や車の衝突による外壁の損傷にも適用できるので、住んでいる方にとって、安心の保険だといえるでしょう。
ただし、水害補償をつけるか否かは選択することができ、水害補償が盛り込まれた保険に加入している方は、火災保険加入者全体の約18%しかいません。
一般的には水害補償に入っていない方のほうが多いです。
オールリスクタイプ
住宅総合保険の内容に加え、鍵の紛失や水漏れなどの生活トラブルにも対応している保険です。商品によって補償内容が異なるので契約内容の確認が必要です。
特約火災保険
特約火災保険は、住宅金融支援機構などから融資を受けた場合に加入する保険であり、補償内容は住宅総合保険とほぼ同じです。
特約火災保険は、平成28年4月以降は新規の加入ができなくなっています。
適用される条件
火災保険に加入していれば、どのような場合でも保険が適用できるわけではありません。適用には条件があり、主に以下の3つが挙げられます。
- 破損の原因が災害によるものである
- 破損から3年以内である
- 補修費用が火災保険の免責金額を超えている
それぞれ説明します。
破損の原因が災害によるものである
あたりまえですが、外壁や屋根の破損が災害によるものでないと保険は適用されません。
たとえば台風の飛来物で外壁が破損した場合、破損箇所だけでなく全面塗装をしようとしても、もらえる保険金は破損箇所の塗装費用のみです。
また先述しましたが、住宅火災保険に加入している場合は、水害による補償は適用外であり自費対応になってしまいます。加入している保険の適用範囲を把握しておくことで、思わぬ出費を防げるでしょう。
破損から3年以内である
意外と知られていませんが、保険の適用には3年という期限が設けられています。
火災保険で外壁の補修ができると知って保険会社に連絡しても、災害が3年以上前だと保険が適用されません。
一方で、3年以内の災害で保険を適用せずに補修をしている場合は、今からでも保険を適用できるかもしれないので、保険会社に連絡してみましょう。
補修費用が火災保険の免責金額を超えている
火災保険には免責金額が設けられており、保険金を受けるには補修金額が免責金額を超える必要があります。
つまり、免責金額以下の補修については、自費負担になるということです。
一般的に火災保険の免責金額は約20万円で設定されていますが、念のため一度加入している保険を確認しておきましょう。
外壁の経年劣化は火災保険の適用外?
外壁の塗装で火災保険を適用できるのは災害による場合のみであり、経年劣化の補修については適用外です。
しかし、「外壁塗装は火災保険が適用できますよ」といううたい文句で近づいてくる事業者もいるので注意しましょう。経年劣化をあたかも災害によるものだと装い保険を適用することは、保険会社をだます行為であり犯罪に当たりますので、絶対にやってはいけません。
外壁塗装で火災保険を申請する方法や手順は?
外壁塗装で火災保険を利用する場合、申請はどのように進めればよいのでしょうか。ここでは火災保険を申請する方法や手順について解説していきます。
1.必要書類の確認
災害により損傷した場合や過去に損傷している場合は、保険会社に連絡し、火災保険の適用に必要な書類を確認しましょう。
先述しましたが、過去3年以内の災害による損傷なら保険の適用範囲内です。「この損傷はどうかな?」と悩んでいる方も、まずは保険会社に連絡してみましょう。
2.事業者に見積もり依頼
保険会社へ送付する書類に補修見積もりがあります。
見積もりは自分で作成しても問題ないですが、作成経験のない方が作るのは難易度が高いでしょう。補修見積もりは専門の事業者に出してもらうのが一般的です。「保険会社に申請するために見積もりが必要」と伝えれば対応してもらえるでしょう。
その際、損傷箇所の写真は撮っておきましょう。
この後、保険会社より委託された損害鑑定人が実際に訪問し、損傷箇所と見積もりの鑑定をおこないますが、事前に損傷箇所の写真があるのとないのでは調査のスムーズさに雲泥の差があります。
また、大きな災害が起きた場合、保険会社が混み合い、なかなか連絡が取れないこともあります。生活に支障が出るような損傷なら、連絡を待たずして補修する必要があるので、早急に対応してもらうために写真は重要です。
3.損害鑑定人による鑑定
補修見積もりなど必要な書類を保険会社に送付すると、保険会社から委託された損害鑑定人が損害の状況を鑑定しにきます。
損害鑑定人は、以下の点を鑑定します。
- 損傷が自然災害によるものか
- 経年劣化によるものか
- 見積りの金額は妥当か
鑑定後、保険会社が審査をおこない申請が認められれば保険金が支払われます。
外壁塗装で火災保険を利用する際に知っておきたいデメリットや注意点
基本的に、外壁塗装で火災保険を利用するデメリットはありません。
火災保険は車の保険と違い、「使うと翌年からの保険料が値上げされる」ということはないので、利用できるなら利用すべきです。
ただし、利用にはいくつか注意点があります。
満額が支給されない
鑑定の結果によっては、保険金が満額支給されない場合もあります。理由として損傷の原因が災害ではなく経年劣化によるものであったり、見積金額に妥当性がなかったりという点が挙げられます。
支給まで時間がかかる
保険金の支給までには、ある程度の時間がかかります。
先ほど申請の流れを解説しましたが、保険会社とのやり取りも多く、どうしても時間がかかってしまうのです。
損傷によっては支給を待たずに補修する場合もありますが、そういった場合は一時的に自己負担になってしまいます。
悪徳業者の詐欺行為に注意!
外壁塗装で火災保険の利用を検討している際には悪徳業者に注意しましょう。
「火災保険で外壁塗装が無料でできる」と言ってくる事業者の言葉を気軽に信じてはいけません。なかには、保険会社に対して虚偽報告で保険金を受給しようと勧めてくる事業者も存在します。
先述しましたが、虚偽報告は犯罪ですのでやってはいけません。このような業者に限って「保険金の一部を手数料で支払う」というような条件を付けていますが、それは本来の保険金の用途に外れており、悪徳業者の可能性が高いといえます。
依頼先の事業者を選ぶ際は、評判が良いか、塗装実績が豊富かなどをチェックして見極めることが大切です。
外壁塗装の火災保険に関するよくある質問
- 外壁塗装は火災保険が使える?
- 破損の原因が災害によるものである、破損から3年以内である、補修費用が火災保険の免責金額を超えているといった条件に合っていれば、火災保険が使えるケースがあります。
- 外壁の経年劣化は火災保険の適用外?
- 火災保険を適用できるのは災害による場合のみです。そのため、経年劣化の補修については適用外です。