日本の戸建て住宅の90%以上がサイディング(板状の外壁材)を使用しています。水回りや屋根と同じように、サイディングも定期的なメンテナンスが必要です。
サイディングの張り替えにかかる費用や、張り替えのタイミングなどを解説します。
張り替えが必要なサイン
外壁材として多く使用されているサイディングは、一般的に耐久年数が30~40年といわれています。
しかし、お住まいの地域や立地条件によっては、サイディングの劣化が早まることもあるので、それぞれの状況に応じた対応が必要です。
張り替えが必要なサイディングのサインには、以下のものがあります。
- ひび割れ
- 反りや浮き
- チョーキング
- 雨漏りや水漏れ・結露
- サビや腐食
ひび割れ
窯業系サイディングは、水分の吸収と乾燥を繰り返すことで収縮し、表面にクラックと呼ばれるひび割れが発生することがあります。
また、吸収した水分が溜まることで内側から膨張し、塗装の剥がれを発生させてしまいます。
小さなひび割れ程度であればコーキングなどの防水補修で対応できますが、大きなものは内側へ浸水している可能性が高く、表面のメンテナンスだけでは十分な効果は期待できません。
反りや浮き
板状のサイディングは、収縮を繰り返すことで反りが生じてしまいます。
反りがひどくなると、サイディングが固定している金物や釘から離れ、浮いた状態になります。
そこから雨水などが浸水し、雨漏りや腐食の原因になります。
見た目にも明らかな反りや浮きが生じている場合は、最低でもそのサイディング1枚は新しいものに替える必要があります。
チョーキング
サイディングの劣化をチェックする、もっとも簡単な方法がチョーキングの確認です。
乾燥したサイディングの表面を指でなぞった際に、白い粉状のものが付着した場合は、チョーキングが発生しています。また、雨天時にサイディングから雨水が伝ってできた水たまりが、白っぽく濁っている場合もチョーキングが発生していると考えられます。
チョーキングとは、塗料が劣化・分離し粉状になった物質が表面に浮き出た状態を指します。この状態になると、塗料のコーティング効果が著しく低下し、劣化が広がっていきます。
表面のメンテナンスだけで対応できるケースもありますが、ほかの症状を併発している場合は、張り替えを検討したほうがよいでしょう。
雨漏りや水漏れ・結露
劣化症状の中でも、重症度の高いものが雨漏りや水漏れの発生です。横殴りの雨などで雨漏りがひどくなる場合は、サイディングが本来の効果を発揮できていません。また、雨漏りは場所の特定が難しく、1カ所を補修しただけでは解決しないことがほとんどです。
このほかにも、結露がひどい場合は、サイディングからの浸水で断熱材が腐食し、機能を失っている可能性があります。そのまま放置していると躯体(建物を支える骨組み)にまで影響を及ぼすため、早急な対処が必要となります。
サビや腐食
金属系サイディングの場合、自然災害などで衝撃を受けて表面が傷ついてしまうと、素地が露出し、そこからサビが広がっていく可能性があります。見える部分であれば対処できますが、目の届かない場所でサビや腐食が進行していることも少なくありません。
金属系サイディングの耐久年数は30年といわれていますが、海沿いの地域などでは塩害により寿命が短くなる場合もあります。
サビなどによる腐食は補修では対処できないため、張り替えが必要となります。
張り替えの費用と工事期間
ここではサイディングの張り替えにかかる費用、張り替えの工事期間について紹介していきます。
張り替えの費用
サイディングの張り替え費用は、一般的な30坪2階建ての建物で100万~150万円が相場です。
張り替えに使用するサイディングの種類やグレードによって異なりますが、大まかなサイディングの単価や工事費用を表にまとめました。
サイディングの種類 | 費用:1㎡あたり(円/㎡) |
---|---|
窯業系サイディング | 4,000~6,000 |
金属系サイディング | 3,000~5,000 |
木製サイディング | 2,000~3,000 |
樹脂サイディング | 3,000~4,000 |
工事内容 | 費用:1㎡あたり(円/㎡) |
---|---|
足場の組み立て | 800~1,000 |
既存サイディングの撤去作業 | 800~1,000 |
張り替え作業 | 2,000~3,000 |
コーキング | 1,000~1,500 |
資材運搬ほか | 50,000~60,000 |
部分的な補修の場合は、張り替えを検討している部分の面積を算出し、上記の内容をあてはめ、算出してみましょう。
張り替えの時期
定期的な点検やメンテナンスを行った場合、サイディングの耐久年数は30年程度とされています。しかし劣化の症状や浸水による被害が見られる場合は、耐久年数に関係なく早急な対応が必要です。
前述した、ひび割れ、反り・浮き、チョーキング、雨漏りなどが顕著な場合は、特に注意しましょう。
劣化症状などが見られない場合は、30年が経過したころを張り替え工事の目安にしましょう。
工事期間
サイディングをすべて張り替える場合は、以下のような工程が一般的です。
工事内容 | 工事期間 | 概要 |
---|---|---|
足場の組み立て | 1日 | 建物の大きさにもよるが、外部全体の足場の設置には1日~1.5日程度かかる |
既存サイディングの撤去 | 3~5日 | 既存の古いサイディングを撤去する。内部や下地が劣化や腐食していないかチェックし、補修も行いながら進める |
防湿・防水シートの施工 | 1~2日 | 防湿・防水シートで家全体を覆う |
サイディングの張り替え | 8~14日 | 新しいサイディングを開口部や寸法を合わせてカットして張り替える |
コーキング | 1~3日 | サイディングのジョイント部分の目地に、合成樹脂や合成ゴムを充填する。防水性を高めるほか、伸縮性により地震に強い建物にする |
足場の解体・清掃・チェック | 1日 | 外部全体の足場を撤去・清掃を行い、不十分な箇所がないかチェックを行う |
以上が施工の工程です。建物の大きさにより前後しますが、工事期間はおおよそ2週間~1カ月となります。
また、部分的な補修の場合は、規模によって異なりますが、北側1面だけを張り替える場合は、工事内容は同様で規模が縮小された作業となるため、工事期間は2週間程度です。
DIYで張り替えは可能?
自宅の塗装などの工事を、DIYで行う人が増えています。
サイディングの張り替えも自分で行うことは可能でしょうか?
DIYはおすすめできない
DIYでサイディングの張り替えを行うことはおすすめできません。
自分で作業を行えば費用を安く抑えられますが、技術や専用の道具を必要とするサイディング張り替え工事は非常に困難です。足場を組んでの高所作業になるので大変危険です。
何より、専門知識を持たない場合、劣化を早めたり浸水で内部に被害を及ぼしたりして、修理費用でかえって高くなってしまうこともあります。
サイディングの張り替え工事は、信頼できる専門業者へ依頼しましょう。
塗り替えだけで済む可能性も?
状態によっては、サイディングを張り替えなくても塗装だけで済ませられることがあります。サイディングの耐久年数は最長で30年程度といわれています。30年というのは、メンテナンスを行ったうえでの耐久年数であり、サイディングの程度がよければ、耐久年数を超えても品質を保つことができます。
表面の塗装が劣化すると、吸水性の高いサイディングは劣化が進行します。10年を目安にサイディングの再塗装を行うことで劣化を防ぐことができます。
サイディングの張り替えを検討されている場合は、建物の状況や塗装で対応できるかを把握するためにも、専門業者へ相談してみましょう。