一般的に、仕上げとは「見事な仕上げ」など、その結果やできばえのことを指します。また、副詞として使う場合は、一連の作業の最後に行うことを指します。仕上げに〇〇をする、といったように使います。
外壁塗装では、しばしば「仕上げ塗装」や「仕上げ塗り」という専門用語が使われますが、意味は同じです。最後に塗る、という意味です。
ここでは、外壁塗装の最後に行う工程はどんな方法(工法)がベストか、また、主に8種類ある外壁の仕上げ方法のメリットとデメリットを種類別にわかりやすく解説します。
どうやって仕上げる?湿式工法VS乾式工法
外壁の仕上げについて検討する際、主に湿式工法と乾式工法の2種類の工法から選びます。湿式工法と乾式工法の違いは、作業手順や特徴です。
湿式工法は、モルタルやコンクリートといった材料を使う工法です。水を含んだ材料を使用するため、湿式工法と呼ばれています。
対して乾式工法は、工場で製作された外壁材を使って仕上げる工法です。乾燥した材料を使用するため、乾式工法と呼ばれています。
湿式工法と乾式工法それぞれのメリットとデメリットを理解して、より最適な工法を選定しましょう。
湿式工法
ここからは、湿式工法の概要とメリットとデメリットを解説します。
湿式工法の外壁下地は、ほとんどモルタル塗りの壁(モルタルを塗った仕上げ)です。モルタルとはセメント、砂、水を組み合わせてできた材料のことです。
湿式工法のコンクリート住宅ではコンクリートの素地に直接、吹き付けタイルやスタッコまたはリシン吹付を行うケースもあります。(のちほど、詳しく解説します)
湿式工法は乾燥させる工程が必要なため、養生期間を設ける必要があったり、天候に左右されてほかの作業との調整が必要になったりと、手間やコストがかかります。
そのため現代では、湿式工法ではなく工程の狂いを抑えられる乾式工法が採用され、ほとんどの住宅がサイディング張りになっています。サイディング張りの住宅とは、板状の外壁材を張り付けた住宅のことです。
メリット | デメリット |
---|---|
湿式工法のメリットは、外壁塗装の仕上げを手作業で行うため、デザインの自由度が高いことです。特に独自の見た目や高級感を求める場合、大きな強みとなります。
さらに、湿式工法では漆喰や珪藻土などの天然素材を使用できるため、自然な仕上がりを実現できます。また、湿式工法は湿気の侵入を効果的に防ぐ特性もあり、これがさらに耐久性を高める要素となっています。
一方、デメリットは、仕上がりが職人の技量に左右されやすい点です。また、湿式工法は材料を乾燥させる必要があり、天候の影響も受けやすいため、乾式工法と比べると、作業が長期間にわたる傾向があります。そのため、施工費用も高くなりがちです。
乾式工法
ここからは乾式工法のメリットとデメリットを解説します。
メリット | デメリット |
---|---|
乾式工法は工場で製造される外壁材を用いることで、安定した品質が確保されます。これにより、現場での施工の誤差や品質の不具合を最小限に抑えられます。
さらに、プレハブのように工場で事前に作られた部材を使うため、施工期間が短縮される可能性が高いです。この方法で施工できる業者が多いため、比較的容易に適任の施工業者を見つけられるでしょう。
コスト面でも、一般的に湿式工法よりも安価に済む傾向にあります。
一方で、乾式工法はデザインの自由度が限られることが多いです。工場で製造されたパネルや部材を使うため、ほかの建物とよく似た外観になる危険性が高いのです。これは、外観にこだわりたい人にはデメリットと感じられるでしょう。
加えて、パネルや部材の継ぎ目が目立つ場合があり、高級感に欠ける原因となります。
湿式工法の仕上げの種類6つ
湿式工法の仕上げ方法は、主に6つあります。
タイル張り仕上げ
湿式工法1つ目の仕上げ方法は、タイル張り仕上げです。タイルを直接外壁に貼り付けます。
メリット | デメリット |
---|---|
タイル張り仕上げのメリットは、その耐久性です。タイルは強固な材料であり、長期間にわたって外壁を保護できます。
さらに、タイル張りはその高級感とデザイン性にも優れています。多種多様な色や形状、模様のタイルを選ぶことで、独自のデザインと美しい外観をつくれるでしょう。
しかし、タイル張り仕上げは費用が高い傾向にあります。タイル自体のコストと、それを施工する際の技術的な手間が合計され、結果として費用が高くなるのが一般的です。
また、施工が難しいため職人の技量に大きく依存します。精度の高い施工が求められるため、職人のスキルが不足していると品質に影響を与える危険性やタイルが剥落するおそれもあります。
モルタル仕上げ
湿式工法2つ目の仕上げ方法は、モルタル仕上げです。厚みや材質感のある外壁にできるのが特徴です。
メリット | デメリット |
---|---|
意匠性の高いことからさまざまなデザインが可能で、高い遮熱効果も兼ね備えています。また、一般的に耐久性と耐火性が高く、特にシーリングの補修が不要な点もメリットとされています。
一方で、ひび割れしやすく、定期的な補修が必要となる場合があります。汚れがたまりやすく、壁自体の防水性能が低い欠点もあります。
工期も比較的長くなりがちで、仕上がりは職人の技量に大きく左右されるため、高いスキルが要求されます。
外壁をモルタルで仕上げるケースは少ない
モルタルは防火性能が高く、サイディング張りが主流になる前は、外壁の材料として広く使用されていました。しかし「ひび割れ」しやすいため、ひび割れを防ぐには厚く塗って乾燥期間も長くする必要があります。効率が悪いと考える人が多く、徐々に使われることが少なくなり、現代はサイディング張りが主流です。
一方でひび割れを防ぐ方法として「耐アルカリ性のグラスファイバー」を混ぜる方法があり、モルタル仕上げ自体は減っているものの、モルタル壁を専門とした工務店は増えています。
モルタル仕上げには特殊な方法として「ドイツ壁」という、モルタルを「ササラ」という「ほうき」のような道具ではね飛ばして、壁に付着させる方法があります。
しかし、塗装方法で多いのはモルタルのうえに吹き付けタイル・スタッコ・リシン吹付といった、仕上げ塗装をする方法です。
吹き付けタイル・スタッコ・リシン吹付は凹凸模様の大きさに下記のような違いがあります。
- 吹き付けタイルは大きな凹凸が多い
- スタッコは吹き付けタイルよりは細かな凹凸になる
- リシン吹付は大きめな砂を吹き付けたように、細かな凹凸ができる
吹き付けタイル(ボンタイル)仕上げ
湿式工法3つ目の仕上げ方法は、吹き付けタイル(ボンタイル)仕上げです。タイルを細かく砕き、モルタルやそのほかの材料と混ぜ合わせて吹き付ける、特殊な工法です。
メリット | デメリット |
---|---|
吹き付けタイル仕上げの特長は、その高い独創性とデザイン性です。でこぼことした塗装面が形成されるため、独自の外観を持つ外壁に仕上げられます。
さらに、汚れが付着しにくいという特性や防水性も高いため、メンテナンスがしやすいという利点があります。
一方で、施工工程が多く、それが費用を高くする一因となります。吹き付けるプロセスは技量に大きく依存するため、職人のスキルが低いと、でこぼこの模様が不均一になるなど、仕上がりの品質に影響を与える危険性があります。
スタッコ仕上げ
湿式工法4つ目の仕上げ方法は、スタッコ仕上げです。化粧漆喰とも呼ばれ、コテ塗りと吹付の2種類の手法があります。漆喰の一種で、でこぼこ模様が特徴です。
でこぼこ模様をつくるためにスタッコを吹き付け、吹き付けたスタッコのうえに仕上げの塗料をコーティングします。塗り替えなどの再塗装をする際、スタッコ自体が壁にしっかり付着している場合は仕上げの塗装だけで十分です。
凹凸模様が剥がれる、あるいはひび割れしている場合は、スタッコの補修をしたうえで上塗りをします。しかし、外壁全体に劣化が見られる場合はスタッコを全面的に剥がしたあとに、再塗装する必要があります。
メリット | デメリット |
---|---|
スタッコ仕上げの魅力は、そのデザイン性の高さと独特の質感です。これにより、ほかの仕上げ方法にはない高級感や独自のスタイルを外壁に与えられます。
しかし、耐久性が低くひび割れが起きやすいため、定期的なメンテナンスが必要です。また、でこぼこの表面が細かいため、汚れがたまりやすく掃除が大変です。
一般的にメンテナンスで再塗装する際は、ほかの外壁仕上げ方法に比べ約3倍の塗料を消費します。
リシン仕上げ
湿式工法5つ目の仕上げ方法は、リシン仕上げです。リシンは、モルタル外壁に使用される特殊な仕上げ材です。
メリット | デメリット |
---|---|
リシン仕上げのメリットは、その透水性と透湿性の高さです。透水性と透湿性が高いと、結露を防ぐことができます。また、費用面でも比較的安価であり、低予算でも十分に活用できます。
一方で、リシン仕上げのデメリットは、汚れが落ちにくい点です。特に、都市部や交通量の多い場所では大きな問題となります。
また、一般的に耐用年数が短く、頻繁なメンテナンスが必要です。ひび割れもしやすく、その修復が必要になる場合もあります。
左官仕上げ
湿式工法6つ目の仕上げ方法は、左官仕上げです。左官仕上げは、コテを使って職人が直接模様をつけます。
模様の種類は「扇仕上げ」や「刷毛引き仕上げ」など多種多様で、職人の技術力がもっとも試される仕上げ方法といってもよいでしょう。
メリット | デメリット |
---|---|
左官仕上げのメリットは、デザイン性だけではありません。左官仕上げの壁は、湿度の調整に優れています。これは、左官仕上げに使われる材料が漆喰などの自然素材であることから来ています。自然素材は湿度を吸収し、必要に応じて放出する能力があるため、湿度を一定に保つのに役立ちます。
また、化学物質を吸収する性質も持っているため、空気を浄化するなどの消臭効果が期待できます。
一方、左官仕上げのデメリットは、費用が高く工期が長くなりやすいことです。手作業で行うため、無理して工期を早めると色むらが出るなど失敗しやすくなります。また、ひび割れや変色しやすく、職人の技量に左右されやすい点にも注意しましょう。
乾式工法の仕上げの種類2つ
乾式工法の仕上げ方法は、主に2つあります。
乾式タイル張り仕上げ
乾式工法1つ目の仕上げ方法は、乾式タイル張り仕上げです。接着剤を使用してタイルを貼り付ける方法です。
メリット | デメリット |
---|---|
タイルはその質感と耐久性で知られ、高級住宅や商業施設でよく使用されます。また、シーリングの打ち替えが不要であるため、メンテナンスの手間が省けます。
耐久性が高く、剥離の可能性が低いのも特徴です。
デメリットは、デザイン性が比較的低く、特別なデザインや形状のタイルが少ない点です。ほかの仕上げ方法に比べると、デザインに多少制限がかかる危険性があります。
また、タイルと接着剤で外壁が重くなるため、地震の影響を受けやすくなります。費用も一般的には高く、予算が限られている場合には検討が必要です。
サイディング張り仕上げ
乾式工法2つ目の仕上げ方法は、サイディング張り仕上げです。板状の外壁材を張り付ける方法です。
メリット | デメリット |
---|---|
サイディング張り仕上げは、比較的耐水性と耐候性が高いため、特に多雨や強風の地域での使用で活躍しやすいでしょう。
また、使用される仕上げ材は一般的に軽量であるため、耐震性も高いとされています。品質が安定しているのも、この工法が多く選ばれる理由の一つです。
デメリットは、種類によってはメンテナンスが頻繁に必要な場合があることです。特に木質系などは、定期的な塗装や修理が必要になることが多いです。
また、高品質なサイディング材を選ぶと、それに伴ってコストも高くなる危険性があります。
どの方法がベスト?選び方
外壁の仕上げ方法を選ぶ際、まずは湿式工法か乾式工法かを選択します。そのうえで、選択した工法の中でどの仕上げ方法がよいか吟味しましょう。
また、一概に「これがベスト!」といえる仕上げ方法はありません。それぞれ何を重視するかによって、最適解は大きく変わってきます。
ここからは特定の条件に当てはまる場合のオススメ仕上げ方法と、その理由を解説します。
デザイン重視なら湿式工法
外壁の仕上げにはいくつかの方法がありますが、特にデザインにこだわりたい方には、湿式工法がおすすめです。この工法では、現場で職人が手作業で外壁を仕上げていくので、独自のデザインや特別な質感を実現できます。つまり、凝ったデザインの外壁が可能なのです。
ただし、湿式工法は工期が長引く危険性が高く、結果としてコストも高くなりがちです。とはいえ、外観を最優先に考える方にとって、時間とコストの問題は二の次かもしれません。
湿式工法での仕上げは、職人の技術によって大きく左右されます。そのため、施工実績が豊富で信頼できる外壁業者を選ぶことが重要です。
コストパフォーマンス重視なら乾式工法
コストパフォーマンスを重視するなら、乾式工法が良い選択となるでしょう。
乾式工法は、工場で事前に外壁材を製造することで、安定した品質を確保できます。短い工期で施工が可能となり、結果として全体のコストも抑えられます。
ただし、乾式工法のデザイン性には限界があり、ほかの仕上げ方法と比べて多少単調な外観になる危険性が高いです。
しかし、高いデザイン性よりも予算や耐久性を重視するのであれば、この工法が最適です。つまり、デザインにこだわらず、しっかりとした品質とコストパフォーマンスを求める方には、乾式工法が向いているといえるでしょう。
外壁の仕上げを依頼するなら、ぬりマッチがおすすめ
外壁の見た目は、実際に施工する職人によって左右されます。
経験年数の浅い職人に仕上げを担当された場合は、期待と異なる仕上がりになる場合があります。そのため、できるだけ経験も実力もある熟練の職人に仕上げを担当してもらいたいところです。
しかし、熟練の職人がいる会社を数ある外壁塗装会社の中から見つけるのは難しいでしょう。外壁塗装の一括査定サイト「ぬりマッチ」なら、簡単に熟練の職人を見つける手助けができます。ぬりマッチは、完全無料で外壁塗装会社に一括で見積もり依頼ができるサービスです。
見積もりを依頼できる会社は、書類審査と電話でのヒアリング調査をもとに「優良」と判断した会社のみですので、ぜひ信頼して利用してください。