自分でコストを概算するには、外壁塗装面積の計算をしなければなりません。
この記事では、塗装の際に必要な外壁面積の計算方法を解説します。面積を求めるにもポイントがあるので、参考にしてみてください。
図面から塗装面積を計算する方法
建物の図面がある場合は、正確な面積を求めることができます。
用意すべき図面
図面は、塗装する面積を調べるためだけでなく、工事にかかるお金を予測するためにも必要な資料です。
まず用意するものとしては、以下の4点です。計算が複雑になるので、電卓も用意しておくとよいでしょう。
- 立面図
- 平面図
- 三角スケール
- 電卓
立面図から高さを求め、平面図から横の長さを求めます。そして、図面の縮小値から実寸法を出します。
四方の各外壁の面積を求め、各外壁面から非塗装部分(窓やドア)の面積を引けば、正確な外壁の面積が求められます。
図面から塗装面積を計算する際の注意点は?
注意としては、すべての外壁が四角形ではないことです。妻面(棟に直角な面)は上部が三角形になってますので気をつけて計算してください。
そして、忘れがちなのが軒天井(のきてんじょう)、庇(ひさし)の計算です。基本的には塗装箇所になるので外壁の面積に足しておきましょう。
材質によっては、庇は非塗装箇所になる可能性もあるのでその確認も必要です。
図面があることによって、まず、現地調査が必要なくなります。現地調査とは、建物の面積を実際に計測して、計算することです。図面で高さや長さを拾うことによって現地調査の倍以上の時間を短縮することができ、より正確な計算ができます。
正確な計算をすることによって、事業者が出した面積と比べることができ、結果としてより良い事業者を選べます。
延べ床面積から塗装面積を算出する方法
延べ床面積から概算することも可能ですが、注意すべきことがいくつかあります。
延べ床面積とは?
延べ床面積とは、建物の各階の床面積を合計したものです。屋上に塔屋がある場合も、床面積に含まれます。
ただし、以下のような部分は延べ床面積に含まれません。
- 床自体がない吹き抜け部分
- 外壁から2メートル以内のバルコニーやベランダや庇
- 玄関ポーチや、天井の高さが1.4メートル以下ではしごが固定されていないロフト
- 壁で囲まれていない部分(高さ30センチ以上で外壁面からの水平距離50センチ未満の窓など)
ここで、家を塗装する際に延べ床面積と並んでよく出てくる「面積」用語を紹介します。
建築面積
建物を真上から見たときの面積のことです。建坪(たてつぼ)ともいい、おおむね1階部分の面積に等しいといえます。ただし、2階が1階よりも面積が大きいときは、2階部分の大きさが建築面積です。
施工面積
バルコニー、玄関ポーチなど延べ床面積に算入されない部分を含めた面積です。そのため、基本的には延べ床面積よりも大きくなることが多いです。
敷地面積
土地面積とも呼ばれ、真上から見たときの敷地の広さのことです。
延べ床面積からの外壁塗装面積の出し方
以下の計算式にて、延べ床面積から外壁塗装面積を概算します。
※「3.3」は、1平米は0.3坪で、1坪で3.3平米
係数とは、塗装係数ともいわれます。もともと、屋根に曲線などがある場合、軒の長さと斜面の長さを乗じた平面の面積よりも大きくなります。そのため、正確な費用が知りたい時には、実際に平らに伸ばして平面として考えた時の面積を使用して塗装費用を計算します。
外壁塗装面積を出す場合の係数は1.2〜1.7が妥当です。
坪数からのおおよその外壁塗装面積を表した表を紹介します。
建坪(1階分の坪数)(坪) | 延べ床(1階分の平米数)(㎡) | 外壁面積(係数1.2で計算)(㎡) |
---|---|---|
1 | 3.3 | 3.9 |
5 | 16.5 | 19.8 |
10 | 33 | 39.6 |
15 | 49.5 | 59.4 |
20 | 66 | 79.2 |
25 | 82.5 | 99 |
30 | 99 | 118.8 |
35 | 115.5 | 138.6 |
40 | 132 | 158.4 |
45 | 148.5 | 178.2 |
50 | 165 | 198 |
55 | 181.5 | 217.8 |
60 | 198 | 237.6 |
65 | 214.5 | 257.4 |
70 | 231 | 277.2 |
75 | 247.5 | 297 |
80 | 264 | 316.8 |
85 | 280.5 | 336.6 |
90 | 297 | 356.4 |
95 | 314.0 | 376.2 |
100 | 330 | 396 |
延べ坪(1階+2階の坪)(坪) | 延べ床(2階分の平米数)(㎡) | 外壁面積(係数1.2で計算)(㎡) |
---|---|---|
2(1+1) | 6.6 | 7.9 |
10(5+5) | 33 | 39.6 |
20(10+10) | 66 | 79.2 |
30(15+15) | 99 | 118.8 |
40(20+20) | 132 | 158.4 |
50(25+25) | 165 | 198 |
60(30+30) | 198 | 237.6 |
70(35+35) | 231 | 277.2 |
80(40+40) | 264 | 316.8 |
90(45+45) | 297 | 356.4 |
100(50+50) | 330 | 396 |
110(55+55) | 363 | 435.6 |
120(60+60) | 396 | 475.2 |
130(65+65) | 429 | 514.8 |
140(70+70) | 462 | 554.4 |
150(75+75) | 495 | 594 |
160(80+80) | 528 | 633.6 |
170(85+85) | 561 | 673.2 |
180(90+90) | 594 | 712.8 |
190(95+95) | 627 | 752.4 |
200(100+100) | 660 | 792 |
延べ床面積から外壁の平米数を算出する方法は、延べ床面積に含まれない部分があるため、精度があまり高くはありません。
延べ床面積からの外壁平米数の算出方法はあくまでも目安にしてください。
実測して算出する方法
実際に測るのが、やはり手っ取り早いでしょう。実は、自分で測る方法もあります。
実測する方法は?
実測で算出する場合、スケール(巻尺)を使用して外壁周りの長さ、外壁の高さ等の実寸を測ります。そこから、窓や玄関などの開口部の数と大きさを測り、引きます。
最近は、レーザー距離計というレーザーで実測できるものもあります。
自分で測る際に最も便利なのは、iPhoneなどのスマートフォンに含まれている計測アプリを使うことです。スマホひとつあれば作業できるので、お金もかからず、手が汚れたりもしません。作業も早いのでおすすめです。
具体的な実測方法は?
以下の計算式にて、塗装面積を出すことができます。
補足をすると、家の外壁の周りの長さ、壁の塗装部分から屋根の高さ、そして係数を用います。非塗装部分の面積(窓やドアなど、家全体の開口部)を合わせると、外壁面積の約15%といわれているため、係数は0.85で計算します。
実際に窓などを計測して、
でもかまいません。
どちらの計算であっても、やはり正確な平米数が算出できるわけではないため、あくまでも目安にしましょう。
実測のメリット・デメリット
実測のメリットは、自身で直接測れることでしょう。
ひとりでも実測可能ですし、直接外壁を見ることによって、外壁や樋、庇、窓などの現在の状態を確認できます。外壁塗装を依頼する際には、事業者に直接伝えることができます。
デメリットは、上記2つの方法より非常に時間がかかることです。
実測するわけですから手間もかかりますし、疲労も溜まります。高さを測る時には脚立を使って測ったり、高いところに登って測ったりするためとても危険です。ひとりで作業する場合は万が一もあるため、十分に気をつけて作業しましょう。
外壁塗装面積の計算方法を事業者に伝えよう
外壁塗装面積を出して事業者と打ち合わせする際には、どのような方法で計測したのか確認しましょう。
自身で計測して出した数値が、事業者が出した数値よりかなり少ない場合は、事業者が手抜きで大雑把にしか計算してない可能性があります。
事業者は1平米あたりの塗り替え金額で計算するので、少しでも違うと金額に大きな差ができます。そのため、自分でも上記の3つの方法のどれかで外壁塗装面積を計算しておくと安心です。