外壁塗装の見積もりを取った際に、適正な価格かどうか疑問に思う方もいるでしょう。また、業者によっても見積書の表記がバラバラなため、他の業者と比べることができない場合もあります。
この記事では、外壁塗装費用を1平米あたりの単価から見積もる方法を解説します。
塗料代や足場代などの平米単価の相場まで紹介しますので、ぜひ参考にしてください。
平米単価の目安
業者によって見積もりの方法や見積書の表記がバラバラなため、外壁塗装費用を精査するのは困難です。そのため、ここでは自身でも判断がしやすい平米単価の相場について解説します。
塗料の平米単価
塗料代の平米単価は、使用する塗料の種類によって違います。安い塗料の平米単価は1,000円程度ですが、性能が良い塗料は平米単価が5,000円以上もかかります。
以下の表に、代表的な塗料の平米単価をまとめました。
塗料の種類 | 耐用年数(年) | 費用相場(円/㎡) |
---|---|---|
アクリル塗料 | 約5~7 | 1,400~1,600 |
ウレタン塗料 | 約8~10 | 1,700~2,200 |
シリコン塗料 | 約10~15 | 2,300~3,000 |
ラジカル塗料 | 約10~15 | 2,500~4,000 |
ピュアアクリル塗料 | 約12~15 | 3,500~4,500 |
フッ素塗料 | 約15~20 | 3,800~4,800 |
無機塗料 | 約20~25 | 4,500~5,500 |
光触媒塗料 | 約15~20 | 4,200~5,000 |
遮熱塗料 | 約15~20 | 5,000~5,500 |
塗料の違いによって、耐用年数や性能も異なります。
たとえば、一般的に使用されるシリコン塗料は耐用年数が8~15年です。汚れや色落ちに強く防カビ性にも優れた特徴があります。
一方で平米単価が高い遮熱系塗料は、耐久年数が15~20年とシリコン塗料に比べて5年も長持ちします。また遮熱効果もあるため、屋根に熱がこもりにくく省エネ効果が期待できます。
このように塗料によって耐久年数や性能が異なるため、平米単価にも差が生まれます。
足場代の単価
外壁塗装を行う際は、足場代も発生します。足場の種類によって、平米単価が異なります。
以下の表で、住宅の外壁塗装でよく使用する足場の種類ごとに平米単価をまとめました。
足場の種類 | 平米単価(円) |
---|---|
単管足場 | 650~800 |
クサビ(ビケ)式足場 | 750~900 |
単管ブラケット足場 | 600~800 |
一般的に使用される足場はクサビ式足場です。
クサビ式足場は、建地と呼ばれる支柱を建てて足場となる水平材を連結させた足場です。他の足場に比べて、強度が高く安定した足場です。
単管足場や単管ブラケット足場は、平米単価が安いですがクサビ式足場に比べて強度がありません。ただし自在に足場が組めるため、設置スペースが狭くクサビ式足場が組めないような現場で組む場合があります。
塗装前処理の単価
外壁塗装工事の前は、飛散養生や高圧洗浄が必要です。他にも外壁の劣化具合によっては、下地補修も行うことがあります。
以下に塗装前処理の平米単価をまとめました。
塗装前処理の内容 | 平米単価(円) |
---|---|
飛散防止ネット | 100~200 |
高圧洗浄 | 100~300 |
養生 | 250~400 |
コーキング(増し打ち・打ち替え) | 500~1,500/m |
下地補修(クラック補修など) | 1,700~2,500 |
下地補修は、劣化具合に応じてコーキングで済ませる場合があります。軽微な劣化の場合は、安く済ませることが出来ます。
どの下地補修の方法をとるかは業者ごとに違うため、平米単価も異なります。見積もりを取った際は必ず確認しましょう。
その他
外壁塗装と合わせて付帯工事や、防水工事も行うことが多々あります。
付帯工事とは、外壁塗装とあわせて軒天井などにも塗装を施すことです。防水工事は、バルコニーや屋上に防水効果のある塗装をします。
以下では、付帯工事で行う破風板や雨樋、バルコニーに行う防水工事の単価をまとめました。
付帯工事 | 単価(円) |
---|---|
軒天井 | 800~1,200/㎡ |
破風板 | 650~1200/㎡ |
雨樋 | 800~1,200/m |
雨戸 | 2,000~5,000/枚 |
シャッターボックス | 2,000~5,000/個 |
防水工事 | 平米単価(円) |
---|---|
ウレタン防水 | 2,500~7,000 |
FRP防水 | 4,000~7,500 |
トップコートのみ | 2,000~3,500 |
廃材ゴミ処理 | 10,000~30,000/1式 |
付帯工事で行う内容は、住宅ごとに違います。そのため、付帯工事や防水工事の総費用も、他の住宅とは異なることを理解しておきましょう。
外壁の付帯工事以外に、玄関ドアの塗装も定期的に塗り替える必要があります。玄関ドア塗装について、下記コラムをご参照ください。
平米単価から住宅の塗装費用を算出
ここまで、それぞれの平米単価について紹介しました。
次は、塗装費用を算出するために必要な塗装面積を求める方法を紹介します。
塗装する箇所
住宅の塗装費用を算出する際は、塗装する箇所を明確にする必要があります。
たとえば、窓や玄関などの開口部は塗装しないため塗装面積に含まれません。一方でバルコニーがある場合は、立ち上がりの壁が塗装面積に含まれます。
開口部の面積やバルコニーの面積は、外壁の塗装面積に大きく影響します。そのため、正確な塗装面積を算出する上で必ず確認する必要があります。
塗装する面積
塗装する箇所が把握できたら、塗装する面積を算出していきます。
塗装する面積の算出方法は、以下の3つです。
- 実測して算出する方法
- 建物面積から算出する方法
- 図面から計算して算出する方法
一般的に塗装業者は、実測して算出する方法か図面から計算して算出する方法のどちらかの方法で算出します。ただし、どちらの方法も業者でなければ難しいため、見積書のチェック程度であれば建物面積から算出する方法をおすすめします。
建物面積から算出する方法は、以下の計算式を用いて行います。
また、坪表記の場合は3.31をかけることで平米数に変換できます。
延べ面積×1.1~1.4(係数)
延べ面積に係数をかけることで、塗装する面積を算出できます。
延べ面積とは、すべての階の床面積を合計したものです。
たとえば、1階が40㎡で2階が50㎡の場合に、延べ床面積は90㎡になります。一般的に使われる延床面積と同意義です。
また、この場合に使用する係数は窓や玄関など塗らない部分を省くための数値です。延べ面積が大きいほど、小さい係数を使うことで実測値に近づけます。精密な塗装面積ではありませんが、おおよその塗装面積を算出できます。
実際に、延べ面積80㎡の戸建て住宅を例に計算していきます。建物面積から算出する方法を参考に、係数1.2の場合の計算式は以下のとおりです。
80㎡×1.2=96㎡
よって80㎡の戸建て住宅の塗装面積は96㎡になります。
塗料代や足場代は、先ほど紹介した単価に今回紹介した塗装面積をかけることで算出することが可能です。
平米単価以外の費用を変える要因
外壁塗装の費用を変える要因は塗装面積などの平米単価だけではありません。
業者の形態
業者の形態によっても外壁塗装費用が異なります。
塗装を行っている業者は主に、以下の5つです。
- 塗装専門店
- ハウスメーカー
- 工務店
- ホームセンター
外壁塗装をハウスメーカー、工務店、リフォーム会社に依頼する場合は、塗装専門店に比べて費用が高くなる場合があります。なぜなら、ハウスメーカーや工務店は外壁塗装が専門外なため、下請けの業者に依頼する必要があるからです。下請けに業者に依頼する際に中間マージン費用が加算されてしまいます。
一方で塗装専門店は、自社の職人が担当することがほとんどです。中間マージン費用が発生しないため、他の業者に比べて外壁塗装費用を安く抑えられます。
周辺環境や家の形態
周辺環境や家の形態も平米単価以外の費用を変える要因のひとつです。
たとえば、足場を組むのが困難なほど、隣家との間隔が狭い住宅です。足場の運搬や組み立てが複雑になるため、手間や時間がかかり、費用が嵩みます。
また家の形態によっても費用が変わります。たとえば住宅の階数が3階建ての場合は、2階建てよりも足場を組む面積が増えます。他にも屋根が傾斜している場合は、屋根足場を組む必要がでてきます。
このように周辺環境や家の形態によって足場を組む面積が変わります。加えて時間と手間もかかってしまうので、その分費用が嵩みます。
建物の劣化具合
建物の劣化具合も外壁塗装費用が変わる要因です。
たとえば、外壁の劣化状態が進行している場合は塗装前に補修作業が必要になります。 外壁に欠けやひび割れがある場合はモルタル補修が必要なため、平米単価で約3~7万円も追加費用が発生してしまいます。すでに外壁の劣化状態に問題がある場合は、塗装工事費用が高くなることを理解しておきましょう。
外壁のひび割れの補修については、こちらからご確認ください。
塗装業者に相談してみましょう
ここまで平米単価から外壁塗装費用を見積もる方法を解説しました。 業者ごとに見積もりの表記が違う場合でも、平米に変換することで平米単価を求めることが可能です。また業者の見積もり内容と一般的な平米単価の相場を比較することで、適正な価格かどうかを判断できます。
複数の業者から見積もりを取る場合は、一括査定サイトがおすすめです。一括査定サイトであれば一度に複数の業者に見積もりを依頼できます。
また業者ごとの見積もり金額を比較することができるため、相場を確認できます。