自然塗料とは、以下のような素材を採用している塗料の一般名称です。
- 樹木や虫などから分泌液が固まった天然樹脂(
松脂 、ダンマル、セラックなど) - 天然オイル(
亜麻仁 油、ひまわり油など) - 天然ロウ(
蜜蝋 など)
自然塗料は、国内外の多くの塗料メーカーから販売されています。天然由来成分が豊富で、比較的安全性の高い塗料というイメージがあるのではないでしょうか。
本記事では、自然塗料の特徴や種類を解説します。また、代表的な商品も紹介するので、塗料選びのご参考になれば幸いです。
自然塗料とは?
自然塗料は、住宅においては、以下のような木素材の保護を目的として利用されます。
- ウッドデッキ
- 外壁面
- 木の柱
- フローリング
近年DIYをする人が増加しているため、ホームセンターやネット通販などでも簡単に入手できます。
具体的にどのような特徴があるのか確認してみましょう。
特徴
木材の腐食を防ぐための保護機能があり、木素材の木目・手触りを活かしたまま塗装ができます。
塗料の種類によっては、塗装したものを赤ちゃんがなめてしまっても人体への影響がなく、とても安全な塗料もあります。
ただし、自然塗料も明確な基準(JIS規格)がないため、すべての塗料が安全ということではないので注意が必要です。
日本だけではなく、海外の塗料メーカーの製品もあるため、ひとつの基準を作ることは容易ではありません。そのため、各国の基準やメーカー独自の試験内容や塗料成分によって性能を決定しています。
塗料の安全性は、しっかりとカタログやメーカー、販売店で確認することが重要です。
なお、安全性の高い自然塗料を見分けるには、シックハウス症候群の原因となるホルムアルデヒドという化学物質が塗料内に含まれているかどうかの基準になる「F☆☆☆☆」も重要なポイントです。
「☆」が多いほどホルムアルデヒドの放出量が少ないことを意味しており、「F☆☆☆☆」が最も少ないです。
化学物質の規定は室内製品に限られていますが、健康意識の高まりとともに外壁用塗料でもF☆☆☆☆取得製品は増えています。
向いているケースは?
自然塗料のメリットとデメリットを以下の表にまとめました。
メリット |
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デメリット |
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上記により、自然塗料は、以下のような人が使用するのに向いているといえます。
- 木材の風合いを残したい人
- ちょっとした家の手入れ(部分補修)を何度も行うことを手間に感じない人
- 塗料に対して安全性を求める人
塗料は、どのような仕上がりにしたいのか、どのような劣化症状を改善させたいのかなどで選ぶ必要があります。 知識がないと選ぶのが難しいため、専門家の判断を仰ぐことがおすすめです。塗装したい箇所の状態に合わせて、どの塗料が向いているのかを提案してくれます。
自然塗料の種類
自然塗料には、主に以下の3種類があります。
オイル系
天然油脂が木材に染み込むことによって、撥水性と防腐効果を与えて、木材の腐食を予防します。
また、透明な油脂に顔料を混ぜているため、半透明の色付き塗料です。そのため、木目を活かしたまま希望の色味に変更できます。
一般的には、浸透形の自然塗料と呼ばれます。
ワニス系
天然樹脂を油成分で溶かして、木材に塗装します。
塗料を乾燥させると、木材の表面に透明な薄膜を形成して木材を保護します。そのため、雨水などを弾く撥水性と防腐効果をもたらします。
一般的に、造膜形の自然塗料と呼ばれます。
ワックス系
天然ロウを溶剤に溶かして、木材に塗装します。
塗料が乾くと、木材表面にロウの成分が薄膜を作ります。そのため、ロウの成分が撥水性や防汚性を発揮して、木材の腐食を防ぎます。
【参考】化学塗料とは
自然塗料とは別に、化学塗料があります。石油系樹脂を使用しているため、自然塗料よりも高い保護機能があります。
スタンダードなシリコン塗料でも、低価格で10〜15年ほど長持ちする塗料も多数存在します。その他に、遮熱性や低汚染性、断熱性などさまざまな機能がそれぞれあります。
木材の劣化や腐食の度合いが高い場合は、自然塗料では不十分で、化学塗料で塗りつぶすこともあります。
建物の劣化状態を適切に判断した上で塗り替えることが必要です。
ただし、木材の上に色付きの塗膜を形成する塗料が多く、木材特有の模様がなくなります。また、木材の調湿作用によって塗膜が膨れたり、剥がれたりするおそれがあります。
おすすめの自然塗料
自然塗料はさまざまなメーカーが発売しています。ここでは代表的なものをいくつか紹介します。
オスモ&エーデル株式会社「オスモカラー」
発売元 | オスモ&エーデル株式会社 |
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生産国 | ドイツ |
商品ページ | オスモ&エーデル株式会社「自然塗料 オスモカラー」 |
オスモカラーは、1899年にドイツで誕生した製品です。植物油(ひまわり油、大豆油、あざみ油)と植物ワックスからできており、有害な化学物質やシンナーを使用していない安全な自然塗料です。
特に子どもがいる家では、子どもが口に入れたりするので、塗料が人体へ与える影響を気にする必要があります。
内装用のオスモカラーは、ヨーロッパ玩具安全基準「DIN53160ドイツ工業規格唾液溶解テスト」に合格しており、赤ちゃんの口に触れても安全なことが証明されています。
また、塗料の成分である樹脂や顔料が一般的な塗料よりも多く配合されているため、木材の保護機能が高いです。それにより、長持ちしやすく、広い面積を塗装できるので経済的です。
アールジェイ株式会社「いろは」
発売元 | アールジェイ株式会社 |
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生産国 | 日本 |
商品ページ | アールジェイ株式会社「自然塗料いろは」 |
いろはは、植物油(
日本古来の顔料「ベンガラ」を使用しており、和風建築に似合う落ち着いた色みが売りです。ベンガラは、紫外線による塗装面の劣化が少なく、木材の美しさを長期にわたって維持できる天然着色顔料です。
アウロジャパン株式会社「AURO(アウロ)」
発売元 | アウロジャパン株式会社 |
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生産国 | ドイツ |
商品ページ | アウロジャパン株式会社「商品一覧」 |
ドイツのAURO社は、塗料やワックス、洗剤などすべての製品を100%天然原料で造るメーカーです。
樹脂を溶かすための溶剤も、天然のオレンジの皮から抽出されるオレンジオイルを100%使用しているシンナーを使用しています。そのため、不快な石油臭は一切なく、爽やかなオレンジの香りがします。
株式会社イケダコーポレーション「リボス自然健康塗料」
発売元 | 株式会社イケダコーポレーション |
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生産国 | ドイツ |
商品ページ | 株式会社イケダコーポレーション「リボス自然健康塗料商品一覧」 |
ドイツのリボス社で製造された塗料です。世界中でも自然塗料を先駆けて開発した「自然塗料メーカー」といわれています。
リボス社の理念として「溶剤は決して毒性があってはならない」があり、食品レベルの高品質な
中には、日本の気候風土に合わせた高耐久性の自然塗料も発売しています。
塗料を選ぶ際はまず業者に相談してみよう
自然塗料といっても、塗装部位や塗料の種類、各種塗料メーカーによってさまざまな選択肢があります。
どの塗料を選べばよいか悩む方も多いのではないでしょうか。
まずは、専門業者への相談を行い、自宅の状態を確認してもらった上で、塗装を検討しましょう。1社ではなく複数の塗装業者からの提案を比較することで自分に合った塗料を選べます。
その際、1社ずつ問い合わせるのは手間や時間がかかるため、一括査定サイトを活用しましょう。
自然塗料に関するよくある質問
- 自然塗料はどんな塗料?
- 木材の腐食を防ぐための保護機能があり、木素材の木目・手触りを活かしたまま塗装ができます。また、口に入れても問題がないような安全な塗料もあります。
- 自然塗料にはどのような種類がある?
- 主に、オイル系・ワニス系・ワックス系の3種類があります。