DIYブームのなかで、マイホームの外壁塗装を自分で行おうと考えている方も少なくないでしょう。しかし外壁塗装は、建物の美観を保つためだけに行うものではありません。
外壁塗装の本来の目的は、大切な住まいを塗膜で保護して、建物の寿命を延ばすことです。
外壁塗装をDIYで行うことはできるものの、失敗例も少なくありません。DIYで作業をするときのよくある失敗と注意点、施工会社に任せる作業の目安を解説します。
DIYの外壁塗装でよくある失敗
外壁塗装はDIYでも可能ですが、本来はプロである施工会社が行うものです。そのため、DIYだと失敗してしまうこともあります。
色むらなど仕上がりが悪い
色むらがあって見栄えが悪い、イメージどおりの仕上がりにならない、塗り残しがあるなどはDIYのよくある失敗です。適切な塗り方や塗料の選択ができない場合は、塗膜の劣化が早まってしまいます。
外壁塗装は簡単に塗り直せないので、工程ごとに仕上がりの状態をしっかりと確認しながらていねいに塗装することが大切です。
足場なしで塗装してけがをしてしまう
外壁塗装では高所作業が必要になるため、足場の設置が不可欠です。しかし、DIYでは足場を組むことが難しいため、はしごや脚立、柄の長いローラーなどを使って無理な姿勢で作業を行うことがあります。
しかし、そういった方法で高所を塗装しても、仕上がりが悪くなるだけなく、危険な作業になってけがや事故につながることもあります。
DIYといえどもしっかりと足場を組んで、安全第一で作業することが大切です。
思っていたほど安くできなかった
外壁塗装は必要な機材や道具をそろえるだけでお金がかかります。そのため、機材をそろえるところからはじめる場合は、さまざまな費用がかさむため、思ったほど安くできないことがあります。
しかも作業に慣れていないと、時間もかかってしまうでしょう。費用を抑えようと思ってDIYにしたのに、お金と時間がかかってしまい、結果的にあまり意味がないことは珍しくありません。
外壁をDIYで塗装するときの注意点
外壁塗装は正しい手順に沿って適切に施工をしなければ、塗料の性能を100%発揮させられません。そのためDIYで外壁塗装を行う場合も、施工会社と同じように注意が必要です。
DIYで外壁塗装を行うときは、次のことに注意してください。
- 旧塗膜や汚れの除去をしっかりと行う
- 下地処理を入念に行う
- 養生を行う
- 塗装は下塗り、中塗り、上塗りの3工程で行う
- 塗料の乾燥時間をしっかりと確保する
旧塗膜や汚れの除去をしっかりと行う
塗装をする前に外壁の洗浄をしっかりと行いましょう。家庭用の高圧洗浄機を使って洗浄するのがベストですが、用意できない場合はブラシやスポンジなどを使ってホースで水洗いします。
外壁には旧塗膜のほかに埃や油脂、コケ、カビなどの汚れが付着しており、これらを落とさないまま塗装すると剥がれの原因になってしまいます。
大切な工程なので時間をかけてていねいに行いましょう。
下地処理を入念に行う
塗装作業よりも重要な作業が下地処理です。下地処理とは、外壁にできたひび割れの補修や、鉄部分のサビの除去作業、浮いた塗膜を剥がす作業などのことをいいます。
ひび割れはコーキング材を充填して補修しますが、幅が大きいひび割れの場合にはエポキシ樹脂の注入や、ひび割れに沿って電動カッターなどを用いてU字型の溝を設けてからコーキング材を充填するUカットシール材充填工法などの特殊な工法で補修を行います。
養生を行う
塗装しない部分や、玄関ドア、サッシなどの塗料がついて困るものには、ビニールや養生テープを使って養生(周囲の保護)を行います。
近隣の住宅と距離が近い場合には、塗料が飛んでトラブルになるおそれがあるため、近隣住戸や車、植栽などの養生も必要です。塗装する前に近隣住民にあいさつを行い、承諾を得てから工事に着手しましょう。
塗装は下塗り、中塗り、上塗りの3工程で行う
塗装は下塗り、中塗り、上塗りの3工程に分けて行います。下塗りには外壁と上塗り・中塗り塗料との密着性を高める重要な役割があるため、下塗り専用塗料を使ってていねいに行います。中塗りと上塗りには、同じ塗料を使用します。
DIYで塗装する場合は、広い部分にローラー、細かい部分に刷毛を使うとよいでしょう。
塗料の乾燥時間をしっかりと確保する
塗料にはそれぞれの塗料メーカーによって、乾燥時間が定められています。しっかり乾燥させずに塗装すると、ひび割れや膨れなどが起こるおそれがあります。待ち時間は長いのですが、美しく仕上げるためには欠かせない工程です。
塗装の品質を保つため、塗料メーカーの定めた乾燥時間を守ってください。
DIYで対応できる外壁の補修と注意点
外壁塗装は適切に施工しないとすぐに塗膜が剥がれて再塗装が必要になってしまうため、費用対効果を考えるとDIYでの外壁塗装はおすすめできません。
しかし部分的な軽微な補修であれば、DIYで対応できます。DIYで対応可能な補修と、補修するときの注意点を紹介します。
外壁のひび割れ補修
外壁のひび割れ補修は、ひび割れ部分から雨水の浸入などを防止するために行います。
ひび割れの幅によって補修方法が異なりますが、幅が0.3mm未満の軽微なひび割れであればDIYで補修できます。この程度のひび割れであれば必ずしも早急な補修は必要ありませんが、ひび割れの進行を防ぐためにも応急処置をしておくと安心です。
ウレタン系や変性シリコン系のコーキング剤をひび割れ部分に充填し、上から塗料を塗って仕上げます。
ホームセンターなどではシリコン系のコーキング剤がよく売られていますが、シリコン系のコーキング剤は塗膜との密着性が弱いため、上から塗装する場合には適さないので注意してください。
塗膜の部分的な剥がれの補修
外壁塗装の塗膜の部分的な剥がれであれば、DIYでの補修が可能です。
補修をするときは古い塗膜を剥がして塗装面を清掃したうえで、新たに塗装して仕上げます。本来であれば洗浄、下地処理、下塗り、中塗り、上塗りの工程を経て仕上げるものなので、あくまでも応急処置の扱いになります。
剥がれた箇所だけであればDIYで最小限の費用で補修できますが、劣化は外壁全体に及んでいるかもしれません。前回の塗装から10年を越えているときは、施工会社の診断を受けたほうがよいでしょう。
コケや藻の除去
外壁に付着したコケや藻は、家庭用の高圧洗浄機を使って除去できます。高圧洗浄機で外壁面を水洗いしながら、ブラシやスポンジなどを使ってコケや藻を除去します。
ただし外壁面にコケや藻が付着している場合、塗膜の防水性能が失われているかもしれません。早めに施工会社に点検してもらうとよいでしょう。
DIYはNG!これ以上はプロにお任せ
外壁塗装をDIYで行ったとき、期待していた効果が発揮できずに後悔してしまうことが多いと思います。
DIYでは対応できない、プロの施工会社に依頼すべきケースを紹介します。
高所での作業が必要になる
2階建以上の建物の外壁塗装では、2m以上の高さでの作業が必要です。そのため、労働安全衛生法の規定に合わせた安全措置を取らなければなりません。
高所作業はプロであっても転落事故のリスクをともなうため、DIYでの塗装は絶対に避けるべきです。
著しい劣化症状や破損などがある
外壁の塗膜が劣化して長い時間放置されていた場合は多くの不具合があって、大掛かりな改修工事が必要かもしれません。塗膜の著しい膨れや剥がれ、外壁の幅0.3mm以上のひび割れ、外壁材の欠け、雨漏りの発生、構造躯体の腐蝕など、さまざまな不具合が考えられます。
外壁の表面を塗装するだけならDIYでも対応可能ですが、著しい劣化症状があるときは施工会社による工事が必要です。
見栄えを美しく仕上げたい
外壁塗装ではさまざまな塗料のなかから、適切なものを選ぶことが重要です。外壁材の種類、劣化の状況、塗料の耐用年数や機能、施工にかかる費用など、さまざまな要素を考慮したうえで塗料を選ぶ必要があります。DIYではこういった塗料選びを自分で行ったうえで、むらなくていねいに塗らなくてはなりません。
外壁を美しく仕上げ、見栄えより長持ちさせるには、プロである施工会社へ依頼することが近道です。
施工会社選びは「ぬりマッチ」がおすすめ
DIYで対応できないときは、遠慮なく施工会社へ相談しましょう。面倒臭がって放置していると、その間に劣化が進んでしまいます。家を美しく保つには、速い判断が重要になります。
施工会社へ相談するときは、「ぬりマッチ」をご利用ください。ぬりマッチは複数の施工会社に問い合わせて、見積もりを比較できるサービスです。
ぬりマッチで問い合わせられるのは、独自の審査を通過した施工会社だけなので、安心して相談できるでしょう。