外壁塗装で使われる塗料には、さまざまな種類の樹脂が含まれています。そして、塗料に含まれる樹脂は外壁塗装を行った際の耐用年数に大きな影響を与えているため、その樹脂の種類は、塗料のグレードに関わる重要なポイントです。しかし、すべての建物がグレードの高い塗料を使用すれば良いというわけではなく、選ぶ基準も存在します。
今回は、外壁塗装で使われる樹脂について解説していきます。
樹脂の種類とそれぞれの特徴は?
塗料に含まれる樹脂は、一般的に石油などの有機物を主成分としています。まずは、樹脂の種類と、それぞれが持つ特徴をみていきましょう。
樹脂の種類
樹脂の種類は大きく分けて5つあります。ここでは、樹脂の種類をグレードごとに特徴を紹介します。
樹脂の名称 | 特徴 | 耐用年数(年) |
---|---|---|
アルキド系樹脂 | アルキド系樹脂は、5つの樹脂の中で最も耐用年数が短い樹脂です。一般的にはペンキと言われる塗料に含まれる樹脂で、外壁塗装などの耐久性を求められる場所で使用されることはあまりありません。ホームセンターなどで手に入れることができる塗料に多く含まれており、DIYなどに使われます。 | 3~5 |
アクリル系樹脂 | アクリル系樹脂は、和風建築などの外観に艶のない仕上がりを希望する場合に選択されることが多い樹脂です。外壁塗装の塗り替えで使われることはあまりなく、新築時の外壁塗装で使用されることが多いです。 | 5~7 |
ウレタン系樹脂 | ウレタン系樹脂は、下地との密着性が高く外壁塗装でも使用されることがあります。シリコン系樹脂が普及するまでは、外壁塗装にウレタン系樹脂を使用することが一般的でした。現在は、ウレタン系独特の臭いや、水性塗料の普及によって使われる頻度は下がっています。 | 8~10 |
シリコン系樹脂 | シリコン系樹脂は、現在において外壁塗装の主流となっている樹脂です。耐用年数と費用のバランスがよいことから、多くの外壁塗装の現場で使用されています。 | 10~15 |
フッ素系樹脂 | フッ素系樹脂は、外壁塗装の中では高級塗料に位置づけられています。耐久性の高い樹脂ですが、外壁塗装の費用が高額になってしまうため一般的な塗料としては普及していません。 | 15~20 |
外壁塗装に使われる樹脂
塗料に含まれる樹脂は有機物を主成分としているため、色あせやチョーキングなどの劣化症状を引き起こす原因となります。
外壁塗装に使われる樹脂は、グレードの低い方から、アクリル系樹脂、ウレタン系樹脂、シリコン系樹脂、フッ素系樹脂です。グレードが高い樹脂を使用することで、塗膜の劣化を抑えることができます。ただし、その分費用が上がるというデメリットがあります。
ラジカル制御型塗料
外壁塗装に使われる塗料の中に、ラジカル制御型という比較的に新しい塗料があります。有機物の樹脂によって引き起こされるチョーキングなどの劣化症状を抑える機能を持った塗料で、耐用年数は12~15年です。
ラジカル制御型塗料はシリコン系樹脂よりも耐用年数が長く、フッ素系樹脂よりも費用を抑えられるメリットがあります。また、水性で作業性も高いことから、外壁塗装の新しい主流になりつつある塗料です。ただ、ラジカル制御型塗料に含まれる樹脂は、シリコン系樹脂と謳われていることもありますが、記載がないケースも少なくありません。
外壁塗装で使われる樹脂の費用相場は?
外壁塗装で使われる塗料は、樹脂によって費用相場が異なります。ここでは、樹脂のグレードごとに費用相場を紹介していきます。
ウレタン系樹種
ウレタン系樹脂を使用した場合の費用相場は、平米あたり1,500~2,500円です。ウレタン系樹脂の塗料には、密着力が高いという特徴があります。倉庫や工場などの塗り替えで使用されるだけでなく、外壁塗装の費用を抑えたい場合にも利用されています。
シリコン系樹脂
シリコン系樹脂を使用した場合の費用相場は、平米あたり1,800~3,500円です。現在では外壁塗装の主流となっており、塗料の費用もウレタン系樹脂と大きな差はなくなっています。
また、シリコン系樹種にラジカル制御機能を持たせたラジカル制御型塗料を使用した場合の費用相場は、2,200~4,000円です。
フッ素系樹脂
フッ素系樹脂を使用した場合の費用相場は、平米あたり3,500~5,000円です。前述のように、外壁塗装で使用する塗料の中では高級グレードの塗料です。フッ素系樹脂は耐久性が高い特徴がありますが、塗膜が硬くなるためひび割れが起こりやすいなどのデメリットがあります。
また、フッ素系樹脂を塗装した外壁を塗り替える際には、下塗りに使用する塗料のグレードを上げる必要があり、さらに費用が高くつきます。
高機能塗料とそれに含まれる樹脂
外壁塗装で使われる塗料の中には、シリコン系樹脂やフッ素系樹脂などに含まれないタイプの塗料もあります。それぞれに特別な機能を付与された高機能塗料となります。
ここでは、高機能塗料と樹脂について紹介します。
無機塗料
シリコン系やフッ素系塗料に含まれる樹脂は有機物を主成分としていますが、無機塗料ではガラスやレンガなどの無機物を配合して作られています。
無機物は紫外線による劣化が起こらないため、無機物だけで塗料を作ることができれば、半永久的な耐久性を持たせることができます。しかし、実際には無機物だけでは塗料としての作業性が低いため、有機物を混ぜて作られています。無機塗料といっても、有機物を主成分とするシリコン系樹脂などをまったく含んでいないということではありません。
光触媒
高機能塗料の中には、光触媒といわれる塗装があります。酸化チタンを多く含む塗料で外壁をコーティングする塗装です。
光触媒でコーティングすることで抗菌や除菌、防汚、セルフクリーニングなどの機能を付与することが期待できます。外壁全体に光が当たる立地では、光触媒の性能を十分に発揮させられます。しかし、日当たりの悪い場所では光触媒の特徴であるセルフクリーニングが起こりにくい場合もあります。また、光触媒はコーティング材に分類されるため、樹脂を含んだ塗料とは異なります。
木材塗料
木材に使用される塗料は木材の表面に塗膜を形成する造膜タイプの塗料と木材の内側に染み込んでいく浸透タイプの塗料に分かれています。それぞれの塗料に含まれる樹脂は、大きく2つの種類に分けることができます。合成樹脂と天然樹脂です。
- 合成樹脂
- 古くから使われてるペンキも造膜タイプの塗料に分類されます。また、最近では室内の木材にはアクリル系樹脂を使用することが多く、外部の木材にはウレタン系樹脂を使用することが一般的です。
- 天然樹脂
- 天然樹脂の中には、漆やカシューなどが分類されています。外壁塗装などでは使用されることはあまりありません。
浸透タイプの塗料は、木材の表面に塗膜を作らないので本来の調湿機能を活かすことが可能です。浸透タイプの塗料は木材保護塗料とも呼ばれ、外部でも木材が使用できるように防腐剤や防カビ剤が含まれています。
自宅の外壁塗装に適した樹脂を選択しよう
実際に外壁塗装をする場合は、樹脂単体で選ぶというより、外壁塗装業者のアドバイスをふまえて自宅に適した塗料を選択します。そのため、樹脂に関する知識以上に、信頼できる事業者をみつけることが大切です。
そのコツは、複数の事業者に相談することです。事業者ごとに得意とする分野が違ったり、見積もり金額が違ったり、複数社を比較をすることで見えてくるものがあります。当サイトでは外壁塗装業者を無料で一括比較できるサービスを提供しているので、ぜひ活用してみてはいかがでしょうか。