屋根は普段近くで見ることがないのでわかりにくいですが、実は日々の紫外線や風雨によって劣化しています。
屋根の劣化は雨漏りにつながるので、適切なタイミングで葺き替えが必要です。葺き替えずに放置すると雨漏りを起こし、柱や梁まで悪影響を及ぼすおそれがあります。
この記事では、屋根の葺き替えのタイミングや種類別に屋根の葺き替え費用について解説しています。
屋根の葺き替えを考えている方は、参考にしてみてください。
屋根の葺き替えにかかる費用の内訳は?
屋根の葺き替えは適切なタイミングで行う必要があります。
葺き替え作業には多額の資金が必要になるので、費用を把握し、葺き替えのタイミングを考慮した資金計画を立てておきましょう。
屋根の改修が必要な時期は?
一般的な屋根の葺き替え時期は、20〜30年に1度です。ただし、屋根の種類によって葺き替え時期は異なります。種類別の葺き替え時期は以下のとおりです。
屋根の種類 | 葺き替え時期(年) |
---|---|
瓦 | 60〜80 |
スレート屋根 | 20〜30 |
ガルバリウム屋根 | 20〜30 |
屋根の種類ごとに適切なタイミングで塗装改修をしないと、劣化の進行は早くなります。
外壁塗装のタイミングで屋根の塗装も視野に入れたほうが良いでしょう。外壁塗装のタイミングで屋根の塗装をすると足場費用を節約できます。
特に瓦屋根は耐久性が高く、耐用年数が60〜80年と建物の耐用年数よりも長いため、基本的に葺き替える必要がありません。
しかし、瓦屋根の下張りに使用している防水シートが約20〜30年で劣化してしまうので、葺き替えではなく葺き直しが必要です。
止水については、瓦が1次止水、防水シートが2次止水の役割を担っています。瓦が健全だから大丈夫というわけではなく、防水シートを張り直さないと雨漏れの原因になりかねません。
定期的に葺き直しをして屋根のメンテナンスを行いましょう。
屋根葺き替えの見積もり明細
屋根葺き替えの主な明細は以下のとおりです。
項目 | 平米単価の目安(円/m2) |
---|---|
瓦 | 8,000~1万5,000 |
スレート屋根 | 5,000~7,000 |
ガルバリウム屋根 | 6,500~8,000 |
既存屋根の撤去 | 1,500~3,000 |
下地補修費 | 2,000~3,500 |
防水シート | 500~1,500 |
足場組立 | 600~1,500 |
アスベスト処理 | 2万~8万5,000 |
新設する屋根材の種類によって大きく費用が変わるので、屋根材の選定は慎重に行いましょう。
また、アスベスト処理の費用に幅があるのは、地域によって変動が大きい工事のためです。
古いスレート屋根の場合、アスベスト含有建材を使用している場合があるので、見積もり取得時に確認しましょう。
参考:葺き替えとカバー工法はどちらがお得?
屋根の改修には葺き替えとカバー工法の2種類ありますが、金銭面だけでいうとカバー工法の方がお得です。
カバー工法は既存の屋根を撤去せず、上から新しい屋根を取り付けるので撤去費を節約することができますが、デメリットもあります。デメリットは以下のとおりです。
建物重量が重くなり地震に弱くなる
建物の重量が重いほど、揺れが発生した際にはたらく力が強くなり、地震に弱くなります。
カバー工法では一般的に金属屋根などの軽い屋根を採用するとはいえ、建物の重量は重くなるので多少なりとも地震に弱くなってしまいます。
アスベスト建材の撤去が後回しになる
2004年以前に建てられた建物の場合、スレート屋根にアスベストを使用しているおそれがあります。
アスベストと聞くと驚かれるかもしれませんが、身の回りにも使用されている建材です。アスベスト含有建材が使われているというだけでアスベストの飛散はありませんが、撤去する際にアスベストが飛散します。
アスベスト含有建材の撤去は有資格者にのみ許可されており、費用も割高です。しかし、建物の解体時には撤去費用がかかるので、どちらにせよ支払うのなら早めに撤去しておいたほうが良いでしょう。
耐風性能が心配
既存の屋根のうえから新しい屋根を取り付けるので、既存の屋根やその下地はそのまま活用することになります。
既存の屋根が雨漏りしている場合、雨漏りにより下地が朽ちていると考えられます。下地が朽ちていると耐風性能が落ち、台風などの際に屋根の飛散につながるかもしれません。
屋根の種類別!葺き替えの費用相場
屋根の種類別の葺き替え費用相場について、一般的な30坪程度の住宅を想定し算出してみました。
屋根の種類 | 相場(円) |
---|---|
瓦 | 90~250万 |
スレート屋根 | 90~220万 |
ガルバリウム屋根 | 90~200万 |
費用に幅があるのは、新設する屋根の種類にもよるからです。また、既存の屋根によっても費用は変わります。
瓦屋根の葺き替え費用相場
瓦屋根の葺き替えは、新しい瓦に葺き替える場合とスレート屋根やガルバリウム屋根に交換する場合があります。
費用はスレート屋根やガルバリウム屋根に葺き替えるほうが安く、建物重量も軽くなるので地震にも強くなります。
改めて瓦を葺き替えるとなると費用も工期もかかるので、瓦屋根を採用したい場合は葺き直しがおすすめです。瓦の劣化状況が深刻で葺き直しができない場合は、スレート屋根やガルバリウム屋根への変更も検討しましょう。
スレート屋根の葺き替え費用相場
スレート屋根の場合、瓦屋根と比較すると費用を抑えることができますが、先述したアスベスト建材の撤去に費用がかかります。
アスベストを含有しているか不明な場合は、アスベスト含有建材とみなして処分する方法もあります。見積もりでアスベスト建材の撤去費用が入っていなければ、事業者に確認しましょう。
アスベストを含有しているにもかかわらず、一般的な建材と同じように処分すると法違反になるので気をつけましょう。
ガルバリウム屋根の葺き替え費用相場
ガルバリウム屋根は耐久性、耐候性に優れ、軽くて地震に強い建材です。
また、金属製にもかかわらずサビにくく魅力的な建材です。費用も瓦屋根やスレート屋根より安く抑えることができ、工期も早く終えられます。
一方で、昔ながらの重厚感のある瓦屋根やさまざまデザインのあるスレート屋根と比較すると単調なデザインになりがちです。
屋根の葺き替え費用を安くする方法
屋根の葺き替えには相応の金額がかかるため、長期的な資金計画を立てる必要があるでしょう。
そうはいっても、葺き替えにかかる費用をなるべく抑えたいと思うのは自然なことです。
屋根の葺き替え費用を抑えるには、補助金を利用する方法と複数の事業者を比較する方法があります。
補助金を利用する
屋根の葺き替えに使える補助金は、主に省エネリフォームと耐震リフォームの2つです。
省エネリフォーム
屋根の葺き替え工事における補助金には、太陽光パネルの設置や建物の断熱性や遮熱性を高める際に利用できる省エネリフォームがあります。
ガルバリウム屋根の内部には断熱材が施されているため断熱性が高く、最近では遮熱仕様のガルバリウム屋根も普及しているので補助金の対象になる可能性が高いでしょう。
耐震リフォーム
屋根を軽量化して耐震化を図る場合には、耐震リフォーム補助金を利用できるでしょう。
瓦屋根からガルバリウム屋根に変えるなど、耐震性の強化を行うと対象になる場合があります。また既設の屋根材にアスベストが含有されているなら、撤去に補助金がでる自治体もあるので確認しましょう。
複数の事業者を比較する
屋根の葺き替えは施工方法によって費用が大きく異なるので、複数の事業者から相見積もりをとりましょう。複数の事業者に相談することでさまざまな提案を聞くことができ、最善の事業者を見つけられます。