外壁塗装を検討していると、以下のような悩みが出ることがあるでしょう。
- 冬場は塗装が凍らないのか
- 塗装工事中に雨が降っても大丈夫なのか
- そもそも塗装に最適な季節はあるのか
実際、外壁塗装に最適な季節は決まっています。その理由は、外壁塗装が湿度や気温と密接な関係があるからです。この2点の管理をおろそかにすると、仕上がりが悪くなったり、塗装がすぐ剥がれたりなどの不具合が発生するリスクがあります。
本記事では、外壁塗装と季節の関係性について詳しく解説します。また、具体的なタイミングを見極める方法も紹介します。
外壁塗装で季節が重要な理由
外壁塗装で季節が重要な理由は、湿度や気温が塗料に影響を及ぼすからです。ここでは、湿度と気温が、外壁塗装と具体的にどのような関係性があるのかを詳しく解説します。
湿度
外壁塗装には、施工可能な湿度の基準が決められています。
その基準は、国土交通省が作成した公共建築工事標準仕様書に記載されています。これは、国家機関の建築物や官公庁施設の建築工事に使用される材料や工法、機材などに関して標準的な使用を定めたものです。公共工事のために作成されたものですが、一般建築の施工基準としても使用されています。
公共建築工事標準仕様書には、以下のような記載があります。
気温が5℃以下、湿度が 85%以上、結露等で塗料の乾燥に不適当な場合は、塗装を行わない。国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編) 令和4年版」
気温についてはのちほど説明しますが、湿度が85%以上だと塗装が乾く前に結露などで水分が外壁に付着し、塗装のムラなどが発生するおそれがあります。
また乾きにくい状態が続くと、塗料が垂れて、サッシの枠や駐車場の土間などに付着するおそれがあります。
湿度があまりにも高い状態では、品質に悪影響を与えるため注意しましょう。
気温
気温も湿度と同様に、外壁塗装に大きな影響を及ぼします。
公共建築工事標準仕様書に記載されているとおり、基本的に5℃以下の気温下で外壁塗装をすると塗料が硬化しないため、施工をしてはいけません。
ただし、公共建築工事標準仕様書には、以下のような記載もあります。
採暖、換気等を適切に行う場合は、この限りでない。国土交通省「公共建築工事標準仕様書(建築工事編) 令和4年版」
つまり、気温や天候に合わせてしっかりと施工管理を行えば、冬場の施工も現実的には可能です。
日本の気候
日本は南北に伸びた地形です。そのため北は亜寒帯、南は亜熱帯と、さまざまな気候の特徴があります。
また、日本は日本海と太平洋のそれぞれに面した地域を隔てるように、山脈が連なっています。そのため冬の時期、太平洋側は晴れの日が多く、日本海側は雪や雨が多いという特徴があります。
気象庁は、地域ごとにどれだけ気候が異なるかを比較した調査結果を公開しています。以下のグラフは、代表的な4地域における次の点をまとめたものです。
- 最高、最低気温
- 平均気温
- 降水量
- 日照時間
引用:気象庁「日本の気候の概説」
ここからは、以下が読み取れます。
- 四季のずれはない
- 北海道と沖縄では最高、最低気温が大きく異なる
- 降水量は地域によってばらつきがある
以上のことから、外壁塗装に適したタイミングは、地域によって少しずつ異なることがわかります。
【季節別】外壁塗装の特徴
春、夏、秋、冬の季節ごとに外壁塗装の特徴と注意点を知っておきましょう。
春(3月〜5月)
春の前半は高気圧と低気圧が交互に日本を通過するため、天気がころころと変わりやすいです。
一方後半は、高気圧に覆われる日が増えるため、比較的安定した天候が続く傾向にあります。そのため、4月と5月は全国的に外壁塗装に適した天候です。また、年度初めということもあり、外壁塗装工事の繁忙期でもあります。
注意すべき点は、春にも不安定な天気が続くおそれがあるということです。
春は天気が安定しているとよくいわれますが、前述したとおり、春の前半は天気が不安定です。長雨が続く年もあるため、外壁塗装をするときはしっかりと天気を見極めましょう。
夏(6月〜8月)
夏の始めは、北海道以外の日本全域が梅雨前線の影響を受けて、雨の日が増えます。
梅雨が明けると今度は太平洋高気圧に覆われるため、全国的に晴れが続き、気温が高くなります。この太平洋高気圧は、海で湿度をたっぷり蓄えて日本にやって来るため、ジメジメした天気になります。
そのため夏場の外壁塗装は、特に以下の懸念点があります。
- 湿度が高い
- 気温が高い
さらに、塗装工事中に室外機を取り外して、裏にある外壁を塗る作業が発生することがあります。そのため、塗装工事中に一定期間エアコンが使えないことも夏場の注意点です。
夏の昼間にエアコンを使えないと、暑さを我慢しながら家の中で過ごすことになります。場合によっては、熱中症の危険もあります。
そのようなトラブルを回避するために、夏場の外壁塗装は、事前にエアコンが使用不可になるタイミングを施工会社に確認しておきましょう。
秋(9〜11月)
秋の始まりは、秋雨前線や台風の影響を受けます。そのため一時的に降水量が増えますが、そのあとは高気圧に覆われ、さわやかな晴れの日が続く天気に移行します。
そのため、秋は春に次ぐ外壁塗装工事の繁忙期です。
ただし、秋の終わりである11月ごろから日本海側は雪や雨の日が増えるため、タイミングの見極めが重要です。
冬(12~2月)
冬は、北西の季節風がシベリアからの冷たい空気を運んで日本へ到達します。
この季節風が山にぶつかると雲が発生して、日本海側に雪が降ります。
対して太平洋側は、山から吹きおろす北風により乾いた風が吹きます。日本海側と対照的で晴れた日が続くのが特徴です。
冬場に外壁塗装をするときは、以下に注意が必要です。
- 低気温
- 積雪
冬は全国的に気温が低く、地域によっては外壁塗装に不向きな5℃以下の気温となるおそれがあります。
また、工事途中で積雪があると、外壁に雪が付着するため施工が不可能です。そのため、工事期間が延びてしまうおそれがあります。特に日本海側の地域は、冬場の外壁塗装は避けるなどの考慮が必要です。
台風シーズンは注意が必要
強風と雨が同時に発生しやすい台風は、外壁塗装にとっては天敵といえます。なぜなら横殴りの雨により、雨水が外壁に付着しやすいためです。
外壁に水分が付着すると、乾くまで施工ができません。また、塗りたての塗料に水分が付着すると塗装が薄まり、早期に塗装が剥がれてしまうなどの不具合が発生するおそれがあります。
さらに、工事中に設置した足場は、強風対策をしっかりと行わなければ倒壊するリスクがあります。
そのため台風シーズンはプロの視点での工程と品質、安全の管理が求められます。
外壁塗装をするタイミングの見極め方
ここでは、外壁塗装のタイミングを見極めるコツを紹介します。
地域ごとの天候の特徴を確認する
まずは、外壁塗装を検討している物件がある地域の天候の特徴を調べましょう。
地域ごとの気象データは気象庁のホームページで誰でも簡単に手に入るため、以下などの統計を確認しましょう。
- 気温
- 湿度
- 降水量
たとえば気象庁「過去の気象データ」で東京都のデータを参考にすると、以下のようなグラフが作成できます。
この図から、2021年度の東京都は以下のような特徴があることが読み取れます。
- 平均湿度は85%を超える月はなかった
- 平均気温は1月に5℃を下回った
- 降水量が特に多い月は7月と8月
ここから、東京都は1月、7月、8月は外壁塗装に向いていないと予想できます。
気象データを参考にすると、自分の地域に適した外壁塗装のタイミングが導き出せるのでおすすめです。
あえて不人気な季節を選択する手も
地域ごとの気候の特徴を調べてみると、不人気の夏や秋でも安定した気候であるケースがあります。その場合、あえて人気のない季節を選択する手もあります。
人気のない季節は外壁塗装をする施工会社の閑散期で、優良な施工会社でもすぐに取りかかってくれるケースがあります。
また、閑散期は施工会社が取り扱う案件数が少ないため、価格勝負で工事の奪い合いとなる傾向があります。そのため、通常よりお得に工事ができる可能性があります。
外壁塗装をしたい物件がある地域の気候状況を確認して、外壁塗装に支障がなさそうであれば閑散期を選択してもよいでしょう。
外壁塗装の実績が豊富な施工会社に依頼する
季節は、外壁塗装の仕上がりに大きく影響します。しかし、最終的な仕上がりの良し悪しは、施工会社の腕にかかっています。
日本の気候を把握して、適切な工程や品質、安全の管理を行える職人であれば、どの季節に工事を依頼してもすばらしい仕事をしてくれます。
信頼度の高い施工会社を見つけるには、複数の施工会社を比較することが重要です。しかし、自分の足で複数の施工会社へ行き、話を聞くのは時間もかかるため大変でしょう。
まずは、外壁塗装の一括比較サイトを利用しましょう。必要事項を一度入力するだけで、自分のエリアに対応できる複数の優良施工会社を比較できます。
外壁塗装の季節に関するよくある質問
- 外壁塗装に最適な季節は?
- 春と秋が外壁塗装に適しており、外壁塗装工事の繁忙期です。高気圧に覆われる日が増えるため、比較的安定した天候が続く傾向にあります。ただし、梅雨前線や秋雨前線、台風の影響があるときは注意が必要です。
- 外壁塗装は夏場や冬場にはできない?
- 気温や天候に合わせてしっかりと施工管理を行えば、夏場や冬場の施工も現実的には可能です。しかし、気温が5℃以下、湿度が 85%以上だと外壁塗装の品質に悪影響があるため、あまりおすすめしません。