モルタル外壁のひび割れを補修する方法│症状ごとの施工方法を解説

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モルタル外壁のひび割れを補修する方法│症状ごとの施工方法を解説

モルタル外壁は、セメントと砂を混ぜ合わせたものに水を加えて練った素材を使用した外壁です。デザイン性や防火性に優れており、サイディング外壁が登場する前は主流の外壁でした。

しかし、モルタル外壁にはひび割れしやすいという性質があり、放置をすると劣化が進み、建物に深刻な被害を与えるおそれがあります。劣化を防ぐには、症状の補修と定期的なメンテナンスが欠かせません。

モルタル外壁の劣化を防ぐにはどのような方法があるのか確認しておきましょう。

モルタル外壁にひび割れが発生する原因

モルタル外壁に「ひび割れ」が発生する原因には、次のものがあります。

  • ドライアウト現象
  • 塗装の劣化
  • 自然災害

それぞれの原因について確認しておきましょう。

ドライアウト現象

モルタル外壁は、施工した直後には多くの水分を含んでおり、本来は時間をかけて乾燥していきます。しかし、直射日光や強風にあたると、水分が急激に蒸発していきます。これがドライアウト現象です。

ドライアウト現象が起きると、モルタルが収縮するスピードが早まるため、ひび割れが発生しやすくなります。

塗装の劣化

モルタル外壁の主成分であるセメントは、水分が染み込みやすいため、表面に塗装をして防水性をもたせています。 この塗装は、紫外線や雨により日々劣化が進み、10年ほどで防水性能が低下してきます。

モルタルは水が染み込むことで膨張し、乾燥すると収縮します。これが繰り返されると、ひび割れが発生しやすくなります。

自然災害

外壁の主流になっているサイディング外壁では、外壁材と外壁材の間に弾力性のあるシーリング材が充填されています。シーリング材には、防水性を高めるだけでなく、衝撃を吸収する役割もあります。

そのため、地震などが起きても、シーリング材の弾性によって外壁材へのダメージを軽減します。

一方、モルタル外壁には、シーリング材が使われていないため、地震や台風などの強風による衝撃をすべて受けてしまいます。その結果、外壁に歪みが生じ、ひび割れてしまうのです。

モルタル外壁のひび割れを補修する手順

モルタル外壁の補修は、次の手順で進めていきます。

モルタル外壁の状態と補修内容
モルタル外壁の状態 補修内容
細かいひび割れ
(ヘアクラック)
  1. シーリング材の塗り込み
大きなひび割れ
(構造クラック)
  1. ひび割れ箇所をグラインダー等で削る
  2. ほこりを除去する
  3. プライマー(下塗り塗料)を塗る
  4. シーリング材を塗り込む
剥がれ落ちている
(爆裂)
  1. 爆裂が起きた箇所のモルタル外壁を除去する
  2. ほこりを除去する
  3. 鉄骨のサビの除去とサビ止め処理をする
  4. プライマー(下塗り塗料)を塗る
  5. 樹脂モルタルで充てんして成形する

モルタル外壁のひび割れは乾燥や寒暖差、地震による揺れなどですぐに起きます。放置すると症状が悪化し、進行するほど補修も大変になるため早めに対策しましょう。

なお、モルタル外壁を補修するのではなくサイディングに張り替える方法もあります。 サイディング外壁はデザイン性が高いだけでなく、メンテナンスがしやすいメリットがあります。

細かいひび割れはシーリング材で補修

ヘアクラックの発生した外壁

ヘアクラックの発生した外壁

モルタル外壁のひび割れが「ヘアクラック」程度であれば、シーリング材を塗り込むことで補修できます。

ヘアクラックとは、幅0.3mm以下、深さ4mm以下の髪の毛のように細いひび割れのことをいいます。ひび割れの幅が狭く深さも浅いので、シーリング材を塗り込むだけで隙間が埋まり、モルタル外壁に密着します。

シーリング材は防水性があるため、モルタル外壁に密着すればひび割れのなかに雨水は侵入しません。また、弾性があるため、建物の動きに追従してひび割れの拡大を防ぎます。

ヘアクラックは、モルタル外壁のひび割れのなかでも初期症状になり、緊急性も低いためすぐに補修が必要というわけではありません。しかし、時間の経過にともないひび割れが大きくなるため、定期的な確認が必要です。

大きなひび割れはシーリング材を密着させて補修

構造クラックの補修例

構造クラックの補修例

ヘアクラック(幅0.3mm以下、深さ4mm以下)よりも大きいひび割れは「構造クラック」と呼ばれ、放置すると家全体に深刻な影響を及ぼすため早急な補修が必要です。

モルタル外壁の構造クラックは、次の手順で補修します。

  1. ひび割れ箇所をグラインダー等で削る
  2. ほこりを除去する
  3. プライマー(下塗り塗料)を塗る
  4. シーリング材を塗り込む

構造クラックは、シーリング材を塗り込んで補修しますが、ヘアクラックと違い塗り込むだけではありません。

ひび割れの幅や深さがあって後続クラックはシーリング材が密着しにくいため、補修には前工程として、グラインダーという工具でひび割れた箇所を削って接地面を広くします。さらに、シーリング材が密着しやすいように、プライマー(下塗り塗料)を塗るといった作業も必要です。

モルタル外壁の大きなひび割れを放置すると、雨水がモルタル外壁の内部まで侵入し、雨漏りや木材を腐らせることでカビやシロアリが発生する原因につながるおそれがあります。

ひび割れが進行すると「爆裂」という現象が起きることもあるため、早急な補修が必要です。

モルタル外壁の「爆裂」は大規模な補修が必要

爆裂が発生したモルタル外壁

爆裂が発生したモルタル外壁

モルタル外壁のひび割れが進行すると、内部の鉄筋が雨水に濡れ、錆びて膨張します。その結果、モルタル外壁を内側から破壊する「爆裂」という症状が起きます。

モルタル外壁の爆裂は、下記の方法で補修します。

  1. 爆裂が起きた箇所のモルタル外壁を除去する
  2. ほこりを除去する
  3. 鉄骨のサビの除去とサビ止め処理をする
  4. プライマー(下塗り塗料)を塗る
  5. 樹脂モルタルで充てんして成形する

爆裂が起きると、モルタル塗装が大きく剥がれ落ち、鉄筋がむき出しになることがあります。建物の耐久性に悪影響を及ぼすだけでなく、落下した外壁によるケガや事故の危険もあるため早急な補修が必要です。

モルタル外壁のひび割れは専門業者に相談を!

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モルタル外壁のひび割れ補修にかかる費用

モルタル外壁のひび割れを補修する費用は次のようになります。

モルタル外壁の補修にかかる費用の目安
ひび割れの状態 単価
ヘアクラック 約1,000~2,500円/m2
構造クラック 約1,200~2,800円/m2
爆裂 約1,500~3,500円/1か所

補修作業にあたっては、2階など高所の作業も必要になるため、足場の設置や撤去として、約14万円ほどの費用が別途かかります。

モルタル外壁のひび割れは、放置するほど症状が進行して補修にかかる費用が高額になります。外壁内部の状態は外見だけでは判断がつきにくいため、ひび割れが出てきたら早めに専門業者に相談しましょう。

ひび割れを防ぐための外壁塗装

モルタル外壁は塗装をすることで、劣化を抑えて防水性を高めます。

塗装の性能は約7~10年で低下するため、定期的な塗り替えが必要です。 塗装の劣化は、モルタル外壁がひび割れを起こす原因にもつながるため、ひび割れの補修に合わせて塗り替えをすると耐久性を向上できます

モルタル外壁の塗り替えは、塗料の種類によって費用や耐久年数が異なります。

モルタル外壁の塗装については関連記事をご確認ください。

DIYの補修は危険!かえって高くつくことも…

モルタル外壁をDIYで補修するのは注意が必要です。モルタル外壁のひび割れは、表面から内部の状態が判断しにくいため、補修の仕方によっては症状を悪化させるおそれがあるためです。

たとえば、モルタル外壁のひび割れが表面から見てヘアクラック程度でも、思ったより深いところまで割れていることがあります。シーリング材を塗り込んでも奥まで届かない場合、ひび割れが完全に埋まらず、隙間から雨水が侵入するおそれがあります。

また、DIYでの補修作業は、使用する材料を間違えることがあります。シーリング材と一言でいっても、さまざまな種類があります。適切な材料を使わなければ、すぐに剥がれてしまったり、劣化してしまったりしてモルタル外壁を補修できません。

費用を抑える目的でDIYで補修をすると、結果的に費用がかかることがあるため、専門業者への依頼をおすすめします。

地震が原因のひび割れは保険が適用されることも

モルタル外装のひび割れが地震が原因であれば、地震保険が適用されることがあります。保険金をひび割れの補修費用に充てられるため、金銭的な負担を減らせます。

補償内容は加入している地震保険によって異なります。地震発生から〇日以内と支払いの条件が設定されている場合もあるので、早めに確認しましょう。

モルタル外壁の補修は複数の専門業者を比較

モルタル外壁の補修を専門業者に依頼するときは、必ず複数社のサービス内容や費用を比較することが大切です。

専門業者のなかには、他社よりも費用が極端に高い場合や、一見安そうに見えても必要な作業がオプションになっていて最終的に費用が高くなるケースも少なくありません。

複数の専門業者に相談するなら、外壁塗装の一括比較サイト「ぬりマッチ」が便利です。必要事項を一度入力するだけで、複数の業者に査定を依頼できるためぜひご利用ください。

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