外張り断熱リフォームのメリット3選とデメリット3選!費用や内張り断熱との違いも

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外張り断熱リフォームのメリット3選とデメリット3選!費用や内張り断熱との違いも

昨今の経済情勢で、住宅で使われる光熱費は上昇しており、建物の省エネ化はますます需要が高まりつつあります。

省エネ化に伴い補助金を受けられる場合があり、リフォームを考える方も多いのではないでしょうか。

省エネリフォームで最も効果的なのは、外壁や屋根などの断熱強化です。大きく分けて外張り断熱と内張り断熱があり、それぞれメリットとデメリットがあります。

最近特に多く採用されている外張り断熱は、断熱性に優れ結露も起こりにくいため、人気のある工法です。しかし、壁が厚くなるなどのデメリットもあり、採用する場所によっては注意が必要です。

外張り断熱とは

断熱リフォームには、外張り断熱と内張り断熱の2種類があります。

外張り断熱
柱やはりなどの構造体の外側を包み込むように断熱材を施工する
内張り断熱
柱と柱の間に断熱材を詰める

どちらも多く採用されている工法で、それぞれに違った特徴があるため、どちらが正解というものではありません。

内張り断熱と比較しながら、外張り断熱について詳しく解説します。

断熱材は大きく分けて2種類ある

断熱材は、大きく分けて繊維系断熱材とプラスチック系断熱材の2つがあり、それぞれ以下の特徴があります。

繊維系断熱材とプラスチック系断熱材の比較表
  繊維系断熱材 プラスチック系断熱材
断熱性
防火性
湿気 弱い 強い
コスト 安い 高い

外張り断熱は、外壁に面する位置に施工されます。そのため、断熱材の厚みを薄く抑えるために、断熱性が高いプラスチック系断熱材が多く使われており、内張り断熱よりコストが高くなる傾向があります

なお、それぞれの代表的な素材は以下のとおりです。

繊維系断熱材とプラスチック系断熱材の代表的な素材
繊維系断熱材 プラスチック系断熱材
  • グラスウール
  • ロックウール
  • セルロースファイバー
  • ウレタンフォーム
  • ポリスチレンフォーム
  • フェノールフォーム

外張り断熱の特徴!工法は2つある

外張り断熱は、柱やはり間柱まばしらなどの構造体の外側をすべて断熱材で覆います。そのため、断熱の切れ目がなく、気密性が高いという特徴があります

また、建物の構造によって外張り断熱の工法が異なり、以下のようなものがあります。

外張り断熱の工法
湿式しっしき外張り断熱工法 乾式かんしき外張り断熱工法
  • 主にRC造の建物で採用される
  • 耐震性が高い
  • RC造だけでなく、鉄骨造や木造にも採用される
  • 湿気に強い

湿式しっしき外張り断熱工法は、主にRC造の建物に多く採用されます。プラスチック系断熱材をRCの外側へ貼り付けたあと、断熱材の外側にモルタルや塗料などを塗って仕上げます。

湿式外張り断熱の簡易図

湿式外張り断熱の簡易図

RCの構造体から断熱材、外装仕上げ表面まで隙間なく埋まっているのが湿式の特徴です。また、直接断熱材を貼り付けるため、建物が軽量化され、耐震性が高くなるというメリットがあります。

一方、乾式かんしき外張り断熱工法はRC造だけでなく、鉄骨造や木造にも採用される工法です。断熱材の外側に、胴縁や金物(ボルトなど)を使ってサイディング材や金属板を外壁として取り付けます。

乾式外張り断熱の簡易図

乾式外張り断熱の簡易図

構造体から外壁仕上げの間に空気層ができるため、湿気に強いのが特徴です。

内張り断熱との違いを理解する

外張り断熱と内張り断熱

外張り断熱と内張り断熱

外張り断熱と内張り断熱は、断熱を施す場所が外か内かの違い以外に、以下の点が大きく異なります。

  • 断熱材の使用量
  • 継ぎ目の有無と気密性

前述したように、外張り断熱は構造体の外側を包み込むように断熱材を施工します。一方、内張り断熱は柱と柱の間に断熱材を詰めるため、断熱材の使用量が少なくなります。

そのため、内張り断熱は外張り断熱に比べて隙間ができやすい構造です。気密性は外張り断熱のほうが高い傾向があるといえます。

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外張り断熱リフォームのメリットとデメリット

外張り断熱は、構造体の外側に切れ目なく断熱材を施工できるため、気密性や断熱性に優れています。

一方、断熱の範囲が広くなりコストが高くなるなど、メリットとデメリットが隣り合わせという特徴があります。

外張り断熱リフォームのメリット3選

外張り断熱は、気密性や断熱性が高いほか、以下3つのメリットがあります。

  • 柱やはりなども断熱に守られている
  • 室内結露が起こりにくい
  • リフォーム時に室内への影響が少ない

メリット1:柱やはりなども断熱に守られている

外張り断熱は、建物の寿命に関わる柱やはりなどの構造体をすっぽり覆ってくれます。

そのため、外部の熱環境だけでなく、雨や紫外線などからも構造体を守ることができるため、建物の耐久性が向上します

特に木造の場合、外部の熱環境によって柱やはりの伸縮が発生します。また、温度差が大きい場合は、内装クロスのひび割れや、扉や窓の動作不良が起きるおそれがあります。建物の構造体を熱環境から守ると、内装へのダメージを抑えることにもつながります。

メリット2:室内結露が起こりにくい

結露は、湿度が高い状況で、水分を多く含んだ温かい空気が冷たい部分に触れると発生します。

冬場の外部は乾燥していますが、室内は人が居ることで温度と湿度が上昇します。一方、外部に面する窓は外気にさらされて温度が低いため、室内の水分が含まれた温かい空気が窓に触れて結露が発生します。

これは、外壁でも温度が低くなれば同じ状況が起こりえます。外張り断熱の場合は、構造体の外側で継ぎ目なく建物を包むため、熱の切れ目となる部分がなく、結露が起こりにくいです。

メリット3:リフォーム時に室内への影響が少ない

断熱リフォームを行う場合、外壁や内装どちらかの改修もしくは両方の改修も合わせてする必要があります。結露の防止の観点から、断熱材を継ぎ目なく施工するように、いったん構造部分をむき出しにする必要があるためです。

内張り断熱の場合は、柱と柱の間に断熱材を詰めるため、外壁に面する部屋はすべて内装改修が必要です。住宅の場合は、ほとんどの部屋が対象です。

一方、外張り断熱の場合は、現在の外壁の外側だけで工事ができるため、内装への影響がほとんどありません。ただし、外壁側に施工できる敷地があることが条件です。

外張り断熱リフォームのデメリット3選

外張り断熱は、コストが高くなるほか、以下3つのデメリットがあります。

  • 外壁の厚みが厚くなる
  • 耐震性がやや不利となる
  • プラスチック系断熱材は防火性が弱い

デメリット1:外壁の厚みが厚くなる

外張り断熱は、建物の柱より外側に断熱材を施工するため、壁が厚くなる工法です。

リフォームの場合は、外側から断熱材を施工するため、現在の外壁よりもさらに外側へ約10~20センチの厚みが増します。作業員の施工スペースも考慮すると、現在の外壁から外側に70センチ以上の空きスペースが必要です

都心部の住宅の場合、建物周りのスペースを確保しにくい場合が多く、そもそも外張り断熱リフォームができない可能性もあります。

デメリット2:耐震性がやや不利となる

断熱材と外壁を建物外側へ施工する外張り断熱は、内張り断熱と比較すると重心が外側にあります。

地震による建物の揺れは、建物の重量と重心の位置に大きく影響を受けます。

重心が低く中心に近いほうが、耐震の面では有利です。そのため、外張り断熱は耐震性がやや不利となるといえます。

デメリット3:プラスチック系断熱材は防火性が弱い

外張り断熱で使われるプラスチック系断熱材は、断熱性が高く気密性も容易に確保できる反面、燃えやすい特徴があります。

建物の外壁は、火災時の延焼を抑える重要な役割があります。建築基準法でも、防火地域を定め、住宅の延焼拡大を防ぐような規定があります。

防火地域又は準防火地域内にある建築物は(中略)政令で定める技術的基準に適合するもので、国土交通大臣が定めた構造方法を用いるもの又は国土交通大臣の認定を受けたものとしなければならない。(後略)

e-Gov法令検索「建築基準法」第六十一条

RC造の場合は、建築基準法でプラスチック系断熱材を外張りしても、外壁の性能を損なわないとされていますが、木造の場合は認められていません。

そのため、木造の場合はプラスチック系断熱材を施した外側へ、建築基準法で認められる防火性がある外壁を設ける必要があり、コストが高くなる傾向があります。

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外張り断熱のリフォーム費用について

外張り断熱のリフォーム費用は、内張り断熱に比べて高くなる傾向があります。ただし、内張り断熱リフォームの場合は内装の工事が必要なため、内装を改装しない予定であれば、内張り断熱よりも安く抑えられる可能性もあります。

また、断熱塗装でリフォーム範囲を減らし、全体コストを抑える方法もあります。

費用の目安

外張り断熱リフォームの例を2つ紹介します。

まずは、以下の条件で外張り断熱リフォームを行った場合の費用を見てみましょう。

  • リフォーム内容:断熱+外壁ガルバリウム鋼板重ね張り
  • 木造
  • 延べ床面積:約30坪(約99平方メートル)
  • 3階建て
  • 外壁面積:約200平方メートル
  • 屋根面積:約33平方メートル
例1:木造住宅の外張り断熱リフォーム費用
項目 費用の目安(円)
足場 20万~30万
断熱材 60万~100万
ガルバリウム鋼板 80万~120万
屋根工事 10万~20万
経費 30万~50万
合計 200万~320万

次に、以下の条件でリフォームを行った場合の費用を見てみましょう。

  • リフォーム内容:断熱+塗装
  • RC造
  • 延べ床面積:約30坪(約99平方メートル)
  • 平屋
  • 外壁面積:約130平方メートル
  • 屋根面積:100平方メートル
例2:RC造の外張り断熱リフォーム費用
項目 費用の目安(円)
足場 10万~20万
断熱材 40万~65万
塗装 40万~65万
屋根工事 30万~60万
経費 20万~40万
合計 140万~250万

木造の外張り断熱リフォームでは、防火措置のため余分に外装を設置する必要があると、RC造よりも費用が高くなる傾向があります。

また、同じ30坪でも平屋のほうが足場費用などが安くなり、全体的な費用が安くなるケースがあります

コストを抑えたリフォーム方法を選ぶ

外張り断熱は性能が高い反面、コストが高いため、採用に踏み切るハードルを感じるかもしれません。

コストを抑えて建物の断熱性を上げる方法には、以下の3つがあります。

  • 屋根の外張り断熱+外壁断熱塗装
  • 屋根の外張り断熱
  • 屋根の断熱塗装

あとになるほど徐々にコストが安くなりますが、断熱効果も低くなる傾向があります。

外部からの熱負荷は、屋根への直接的な日射が最も大きいため、屋根の断熱強化が効果的です。そのため、外壁の断熱はあと回しにして、まずは屋根を断熱強化する方法で全体コストを抑えるのもよいでしょう。

また、最近では断熱塗装という方法もあり、既存の屋根や外壁を撤去せずに断熱強化できます。外張り断熱に比べてやや断熱性は劣りますが、コストを抑えることができます。

施工会社選びは必ず複数社を比較する

建物の断熱性を向上させると、省エネ化につながり、光熱費を削減できます。

昨今はさまざまな工法が開発され、自由にリフォーム方法を選択できる時代となりました。また、建物は一つひとつ環境や状況が異なるため、同じ条件の建物でも見積金額に大きな差が出る可能性があります。

断熱リフォームを検討する場合は、まずは外壁工事や屋根工事の一括見積もりサイト「ぬりマッチ」を利用しましょう。たった1度の手間で複数社の見積もりを比較できるため、お得に断熱リフォームができます。

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