中古住宅をリフォームする優先順位の見きわめ!部位別の費用相場も紹介

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中古住宅をリフォームする優先順位の見きわめ!部位別の費用相場も紹介

中古住宅のリフォームは、壁や天井クロスを張り替えるだけの比較的小規模な工事から、水回りや外壁、屋根までリフォームする大きな工事までさまざまです。リフォーム箇所が多いと、何を優先すべきかの判断が難しいでしょう。

中古住宅は、築年数や建物の劣化状態によっても、リフォームの優先順位が異なります。

優先順位を間違えると、余計な手間や費用が発生するおそれがあります。まずは、住宅の現状を把握し、その状態に適したリフォームの優先順位を見きわめることが大切です

順番を決めて中古住宅のリフォームをしよう

中古住宅のリフォームは、現状を把握して優先順位を決めますが、建物で最も大切なのは、安全性と健全性です。次に、省エネ性と快適性です。

建物の安全性と健全性とは、人が長期間その住宅で暮らしていくうえで最低限必要とされる以下のようなポイントです。

  • 建物が地震で倒壊しないか
  • 電気設備の老朽化で火災が起きないか
  • 雨風から建物が守られているか

断熱改修や設備機器の高効率化などの省エネ性や、内装改修などの快適性はそのあとで考えましょう。

それぞれの考え方をしっかりと理解すれば、おのずと優先順位がわかります。

安全性の観点

安全性の観点では、地震の際に人命を守るための耐震性が建物に備わっていることが重要です。築年数が古い住宅は、耐震性が低いことがあるため注意が必要です。

ひとつの目安は、昭和56年6月1日に施行された建築基準法改正による耐震基準の見直しです。

中古住宅が昭和56年以前に建てられたものは、旧耐震基準が適用されており、現在の新耐震基準と比較して地震による倒壊の危険性が高くなっています。中古住宅が旧耐震基準に該当する場合は、まずは安全性確保の観点から耐震診断の優先順位が高くなります。

昭和56年以前に建築された建物は、建築基準法に定める耐震基準が強化される前の、いわゆる「旧耐震基準」によって建築され、耐震性が不十分なものが多く存在します。

国土交通省「住宅・建築物の耐震化について」

耐震診断や耐震改修工事については、各地方公共団体(自治体)で補助金制度が設けられています。そのため、比較的実費を抑えて改修工事ができます。

健全性の観点

健全性の観点では、以下の点を判断します。

  • 雨風などから建物を守る屋根や外壁が健全か
  • 生活の維持に不可欠な水回りの設備が健全か

屋根外壁の耐用年数は使用する材質によって違いますが、一般的には、約15〜20年でメンテナンスが必要です。

たとえば、屋根材別の耐用年数は、以下のとおりです。

屋根材別の耐用年数
屋根材 耐用年数の目安(年)
トタン 10~20
アスファルトシングル 10~30
スレート 20~30
ガルバリウム鋼板 25~30
40~70

また、水回り設備については、国税庁の「主な減価償却資産の耐用年数表」で15年とされています。

建物の健全性を図るひとつの目安として、屋根・外壁・水回り設備が15年以上メンテナンスなしで使われているかどうかで判断しましょう

省エネ性や快適性の観点

比較的新しい中古住宅の場合や、一度全面的に改修が行われている場合は、耐震基準も満たしており、屋根や外壁、水回りの設備が健全なケースがあります。

その場合は、省エネ性や快適性を向上するリフォームを検討してもよいでしょう。

後ほど詳しく説明しますが、省エネ性を向上するリフォームをすると、ライフサイクルコストが低減し、快適性も向上します

省エネ化のリフォームについても、以下のような国の補助金制度が利用できるものがあります。

住宅エコリフォーム推進事業
住宅の省エネリフォームなどに対する支援
長期優良住宅化リフォーム推進事業
ZEHレベルの高い省エネ性能へのリフォームなどに対する支援

なお、ZEH(net Zero Energy House)とは、使用するエネルギーよりも太陽光発電などで作るエネルギーのほうが多い住宅のことです。

詳しくは、国土交通省の「住宅リフォームの支援制度」を確認しましょう。補助金を利用すれば、比較的費用を抑えてリフォームができます。

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中古住宅のリフォームの優先順位

リフォームをするときは、以下の順番で行うのがよいでしょう。

  1. 耐震安全性の確保
  2. 屋根・外壁・水回り設備
  3. 省エネリフォーム
  4. 内装

優先順位1:耐震安全性の確保

建物の崩壊を防ぎ、命を守る構造部材が健全であることが何より重要ですので、耐震安全性の確保の優先順位は1位です。

耐震安全性のひとつの目安として、中古住宅の築年数(昭和56年以前か否か)がありますが、昭和56年以前の建物であっても耐震基準に満たしている場合があります。

そのため、まずは専門家の耐震診断を受けて、建物の耐震安全性を把握しましょう

専門家の耐震診断では、以下のような建物の劣化状況についても確認をして、診断結果に反映します。

  • 屋根や外壁にひび割れや腐食がないか
  • 露出している柱やはりなどの構造部分に腐食などはないか

屋根や外壁の劣化が原因で、漏水が起きたり、シロアリ被害により柱やはりなどの構造部材が腐食していたりすることもあります。

シロアリ被害で腐食した家

シロアリ被害で腐食した家

柱の本数やサイズが基準を満たすものであっても、漏水やシロアリ被害などによる構造部材の劣化があれば、耐震安全性に問題があるかもしれません。

優先順位2:屋根・外壁・水回り設備

屋根・外壁・水回り設備の健全性については、雨風から建物を守り生活に支障が出ないようにすることはもちろん、建物の耐震安全性を確保する観点でも重要です。

屋根や外壁は、耐震安全性を確保するための柱やはりを、雨や風、紫外線などの外的な要因による劣化を防ぐ役割があります。そのため、建物自体の寿命にも関わる、最も重要な部位です。

また、キッチンやお風呂、トイレ、洗面などの水回り設備は、生活するうえで欠かせません。

これらの水回り設備が健全ではないと、漏水による建物構造部材への劣化や、漏電による火災事故につながるおそれがあります。

また、水回り設備は普段生活しながら目にする部分でもあります。快適性などの人の心理面への影響もあり、重要な部位のひとつであるといえます。

優先順位3:省エネリフォーム

優先順位1位と2位は、人の生活に支障とならないためのマイナスからゼロにするネガティブなイメージでした。それに対して、省エネリフォームはゼロからプラスにするポジティブなイメージです。

具体的には、以下のような省エネリフォームで、将来のコストを抑えて快適性も向上できます。

  • 窓ガラスを複層ガラスやLOW-Eガラスに改修する
  • 外壁や屋根の断熱材を高性能なものに替えて高断熱化する
  • 給湯設備をエネファームやエコキュートなどの高効率なものへ改修する
壁の断熱材

壁の断熱材

断熱性が向上すれば、冷暖房の効きがよくなり、毎月の電気代が安くなります。さらに、外部の寒い・暑いの温度差の要因を受けにくくなるため、快適性も向上します。

また、補助金を活用したエコジョーズやエコキュートの高効率機器の採用や、自然の力を利用する太陽光発電の採用をすると、家で使用する消費エネルギーをプラスマイナスゼロに近づけられます。

地球にも財布にも優しい省エネリフォームですが、優先順位は安全性や健全性の次に考えましょう

後回しにしてもよいリフォーム:内装

天井や壁のクロス、床のフローリングの張り替えなどを行う内装のリフォームは後回しにしてもよいでしょう。

内装の天井や壁、床材が多少劣化したところで、床に穴ができない限りは生活に影響を及ぼすことは少ないでしょう。

また、屋根や外壁、水回り設備などをリフォームする際は、少なからず内装を撤去する必要がある場面が出てきます。内装を先にリフォームした場合、屋根や外壁からの漏水があれば、それらの内装リフォームは無駄になってしまいます。そのため、優先順位は後回しで考えましょう。

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部位別!リフォームが必要なサインと費用の目安

リフォームは、中古住宅の状態によって、改修する範囲や程度、費用が異なります。

優先順位を高く設定すべき屋根や外壁、水回り設備について、リフォームが必要となるサインと、リフォームに必要な費用の目安を紹介します。

リフォーム部位別の費用の目安
部位 費用の目安(円)
屋根 20万〜60万
外壁 70万〜100万
トイレ 10万〜20万
キッチン 50万〜120万
お風呂 50万〜150万
洗面 10万〜20万

なお、屋根と外壁は、約30坪2階建て木造の塗り替えを想定しています。

屋根のリフォーム

屋根のリフォームを、漏水が発生してから行うのでは遅いです。まずは築年数や改修履歴の有無、劣化の程度を確認する必要があります。

15年以上の築年数があり、その間改修が行われていない場合は屋根が劣化しているおそれがあります。

屋根のリフォームが必要なサイン

たとえば、屋根材が瓦やスレートの場合、ひび割れや欠け、台風などの影響による屋根材のズレや破損があれば、下地材の防水シートまで劣化が進行する1歩手前です。そのため、屋根材の補修やえリフォームが必要です。

また、金属屋根の場合は、塗装の剥がれや鉄部のサビがあれば、そこから劣化が進行していくおそれがあるため、塗装の塗り替えが必要です。

いずれにしても屋根は、表面を保護する屋根材や塗装などと、下地のシート材などで防水性と健全性を確保しています。

屋根材や塗装のみのリフォームで、下地のシート材や金属屋根までの劣化進行を食い止められれば、リフォーム費用も比較的安く済み、長く健全性を保てます。

屋根のリフォーム費用

約30坪2階建て木造の場合、屋根の塗り替えリフォームは約20万〜60万円かかります。なお、塗装のグレードによって金額が異なります。

ただし、屋根材だけでなく下地まで劣化が進行していると、屋根全面のえになるため、費用は100万円以上に膨らみます。

外壁のリフォーム

外壁のリフォームも、屋根と同様に漏水してからでは遅いため、早めの実施が必要です。

外壁のリフォームが必要なサイン

塗装や外壁の継ぎ目となる部分のシーリングの健全性を確認します。塗装の劣化とシーリングの劣化は、10年以上経過している外壁にはよく見られる現象で、比較的リフォーム費用も安く抑えられます。

たとえば、サイディング外壁の場合、塗装が劣化すると雨水を弾かず染み込むような状態になります。サイディングの内部に水が染み込むと劣化が進行するため、塗装を塗り替えるサインです。

また、外壁と外壁の継ぎ目となる部分のシーリングが劣化していると、隙間からの漏水につながるおそれがあります。

劣化したシーリング

劣化したシーリング

シーリングは、紫外線などの影響でやせ細っていきます。シーリング材と外壁に隙間ができたり、シーリング材自体にひび割れが入ったりしていれば、打ち替えが必要です。

外壁のリフォーム費用

約30坪2階建て木造の場合、外壁塗装の塗り替えとシーリングの打ち替えをすると、約70万〜100万円が費用の相場です

さらに劣化が進行し、外壁のひび割れや剥がれ、反りなどがある場合は、すでに漏水している可能性もあり、下地も合わせてリフォームする必要があるかもしれません。その場合は、外壁全面張り替えとなり、200万円以上の費用が必要なこともあります。

水回り設備のリフォーム

一般的に、水回り設備の寿命は約15年といわれています。使用環境がよければ長持ちするため、20年以上使っていても壊れない場合もあります。

水回り設備のリフォームが必要なサイン

日常的に使用している中で、漏水や動作不良があったときは、リフォームが必要です。使用に影響がなければ、直ちにリフォームをする必要はあまりありません。

水回り設備のリフォーム費用

水回り設備のリフォームは、配管の交換や設備機器の取り換えに合わせて、内装改修が必要となる場合があり、リフォーム費用に大きく振れ幅があります。

たとえばトイレだけのリフォームであれば工事の範囲が少ないため、約10万〜20万円と比較的安価に済みます。

一方、キッチンやお風呂、洗面をすべて改修する場合は、設備機器自体が大きいため、その部屋の内装もすべてリフォームとなるケースが多いです。そのため一気にリフォーム費用が高くなり、200万円以上かかることもあります。

それぞれグレードにもよりますが、キッチンは約50万〜120万円お風呂は約50万〜150万円洗面は約10万〜20万円が費用の相場です。

まずは屋根と外壁にかかる費用を把握してからリフォームの計画を立てる

特に屋根や外壁は、劣化が直接建物の安全性や健全性に影響を及ぼします。

また、屋根や外壁は劣化が進行すればするほど、リフォーム費用が大きく膨らみます。そのため、まずは現在の状況でどの程度のリフォーム費用が必要か把握することが重要です。

屋根や外壁のリフォーム費用が把握できれば、予算の範囲でその他のリフォームをどこまでできるかを想定できます

しかし、施工会社によってリフォーム費用に大きな差がある可能性があります。複数の見積もりを比較して、適正価格を確認しましょう。

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