鉄骨は、サビが発生しやすい素材です。
鉄骨を使用したフェンスや門は、サビを防止するための塗装を、5年おきを目安に行いましょう。
鉄骨部の塗装がなぜ定期的に必要になるのか、費用単価も併せて解説します。
鉄骨部の塗装を5年おきにする理由とは
鉄骨塗装の周期は、約5年といわれており、ほかの素材よりも短い周期で行う必要があります。
なぜ短い周期で塗装をしないといけないのでしょうか。
理由①鉄骨の塗装は劣化しやすい
厳しい環境にさらされ続けると、塗装は劣化していきます。
特に階段の手すりなど摩擦が発生する箇所は、劣化が早く進行します。塗装で主に使用されるアクリル塗料は、耐用年数が約5年です。
耐用年数を超えたまま放置すると、サビや腐食につながるため、5年おきに塗装を行う必要があります。
理由②サビが発生し脆くなる
塗装に守られることで、鉄骨は本来の強度を発揮します。
ただ、紫外線や風雨の影響で劣化が進行します。
劣化すると、チョーキング現象や塗装が剥がれ、そこからサビが発生します。
サビは放置すると広がるため、鉄骨部全体が錆びてしまいます。
鉄骨の腐食につながり、強度が落ちていきます。
腐食が進行すると、軽く指で押すだけで壊れて、崩壊することもあります。
重大な事故につながることもあるため、定期的に塗装を塗り替え、サビを防止しましょう。
理由③サビから錆び汁が発生する
錆び汁というのは、サビが雨水に触れることで発生してしまう、サビの成分が含まれている茶色い水のことです。
鉄骨のサビから出た錆び汁が伝っていき、外壁などに茶色い色が汚れとして付着してしまいます。
付着した汚れは建物の美観を損なってしまいます。
錆び汁による汚れは、外壁などが専門の洗浄業者に依頼しても完全に落とせないほど頑固です。
理由④雨漏りの原因になる
外壁や屋根の一部などに鉄骨部分がある場合、雨漏りのリスクがあります。
屋根に付属している部分の鉄骨の塗装が剥がれて腐食が発生することにより、構造が崩れて、雨漏りが発生してしまうことが多くあります。
雨漏りの発生は、建物内部にも大きな被害を与えてしまいます。
理由⑤美観を損ねる
塗装は、鉄骨部の保護が主な目的ですが、さまざまな塗料の色によって、外観を美しくする目的もあります。
ただ、塗装が劣化しサビが進行すると鉄骨部が茶色くなり、美観を損ねます。そうすると、建物の価値も低下します。
美観の維持のためにも、定期的な塗装が必要です。
理由⑥鉄骨が腐食してしまうと塗装はできなくなる
軽度のサビであれば、防水テープなどで補修してから、塗装を行えます。
ただ、サビが進行し、鉄骨が腐食していると塗料が乗らないため、塗装はできません。鉄骨部を取り替える工事が必要です。
そうすると、多額の工事費用がかかってしまいます。
軽度のサビや塗装の劣化症状が見受けられたら、すぐに専門業者に相談して補修を早急に行いましょう。
鉄骨塗装にかかる費用の単価相場
鉄骨塗装の部位ごとの単価や、使用する塗料の1㎡あたりの単価を紹介します。
塗装が必要な箇所の費用を計算して、事前準備として資金計画を立ててみましょう。
部位ごとの単価相場
部位 | 単価(円) |
---|---|
鉄骨フェンス | 3万~10万 |
鉄骨門扉 | 3万 |
鉄骨ベランダ | 5万~15万 |
鉄骨階段 | 8万~20万 |
ポスト | 8,000~1万 |
外壁水切り | 1万5,000~2万 |
ガレージシャッター | 2,000(1㎡あたり) |
窓用シャッター | 8,000~1万2,000(1箇所あたり) |
雨戸 | 1万5,000(1枚あたり) |
これらの費用は、塗装部の大きさや構造、塗布している塗料の種類により異なります。
現況によっては、鉄骨に塗装を行うために、既存塗膜の除去をする「ケレン」という作業が必要です。
ケレンは、ワイヤーブラシやサンダーなどの工具を用いて、既存の塗膜を除去することで、塗料が密着しやすいようにします。
その分工程が増え、塗装費用が高くなることがあります。
適切な鉄骨塗装の費用を把握するためには、優良な塗装業者に点検と見積もりを依頼しましょう。
使用する塗料の単価
鉄骨塗装に使用する塗料の単価を、紹介します。 使用する塗料の代表的なものは8種類あり、それぞれ特徴が異なります。
塗料の種類については、下記コラムをご確認ください。
塗料の種類 | 費用相場(円/㎡) |
---|---|
アクリル塗料 | 1,400~1,600 |
ウレタン塗料 | 1,700~2,200 |
シリコン塗料 | 2,300~3,000 |
ラジカル塗料 | 2,500~4,000 |
ピュアアクリル塗料 | 3,500~4,500 |
フッ素塗料 | 3,800~4,800 |
無機塗料 | 4,500~5,500 |
光触媒塗料 | 4,200~5,000 |
鉄骨には、多くの場合でアクリル塗料が使われます。ただ、耐用年数が短く約5年です。
フッ素塗料、無機塗料、光触媒塗料は次世代塗料とも呼ばれ、高性能で単価も高額です。
耐用年数が約20年と長く、塗り替えのスパンを長くしたい方におすすめです。
鉄骨塗装の注意点
鉄骨はほかの素材と違い、塗装の際には注意すべきポイントがいくつかあります。
注意点①塗装がきれいに見えていても定期的な塗り替えを行う
鉄骨塗装の寿命は約5年といわれていますが、5年を過ぎても塗装に劣化症状がなくきれいに見えていると、問題がないように思えるでしょう。
しかしその場合でも、内部で重大な欠陥が進行しているおそれがあります。
塗装から5年が経過した後は専門業者に一度点検を依頼しましょう。
注意点②雨が少ない時期に塗装を行う
塗装には、雨が少なく乾燥している時期が向いています。
業者によっては、台風や梅雨時期などのシーズンオフの時期に工事を勧めてくる場合があります。
しかし、湿度が高い時期のため、塗装がうまく鉄骨に乗らず、乾燥にも時間がかかるため、その時期の施工はおすすめできません。
地域によってベストな時期は異なるため、その地域に詳しい塗装業者に相談してみて、的確な助言をもらい塗装時期を決めましょう。
その際は、鉄骨塗装はさまざまな工程があるため、余裕を持ったスケジュールを立てましょう。
塗装業者選びに注意しましょう
鉄骨部に自分で塗装することは可能です。しかし、現況の劣化症状を調査し、的確な補修作業を行なうためには、プロの持つ知識や技術が必要です。
鉄骨の塗装の下地処理はサビ止めなどのさまざまな工程があるため難しく、高度な技術が必須です。
そのため、鉄骨部の塗装実績が豊富で、特に下処理が丁寧な塗装業者に依頼しましょう。
なお、優良な塗装業者を探すためには、一括で複数の塗装業者に見積り依頼と相談ができる一括比較サイトが便利です。
鉄骨塗装の単価に関するよくある質問
- 鉄骨塗装にはどのくらいかかる?
- 階段で約15万円、フェンスで約8万円かかります。塗装する面積や使用する塗料で大きく費用が異なるため、塗装業者に相談して見積もりを依頼しましょう。
- 鉄骨塗装は何年おきにするべき?
- 5年おきに行いましょう。鉄骨塗装に使われる塗料の多くが、耐用年数が約5年のアクリル塗料です。塗り替えの周期を伸ばしたい場合は、耐用年数が長い高性能な塗料を使用しましょう。