家の外壁は、雨風や日光によるダメージを防ぐために塗装されています。
塗装が性能を発揮するには、職人の塗装技術だけでなく、塗料をきちんと乾燥させることも大切な要素です。
しかし、日本の気候は気温や湿度が1年を通じて一定でなく、なかには塗料が乾燥しにくい「外壁塗装にふさわしくない月」もあります。外壁塗装にふさわしくない月は地域によって異なるため、どの時期に施工をすればよいか確認しておきましょう。
外壁塗装にふさわしくない月
外壁塗装に使用する塗料のメーカーは、塗料の乾燥・硬化にふさわしくない条件を挙げています。
- 気温:5℃以下
- 湿度:85%以上
外壁塗装が性能を発揮するには、塗料が乾燥して固まる「塗膜」という状態になることが重要です。
しかし、外壁塗装をするときの気候が上記の条件から外れると、塗料が乾きにくくなり塗膜がきちんと形成されません。結果、施工不良の原因になるため、塗装作業ができなくなります。
塗装作業ができない日の割合が多い月は、外壁塗装にふさわしくない月です。外壁塗装にふさわしくない月はいつなのか、日本の主要都市ごとにまとめました。
平均気温が5℃以下になる月
次の表は、全国の主要都市の毎月の平均気温をまとめたものです。
札幌 | 仙台 | 新潟 | 金沢 | 東京 | 名古屋 | 大阪 | 広島 | 高知 | 福岡 | 那覇 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1月 | -4.4 | 1.2 | 1.9 | 3.9 | 5.4 | 5 | 6.2 | 9.7 | 6.9 | 7 | 16.8 |
2月 | -2.2 | 3.7 | 4.4 | 6.6 | 8.5 | 7.5 | 8.7 | 13.4 | 9.6 | 10.2 | 18.5 |
3月 | 3.8 | 8.6 | 8.5 | 9.7 | 12.8 | 12 | 12.2 | 15.2 | 13.9 | 13.5 | 20.8 |
4月 | 7.9 | 11.6 | 11.4 | 12.9 | 15.1 | 15.2 | 15.5 | 19.1 | 15.9 | 16.7 | 21.7 |
5月 | 13.1 | 17 | 16.9 | 18 | 19.6 | 19.5 | 20 | 16.4 | 19.6 | 20.4 | 25.8 |
6月 | 18.9 | 20.6 | 21.5 | 22.5 | 22.7 | 23.4 | 23.9 | 18.4 | 23 | 24.2 | 27.1 |
7月 | 23.9 | 24.1 | 26.1 | 27 | 25.9 | 27.4 | 27.9 | 19.3 | 26.8 | 28.9 | 28.8 |
8月 | 22.9 | 24.9 | 26.7 | 27.1 | 27.4 | 27.8 | 28.1 | 14.9 | 27.2 | 27.5 | 28.7 |
9月 | 18.8 | 20.8 | 22.3 | 23.4 | 22.3 | 24.1 | 24.8 | 13 | 25.4 | 25.9 | 28.8 |
10月 | 12.5 | 15.8 | 17.2 | 18.3 | 18.2 | 19.9 | 20.3 | 14.9 | 20.8 | 21 | 26 |
11月 | 7.3 | 11.1 | 11.5 | 12.3 | 13.7 | 13 | 14.1 | 10.4 | 13.8 | 13.9 | 21.8 |
12月 | -0.5 | 4.7 | 5.3 | 7 | 7.9 | 7.3 | 8.8 | 8.5 | 8.8 | 9.1 | 18.9 |
(参考:気象庁)
月の平均気温が5℃を下回るのは、札幌12~3月、仙台12~2月、新潟1~2月、金沢1月です。名古屋も1月の平均気温は5℃になるため外壁塗装に適しません。これ以外にも冬の寒さが厳しい寒冷地では、気温が5℃以下になる日が増えるため、外壁塗装をするときは注意が必要です。
外壁塗装に使われる塗料は、気温が5℃以下になるとのびが悪くなり、均一な塗装が難しくなります。その結果、塗装ムラを引き起こし、塗膜の形成に不具合が生じるおそれがあります。
また、気温の低下で問題になるのが結露です。塗料が乾ききっていない状態で結露が発生すると、塗装のつやがなくなって白くぼやける「白化」や「液だれ」など、施工不良の原因を引き起こします。
そのため、気温が5℃以下になる日が多い月は、外壁塗装を避けたほうがよいでしょう。
湿度が85%以上
次の表は、全国の主要都市の毎月の平均湿度をまとめたものです。
札幌 | 仙台 | 新潟 | 金沢 | 東京 | 名古屋 | 大阪 | 広島 | 高知 | 福岡 | 那覇 | |
---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|---|
1月 | 70 | 72 | 81 | 76 | 57 | 69 | 62 | 61 | 63 | 66 | 71 |
2月 | 69 | 64 | 71 | 63 | 49 | 60 | 57 | 55 | 60 | 62 | 72 |
3月 | 67 | 61 | 69 | 64 | 62 | 64 | 62 | 57 | 68 | 69 | 76 |
4月 | 60 | 59 | 68 | 61 | 60 | 59 | 58 | 50 | 66 | 60 | 73 |
5月 | 71 | 69 | 75 | 67 | 73 | 69 | 68 | 63 | 79 | 69 | 87 |
6月 | 71 | 81 | 78 | 69 | 77 | 72 | 69 | 64 | 81 | 75 | 90 |
7月 | 74 | 87 | 82 | 75 | 83 | 77 | 72 | 68 | 81 | 69 | 84 |
8月 | 73 | 83 | 79 | 74 | 80 | 76 | 73 | 72 | 83 | 80 | 83 |
9月 | 73 | 77 | 73 | 73 | 82 | 78 | 73 | 67 | 79 | 75 | 80 |
10月 | 73 | 77 | 76 | 68 | 76 | 67 | 65 | 60 | 68 | 66 | 73 |
11月 | 72 | 71 | 77 | 67 | 65 | 65 | 63 | 60 | 68 | 66 | 69 |
12月 | 71 | 72 | 80 | 72 | 60 | 73 | 64 | 61 | 63 | 63 | 67 |
(参考:気象庁)
上記の表を確認すると、湿度の平均が85%以上になるのは、仙台7月、那覇5~6月です。梅雨の5~7月、太平洋高気圧が現れる8月は全国的に湿度が高いです。
湿度の高い日に外壁塗装を行うと、塗料と空気中の水分が混ざりやすくなります。水分を含んだ塗料は、液だれや乾燥後の剥がれなど施工不良の原因になるため、外壁塗装にふさわしくない月になってしまうのです。
雨や雪が降っていると外壁塗装はできない
雨や雪が降る日は、湿度や気温に関係なく外壁塗装ができません。外壁に塗った塗料が水分で薄まったり、流れ落ちたりして塗膜が形成されにくいためです。
また、湿気による施工不良で剥がれや浮きなどが発生して、塗り直しが必要になる場合があります。そのため、雨量の多い月や、雪の降る月は外壁塗装にふさわしくありません。
外壁塗装が絶対にできないわけではない
塗装から乾燥までの時間内で外壁塗装に適した気候条件が確保できれば、外壁塗装にふさわしくない月であったとしても施工は可能です。
外壁塗装は、下塗り、中塗り、上塗りの3回塗りで行います。塗装をしたあとには、毎回乾燥が必要です。下塗りの乾燥時間は、次のとおりです。
- シーラー系:2~3時間
- フィラー系 4~6時間
また、中塗りと上塗りは塗料によって差がありますが、3~4時間が乾燥時間の目安です。
- シーラー系
中塗りに使用する塗料を外壁に密着させやすくする下塗り材です - フィラー系
シーラーに弾性を持たせた下塗り材です。外壁の凹凸やひび割れを埋めることで外壁の表面を滑らかにして、塗装の仕上がりをよくします
外壁塗装にふさわしくない月に施工するメリット
湿度が高い梅雨や夏、気温が低下する冬は、一般的に外壁塗装にふさわしくない月です。
しかし、このような時期にあえて外壁塗装をすると、次のようなメリットもあります。
- 塗料が乾燥しやすい
- 施工会社の予約が取りやすい
- 施工費用が割引されやすい
それぞれの理由について解説します。
冬は塗料が乾燥しやすい
気温が下がると、空気中に含まれる水蒸気の量が減るため、湿度が下がります。空気が乾燥していれば、塗料も乾きやすくなるため、施工不良が減る可能性があります。
また、地域にもよりますが、冬は雨が少なく、台風などの自然災害もないため、外壁塗装の日程が組みやすいというメリットがあります。
ただし、外壁塗装の作業中に気温の上がり下がりがあると、結露が発生することがあります。結露は施工不良の原因になるため、なるべく気温が一定に保たれる日を選びましょう。
施工会社の予約が取りやすい
外壁塗装に向かない月は、多くの人が避けるため、施工会社にとって閑散期です。工事のスケジュールが空いていることが多いため、優良な施工会社の予約を取りやすいというメリットがあります。
施工費用が割引されやすい
外壁塗装にふさわしくない月だと施工会社は閑散期のため、案件を獲得するために営業を行い、施工費用を多少値引きしても受注したいと思っています。
そのため、閑散期では施工費用の値下げ交渉をすると応じてもらえる可能性が高いのです。
ただし、閑散期だからといって大幅な値下げをしてもらえるとは限りません。相場を確認してから、値下げの交渉を行いましょう。
外壁塗装に適した月
外壁塗装に適している月は、全国的に春(4~5月)と秋(9~10月)です。気温が高いうえに湿度も低く、さらに気候が安定しているため、施工不良が起きにくいためです。
しかし、外壁塗装に適した気候は1年の間でも4カ月ほどで、この期間に施工会社に仕事が集中しやすくなります。施工会社にとって繁忙期となるため、この時期に外壁塗装を依頼する場合、注意すべき点もあります。
繁忙期の外壁塗装は早めに依頼する
外壁塗装に適した月は、施工会社の繁忙期です。案件が集中するため施工の希望日があっても予約が取れないことがあります。
また、価格の交渉も繁忙期だと応じてもらえる可能性が低くなるため、閑散期よりも費用が高くなることもあります。
外壁塗装を依頼するなら複数社を比較する
気候条件が合えば、外壁塗装にふさわしくない月でも施工はできます。施工会社の閑散期になるため、希望日に予約を取りやすくなることや、値引き交渉に応じてもらえるといったメリットもあります。
しかし、湿度や気温の問題から施工不良につながるリスクが高くなるため、外壁塗装を依頼するなら、実績が豊富な施工会社を選ぶことが重要です。
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