外壁の塗装は徐々に劣化していくため、いずれは塗り替えが必要になります。ただ、塗り替えのタイミングを見極めるのは簡単ではありません。塗り替えはいつ行えばよいのでしょうか。
外壁塗装は何年ほどもつのか、どのタイミングで塗り替えたらよいのかを解説します。
外壁塗装は何年もつ?塗り替えのタイミング
家を建ててから10年も経つと、建築会社の担当者などから外壁の塗り替え工事を提案される機会があります。定期的な外壁の塗り替えは建物の美観を保ちつつ外壁を保護するため、家が劣化する原因となる雨水などから大切なマイホームを守るために欠かせません。
しかし、なかには「色あせや塗膜の剥がれがほとんどないのに、いますぐ塗り替える必要はないのでは?」と思う人もいるでしょう。
外壁塗装の塗り替え時期の目安は10年といわれていますが、実際は使用している塗料の種類や建物の周辺環境などによって異なり、約15年は塗り替える必要がないこともあります。
逆に10年未満でも塗り替えが必要になることもあるため、定期的に外壁の点検を行って劣化のサインを見逃さないことが大切です。
塗装の耐用年数が短くなる環境は要注意
外壁塗装の耐用年数は、たとえ同じ塗料を使っていたとしても、建物の周辺環境や立地条件などによって異なることがあります。
塗料の耐用年数が短くなる環境には、主に次のものがあります。
- 近くに川や池がある
- 沿岸部に建っている
- 周辺の交通量が多い
- 日当たりが悪い
- 西日がよく当たる
これらに当てはまる場合は、あまり塗り替えを先延ばしにしないほうがよいでしょう。
近くに川や池がある
家の近くに川や池があると周辺に湿気が多くなるため、外壁にカビやコケ、藻が生えるリスクが高くなります。カビやコケなどが生えると、外壁がダメージを受けるため要注意です。
沿岸部に建っている
海から近い場所に建つ家は、潮風による塩害の影響を強く受けるため、通常よりも塗装の耐用年数が短くなります。特に外壁材がトタンやアルミなどの金属製だと、塗装の劣化によってサビが発生してしまいます。
周辺の交通量が多い
幹線道路が近くにあるなど家の周辺の交通量が多いと、車の排ガスで外壁面に汚れがつきやすくなります。また、車の振動が建物に伝わり、外壁にひび割れが発生することもあります。塗装だけでなくひび割れの対処も、施工会社へ依頼してください。
日当たりが悪い
日中をとおしてあまり日が当たらない家も、塗装が劣化しやすくなります。湿気が多くてジメジメするため、外壁にカビやコケが生えて塗装に悪影響を及ぼすのです。
西日がよく当たる
日当たりがよすぎるのも、塗装にはよくありません。外壁に西日がよく当たる場合は、紫外線などの影響を受けて塗装の劣化が進みやすくなります。
塗装の塗り替えを検討したい外壁の症状
外壁の塗装が劣化してあらわれる症状には、さまざまなものがあります。なかでも次の5つの劣化症状が見られるときは、早急に外壁の塗り替えを検討する必要があります。
- 外壁に触れると白い粉状のものがつく
- 塗装に色あせや変色がある
- 塗装に膨れや剥がれがある
- ひび割れができている
- カビ、コケ、藻が発生した
それぞれの症状を解説します。
外壁に触れると白い粉状のものがつく
塗装の表面に白い粉状のものが発生する現象のことを「チョーキング」といい、白亜化とも呼ばれています。
チョーキングは経年劣化により発生することがほとんどです。塗料の色の成分である顔料が紫外線を受け続けることで、粉のような状態になってしまってチョーキングが起こります。
チョーキングの発生は、塗料の耐用年数がすでに経過していることを示しています。
塗装に色あせや変色がある
外壁には太陽光が当たることが多いため、塗装は紫外線の影響を強く受けます。長いあいだ太陽光を受け続けると、塗装が劣化して色あせや変色が発生します。
色あせや変色が塗装に見られたら、塗り替えが必要になっているサインです。
塗装に膨れや剥がれがある
塗装をしてから長い年月を経ると、塗膜が膨れたり剥がれたりする症状があらわれます。数年であれば施工不良も考えられますが、10年近く経っているのであれば劣化によるものです。
塗膜に膨れや剥がれが発生するとそこから雨水が侵入し、外壁材が水分を含んでダメージを受けます。そのまま放置すると雨漏りの原因となることもあります。早急に塗り替えを検討しましょう。
ひび割れができている
ひび割れは外壁によく見られる劣化症状のひとつで、幅が0.3mm未満のヘアークラックと呼ばれるものと、幅が0.3mm以上の比較的大きなものがあります。
0.3mm以上のものは地震や振動などが原因で発生した構造クラックと考えられ、外壁の表面だけでなく外壁材そのものにもひび割れが生じているかもしれません。
ヘアークラックも対処すべき劣化症状ですが、構造クラックはより深刻です。大がかりな補修が必要になることもあるため、施工会社の調査・診断を早く受けてください。
カビ、コケ、藻が発生した
外壁の塗装が劣化すると防水性能が低下するため、外壁材が水分を含みやすくなってカビやコケ、藻が発生しやすくなります。
カビやコケなどが大量に発生している状態は、外壁全体の塗装が劣化しているということなので早めに塗り替えを検討しましょう。
外壁塗装は何年もつ?塗料ごとの耐用年数
外壁塗装に使用する塗料にはさまざまな種類があり、種類ごとに耐用年数や機能、価格などが異なります。
したがって外壁塗装を行う際は、塗料選びが非常に重要です。外壁塗装に使用される主な塗料の種類と、それぞれの特徴などを紹介します。
アクリル塗料
アクリル塗料はアクリル樹脂を主成分の塗料で、費用が安くて発色がよいという特徴があります。しかし、耐久性が低いという欠点があり、ひんぱんに塗り替えが必要になります。近年はあまり外壁塗装に使用されていません。
ウレタン塗料
ウレタン塗料は密着性や伸縮性に優れているため、外壁だけでなく付帯部分の木部や金属、雨どいなどの塗装にも適しています。
ただし、アクリル塗料より耐用年数が長いものの、耐久性はあまり高いとはいえません。価格差がシリコン塗料とほとんどなくなった近年では、積極的に選択する理由がなくなっています。
シリコン塗料
シリコン塗料とは主成分の合成樹脂にシリコンが含まれている塗料のことで、外壁塗装に使用される塗料の主流になっています。商品のバリエーションが豊富なのも魅力です。汚れがつきにくく(低汚染性)、熱や紫外線にも強いため、外壁塗装向きの塗料といえるでしょう。
ただし、塗膜が固くなるため、劣化が進むとひび割れを起こしやすいのが欠点です。また、シリコンの含有量によって耐久性や性能に幅があります。性能は価格に比例するため、シリコン塗料という理由だけで安価なものを選択してしまうと期待外れになるかもしれません。
ラジカル(制御型)塗料
ラジカル(制御型)塗料は2010年代から各塗料メーカーが新製品を投入している塗料で、塗料に含まれている酸化チタンと紫外線が反応して、塗膜の劣化を促進させるラジカル反応を防ぎます。
シリコン塗料以上の耐久性を備え、劣化症状のチョーキング現象が起こりにくいほか、ほとんどの塗料が低汚染機能を備えています。
施工実績の少なさが、ラジカル塗料のデメリットといえるでしょう。
光触媒塗料
光触媒塗料は原料に含まれる酸化チタンが紫外線に反応することで、光触媒作用という化学反応を起こして塗膜の表面についた汚れを分解します。雨水が汚れの下に入り込むことで、油脂のような頑固な汚れを洗い流すセルフクリーニング機能を持っています。
日陰になる部分や雨水に当たらない部分だと、セルフクリーニング機能を発揮できないことはデメリットです。
フッ素塗料
フッ素樹脂が配合された塗料で、耐候性・耐久性に優れ、一般住宅だけでなくひんぱんに塗り替えられない商業施設や公共建築物、大型建造物などにも数多く採用されています。
固い塗膜を形成するため紫外線に強いのですが、ほかの塗料と比較して費用が高額になります。費用がかかってもできるだけ長持ちさせたい、という人にはおすすめです。
無機塗料
炭素を含まない無機物質を主成分としているため、経年劣化しにくく耐久性が高い塗料です。一方で耐用年数が長すぎるため、ほかの部分とのメンテナンスサイクルが合わないという面もあります。
たとえば、屋根の塗装などと一緒に行えれば足場の設置費用を節約できるのですが、無機塗料だとそのタイミングを合わせられないのです。
塗料のまとめ
主な塗料の種類と耐用年数、費用の相場を表にまとめると、次のようになります。
塗料の種類 | 耐用年数(年) | 費用の相場(円/㎡) |
---|---|---|
アクリル塗料 | 5~7 | 1,000~1,800 |
ウレタン塗料 | 7~10 | 1,500~2,500 |
シリコン塗料 | 10~15 | 1,800~3,200 |
ラジカル(制御型)塗料 | 12~15 | 2,200~4,000 |
光触媒塗料 | 12~20 | 3,800~5,500 |
フッ素塗料 | 15~20 | 3,500~5,000 |
無機塗料 | 20~25 | 4,500~5,500 |
そろそろかな?と思ったら「ぬりマッチ」
外壁の塗装に劣化症状が見られたら、できるだけ早く塗り替えましょう。すぐには悪影響がなくても、劣化した塗装を放置していると徐々に外壁そのものがダメージを受け、雨漏りなどの深刻な状態を引き起こすことがあります。
外壁塗装には大きな費用がかかるため、複数の施工会社の見積もりを比較しましょう。「ぬりマッチ」から申し込めば、一度の入力で複数の施工会社へ見積もりを依頼することが可能です。
外壁の塗装が気になったら、まずはぬりマッチをご利用ください。