ナチュラルやナチュラルモダンな外観は、家の周辺がどのような環境でも周囲に溶け込みやすく、柔らかで温かみがあり、落ち着いた雰囲気が人気です。
しかし、同じナチュラルな外観でも、その色やデザインによって雰囲気は一変します。そのため、ナチュラルな外観にしたい!といった、漠然としたイメージで進めるのは危険です。「外壁は何色で玄関の階段はどんな素材にするか」など具体的イメージを持つことで、思い描いた外観にしやすくなります。
ここではナチュラルな外観にする際のポイントや注意点を解説します。
【再確認】ナチュラル・ナチュラルモダンの定義とは?
自然の素材を取り入れることで、やさしくて温かみのある印象になるのがナチュラル・ナチュラルモダンの特徴です。
ここでは、ナチュラルもしくはナチュラルモダンとは、どのようなデザインを指すのか解説します。
ぼんやりとしたイメージがはっきりすれば、「こんなデザインにしてほしい」といった具体的な説明もしやすくなるでしょう。
ナチュラルのデザインで多いのは、シンプルで自然の色味を活かしたもの
ナチュラルとは「自然の」「あまり人の手が入っていない」といった意味を持ちますが、住宅のデザインでは以下のような意味を持ちます。
- シンプルで流行に左右されない
- 白やグレーなど落ち着いて温かみを感じさせる色をメインに使う
- 窓枠、ドアなどに木材や木目調の素材を使ってアクセントにする
つまり、「シンプルでありながら無機的な感じがしない家」といったイメージです。たとえば、アイボリーホワイトの外壁に木製の玄関ドアをつけるだけでも、ナチュラル感が増します。
また、ウッドデッキや庭、さらにレンガや天然石風の素材を使った外壁や目隠しをつくると、よりナチュラル感が増すでしょう。
なお、個性を出したい場合は、窓の形にこだわると「シンプルだけど個性が光る家」になります。
ナチュラルモダンは直線的なデザイン+木目がアクセントのものが多い
ナチュラルモダンとは、モダンテイストの一種に分類されます。モダンとは「現代的な」といった意味を持ちますが、建築デザインでは直線的でスタイリッシュなテイストといった意味で使われることが多いでしょう。
単にモダンテイストというと、片流れの屋根や平屋根を持つシンプルなデザインの家ですが、そこに「ナチュラル」が付くと、木目がアクセントとして加わります。
さらに、モダンテイストの家は白や黒などはっきりした外壁の色が選択されがちですが、ナチュラルモダンはグレー、ベージュといった「はっきりしすぎない色」が選択されやすいでしょう。
つまり、現代的なデザインながら、アクセントとして木目調のものを使用することで無機質になりすぎず、おしゃれさを高められます。
家の外観をナチュラル・ナチュラルモダンにする3つのポイント
外観をナチュラルやナチュラルモダンにしたかったのに、いざ仕上がりを見ると「単にシンプルで特徴の少ない家になってしまった」という失敗はありがちです。
このような失敗を防ぎ、できるだけ希望どおりのナチュラル・ナチュラルモダンの外観にするには、どうすべきでしょうか。
直線を意識したデザインにする
ナチュラル・ナチュラルモダンのデザインは、シンプルが基本です。直線を意識したデザインにすると現代的なデザインになり、よりモダンな印象になります。
近年増えてきた、平屋根の箱型デザインもナチュラル・ナチュラルモダンと相性が良いため、選択肢として検討しておきましょう。
また、切妻屋根、片流れの屋根もおすすめです。平屋根と片流れの屋根を組み合わせると、流れが出て変化に富んだデザインにもなります。
このほか、窓のサッシを目立たせると直線的なデザインが強調されます。あえて小窓を規則的に並べると、美しく整ったデザインに見えるでしょう。
外壁の色は白やベージュ・グレーを選ぶ
ナチュラルやナチュラルモダンな外観にする場合、外壁の色は白やベージュ、グレーを選びましょう。どれも柔らかく落ち着いた色合いで、見る人をほっとさせてくれます。
近年は緑や青など外壁に使える色が増えましたが、ポップすぎる色はナチュラルやナチュラルモダンとは合わせにくいでしょう。
なお、できる限り黒っぽい家にしたい場合は、濃いグレーを選ぶと柔らかな黒色のように見えます。指し色を入れたい場合は、ベージュや白などを基本色として、濃い茶色や濃いグレーなどを指し色にするとよりオシャレです。
木目をアクセントにする
木目をアクセントにすると、ナチュラル感を強調できます。たとえば、ドアや外壁素材の一部に木目調のものを使うと、一気にナチュラルテイストになるでしょう。
目隠しやベランダの手すりなどを木目調のものにしても、ナチュラルテイストになります。
どこにどのくらいの割合で木目調の素材を入れるかで、その印象は一変します。デザインを3Dの立体でシミュレーションできるソフトなどもあるため、さまざまな場所を木目調にして印象を確かめてもよいでしょう。
木目調のほか、レンガもナチュラルテイストをアップさせる外壁素材です。ライトブラウンのレンガ調サイディングを外壁として木目をアクセントに加えると、ヨーロッパ的なナチュラルテイストの家になります。
ナチュラル・ナチュラルモダンな家は外構にもこだわりたい
敷地に余裕がある方は、外構にもナチュラルやナチュラルモダンテイストを取り入れて、建物の調和を図りたいものです。
ここでは、ナチュラル・ナチュラルモダンな家をより引き立てる外観について解説します。
自然素材を外構に取り入れる
ナチュラルや、ナチュラルモダンな建物をより引き立たせる外構をつくるには、自然素材の利用がおすすめです。
一例を挙げると、石畳・レンガや自然石の塀・樹木などです。また、庭がある場合はウッドデッキなどを設置すると、ナチュラルテイストな印象を与えます。
具体的には、「石畳の玄関アプローチに木製の目隠しをつける」「門柱を木目調のものにする」「門柱と一緒に樹木を植える」などです。樹木は成長するにつれ印象が変わることから、外構も年月とともに変化させたい場合に適しています。
このほか、庭を芝生張りにしたり、玄関アプローチ周辺に花壇をつくったりしても、季節や年月に応じた変化を楽しめるでしょう。
周辺環境の調和も大切
外構の場合、建物はもちろんのこと外構と周辺の調和も必要です。
ナチュラル・ナチュラルモダンなテイストを大切にしたい場合、周囲の家から一軒だけ浮き上がって見えるのに気を悪くする人もいるでしょう。
たとえば、周囲の家がモダンなテイストでも、外構の目隠しや門柱の色をそろえれば、調和がとれます。
周囲に黒っぽい外観の家が多ければ、外壁や門柱の色、さらに石畳の色を黒っぽくしてみましょう。白っぽい場合はその逆にしてみましょう。
樹木を植える場合はお手入れのしやすさを考える
天然の樹木は年月とともに成長します。成長の変化を楽しめるのは長所ですが、大きく育つ種類だと電線に触れたり近隣の家に枝が侵入したりするおそれがあります。
また、落葉樹の場合は毎年葉が落ちるので、掃除する手間がかかり注意が必要です。剪定や落ち葉の片付けなどの手間をできるだけかけたくない場合は、低木かつ常緑樹を植えるとよいでしょう。
なお、金木犀や沈丁花などの香りの強い木は、場所によっては敬遠されるおそれもあるので注意しましょう。
こまめなお手入れができるなら、門柱のしたを花壇にするのもおすすめです。
ナチュラル・ナチュラルモダンな外観にする場合の注意点
ここでは、ナチュラル・ナチュラルモダンな外観にするための代表的な注意点を3つ紹介します。
外壁の汚れや色あせに注意する
ホワイトやベージュ、薄いグレーなどの外壁は環境によっては汚れがすぐに付着し、さらに目立つおそれがあります。
たとえば、周囲に幹線道路が通っている場合は、排出ガスの汚れが付着しやすいでしょう。また、周囲に土がむき出しの土地や田畑が多い場合は、土ぼこりが外壁に付着しやすい傾向です。
さらに、紫外線が強い場所では退色が早めに発生する危険もあります。建築やリフォームする場合は、周囲の家も観察して汚れにくく、耐久年数が高い塗料を使うなど工夫が必要です。
木目調の場所はお手入れの頻度に注意
木目調の外壁素材は木質系サイディング材と、木目調のサイディングがあります。ナチュラルにこだわるなら、木質系サイディング材のほうがおすすめです。
近年は技術の進歩により、木目調のサイディングでもぱっと見はほとんど天然の木材と区別がつかないものも増えてきました。しかし、経年で色合いが変化する点や、繊細な質感は、まだ再現しきれていません。
ガルバリウム鋼板のような金属の外壁材の中に、木質系サイディング材をアクセントとして入れれば、現代風の家が一気にナチュラルモダンテイストにもなるでしょう。
一方で、木質系サイディング材は、腐食に弱く防火性も低いというデメリットがあります。これは、ドアや窓枠などにも同じことが言えます。
したがって、一般的な外壁素材よりもこまめなお手入れが必要になる場合もあるでしょう。特に、湿気が多い地域は木材にとって厳しい環境です。
ウッドデッキも、天然木材の製品は腐食しやすいほか、シロアリが巣をつくりやすいといったデメリットがあります。家のお手入れにできるだけ手間をかけたくない場合は、木目調のアクセントをつける場所や、素材に注意しましょう。
庇や軒が少ないと暮らしにくくなる場合もある
ナチュラル・ナチュラルモダンな家は、
ナチュラルな外観の家で庇や軒を多く深く取った場合、かなり和テイストなデザインとなるため、敬遠する方も多いでしょう。しかし、庇や軒が少なく浅い家は、直射日光が家の中に入ってきたり、雨が吹き込みやすくなったりします。
リビングや寝室の向きが東向きや南向きだったり、季節によっては激しく雨が降る日が多かったりする場合は、場所によってはひさしや軒をしっかりと付けたほうがよいこともあります。この場合は、工務店やハウスメーカーとも相談しましょう。