雨漏りが起きると、ただ水が漏れ出るだけでなく、建物の構造に大きな被害が出ることもあります。
DIY(Do It Yourself)が盛んになった昨今では、自分で解決しようとする人もいるでしょう。しかし、実際に素人ができるのは応急処置的なことです。
しっかりとした雨漏りの対処は、専門知識が必要な難しい作業です。業者に依頼すると、どれくらいの費用がかかるのでしょか。
ここでは、雨漏り修理にかかる費用を、外壁や天井などのポイント別で紹介します。それに合わせて修理代を安く抑える方法も確認してみましょう。
修理費用と期間
雨漏りの箇所によって、期間や修理費用、作業内容が違います。それらは原因や被害の大きさ、施工範囲などで左右されます。
ここで明記している各費用や期間はおおよそのもので、足場代が別途必要な点もご注意ください。
外壁の雨漏り
外壁からの雨漏りは、ひび割れやコーキングの劣化から発生することが多いです。コーキングは、外壁材と外壁材の間にできる隙間を埋めるために充填しているものです。
その被害は広範囲にわたる場合もあり、原因の特定が難しいです。隠れた箇所に問題があるケースもあります。
外壁の塗装は外壁本体を守るために必要なものですが、塗装が剥げてしてしまうとそこから雨水が浸透してくる可能性があります。
また、コーキングも塗装と同様に、雨水が浸入しやすい経路を遮断するための重要な要素です。劣化すると雨水が浸透し雨漏りが始まります。この浸透してきた雨水が、どこから漏れてくるか分からないところに外壁の難しさがあります。
外壁の種類によっては、ひび割れで雨水が浸透してくるケースもあります。部分的な補修で済まず、かなり大規模な補修をしなければ直らない場合もあります。建物を構成する部材や状況によって、修理方法が異なります。
雨漏りを確実に補修するためには、まずは雨漏り診断士の資格を持っている業者に原因の特定を依頼することからはじめましょう。
雨漏り原因を究明し、雨漏りを防ぐ事に関わるすべての人々が、知識を習得すること 特定非営利活動法人 雨漏り診断士協会
以下は、外壁の雨漏りを修理する方法別に費用相場と工事期間の目安をまとめた表です。
修理の種類 | 費用相場(円) | 工事期間の目安 |
---|---|---|
コーキングによる補修 | 5~10万 | 1~3日 |
コーキングの打ち替え | 5~50万 | 1~3日 |
樹脂によるひび割れ補修 | 50万~ | 1週間以上 |
外壁塗装 | 50万~ | 1週間以上 |
外壁の張り替え(重ね張り) | 100万~ | 1週間以上 |
軽度なものなら5万円程度で済みますが、外壁の張り替えや樹脂による補修となると多額の費用が必要です。
外壁の種類によっては、施工方法も違います。
たとえば、デザイナーハウスなどで見られるコンクリート打ちっ放しの場合、ひび割れから内部構造まで雨水が浸透していると、鉄筋まで劣化させるおそれがあります。状況によっては、劣化部分の一部撤去から打ち継ぎ補修が必要です。
なお、外壁の雨漏り補修のためには、足場の設置が必要です。
足場の設置難易度によって、期間が変わる点は注意しましょう。あまりにも狭くスペースが取れない場合には、時間も費用もかかります。
天井の雨漏り
天井の雨漏りは、原因追求が鍵を握ります。
雨水は回り込んでしまうため、原因の判断が難しいです。屋根や天井側に原因があると思いきや、実は外壁などから伝ってきているケースも少なくありません。
軽く雨漏りしているように見えても、実は重大な原因が隠れているかもしれません。
調査をしないと分からない場合が多く、プロの施工業者の判断が必要です。
以下は、天井の雨漏りの修理方法別に費用相場と工事期間の目安をまとめた表です。
修理の種類 | 費用相場(円) | 工事期間の目安 |
---|---|---|
コーキングでの補修 | 5~20万 | 1~3日 |
外壁が原因 | 5~200万以上 | 1日~ |
2~50万 | 1日~ | |
2~10万 | 1~3日 | |
10~100万 | 1日~1週間 | |
瓦のずれや差し替え | 1~5万 | 1~3日 |
ルーフィング※3・下地補修 | 3~30万 | 1日~(ルーフィングのみ) |
屋根全体の工事 | 60~200万以上 | ~1カ月以上 |
- ※1 棟板金(むねばんきん)
- 屋根の一番上部のとがった部分に取りつける金属板
- ※2 谷樋(たにとい)
- 屋根と屋根が取りあう部分に取りつけられる、排水の役割をもった部品
- ※3 ルーフィング
- 屋根材の下に設置されている防水シート
調査の結果や材料の種類によって、修理費用は幅があります。 また、工事期間は状況や面積によっても異なるため、事前に専門家に相談して確認しておきましょう。
ベランダやバルコニーの雨漏り
ベランダやバルコニーも雨漏りが発生することがあります。屋根や壁とは構造に違いがあるため放置されやすく、深刻な問題を抱えているおそれがあります。
ベランダやバルコニーは、防水シートやアスファルト加工によって防水します。コンクリート表面の防水加工が劣化することで効果を失い、雨漏りが発生します。
コンクリートだから水漏れしないと考えがちですが、排水溝などの付属品や躯体との取り合い部分から雨水が回ることもあります。
費用は施工方法や面積でも違いますが、約5~20万円、工事期間は1~3日です。
雨漏りを放置すると?
雨漏りを放置すると、非常に深刻なデメリットを生じるため、できるだけ早く修理しましょう。 具体的にどのような被害があるのでしょうか。
シミが発生する
雨漏りが発生すると、天井や壁紙にシミができます。これは汚れなどが水に溶け広がるためです。
さらに接着剤が取れて、壁紙が損傷して剥がれ落ちる可能性が高まります。
建材の劣化
水に触れることで、湿度に弱い建材は劣化します。構造的に強度を失い、耐震性などに影響を与えます。
特に、木材の場合は要注意です。濡れることで腐ってしまい、天井や床が落ちるケースも珍しくありません。
コンクリートの場合、ひびが入っている状態だと、水が浸透して内部の鉄筋がサビます。すると、サビた分だけ体積が膨張し、コンクリートを内部から押し出す、爆裂と呼ばれる現象が起きます。躯体強度を著しく損なう状態のため、補修にもかなりの金額が必要です。
漏電と火災
水は通電する性質を持っています。
漏電ブレーカーがなければ、そのままショートし火災につながるケースが考えられます。
水があるから燃えないと思われがちですが、このケースでの火災は後を絶ちません。
修理費用を安く抑える方法
雨漏りを発見した際、ポイントを知っておけば修理費用を安く抑えることができます。
家は大事な資産です。快適な生活を送るためにも、基本的なことは知っておきましょう。
保険を利用する
適用条件を満たしていれば、雨漏りでも火災保険が利用できます。
経年劣化や人的要因による被害なら火災保険は使えませんが、自然災害によるものであると証明できれば利用ができます。
中には、そもそも経年劣化が原因にあり、自然災害が重なったケースでは保険適用外と判断される場合もあります。
適用される | 適用されない |
---|---|
風災、地震、雪災 | 経年劣化、過失 |
保険を利用するためには、雨漏りが発生してから3年以内に申請する必要があるため注意しましょう。
なお、保険とは別に、新築で雨漏りがあった場合は10年以内であれば、契約不適合責任として損害賠償や代金の減額、補修などを不動産会社に要求できます。
引き渡された目的物が種類、品質又は数量に関して契約の内容に適合しないものであるときは、買主は、売主に対し、目的物の修補、代替物の引渡し又は不足分の引渡しによる履行の追完を請求することができる。 民法第五百六十二条(買主の追完請求権)
日頃のメンテナンス
修理費用を安く抑えるためには、普段からのメンテナンスが重要です。
定期的に点検をして、被害が大きくなる前に外壁塗装や屋根塗装の補修しておけば、大規模な修繕が必要な被害は発生しにくくなります。
普段からの心構えが何よりも重要です。
見積もり内容の確認
業者に修理の見積もりを出してもらったら、細部まで内容を確認しましょう。
内訳に一式となっていると、何を施工するのか内容が分かりません。
信頼できるしっかりとした業者であれば、内訳をはっきり明記してくれます。必要のない工程を省いて、必要最低限の出費に抑えましょう。
専門業者に依頼しよう
雨漏りの修理・補修は専門業者に依頼しましょう。原因がどこにあるのか調査をして、必要な工事を割り出してくれます。見積もりもはっきりとするので、費用の目安もつかみやすくなるでしょう。
DIYで修理しようと考える方もいるでしょうが、応急処置にしかなりません。再度修理が必要になり、余計に修理費用がかかってしまう事態になりかねません。
なお、業者に依頼する際は、複数の業者から見積もりを取ることが大切です。 修理にかかる費用は一体どれくらいが相場なのか、複数の見積もりがあれば比較して判断できます。
もちろん、見積もりと施工内容が重要ですが、親身になって相談に乗ってくれるかどうかも見極めましょう。
最近では、一括査定サイトも活用されています。雨漏りの修理だけでなく、日々のメンテナンスに重要な外壁、屋根塗装の相談もまとめてできます。
簡単に複数の業者に見積もりの依頼ができる便利な方法ですのでおすすめです。