外壁のコーキングはどういった効果があるのでしょうか。また、コーキングが劣化したサインはどのようなものでしょうか。
今回は、外壁のコーキングについての基礎知識と、コーキングが劣化した場合の補修方法や費用について解説します。
外壁のコーキングに関する基礎知識
まずは、外壁のコーキングについて理解を深めましょう。コーキングの説明、種類の紹介、劣化する理由について解説します。
外壁のコーキングとは
コーキングとは、建物の隙間を埋めることです。
コーキングは外壁だけでなく、あらゆる場所で行います。例えばキッチンやお風呂などの水回り、窓のサッシや通気口などで施工されます。
コーキングと同時にシーリングという言葉も耳にすることがあるでしょう。
コーキングとシーリングは何が違うのでしょうか。
一般的にはほとんど同じです。シーリング材は、コーキング材の一部で、ペースト状のコーキング材をシーリング材と呼びます。
その中でも外壁のコーキングとは、サイディング外壁などで外壁材の間にある隙間を埋めることです。
コーキングは指で触ると、弾力を感じます。
外壁コーキングはただ隙間を埋めるためだけのものと考えられがちですが、以下のような役割を持っています。
- 水などの侵入を防ぐ
- 建物の揺れを緩和する
- 外壁材のズレを調整する
コーキングの種類
コーキングには、さまざまな成分や分類があります。
以下は、主に使われる成分別コーキングの特徴をまとめた表です。
特徴 | |
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水性ウレタン |
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ウレタン |
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シリコン |
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変成シリコン |
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ポリウレタン |
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これらの特徴は一般的なものなので、製造しているメーカーによって異なります。
そのため、業者に相談して、最適なコーキング材を見つけましょう。
また、それぞれコーキングの使用方法によって「1成分系」と「2成分系」に分けられます。
1成分系は、事前に成分をすべて混ぜたもので、コーキング材の表面から乾燥させます。「湿気硬化型」「乾燥硬化型」「非硬化型」があてはまり、その中でも湿気硬化型が主流です
2成分系とは、基材と硬化剤を混ぜ合わせたものです。「混合反応硬化型」があてはまります。
それぞれの特徴を表にまとめました。
分類 | 特徴 | |
---|---|---|
1成分系 | 湿気硬化型 | 空気中の水分と反応して硬化 |
乾燥硬化型 | 溶剤や水が乾燥することで硬化 | |
非硬化型 | 表面に膜を形成して内部は硬化しない | |
2成分系 | 混合反応硬化型 | 基材と硬化剤が反応して硬化 |
2成分型のコストは、1成分型に比較して安価ですが、リスクもあります。
基材と硬化剤の混ぜ合わせが不足している場合など、しっかりと密着しないおそれがあります。
コーキングは劣化する
外壁や屋根が劣化するのと同様に、コーキングも日々劣化します。
コーキングは特に、雨風や紫外線を浴びることにより劣化が進みます。コーキングは劣化することで、弾力性や防水性が低下します。
またその他にも、外壁の伸縮や振動を受けるため、それに耐えきれずに剥がれる場合もあります。
そのため、定期的にメンテナンスをすることが大切です。
詳細な劣化症状については、次で解説します。
外壁コーキングの劣化症状
外壁コーキングが劣化したのをどのように判断すればよいのでしょうか。
ここでは、具体的な劣化症状について解説します。
ひび割れ
コーキングが劣化すると、弾力性が落ち、次第にひび割れが発生します。
ひび割れが広がると、そこから雨漏りにつながるおそれがあります。
指で押して弾力を感じられない場合は劣化が始まっているサインです。
剥離
コーキングの剝離とは、外壁とコーキング材の間に隙間ができる状態のことです。
コーキング材がしっかりと建物に密着していないと、建物の揺れを緩和したり、外壁のずれを調整したりする役割を果たすことができません。
肉やせ
コーキングは経年劣化によって、徐々に弾力性を失い、厚みが薄くなります。
通常、コーキングは外壁の隙間を埋めるように、段差がありません。しかし、肉やせすると、コーキング部分がへこんだように見えます。こうなると、メンテナンスのタイミングです。
ブリード
ブリードとは、コーキングから汚れがにじみ出てきてベタついた状態になる現象のことです。
コーキングの周辺に、黒いシミが広がっているような見た目です。
これは、コーキング材に含まれる可塑剤が、溶けだした塗料や汚れと反応して変色することで起こります。
ブリード現象を防止するためには、ノンブリードタイプのコーキング材を利用するか、塗装前にブリード防止のプライマーを使用します。
プライマーとは、下塗り塗料のひとつで、コーキング剤の密着性をあげて仕上がりをきれいにする効果があります。
このように、外壁コーキングはさまざまな劣化が起こります。
そのため、コーキングの効果を保ち建物を守るためにも、定期的にメンテナンスをすることが大切です。
外壁コーキングの補修
外壁のコーキングが劣化すれば、補修をする必要があります。
コーキングの劣化を放置すると、劣化の隙間から侵入した水により、カビが発生して建物の構造自体に欠陥ができるおそれがあります。
そうなると、大規模な工事が必要となり、高額な費用を支払うことになります。
コーキング補修は、外壁塗装工事の下地処理工程で行われます。 下地処理については、下記コラムをご参照ください。
2つの補修方法
コーキングの補修方法には「打ち替え」と「増し打ち」の2種類があります。
- 打ち替え
- もともとあったコーキングを撤去して、新しいコーキング材を施工する方法です。
新しく施工するため、外壁との密着性やコーキングの効果をしっかりと得ることができます。
打ち替えの場合、耐久年数は10年程度が目安です。 - 増し打ち
- もともとあるコーキングの上に新しいコーキング材をかぶせる方法です。
打ち替えと比較して費用を抑えることができます。しかし、新しいコーキング材と古いコーキング材はなじみづらく、せっかく補修をしてもすぐに剥がれてしまうおそれがあります。また、新しいコーキングの下で劣化が起きていても気づくことができません。
増し打ちの場合、耐久年数が3~5年程度が目安です。メンテナンスを何回も繰り返さないようにするためにも、打ち替えをおすすめします。
コーキングをDIYで補修しようと考える人もいるでしょう。
しかし、自分で補修しても手が届かないことや外壁に密着させて塗ることが難しい場合があります。そうすると、すぐに再施工が必要になり、結果的に費用や手間が余計にかかります。
そのため、コーキングの補修をする際は、専門の業者に依頼することをおすすめします。
費用相場
費用相場は、打ち替えか増し打ちか施工方法によって異なります。
打ち替えは、コーキング費用として約1,000円/m2かかります。
また、打ち替えの場合、もともとあるコーキングの除去費用が追加で1~3万円かかります。
増し打ちは、既存のコーキングの上に新しいコーキングを重ねるため、使用するコーキング材の量を抑えることができます。そのため、コーキング費用の目安は約700円/m2です。
さらに、どちらの施工方法でも、コーキング代とは別に足場の設置と撤去の費用として10~20万円かかります。
その他にも現場の管理費など諸々かかるため、工事資金は多めに用意しておきましょう。
外壁塗装と同時にする
コーキング補修は、外壁塗装や屋根塗装のメンテナンスと同時に行うことをおすすめします。
通常、コーキングをするとその上から外壁塗装を重ねて塗ります。
コーキングのみで補修をした場合、塗装を重ねず直接外部に触れます。そのため、防水や紫外線防止などの外壁塗装による効果を得ることができません。
つまり、コーキングの劣化が通常よりも早くなってしまいます。
また、手の届かない範囲は足場を設置する必要があります。
足場の設置は1回につき10~20万円かかります。
外壁塗装と同時にすれば、足場の設置は1回で済むので、足場代を節約できます。
外壁塗装のメンテナンスを依頼する際に、コーキングを同時に施工できるかどうか確認しておきましょう。
外壁塗装工事には、コーキング補修も工程に含まれることが大半です。外壁塗装工事ついては、下記コラムから流れや費用をご確認ください。
またその際、費用を節約するためにも複数の業者に相談することをおすすめします。
複数の業者見積もりを比較することで、自分に合ったプランを選ぶことができます。
外壁塗装の一括査定サイトでは、物件の簡単な情報などを入力するだけで一括で問い合わせることができるのでおすすめです。
コーキングに関するよくある質問
- コーキングとは?
- 建物の隙間を埋めることです。外壁だけでなく、あらゆる場所で行います。例えばキッチンやお風呂などの水回り、窓のサッシや通気口などで施工されます。
- コーキングの補修はいくらかかる?
- 1㎡あたり約700~1,000円かかります。補修の方法や使用するコーキング剤の種類、補修範囲によって費用は大きく変動します。