外壁に発生したサビは、間違った方法で補修を繰り返しても発生を抑えることはできないため、発生原因に合わせて対処する必要があります。そもそも、外壁のサビを放置することは建物全体に悪影響を与えるおそれがあります。
そこで今回は、外壁のサビ落としについて、発生原因別の補修方法について解説します。
外壁や屋根にサビ(錆)ができる原因は?
使用されている素材や周囲の環境など、外壁や屋根にサビができる原因はさまざまです。具体的にはどのような発生原因があるのでしょうか。
サビができる外壁材
金属製の外壁材が使用されている場合、ほぼ間違いなくサビが発生します。
たとえば、鉄板に亜鉛メッキを施した素材であるトタンは、古くから外壁や屋根に使われていますが、湿気や雨などによってサビが発生します。一般的なトタン材は、サビの発生を防ぐためトタンの表面を亜鉛の酸化した被膜で覆うことで耐久性を付加していますが、傷や加工によってトタンの鉄部分が露出してしまうと、そこからサビの進行が始まります。
また、外壁や屋根に使われる材質として現在主流となっているガルバリウム鋼板にも、サビのリスクがあります。ガルバリウム鋼板はアルミニウムと亜鉛を主成分とした鋼板で、トタンに比べて錆びにくい性質を持っています。しかし、ガルバリウム鋼板も金属の一種なので、もらいサビや傷などにより、サビが発生する可能性は十分にあります。
【参考】もらいサビとは?
もらいサビとは、金属の表面に外部から飛来したサビが付着することです。表面に付着した小さなもらいサビから、素材全体に広がることも少なくありません。ガルバリウム鋼板などのサビが発生しにくい素材においても、もらいサビは防ぐことができません。
周囲の環境によるサビ
周囲の環境が原因となり、外壁や屋根にサビができることもあります。
たとえば、潮風が吹く海辺のエリアでは、塩分を含んだ風によって外壁や屋根にサビが発生します。ちなみに、海辺は外壁や屋根の劣化が進みやすいという特徴もあるので、いろいろなことに気を配る必要があります。
ほかにも、線路周辺の建物で、電車の運行によってサビが舞い上がり、それが外壁や屋根に付着し、もらいサビが発生することがあります。付着するサビは非常に細かいので、通常の生活をしていても気になることは少ないでしょう。しかし、はじめは細かくても、症状は着実に進行し、気づいた時にはすでに広範囲に発生しているということもあります。
経年劣化によるサビ
外壁や屋根のサビは、経年劣化によっても発生します。
多くの外壁材は、新築時や塗り替え後には塗膜によって守られていますが、時間とともに表面の保護膜が劣化し、中の金属にまでサビなどが侵食してきます。錆びやすい金属であればあるほど強力な保護膜を用いる傾向があるため、仮に保護膜が劣化した際は、急激にサビが進行することもあります。
また、表面の保護膜劣化が進んでいなくても、飛来物などの外的圧力によって傷が生じ、そこからサビが進行することもあります。
時間とともに外壁にはさまざまなダメージが加わるため、定期的に確認をすることが大切です。
外壁や屋根のサビ(錆)は自分で落とせる?
外壁や屋根のサビを発見した場合には、できるだけ早急に対応することが大事です。ここでは外壁や屋根に発生したサビについて、自分で落とせるサビと、そうでないサビについて解説します。
自分で落とせる外壁や屋根のサビ
- 小さなサビ
- 表面的なサビ
- 低い場所のサビ
自分で落とせる外壁や屋根のサビは、もらいサビなどの小さなサビ、もしくは発生したばかりの表面的なサビです。かつ、サビの1階部分や平屋の屋根など、低い場所のサビに限ります。
大きさの判断は難しいところですが、紙やすりや布やすりなどで削り落とすことができる程度のサビであれば、自分で対処できます。ただし、やすりで削った部分は、素材がむき出しになっていることが多く、そのままの状態ではいずれまたサビが発生します。外部用の塗料などをタッチアップして、サビの発生を遅らせましょう。
また、少しでもサビを残してしまうと、そこからサビが広がります。削り残しがないか、確認しておくとよいでしょう。
自分で落とせない外壁や屋根のサビ
- 大きなサビ
- 高い場所のサビ
上述のサビ以外の、激しい損傷を伴うような大きなサビや、2階部分や大屋根などの高い場所のサビは、すべて事業者に依頼して対処してもらいましょう。
激しく損傷したサビは周辺の外壁材や屋根材にも腐食が進行している可能性が高いため、安易にやすりがけなどで済ませるとかえって症状が悪化します。
また、高所作業については、もし素材が腐食していればから転落して事故を招く危険性があります。安全面の配慮から、自分で落とすことはやめておくべきでしょう。
事業者が行う外壁のサビ(錆)の補修方法は?
事業者が行う外壁のサビの補修方法には、ケレン作業や張り替えなどがあります。外壁の状態などに応じて、用いる補修方法が異なります。
ケレン
ケレン作業は紙やすりや布やすりなどのサンドペーパーを使ってサビを落とす補修方法です。
サビはキレイに除去しておかないと同じ場所から発生します。ケレン作業によって、サビをしっかりと落とすことが大事です。
また、サビの範囲が広範囲の場合には、サンダーなどの電動工具を使ってサビを落とすこともあります。電動工具を使ってサビを落とす場合は、素材の耐久性が残っていることが重要です。腐食や劣化によって傷んでしまった部分に電動工具によるケレン作業を行ってしまうと、素材自体を傷つけてしまいます。
そして、ケレン作業によってサビを落とした部分は、上から塗装などをして表面の保護をする必要があります。
張り替え
ケレン作業ではサビを落とすことができない場合や、素材の耐久性がなくなってしまっている場合には、サビが発生している部分を張り替えて補修することがあります。
張り替えには同じ形状の外壁材を使用することになりますが、築年数や地域によっては同じ形状の外壁材が手に入らないこともあります。外壁を部分的に張り替える場合には、上から流れてくる雨が外壁の内部に侵入しないよう、常に水上側が上にくるように外壁材を施工します。
また、部分的に張り替えを行うことで、外壁の内部の下地の腐食なども同時に補修できます。
外壁のサビ(錆)補修を依頼する際のポイントは?
外壁のサビ補修を依頼する際には、事業者が外壁材についての知識や経験を持っているかどうかが重要です。
サビの補修を行った直後は、どのように補修を行ったとしても表面上はきれいに補修されています。しかし、サビは時間の経過と共に進行していくので、表面的な補修では意味がありません。サビの除去が完全でない状態で表面を保護してしまうと、外からは見えない部分でサビが進行してしまうからです。
小さなサビが原因で外壁材の下地や建物の構造体にまで悪影響を与えてしまうことにもつながります。
また、外壁のサビ補修ではケレン作業の後に塗装が必要であったり、張り替えの際に下地の取り換えなどが発生することも考えられます。塗装や大工工事などさまざまな職種に対応できる事業者にサビ補修を依頼することが重要なポイントです。
最適な事業者を探す際には、比較サイトを活用するのがおすすめです。簡単な情報入力だけで、複数の見積もりや提案を依頼できるので、ぜひ活用してみてください。