建物の外壁は、建物自体の印象を左右する顔のようなものです。せっかくのマイホームですから、できれば外壁はきれいな状態を維持したいところです。
外壁をきれいに保つためには、外壁洗浄を定期的に実施する必要があります。
そこで今回は、外壁洗浄について詳しく解説していきます。
外壁洗浄のことを知れば、外壁自体の延命にも繋がり、ひいては補修などのコストを削減できますよ。
住宅の外壁洗浄・掃除とは?
外壁洗浄(外壁掃除)は、文字通り外壁の汚れを落とすことです。美観を保つだけでなく、外壁を長持ちさせるために重要な作業といえます。
もし藻やコケなどを放置したり、適切でない方法で洗浄したりすると、外壁材の表面塗装の劣化速度が早まり、外壁材自体の耐用年数にも影響を及ぼします。
この章では、自身で行う場合と事業者に依頼する場合に分けて、外壁洗浄や掃除のやり方を紹介します。
自身で外壁を洗浄・掃除するケース
自身で外壁を洗浄・掃除する方法を2つ紹介します。
- ブラシやスポンジを使った外壁洗浄
- ケルヒャーなどの高圧洗浄機を使った外壁洗浄
ブラシやスポンジを使った外壁洗浄
市販のブラシやスポンジを購入して洗浄する際には、以下の注意点があります。
- 毛先の固いものを使用しない(ビニール製など柔らかいものを使用すること)
- 塗装が剥がれている場所は擦らない
自身で洗浄する際は、毛先の硬いブラシやスポンジを使わないほうがよいでしょう。なぜなら、多くの外壁は外壁材の上に塗装しており、鉄製などの固い毛先のものを使用すると、塗装が剥がれ、逆効果になる可能性があるからです。塗装は外壁材を雨や紫外線から守る重要な役割がありますが、その塗装を剥がしてしまうと外壁材に直接雨や紫外線が当たることになり、外壁材の劣化を早めてしまいます。
また、浮いている塗装がすべて剥がれてしまうため、塗装が剥がれている場所を擦ることもNGです。
ケルヒャーなどの高圧洗浄機を使った外壁洗浄
ケルヒャーなどの高圧洗浄機を使った洗浄方法も一般的です。ちなみに、ケルヒャーとは高圧洗浄機の大手メーカーのことです。
どのメーカーの高圧洗浄機を使ってもいいのですが、水圧には気をつけなければなりません。
前述したとおり洗浄することにより、高圧洗浄によって塗装が剥がれてしまっては本末転倒です。水圧が高すぎると剥がれてしまう可能性があるため、水圧を7Mpa程度に抑えるようにしましょう。ほとんどの高圧洗浄機はノズルで『直噴、広範囲、ターボ』のように水流と水圧の選定ができます。『直噴やターボ』だと水圧が高すぎる可能性があるため、『広範囲』で洗浄すると問題ないでしょう。
なお、高圧洗浄機は基本的に100Vのコンセントから電源をとります。洗浄範囲が広範囲の場合は、電工ドラムが必要でしょう。電工ドラムとは、長い延長コードのようなもので、数十mのコードが巻かれたドラムのことをいいます。
外壁洗浄事業者に依頼するケース
外壁洗浄をしようとしても、道具がない、知識が無いから不安、身体が不自由など、さまざまな理由で自身で洗浄できないことも当然あるでしょう。
費用はかかりますが、外壁洗浄事業者にお願いする方法もあります。
外壁洗浄事業者に頼むメリットや費用については、次章以降で詳しく説明します。
外壁洗浄事業者に頼むメリットは?
外壁洗浄を外壁洗浄事業者に頼むメリットには、どのようなものがあるのでしょうか。
ここで、3つのメリットを紹介します。
- 仕上がりがきれい
- 手の届きにくい場所まできれいになる
- 外壁が劣化していれば専門的な助言をもらえる
順に詳しくみていきましょう。
仕上がりがきれい
外壁洗浄事業者は洗浄においてプロですので、さまざまな洗浄方法を駆使して洗浄します。
外壁材の種類や塗装の状態、汚れの種類などによって、水圧や洗剤、道具を使い分けます。当然仕上がりもきれいですし、外壁材や塗装の延命にも繋がります。
手の届きにくい場所まできれいになる
手の届きにくい場所を自身で洗浄するのは困難です。例えば目地の隙間や雨樋の裏などです。目地とは、外壁材のひび割れや浮きを防止するため、外壁材同士に設ける隙間のことです。
手の届きにくい場所は脚立や梯子、場合によっては足場を設置して洗浄することがあります。
外壁が劣化していれば専門的な助言をもらえる
多くの事業者は、高圧洗浄前に現地調査を実施します。その際事前にお願いすれば、外壁のひび割れや剥がれ、ピンホールなど外壁の劣化があれば指摘してもらえます。その助言によっては高圧洗浄ではなく、ひび割れ補修やコーキングの打ち替え、塗装の塗り替えなどが必要になる可能性があります。
しかし、必ずしもすべての助言を鵜呑みにする必要はありません。もし「劣化がひどくひび割れ補修やコーキングの打ち替え、塗装の塗り替えが必要」と言われた場合は、他の塗装事業者などに劣化調査をお願いし、建物の劣化状況を十分把握した上で検討しましょう。
外壁洗浄だけ依頼することはできる?
ちなみに、事業者に工事などは頼まず、外壁洗浄だけを依頼することはできます。クリーニング事業者に依頼することが多いのですが、塗装事業者や防水事業者でも実施できる可能性があります。
外壁の高圧洗浄だけでは、メンテンナンスとして不十分なことがあります。定期的に外壁塗装工事を行うことをおすすめします。外壁塗装工事前に行う高圧洗浄や下地処理といった工程については、下記コラムをご参照ください。外壁洗浄にかかる費用はどれくらい?
外壁洗浄を事業者に依頼する場合、どれくらいの費用がかかるのでしょうか。ここでは、外壁塗装の内容別にみた目安相場を紹介します。
高圧洗浄機による洗浄費用
自身でやる場合は、高圧洗浄機本体を約1万円~3万円で購入できます。
メーカーによって様々な商品がありますが、最低限必要な機能は以下の通りです。
- 7Mpa以上の水圧がある
- ノズルが可変式
このほか、延長高圧ホース10mや、ブラシなどがセットになっている商品もあるので、それらもあると便利でしょう。
事業者に高圧洗浄をお願いする場合は、一般的な住宅で約4万円~7万円が相場といわれています。この金額は、費用相場でよく耳にする「㎡単価」ではありません。「1日で2人作業」などと、人件費をもとにした費用です。
外壁塗装では、こうした見積もりをする事業者が多いといわれ、洗浄面積が多少違っても費用は変わらないことが多いようです。
また、建物の階高や外壁周辺の状況によって足場の設置が必要になります。この場合は、別途費用がかかります。設置場所や面積によって異なりますが、足場費用は約3万円~5万円が相場です。
バイオ高圧洗浄による洗浄費用
バイオ高圧洗浄とは、薬品を使って藻やコケを死滅させる洗浄のことです。影ができやすかったり湿気が多い場所には藻やコケが繁殖しやすいので、そのような場所はバイオ高圧洗浄が有効です。
費用は約8万円~14万円かかります。通常の高圧洗浄費用の約2倍かかります。
理由は工程の多さにあります。工程は以下のとおりです。
- 水で高圧洗浄(1回目)
- 薬品を使用した高圧洗浄
- 水で高圧洗浄(2回目)
3回に渡って高圧洗浄するため、多くの費用がかかります。
通常の高圧洗浄にするかバイオ高圧洗浄にするかは、ご自身だけの判断ではなく事業者にも相談の上、決めるとよいでしょう。
外壁塗装前の洗浄費用
外壁塗装前の洗浄費用ですが、約200円~300円/㎡かかります。
外壁塗装する前提ですので足場が設置されます。また、藻やコケが酷い場合はバイオ高圧洗浄を使用することもあります。
内訳 | 費用相場(円) | |
---|---|---|
自身で洗浄する場合 | 高圧洗浄機の購入費用 | 約1万~3万 |
事業者に依頼する場合 | 高圧洗浄費用 | 約4万~7万※一般住宅の場合 |
バイオ高圧洗浄による洗浄費用 | 約8万~14万 | |
外壁塗装前の洗浄費用 | 約200~300/㎡ |