アパート経営は、入居者に居心地よく暮らしてもらえるように建物の状態を保つことが必要不可欠です。
部屋の内装やエントランスなどの共有部分には目を配ることができても、外壁塗装など外装については後回しにしがちなポイントです。
アパートの外壁塗装はどのようなことに注意して、どれくらいの頻度でする必要があるのでしょうか。
今回は、アパートの外壁塗装にかかる費用や目的、注意点などを解説します。
外壁塗装を検討しているアパートのオーナーはぜひ参考にしてください。
アパートにおける外壁塗装の基礎知識
いざアパートの外壁塗装をしようと思っても、実際どのような流れで行い、どれくらいの費用がかかるのか知っていないと計画できません。
ここでは、アパートの外壁塗装について基本的なことを紹介します。
外壁塗装の流れ
外壁塗装は以下のような流れで行います。
1. | 外壁塗装工事の準備段階 | 近隣挨拶 |
---|---|---|
2. | 足場設置 | |
3. | 塗装の前に行う処理 | 悲惨養生 |
4. | 高圧洗浄 | |
5. | 下地処理 | |
6. | 塗装養生 | |
7. | 塗装の工程 | 下塗り |
8. | 中塗り | |
9. | 上塗り | |
10. | 塗装後の工程 | 完了検査 |
11. | 足場解体 |
詳しい内容については、以下の記事を参考にしてください。
このように外壁塗装は、ただ外壁に塗料を塗るだけではなく、いくつもの工程があるため、工事期間は2週間~1カ月ほどかかります。
さらにアパートの場合、入居者への事前告知や挨拶回りが必要なため、外壁塗装を検討する場合は、逆算して事前に計画しましょう。
外壁塗装の費用
外壁塗装・修繕の費用は、塗装する面積や建物の高さ、坪数によって変わります。
アパートにおける外壁塗装では、以下のような価格が目安です。
2階建てアパートの場合 | 200~300万円 |
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3階~4階建てアパートの場合 | 400~1,000万円 |
ただ、塗料の種類や耐熱機能、建物の規模などによっても値段は変わるため、複数の業者に相談して値段を比較して決めましょう。
また、注意点として、費用が500万円以上の外壁塗装などの工事は、建設業許可を取得している業者にしか依頼できません。そのため、建物の劣化が激しく、工事が大規模になる場合は、業者に依頼する前に、許可の有無を確認するようにしましょう。
実は、外壁塗装は資格を持っていない業者でも始めることができます。
500万円未満の外壁塗装の場合でも、一定の品質保証を求める方は建設業許可の有無を確認することをおすすめします。
アパートにおける外壁塗装の時期
外壁塗装をする時期は、約10年に一度が目安とされています。
しかし、塗料には種類ごとに耐用年数があります。ひび割れやチョーキングのような劣化が起きていないか確認して定期的に行いましょう。
アパートに限らず、外壁塗装に適した時期は、3~5月か9~10月だと言われています。
その理由は、湿気が少なく、気温が低くないからです。
塗料は、塗布した後に乾燥させることが重要です。梅雨などの湿気が多い時期や気温が低い冬は、塗料がうまく乾燥せず、塗装が剝がれやすくなるおそれがあります。
また、アパートだからこそ気をつけるポイントがあります。
それは1~3月の引っ越しシーズンは工事を避けるということです。この時期は、アパートのオーナーにとっては入居者獲得のチャンスです。外壁塗装のために足場が組まれていると、アパートの外観を見せられないため、入居希望者に対して良い印象を与えることができません。
外壁塗装工事は、1~3月以外の時期に行うようにしましょう。
アパートにおける外壁塗装の目的
なぜアパートの外壁塗装をするのでしょうか。アパートの外壁塗装は必要なのでしょうか。
アパートにおける外壁塗装の代表的な目的をご紹介します。
劣化を防ぐため
塗装は何層も重ね塗りをすることで、建物の表面に膜を作ります。
これにより、遮熱や耐熱の機能を保ったり、雨漏れを防いだりできます。
外壁塗装をすることで、建物の寿命を伸ばすことにつながります。
長くアパート経営を続けていくためにも、建物の資産価値を保つことは大切です。
入居率を上げるため
アパートの外壁塗装で外装を良くすることにより、入室率を上げることにつながります。
アパートのオーナーにとって空室状況は、安定した賃貸収入を得るために、1番に改善したい部分です。
そのため、今いる入居者にはできるだけ長く住んでもらい、空室があればすぐに入居してもらいたいはずです。そのためには、入居者に求められるアパートにする必要があります。
外壁塗装により外観を良くすることで、入居者にとって魅力あふれるアパートにして、他のアパートとの差別化を図りましょう。
アパートにおける外壁塗装の注意点
アパートで外壁塗装をする場合、個人の家と違い、入居者にも配慮する必要があります。そのため、注意する点は多くあります。
事前に入居者に告知する
アパートの外壁塗装をする際は、トラブルを避けるためにも事前に入居者に告知しておきましょう。
告知の内容は以下のとおりです。
- 工事の期間
- 作業時間
- 施工内容
- 工事中に起こる可能性のある事柄(騒音やにおいなど)
- 実施会社
外壁塗装の工事中は、塗料のにおいや作業音があることから窓を開けることが難しいです。
さらに、塗料が洗濯物についてしまうおそれから、洗濯物を外に干すことが難しいです。
また、外壁塗装の際、塗布をする箇所に室外機がある場合などは、エアコンが使えなくなるおそれがあります。事前にエアコンの利用が可能かどうかを業者に確認しましょう。
このように、外壁塗装などの工事は、入居者の普段の生活スタイルに影響があるため、入居者からの苦情につながりやすいです。余裕をもって約1カ月前から、入居者に対して告知をしておくことが大切です。
数日おきに現場を確認する
アパートの外壁塗装の進捗を確認するためにも、数日おきに現場を確認するようにしましょう。
進捗を確認することで、工期の遅れの把握や、入居者の苦情にすぐ対応できます。
さらに、塗装にむらがあるなど仕上がりに気になる点がある場合、作業中の業者に伝えることで素早く対応してもらえます。
防犯対策
外壁塗装など建物のリフォーム中は、窃盗事件が起きやすいです。
その理由として、以下のようなことが挙げられます。
- 業者が自由に出入りできるため、窃盗犯が紛れやすい
- 足場が組まれているため、窓からの侵入がしやすい
- 入居者が窓を開けづらいため、人目を避けることができる
窃盗の被害を避ける対策として、入居者に対して戸締りをしっかりするよう注意喚起を行いましょう。また、塗装工事を行っていない時間帯は、足場への入り口を閉じてもらうよう塗装業者に伝えることも大切です。
他にも、防犯カメラやライトを設置することで、防犯対策になります。
複数の業者を比較する
外壁塗装には、さまざまな種類があり、どの業者に頼むかで仕上がりや耐久性が変わります。
また、外壁塗装を行う業者は塗装専門業者だけでなく、リフォーム会社やハウスメーカー、工務店などさまざまな会社があります。
アパートをどのようにしたいのか、どれくらいの規模で行いたいか、目的をしっかりと決めたうえで、塗装業者を選ぶようにしましょう。
自分の目的に合った業者を選ぶためには、複数の塗装業者に相談して比較することが大切です。一括査定サイトのような、簡単に複数の業者を比較することができるサイトも活用しましょう。