外壁の劣化が気になって施工会社に見積もりを依頼すると、屋根の同時塗装をすすめられることがあります。外壁と屋根の塗装を同時に行えば売上がそれだけ増えるため、施工会社には大きなメリットがあるのです。
しかし、メリットがあるのは施工会社だけではありません。依頼主にも外壁と屋根の同時塗装はメリットがあります。
屋根と外壁の同時塗装のメリット、かかる費用などについて解説します。
外壁と屋根は同時の塗装がおすすめ!
外壁塗装を検討しているのであれば、屋根塗装も同時に行うことをおすすめします。
外壁塗装の見積もりを依頼すると、施工会社は外壁と屋根の同時塗装をすすめてくることが多いです。これは施工会社の売上が増えるだけでなく、依頼主にもメリットがあるためです。
依頼主のメリットには、次のものがあります。
- 劣化した外壁と屋根を同時にメンテナンスできる
- 次の塗装のタイミングも外壁・屋根を同時にできる
- 外壁と屋根の同時塗装で合計の費用を抑えられる
外壁が劣化しているときは、屋根も同じかそれ以上に劣化していることが多いです。つまり屋根も、近いうちに塗装をはじめとするメンテナンスが必要になります。外壁と屋根を同時にメンテナンスできれば、それぞれで依頼する手間を省けるのです。また外壁と屋根を同時に塗装すれば、次の塗装も同じタイミングで行えます。
さらに外壁と屋根を同時に塗装すれば、費用の節約にもつながります。
外壁塗装、屋根塗装、同時塗装の費用詳細と相場価格を比較
なぜ外壁と屋根を同時に塗装すると、費用が安くなるのでしょうか。外壁塗装、屋根塗装と同時塗装の費用例をご覧ください。
外壁塗装(円) | 屋根塗装(円) | 同時塗装(円) | |
---|---|---|---|
足場代 | 20万 | 20万 | 20万 |
養生 | 6万 | 3万 | 9万 |
高圧洗浄 | 4万 | 2万 | 6万 |
塗装 | 50万 | 25万 | 75万 |
コーキング | 20万 | - | 20万 |
合計 | 100万 | 50万 | 130万 |
※施工会社により金額は異なります。
外壁と屋根の塗装を別々に行ったときに費用が高くなるのは、足場代が2回必要になることが原因です。同時に塗装を行えば足場工事が1回で済むため、それだけ費用を抑えられます。
家の規模や依頼する施工会社、リフォーム会社によりますが、1回の塗装につき約10万~30万円の足場代が必要です。同時塗装にして足場代を1回分安くできるのは、大きなメリットといえます。
外壁より屋根の劣化が早い
金額以外にも外壁と屋根の同時塗装をおすすめする理由があります。屋根の状態は見えないことが多いので、外壁に比べて気にされていない方も多いかもしれません。しかし屋根は直射日光や風雨の影響を外壁よりも受けやすいので、劣化も早いです。
そのため外壁が「塗装したほうがよいかな」という状態だと、屋根はそれ以上に劣化した状態になっているかもしれません。外壁を塗装するのであれば、屋根の塗装も合わせて検討しましょう。
外壁と屋根で統一したデザインにできる
外壁と屋根を同時に塗装すると、家全体を統一したデザインにできます。別々に塗装をしても最終的にデザインを統一できますが、外壁だけ塗装した状態、屋根だけ塗装した状態の数年間は、新しい箇所と古い箇所が混在したちぐはぐな見た目になることもあります。もともとの色からガラリと印象を変えたいと方は特に、同時に塗装することで、希望したとおりのデザインに仕上げられるでしょう。
施工会社へ依頼する手間が1回で済む
同時に塗装すれば、施工会社への依頼が1回で済みます。別々に工事をすると、依頼する施工会社を選び、打ち合わせを行う手間が2回発生することになります。仕事終わりや休日に合わせて、施工会社の現場調査や打ち合せの日程調整をするのは、思っている以上に負担になります。同時に塗装することで、その手間を1回にできるのは、同時に塗装する大きなメリットといえるでしょう。
同時塗装を決める前のチェックポイント
同時に塗装することを決める前に、本当に外壁と屋根が塗装の必要な状態なのかを確認することも大切です。劣化症状について知ることで、塗装のタイミングを検討できます。
次は外壁の劣化症状です。これらの症状があらわれている場合は、そろそろ外壁塗装を検討したほうがよい段階になっています。
劣化症状 | 外壁の状態 |
---|---|
変色・退色 | 太陽からの紫外線による影響で塗装の色が薄くなっている状態。塗料の防水性が低下しているサインで、長期的に放置すると防水性の低下によって外壁から水の浸入が起こる |
チョーキング現象 (白亜化現象) |
外壁を触るとチョークの粉のようなものが手につく。紫外線や風雨によって塗料が劣化し、塗料に含まれている顔料が出てきている状態。塗料が劣化し、防水性が低下している目安といわれる。放置すると外壁が雨水を含んでコケや藻が発生する。さらに放っておくと塗装のひび割れや剥がれが発生する |
塗装のひび割れ | 塗装にひび割れができる。塗料の劣化がかなり進んだ状態。施工から数カ月でひび割れが発生する場合は、施工不良が原因の可能性がある |
塗装の浮き・はがれ | 塗料が劣化した状態を放置した結果、浮きや剥がれが発生している状態。雨水の浸入などによって外壁へ悪い影響が出ているおそれがある |
コーキングの浮き・割れ | 外壁のつなぎ目やサッシの周りに施工されているコーキングも、紫外線や風雨によって劣化すると浮きや割れが発生する。コーキングが割れているところから内側に水が浸入して、家の柱や土台など構造へ悪影響が出る |
特に塗装のひび割れ、浮き・はがれは、外壁の塗装の機能が失われていると思われるため、早めの塗装をおすすめします。塗装で防いでいていた雨水などが外壁に染み込み、より深刻な症状を起こすおそれがあります。
次は屋根の劣化症状は次のとおりです。
劣化症状 | 屋根の状態 |
---|---|
変色・退色 | 屋根材の塗料が経年劣化によって色あせてきた状態で、塗料の劣化がはじまっている。塗装が必要な状態ではないが、気がついたときには劣化が進行している |
カビ・コケ・藻の発生 | 屋根材の塗料が劣化して防水性が低下し、水分を含んだ屋根材にカビやコケ、藻が発生した状態。そのまま放置すると屋根材の耐久性が低下して雨漏りの原因になる |
外壁や屋根にこのような劣化症状が見られる場合は、塗装を検討しましょう。2階など高いところにある屋根は、目視での確認が難しいため、無理をせずに塗装の施工会社などに調査を依頼しましょう。
和瓦の場合
屋根が和瓦の場合は、塗装を行う必要はありません。ただし、瓦の固定に使用している漆喰の補修が必要です。漆喰も塗装と同様に紫外線や風雨の影響で劣化するため、気になる場合は外壁塗装に合わせてメンテナンスを検討しましょう。
外壁と屋根の同時塗装で注意すること
屋根と外壁の同時塗装を決めた場合は、次のことに注意してください。
- 費用の総額が高くなる
- 施工期間が長くなる
- 同じ種類の塗料を選ぶ
- 信頼できる施工会社を選ぶ
- ぬりマッチで塗装の施工会社を比較する
それぞれについて、詳しく解説します。
費用の総額が高くなる
外壁のみ屋根のみの塗装より、総額は間違いなく高くなります。塗装範囲が広くなるため当然ですが、予算に限りがある場合は、外壁のみにするなど範囲を絞って塗装を行う判断も必要です。実際の判断は、施工会社のプロ目線の意見を参考にしましょう。
施工期間が長くなる
塗装の施工期間が長くなることにも注意が必要です。足場のある期間はベランダに洗濯物を干せなかったり、周りに住んでいる方への配慮が必要になったります。トラブルを避けるため、塗装に入る前は近隣にあいさつをしておくとよいでしょう。依頼者の代わりに近隣あいさつを行っている施工会社、リフォーム会社もありますので、仕事などであいさつの時間がなかなかとれないときは、施工会社に依頼してもよいでしょう。
同じ種類の塗料を選ぶ
屋根と外壁の同時塗装では、塗料選びも重要です。たとえばフッ素塗料であれば約15~20年、シリコン塗料であれば約10~15年が耐用年数で、次の塗り替えを行う時機の目安となります。
外壁と屋根に使用する塗料の種類を変えると、次回の塗装のタイミングに差が生じるのです。せっかく同時塗装で費用を抑えたのに、次の塗装が別々のタイミングになってしまうと余計な費用を払うことになります。
塗料の種類
外壁で一般的に使用されている塗料には、ウレタン塗料、シリコン塗料、フッ素塗料があります。耐用年数と費用の相場は次のとおりです。
塗料の種類 | 耐用年数(年) | 費用相場(円/㎡) |
---|---|---|
ウレタン塗料 | 8~10 | 1,700~2,200 |
シリコン塗料 | 10~15 | 2,300~3,000 |
フッ素塗料 | 15~20 | 3,800~4,800 |
各塗料の主な特徴は次のとおりです。
各塗料の特徴
- ウレタン塗料
- 価格が安い
- 耐用年数が短い
- シリコン塗料
- 耐用年数が長い
- 紫外線などにも強い
- フッ素塗料
- 価格が高い
- 汚れが落ちやすい
- 耐用年数が非常に長い
耐用年数が短いと再塗装までの期間が短く、かえって高くついてしまいます。コストパフォーマンスを考えるなら、シリコン塗料以上のものがおすすめです。
信頼できる施工会社を選ぶ
塗装の施工会社選びも重要です。なかには外壁塗装を行っていても、屋根塗装の経験があまりない施工会社もいます。そういった施工会社に依頼してしまうと、外壁と屋根の塗装の仕上がりに差が出てしまったり、適切な処置を行えなかったりするおそれがあります。
ぬりマッチで塗装の施工会社を比較する
屋根と外壁の同時塗装ができる施工会社を見つけるには、1社1社に電話などで問い合わせなくてはなりません。そういった手間を省くのが一括見積もりサービスの「ぬりマッチ」です。
ぬりマッチでは依頼者の連絡先と建物の情報を入力すれば、対応できる施工会社に一括して見積もりを依頼できます。依頼は1回だけの入力だけで済むため、非常に簡単です。あとは施工会社の見積もりや提案を比較して、気に入った施工会社に依頼しましょう。