家が雨漏りしているのにお金がないときは、応急処置をしたあとに火災保険や補助金が使えないか調べてみましょう。思ったより安く修理できるかもしれません。
本記事では雨漏りしたのにお金がないときにすべきことを、順を追って説明します。
1.まずは応急処置する
雨漏りを見つけたら、まずは応急処置をしましょう。特に難しい技術や特別な道具は必要ありません。身の回りのモノでもある程度は雨漏りを防げます。
以下では、雨漏りの際に行うべき応急処置の手順について説明します。
【手順1】漏電していないか確認する
漏電とは、電気が本来のルートを外れて漏れている状態のことです。本来、電気機器や電気配線は電気が外に漏れださないよう絶縁処理が施されています。しかし、壁の中や天井に雨が入り込むと、絶縁が不完全になり漏電するおそれがあります。
漏電すると下記のような現象が起こります。
- ブレーカーが落ちる
- 雨が降ると家電の調子が悪くなる
- 電気料金が高くなる
- 金属に触るとビリビリする
- 焦げたにおいがする
漏電の疑いがある場合は、電気保安協会に依頼して確認してもらいましょう。基本的には無料で点検してもらえます。
協会に連絡がつきづらい場合は、工事会社に依頼するとよいでしょう。工事会社に漏電調査を依頼すると、約1~3万円の調査費用がかかります。
調査と応急処置が終わるまでは、ブレーカーを落としておいたほうが安全です。どうしても電気を使う必要がある場合は、どう対処すれば良いか電気保安協会、工事会社に確認しましょう。
【手順2】雨漏りしている箇所をふさぐ
次にすべきことは、雨の侵入防止です。
雨漏りの場所が部屋の窓枠やサッシ、壁など室内から手の届く範囲だった場合は、ふさぐことで雨の侵入を最小限に抑えられます。
以下のモノを使って、侵入箇所に水を吸い取るイメージであてればOKです。
- 雑巾
- タオル
- ペットシート
- おむつ
- 新聞紙
また、雨漏りの箇所にカーテンがある場合は、そのままにしておくとカビが生えてしまいますので取り外しておきましょう。
【手順3】雨をためる場所をつくる
雨が天井から落ちてくる場合は、雨をためる場所を作ることで、床や家具、家電が濡れるのを防げます。
方法としては、以下のようなモノが挙げられます。
容器に水をためる
雨漏りの範囲が少なく、床に雨漏りの水滴が落ちてくるという場合は、容器に水をためる方法が手軽です。
水をためるのに必要な道具は以下のとおりです。
- 容器(バケツ・ボウル・ゴミ箱・鍋・洗面器など)
- 容器の底に敷くモノ(雑巾・タオル・ペットシート・おむつなど)
- 容器の下に敷くモノ(ビニールシート、新聞紙など)
雨漏りをしている床にビニールシートや新聞紙を敷き、容器を置いて漏れてきた雨水をためます。この際、容器の底に雑巾やタオルを敷いておくと、跳ね返りを防ぐことができます。
雨水がたまるとあふれてしまうため、こまめに水を捨てましょう。ペットシートやおむつをバケツの底に敷くと、水を大量に吸うため水を捨てる頻度を減らせます。
漏斗で水を誘導する
大きな家具や家電が雨漏りの近くにあり動かせない、広い範囲で雨漏りをしていてひとつのバケツやボウルでは受け止めきれないという場合は、ビニール袋で「漏斗」をつくって水を集めましょう。
漏斗とは、液体を上から下に注ぐ道具のことです。「じょうご」または「ろうと」と読み、理科や科学の実験でよく使われます。
漏斗で水を誘導するのに必要な道具は以下のとおりです。
- 容器(バケツ・ボウル・ゴミ箱・鍋・洗面器など)
- 大きなビニール袋
- 養生テープ
必要な道具を用意したら、次のやり方で進めましょう。
- ビニール袋の底に穴をあけ筒状にする
- 筒状にしたビニール袋を雨漏りの箇所に当て養生テープで止める
- 容器とつなげて水をためる(※容器からビニール袋が外れないよう気をつけましょう。)
注意!屋根にのぼるのは控えよう
屋根から雨漏りをしている場合、屋根の点検をしたり、ビニールシートを貼ったりといった対策をしたくなりますが、屋根にのぼるのは大変危険です。
屋根は傾斜があるため、不安定な中で作業をしなくてはなりません。さらに、雨が降っていると屋根が濡れて滑りやすくなっているため、落下するリスクが高くなります。
厚生労働省が発表した「労働災害発生状況(確定)の令和3年労働災害発生状況の分析等」によると、令和3年における建設業における死亡者数は288人、うち4割近くの110人が「墜落・転落」が原因で亡くなっています。
プロの建設業者でさえ高所作業は多大なリスクを伴います。知識や経験のない状態で屋根にのぼって雨漏り対策をするのは危険なので控えましょう。
2.火災保険で修理できるか確認する
自然災害(台風、大雨、大雪など)が原因で発生した雨漏りは、火災保険で修理できる可能性があります。
以下では、火災保険が適用される条件や保険申請の流れを紹介します。
火災保険が適用される条件
火災保険の内容や被害状況によっては、自然災害でも火災保険が適用されない場合があります。火災保険を利用する際は、必ず以下3点を確認しましょう。
火災保険の内容に「風災 ・雪災 ・雹災 」が入っていること
火災保険の補償内容に「風災・雪災・雹災」が入っている場合、次のような理由で保険金をもらえる可能性があります。
- 風災:暴風、突風、台風、竜巻、暴風雨などによる被害
例)「強い風や雨で屋根瓦がはがれ、雨漏りになった」「台風で隣家から瓦が飛んできて屋根に当たり、屋根が破損して雨漏りが発生した」など - 雪災:雪や雪崩などによる被害
例)大雪で屋根が壊れ、雨漏りが発生したなど - 雹災:雹による被害
例)雹により雨樋 (雨水を地上へ流す細長い筒)が壊れ、雨漏りが発生したなど
風災・雪災・雹災の補償は火災保険の基本プランに入っていることもあれば、オプションになっている場合もあります。まずは自身が加入している火災保険の証書で確認しましょう。
被害発生から3年以内であること
補償を受けるには、被害が発生してから3年以内に申請する必要があります。申請が遅れると経年劣化による雨漏りと区別しづらくなるため、被害が発生してすぐに申請を行いましょう。
損害額が規定を上回っていること
損害額が免責金額を下回っている場合は補償が受けられません。また、免責金額を上回った場合の補償額は、「上回った分だけ」か「全額」のどちらかになり、保険商品ごとに異なります。
免責金額と上回った場合の支払額についても、火災保険の証書で調べておきましょう。
保険申請の流れ
火災保険申請は、以下のような手順で行います。必要な書類は早めに準備しておくとスムーズに進みます。
1.修理可能な施工会社へ調査を依頼する
まずは、修理を頼む施工会社に雨漏り被害の原因を調査してもらいましょう。保険会社に被害の原因を詳細に伝えておくと、火災保険が適用されやすくなるためです。
調査にはさまざまな方法がありますが、目視調査であれば無料で行ってもらえます。
2.保険会社に連絡する
保険会社に連絡し、自然災害による雨漏り修理の補償を受けたい旨を伝えます。補償内容や補償額が分からない場合は、この時点で確認しておきましょう。
3.書類に必要事項を記入する
保険会社から書類が届くので、必要事項を記入します。この際、修理代金が記載されている見積書も必要になるので、あらかじめ施工会社へ見積もりを依頼しておきましょう。
4.保険会社からの調査を受ける
保険会社に書類が届いたら、保険会社による現場調査が行われます。調査は、第三者機関から派遣された損害鑑定人が公平に行います。
5.保険金を受け取る
調査の結果審査に通れば、保険金が支払われます。
修理依頼は保険金を受け取る前、受け取った後どちらでも構いませんが、万が一保険金が下りなかった場合に困ることがないよう、保険金を受け取ったあとで修理依頼をしたほうが安心でしょう。
3.補助金を使うか検討する
雨漏り修理単体での補助金はありませんが、リフォームに伴う補助金を使って、結果的に安く雨漏りを修理できる場合があります。
補助金が出る条件や額については地方公共団体によって異なります。たとえば、横浜市の「横浜市木造住宅耐震改修促進事業」では、軽量化のための屋根の
補助の内容は居住地の市役所などに問い合わせるほか、「地方公共団体における住宅リフォームに係わる支援制度検索サイト(令和4年度版)」など、インターネットで調べることも可能です。
4.相見積もりをする
雨漏りを放っておくと、住宅に雨水がしみこみ、カビやシロアリの発生、金属の腐食を引き起こします。被害が大きくなるとその分修理費用がかさみますので、なるべく早めに修理をする必要があります。
早く、安価に修理してくれる施工会社を見つけるには、相見積もりを取るとよいでしょう。複数の会社の中から特に安いところを見つけられますし、相見積もりしていることを伝えることで、他社よりさらに安い金額を提示してもらえる可能性があるためです。
自分で修理はオススメできない
インターネットなどで雨漏りを修理する方法が紹介されている場合がありますが、自分で修理をするのはおすすめできません。先ほどご紹介したとおり、高所での作業は危険です。知識や経験のない人が行うと、転落など事故の原因になりかねません。
また、ハシゴのかけ方を間違えて屋根や雨樋を壊す、修理の仕方を間違えてかえってトラブルを大きくしてしまうといった事態も起こり得ます。修理は知識と経験のある施工会社へ依頼しましょう。
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