外壁の凍害はなぜ発生するのか?原因と対策を解説

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外壁の凍害はなぜ発生するのか?原因と対策を解説

マイホームの外壁が劣化する原因のひとつに「凍害とうがい」があります。

凍害が発生すると、外壁がヒビ割れたり剥がれ落ちたりするだけでなく、放置するとマイホームに深刻な被害を与えるおそれがあります。凍害の補修にかかる費用は、症状が進行するほど高額になるため、早急な対応が必要です。

凍害の仕組みや発生する原因はどのようなものなのでしょうか。補修や防ぎ方についても解説します。

外壁に凍害が起きる仕組み・原因

凍害は、外壁に染み込んだ水が凍結と融解を繰り返すことで劣化を引き起こす現象です。

水は凍ることで体積が約10%増加する性質があるため、外壁に染み込んだ水が凍結すると、体積が膨張して外壁の内側から圧力がかかります。水が解けると体積は元に戻り、膨張した分の隙間が広がります。

この広がった隙間に水が浸入して凍結すると、外壁内の隙間がさらに広がります。

これが繰り返されることで水の浸食が進み、外壁が膨張の圧力に耐え切れなくなると、ヒビ割れや剥がれが発生するのです。

凍害の仕組み

凍害の仕組み

凍害は水分が染み込む材質の外壁であれば起こる可能性があります。放置をすれば症状が深刻化するため、早めの対策が必要です。

外壁の凍害が起こる原因

凍害は外壁に水が浸入することで起こりますが、そもそも外壁に水が浸入するのには、次の原因があります。

  • 外壁塗装の経年劣化
  • 衝撃や摩擦による塗膜のヒビ割れや剥がれ
  • シーリング材の劣化

外壁のなかに水が浸入する原因がわかれば、凍害を防げる可能性があるため確認しておきましょう。

外壁塗装の経年劣化

外壁に水が浸入する原因のひとつが外壁塗装の劣化です。外壁に使われる材料は、水が染み込みやすいものも多く、表面に塗装をして防水性を高めています。

塗装に使われる塗装は、一度塗ったら終わりではなく、太陽光や雨風などさまざまな理由で日々劣化が進むため、定期的な塗り替えが必要です。塗り替え時期は使用する塗料によって異なりますが、一般的に約10年で性能が低下してきます

劣化した塗料は、防水性が低下し水が浸入しやすくなるため、凍害の原因になってしまうのです。

衝撃や摩擦による塗膜のヒビ割れや剥がれ

外壁に塗った塗料が乾燥すると膜が形成されます。これを「塗膜とまく」といい、日光や雨風によるダメージから外壁を保護する役割があります。

塗膜は、外壁への衝撃に弱いため、ものが当たったり、こすったりするとヒビ割れや剥がれが発生することがあるのです。

塗膜がなくなった部分は保護されないため、水が外壁へ浸入して凍害が発生します。

シーリング材の劣化

外壁にサイディングを使用している場合、つなぎ目にシーリング材を使用しています。シーリング材は、弾力性や防水性が高く、地震の衝撃や水の浸入を防ぎます。

しかし、シーリング材は、経年劣化によってヒビ割れや硬化が起きるため、定期的なメンテナンスが必要です。そのままの状態にすると、水がシーリング材の隙間から外壁内部へ侵入して凍害が発生します。

凍害が発生しやすい場所

凍害が起きやすいのは、外壁のなかでもとくに湿気や水気の多い場所です。

  • アルミサッシのまわり
  • 通気口や換気扇口のまわり

それぞれの場所で凍害が起こる原因を確認しておきましょう。

アルミサッシのまわり

アルミサッシ

アルミサッシ

窓のアルミサッシの周辺は、凍害が起こりやすい場所のひとつです。アルミは熱伝導率が高いため、冬になると外気との気温差で結露が発生します。

結露している時間が長いと外壁に水が溜まり、外壁内に水が染み込みやすい状態になります。その結果、凍害につながるおそれがあるのです。

通気口や換気扇口のまわり

通気口

通気口

通気口や換気扇は、室内の空気を入れ替えるための設備です。冬場には室内の暖かい空気が外に排出されるため、気温差により結露が発生します。

特に浴室や台所に設置された通気口や換気扇は、湿気を帯びた空気が排出されます。周辺の外壁は水が溜まりやすく、凍害が発生しやすい状態のため注意が必要です。

寒冷地だけに起きるとは限らない

凍害は、北海道や東北、北陸など冬の寒さが厳しい寒冷地に多い症状ですが、寒冷地だけに起こる現象ではありません。

水は水温が0℃になると凍り始めるため、気温が0℃を下回る日がある地域は凍害のおそれがあります。

凍害は、凍結と融解が繰り返される頻度が低ければ症状の進行は遅いです。しかし、凍害が一度でも発生すれば外壁の劣化が進むため、対策が必要です。

凍害が起きた時の補修方法と費用

凍害の補修方法は、症状によって内容が異なります。

凍害の症状は次のとおりです。

凍害の症状
凍害の症状 詳細
ヒビ割れ 凍害の初期症状で起きる。凍害が進行するとヒビ割れが大きくなり、水が浸入しやすくなる
ポップアウト コンクリート外壁の表面部分が内側から剥がれる症状のこと。ポップ(弾ける)アウト(外へ出る)という意味のとおり、凍結による圧力にコンクリートが耐えられず、内側から外に押し出されるように剥がれる
スケーリング ポップアウトがさらに進行した状態。ポップアウトより広い範囲で外壁が剥がれ落ちる

凍害を放置すると、症状が深刻化していき、補修にかかる時間や費用が増えていきます。さらに凍害の症状が進めば、水が外壁の内側にある下地まで浸入して腐食させ、建物全体に悪影響を与えるおそれがあるため早めの対策が重要です。

なお、凍害の進行具合を、外見だけで判断するのは困難です。凍害の補修をDIYで行うと深刻な状態を見逃し、症状が悪化するケースがあるため、専門の会社に依頼しましょう。

ヒビ割れやポップアウトの補修方法と費用

凍害の初期症状であるヒビ割れが外壁に発生した場合、該当する部分にシーリング材や樹脂を注入して補修します。ヒビ割れを埋めることで水の浸入を防ぐため、凍害の進行を防げます。

ヒビ割れの補修にかかる費用相場は、1m2あたり1,500~2,000円です。たとえば、延べ床面積が40m2の戸建ての場合、外壁塗装面積は約158m2になるため、補修費用は23万7,000~31万6,000円です。

さらに、足場代が約15~20万円かかるため、40万~50万円の費用がかかります。

スケーリングの補修方法と費用

凍害の症状がスケーリングまで進行した場合、外壁材の張り替えを行います。症状が建物の一部であれば、部分的な張替えで済みます。

外壁の張り替え費用は外壁材によって異なりますが、相場は30m2で175~270万円です。

また、凍害が外壁内部の下地まで進行していた場合は別途補修費用が発生することがあります。

金属系サイディングに張り替えれば凍害を防げる

凍害の補修で外壁材を張り替える場合、金属系サイディングにすることで、凍害の発生を防げます。外壁材として使われるアルミニウムやステンレスなどの金属は水分を吸収しないためです。

また、金属系サイディングは外壁材のなかでも重量が軽く、建物にかかる負担を減らせます。耐久性も高く耐用年数も長いため、メンテナンスにかける費用を抑えられます。

金属系サイディングについては関連記事もご参照ください。

凍害は火災保険が適用されることも

凍害の補修費用は、火災保険を利用できると負担を減らせます。火災保険の多くは雪害補償がついており、雪害に関する被害が発生した場合は補償対象です。

雪害補償は、凍害に対しても適用される可能性が高いため、申請がとおれば補修費用の一部が補償されます

補償内容や適用される期間は、加入している火災保険によって異なるため確認しましょう。

凍害の症状が深刻化する前に施工会社に補修を依頼しましょう!

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凍害を防ぐ方法

凍害の補修には高額な費用がかかります。また、症状が進行すれば、建物全体に悪影響があるため、凍害を未然に防ぐ対策が必要です。凍害の発生を防ぐ方法を確認しておきましょう。

外壁塗装の点検を定期的に行う

凍害が発生する原因の多くは、外壁塗装の劣化による水の浸入です。

塗装の状態を定期的に点検して、防水性能が低下する前にメンテナンスができれば、凍害を防げます

塗装が劣化するときに現れる症状は次のとおりです。

 

外壁塗装が劣化したときの症状
外壁劣化の症状 詳細
チョーキング 外壁の表面に白い粉が発生する現象。劣化の初期症状として現れる。早急に補修する必要はないが劣化が進んでいるため補修を検討する
コケやカビの発生 塗装が劣化すると汚れが付着しやすくコケやカビが発生することがある。発生した場所は水分が溜まりやすく外壁の劣化を進める
ヒビ割れ 水分が外壁に浸入と乾燥を繰り返すと、ヒビ割れが発生する。ヘアクラックと呼ばれる細かいヒビ割れであれば、水が浸入する可能性は低い。それ以上のヒビ割れの場合は、早急に補修が必要

ただし、外壁塗装の劣化状況を外見だけで判断するのは簡単ではないため、正確に把握するには、専門知識を持った施工会社に依頼しましょう。

外壁塗装を適切なタイミングで塗り替える

凍害を防止するには、外壁の塗り替えを適切なタイミングで行うことが大切です。塗装を塗り替えることで、外壁の防水性が高まるため、凍害の原因となる水の浸入を防げます。

外壁の塗装は施工会社に依頼するのが一般的ですが、依頼すればいつでもできるわけではありません。

外壁塗装は気温が5℃よりも高く、湿度が85%以下が適した気候と言われます。
凍害が発生しやすい寒冷地の冬場は、気温が5℃を下回る日が多いため、依頼しても断られることがあります。

また、秋になると冬前の駆け込みで施工会社が忙しくなり、依頼できないこともあるため、早めに相談することが大切です。

外壁塗装に適した時期は関連時期をご確認ください。

複数社を比較することが大切

外壁の塗り替えや、凍害の補修にかかる費用や施工内容は、依頼する施工会社によってさまざまです。

使用する塗料も、全国共通で利用できるものを提案してくるところもあれば、凍害の発生しやすい地域に合わせて寒冷地仕様の塗料を提案してくれるところもあります。

最適な施工会社を選ぶには、複数社に問い合わせて比較する必要がありますが、どのように進めればいいかわからない人は「ぬりマッチ」の利用をご検討ください。

ぬりマッチは、必要な情報を入力すれば、地域ごとの塗装会社に一括で問い合わせを行います。24時間365日いつでも受け付けているので都合のよい時間に気軽に利用できます。

凍害が発生しやすい時期を迎える前に「ぬりマッチ」をご利用ください!

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