アスファルトシングル(通称・シングル)は、ガラス素材の繊維にアスファルトを含ませてコーティングし、石や砂の粒状素材で色を付けた屋根材です。
北米では屋根の材料としてよく使用されますが、日本では全体の約5%と少ないため、デザインにこだわりたい場合や独自の屋根を作りたいときに活用されます。
しかし、日本で使用されるケースは少ないため既存の屋根がアスファルトシングルである場合、塗装したほうがよいのか、屋根材自体を交換したほうがよいのか悩む方もいるでしょう。
本記事ではアスファルトシングルの屋根を塗装するメリットとデメリット、塗装すべきかどうかの判断基準、塗装する場合の注意点を紹介します。アスファルトシングルの屋根を塗装すべきかどうか悩んでいる方は、ぜひ参考にしてください。
アスファルトシングルの屋根を塗装するメリット
まずは、アスファルトシングルの屋根を塗装するメリットを紹介します。
メリットは次のとおりです。
- 外観をよくできる
- 屋根から小石などが落ちないよう予防できる
- 汚れの付きやすさを軽減できる
外観をよくできる
通常、アスファルトシングルの屋根は、ほかの屋根より色あせしやすい欠点を抱えており、時間が経過するほど劣化が早くなります。しかし、色あせを起こした部分を含めて屋根全体を塗装すれば、色合いやツヤを変えて、外観をよくできます。
また、アスファルトシングルの屋根は素材によるカラーリングの選択肢が限られます。そのため、塗装することで素材の色とは異なる見た目を再現できます。
屋根から小石などが落ちないよう予防できる
一般的にアスファルトシングルの屋根は、表面に使われている小石や砂が風により落下して素材の劣化が起こることで知られています。しかし、塗装すれば、表面にある小石や砂が落下しないように強化、予防できます。
塗装だけでずっと落ちないようにするのは難しいですが、メンテナンスや再塗装などをすればある程度の落下予防効果が見込めます。
汚れの付きやすさを軽減できる
アスファルトシングルの屋根は、防水性能が高いことで知られています。その反面、細かい表面のでこぼこに汚れや水分が付着して、カビやコケが発生しやすいという問題があります。
洗浄やメンテナンスで汚れを落とすことはできますが、「外観が悪くなる」「なかなかカビや苔が落ちない」などの課題が出てきます。
しかし、防水性能や汚れを落とす性能の高い塗料で表面を塗装できれば、汚れの付きやすさやカビやコケの発生しやすさなどの欠点を補うことが可能です。
アスファルトシングルの屋根を塗装するデメリット
デメリットは次のとおりです。
- 耐用年数はほとんど伸びない
- 性能の向上に期待できない
- 費用がかかる
耐用年数はほとんど伸びない
アスファルトシングルの屋根に塗装することで耐用年数を伸ばそうと考えている人にとっては、塗装のメリットをあまり感じられません。なぜなら、アスファルトシングルは本来10~30年(一般的に20年程度)の耐用年数があり、通常塗料の耐用年数を基本的に上回るためです。
もちろん、高性能で高価な塗料もありますが、それを途中から屋根材に施すくらいなら、素材からリフォームし直したほうが費用対効率は高いといえます。
性能の向上に期待できない
屋根の本来持つ性能は塗装では大して上がりません。アスファルトシングルの屋根は防音性能や防水性能があり、小石が落ちることなどを除けば性能の高い素材です。
風が強い地域では少し表面が飛ぶリスクがあるくらいです。根本的に塗装で大きく屋根材の性能を向上できるわけではなく、普通程度の塗装をしてまで上げる必要のある性能は、ほとんどありません。
費用がかかる
塗装は見た目や小石が飛ばないことなどを除けば、性能を付加する効果が高いわけではなく、耐用年数も伸びません。しかし、塗装そのものの費用は変わらないため、大した効果を得られないまま、費用だけが余計にかかります。
アスファルトシングルの屋根は、防水性能自体は高く、軽量なメリットがあるため、屋根材そのままでも十分に屋根としての性能を発揮します。つまり、屋根のうえから塗装して費用がかかるデメリットが大きくなります。
アスファルトシングルの屋根、塗装すべき?判断基準3選
アスファルトシングルの屋根は、依頼者の事情によって塗装すべきか否かが異なることがあります。そこで、塗装するかどうかの判断基準を3つ解説します。
見た目を重視するかどうか
アスファルトシングルの屋根を塗装すべきかの判断基準として、まずは見た目の重視が挙げられます。アスファルトシングルの屋根は、色あせが起こりやすく、カラーリングに対しても素材の色合いという制限があります。
見た目をそれほど重視していなければアスファルトシングルの屋根材だけでも大丈夫ですが、見た目を重視した新築やリフォームの場合は、塗装すべきといえます。特に時間経過による劣化の場合は、カバー工法によって上から塗装するだけでは足りないため、補修などを加えた簡易な施工と塗装が必要です。
強い風が吹く地域かどうか
アスファルトシングルの屋根は吹き上げる風に弱いため、塗料性能による補強が目的の場合は塗装したほうがいいです。特に小石や砂は風で剥がれ落ちることがあり、塗装によって落ちないようにすることが有効です。
また、表面だけでなく、屋根材として軽量であるがゆえに風で部分的に飛ばされるケースもあるため、塗装による補強もありです。
たとえば、沖縄のように台風がよく来る地域でアスファルトシングルの屋根にした場合は、可能な限り塗装すべきです。ほかにも年間を通じて風が強い場所や気候による災害が起きやすい場所に建てるときは塗装を前提に考えましょう。
費用をかけるかどうか
塗装を決める際に、予算面で余裕があるかどうかで判断するのも基準の1つです。塗装のデメリットで説明したように、塗装はするだけで費用がかかります。アスファルトシングルの屋根は軽くて安価ですが、塗装の費用が余計に上乗せされるのです。
そのため、予算に余裕があって屋根材の性能的には「気休めでも塗装をしたい」というケースでは塗装してもよいでしょう。逆に、予算をかけるわりに大きな性能の向上が見込めないなど費用対効果を重視する場合には、塗装せずに費用をかけないことのほうが総合的には最適な判断です。
塗装するときの注意点3つ
アスファルトシングルの屋根材に塗装する場合には気をつけるべき事柄もあります。そこで、塗装するときに注意したいことを以下に3つ紹介します。
ツヤ消しの塗料を選ぶ
アスファルトシングルの屋根は、ツヤを出すと塗料が屋根材に吸収されてムラが生じます。そのため、ツヤへのこだわりがない場合は、ツヤを消した塗料を使用します。
基本的に屋根材には塗料にツヤのあるものを選ぶのが一般的なため、ツヤ消し塗料を選択することを忘れがちなので注意が必要です。
水性塗料を選ぶ
屋根の塗料選択に多い油性塗料は、アスファルトシングルの屋根には通常使用しません。なぜなら、素材のアスファルトが溶け出るからです。これは、ブルーミング現象と呼ばれており、ゴム系の工業製品の油が浮き出る事例でもよく知られています。
また、水性塗料は水に弱いという印象がありますが、いまの技術では単純に水に溶けて流れてしまうことはありません。性能の違いはあるものの、屋根材に水性塗料を選んでも問題はありません。
屋根塗装の一括査定サイトを使う
アスファルトシングル塗装のメリットを最大限活かすには、塗装会社選びも大切です。見た目をよくするなど、塗装のメリットを享受できるかどうかは、塗装会社の担当者次第だからです。
塗装会社の担当者の技術力が高ければ値段に見合ったメリットを得られますが、低ければコストパフォーマンスが悪く結果的に依頼者が損をしてしまいます。
しかし、屋根塗装の一括査定サイト「ぬりマッチ」なら、コストパフォーマンスの高い施工会社を判断しやすくなります。なぜなら、ぬりマッチに加盟している屋根塗装会社は数ある会社の中から厳選した選りすぐりの会社だからです。
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