屋根材に塗っている塗装の役割は、屋根材を雨や風、紫外線などから守ることです。しかし、屋根塗装は時が経つにつれて徐々に劣化していくため、定期的なメンテナンスをする必要があります。
屋根塗装は、最初の塗装から何年経過したら塗り直すべきなのでしょうか。また、塗装を行うのに適した時期や季節はあるのでしょうか。
この記事では、屋根塗装の時期について解説していきます。
屋根を塗り替える時期は、塗装から何年後?
屋根を塗り替え時期を誤ってしまうと、屋根材の劣化速度が早まったり無駄な出費に繋がったり、多くのデメリットがあります。
では具体的に、塗り替えの時期は何をもって判断すればよいのでしょう。3つ紹介します。
定期的な塗装時期で判断する
まずは、塗装の耐用年数を基準に、定期的な塗装時期で判断します。
一般的には約8年の周期で塗り替えすることが推奨されています。もちろん、雨や紫外線などが多い地域なのかどうかなど、条件によって異なります。6~7年程度で塗り替える必要がある場合や、逆に9~10年程度まで塗り替えなくても問題ない場合もあります。
塗料の種類で判断する
次に塗料の種類で判断できます。塗料別に目安となる耐用年数をまとめました。
塗料の種類 | 耐用年数の目安(年) |
---|---|
ウレタン | 8~10 |
シリコン | 10~15 |
フッ素 | 15~20 |
無機 | 20~25 |
塗料によって耐用年数はさまざまです。一般的な住宅で使用されている塗料は、ウレタンやシリコンです。
ちなみに、先述の約8年で塗り替えたほうがよいというのは、この耐用年数も根拠の一つです。
劣化状況で判断する
実際の劣化状況でも判断できます。屋根なので、自身での劣化状況確認は困難です。
一般的には、専門の事業者に依頼して、劣化診断を実施してもらいます。費用はかかりますが、屋根に登る危険を回避できるだけでなく、適切な提案を受けることができるメリットは大きいでしょう。
屋根塗装の劣化の目安は?
劣化診断を実施した際、どのような劣化症状であれぱ、塗り替えする必要があるのでしょうか。塗り替えの目安について説明します。
劣化症状に対する緊急度合い
塗装の劣化症状に対する緊急度合いが目安になります。
劣化症状にはいくつか種類がありますので、劣化症状毎の緊急度合いをまとめました。
劣化症状 | 緊急度合い |
---|---|
藻やコケの繁殖 | すぐに塗り替える必要はありませんが、洗浄したほうがよいでしょう。 |
色褪せ | すぐに塗り替える必要はありませんが、2~3年以内には塗り替えを検討したほうがよいでしょう。 |
チョーキング※ | 1年以内に塗り替えを検討したほうがよいでしょう。 |
ひび割れ | 塗り替えの検討時期にきています。 |
剥がれ | 塗り替えの検討時期にきています。 |
※チョーキングとは
白亜化とも呼ばれ、塗料に含まれている顔料が表面にチョークの粉のようになって出てくる劣化症状のこと。
劣化症状の具体例
上述の劣化症状について、もう少し詳しく説明します。
藻やコケが繁殖する
藻やコケは湿気が多い場所や水溜まり付近で繁殖します。屋根の勾配不良や屋根材同士の継ぎ目にできる段差付近などは、繁殖しやすい場所です。藻やコケを放置すると、塗膜の劣化を早めます。すぐに塗り替える必要はありませんが、洗浄で除去するとよいでしょう。
色褪せが生じる
色褪せは塗膜の劣化の初期症状です。すぐに塗り替える必要はありませんが、劣化が進行しているという認識をしておくとよいでしょう。色褪せから2~3年以内には塗り替えの検討をしたほうがいいでしょう。
チョーキングが生じる
チョーキングは塗料に含まれている顔料が浮き出ている状態なので、明らかに塗膜の劣化が進行し、耐久性が落ちています。そのまま放置すると、近いうちにひび割れや剥がれに繋がります。1年以内に塗り替えを検討したほうがよいでしょう。
ひび割れが生じる
ひび割れは、すでに塗膜の耐久性が失われたことを意味します。そのまま放置すると、ひび割れ部から雨水が侵入し、屋根材と塗膜の隙間に入れば剥がれの原因になります。早めに塗り替えを実施したほうがよいでしょう。
剥がれが生じる
塗装が剥がれていれば、屋根材に雨や風、紫外線などが直接当たります。結果として、屋根材自体の劣化速度が早まってしまいます。そのまま放置すると、屋根材自体の劣化速度が早まるだけではなく、最悪の場合、雨漏りになる可能性があります。できるだけ早く塗り替えを実施したほうがよいでしょう。
屋根塗装は夏がおすすめ?塗装に適した時期とは
屋根塗装の工事に適した季節はあるのでしょうか。
実は、各塗料メーカーが以下のような塗装に適さない条件を明記しています。
気温 | 5℃以下 |
---|---|
湿度 | 85%以上 |
この条件に当てはまる場合は、塗料が硬化不良を起こす可能性があることから、基本的に塗装作業ができません。つまり、この条件に当てはまる季節(気候)は、塗装に適していないと考えることができます。
また、季節によって湿度の違いや、事業者の繁忙期などもあるため、それによる影響もあります。
ここで、季節毎のメリットやデメリットを一覧表にまとめました。
時期 | メリット | デメリット |
---|---|---|
3月(春) | 気温や湿度が安定している。 | 事業者が繁忙期のため、工期が長くなる可能性がある。(特に年度末のため工事が集中する) |
4月(春) | 気温や湿度が安定している。 | 事業者が繁忙期のため、工期が長くなる可能性がある。(GWがあるので、作業日数が少ない) |
5月(春) | 気温や湿度が安定している。 | 事業者が繁忙期のため、工期が長くなる可能性がある。(GWがあるので、作業日数が少ない) |
6月(夏) | 気温が高いので塗料が乾燥しやすく、工期が短縮できる可能性がある。 | 梅雨時期なので作業ができない日があり、工期が長くなる可能性がある。 春ほどではないが、事業者が忙しい。 |
7月(夏) | 気温が高いので塗料が乾燥しやすく、工期が短縮できる可能性がある。 | 梅雨時期なので作業ができない日があり、工期が長くなる可能性がある。 |
8月(夏) | 気温が高いので塗料が乾燥しやすく、工期が短縮できる可能性がある。 比較的事業者が空いているので、複数の事業者から選ぶことができる。 |
台風時期なので作業ができない日があり、工期が長くなる可能性がある。 台風の影響で風が強く、足場が倒れる危険がある。 |
9月(秋) | 気温や湿度が安定している。 | 台風時期なので作業できない日があり、工期が長くなる可能性がある。 台風の影響で風が強く、足場が倒れる危険がある。 |
10月(秋) | 気温や湿度が安定している。 | 事業者が繁忙期のため、工期が長くなる可能性がある |
11月(秋) | 気温や湿度が安定している。 | 事業者が繁忙期のため、工期が長くなる可能性がある |
12月(冬) | 比較的事業者が空いているので、複数の事業者から選ぶことができる。 | 気温が低く、5℃を下回ると作業ができない。 秋ほどではないが、事業者が忙しい。 |
1月(冬) | 比較的事業者が空いているので、複数の事業者から選ぶことができる。 | 気温が低く、5℃を下回ると作業ができない。 |
2月(冬) | 比較的事業者が空いているので、複数の事業者から選ぶことができる。 | 気温が低く、5℃を下回ると作業ができない。 |
この一覧をもとに、屋根塗装にはどの季節が最適なのか、あらためて紹介します。
屋根塗装は春や秋がおすすめ
屋根塗装は、春や秋の実施がおすすめです。気温や湿気が安定しているからです。塗装に適さない条件である気温5℃以下、湿度85%以上も満たしています。
一方で、冬は気温5℃以下に当てはまる可能性があり、夏は梅雨や台風の時期のため、おすすめとはいえません。
季節によって工事費用が変わる可能性がある
季節によって工事費用が変わる可能性があります。
春や秋は塗装工事に適しているため、塗装事業者にとって繁忙期です。そうなると工期が長くなったり増員したりするため、工事費用が高くなる傾向があります。
一方で、夏や冬(特に冬)は事業者が忙しくないため、仕事を貰うために工事費用が安くなる傾向があります。