外壁材として人気が高いサイディングには、さまざまな種類があります。しかし永久に使えるサイディングはなく、すべてに寿命があります。
サイディングの寿命は、適切なメンテナンスを行うことで延ばせます。メンテナンスの方法は、サイディングの劣化状態によって変わるため、確認しておきましょう。
サイディングの寿命はどれくらい?
サイディングには大きく分けて、窯業系、金属系、木質系、樹脂系の4種類があります。サイディングの種類ごとの寿命は、次のとおりです。
サイディングの種類 | 特徴 | 耐用年数 (寿命) |
---|---|---|
窯業系 |
|
30~40年 |
金属系 |
|
30~40年 |
木質系 |
|
15~25年 |
樹脂系 |
|
20~30年 |
上記の期間は適切なメンテナンスが行われた場合の目安です。放置すればサイディングの劣化が早まるため、寿命も短くなります。
また、同じサイディング材でも家の周辺環境によって、劣化のスピードが違います。サイディングの寿命は、期間だけでなく実際の症状を見て判断することが重要です。
直射日光が寿命を縮める
サイディングの寿命は、直射日光が当たることで短くなります。直射日光に含まれる紫外線が、サイディングの塗装を劣化させることが原因です。
直射日光の当たる時間が長い箇所ほど劣化のスピードが速くなるため、サイディングのなかでも一部分だけに症状が現れることがあります。
また、紫外線はサイディングの目地に使われているコーキングの劣化にもつながります。
雨がサイディングの寿命を縮める
雨は、自動車の排気ガスや近隣の工場から排出される成分などを含むことで酸性が強くなることがあります。酸性の強い雨は、サイディングの塗装を劣化させるため、寿命を縮める原因になるのです。
また、海沿いの地域では、塩分を含んだ雨が降るため「塩害」によってサイディングが劣化しやすくなります。とくに台風などで風が強くなると、外壁にあたる雨量が増えて劣化を加速させます。
サイディングの劣化症状
サイディングが劣化すると、次のような症状が出てきます。
- チョーキング現象
- サビの発生
- コケ・藻・カビの繁殖
- ヒビ割れ
- コーキングのヒビ割れや剥離
- 反りや浮き
サイディングの劣化を放置すると、症状が深刻化して最終的には補修ができなくなってしまいます。サイディングに異常が出たら、少しでも早く対策をしましょう。
チョーキング現象
サイディングは、劣化の防止と防水性能を高めるために塗装をしています。サイディングの塗装は、雨風や日光などで劣化すると白色に変色していきます。この状態はチョーキング現象と呼ばれ、サイディングを触ると白いチョークの粉のようなものが手に付くのが特徴です。
チョーキング現象は塗装が劣化したときの初期症状なので、この段階ではサイディングへのダメージはあまりありません。
しかし、塗装の性能低下により、サイディングに水が染み込みやすくなります。放置すると寿命を縮める原因になるため、チョーキング現象が出たらメンテナンスの準備を検討しましょう。
サビの発生
ガルバリウムやトタン、アルミといった金属系サイディングでは、チョーキング現象を放置するとサビが発生しやすくなります。塗装の防水性能が低下することで、サイディングに雨水が染み込みやすくなるためです。
金属系サイディングは、ほかのサイディング材よりも軽く、寿命が長い傾向にあります。しかし、サビを放置すれば腐食が一気に進み、寿命が短くなる原因になります。
なお、サビが出にくいステンレスのサイディングであっても、塗装の劣化により色あせなどが発生することがあります。
コケ・藻・カビの繁殖
窯業系、木質系、樹脂系のサイディングでは、塗装が劣化するとコケ・藻・カビが発生することがあります。コケ・藻・カビは水分をため込んでいるため、サイディングの表面で繁殖すると常に湿った状態になります。
この状態が長く続くと雨水が外壁表面にたまり、水分によってサイディングの劣化が進みます。結果、サイディング内部に雨水が侵入して、寿命に影響するおそれがあります。
ヒビ割れ
塗装が劣化すると、サイディングにヒビ割れが起こりやすくなります。サイディングに水分が染み込み膨張、乾燥して収縮といった状態の変化が繰り返され、負荷がかかることが原因です。
ヒビ割れのなかでも、ヘアクラックと呼ばれる髪の毛ほどの細いものであれば水が侵入する可能性は低いです。
しかし、それ以上の大きなヒビ割れになると、サイディングの内部に雨水が浸水しやすくなります。その結果、サイディングの劣化を早めるため、寿命を縮める原因になります。
外壁のヒビ割れについては関連記事もご確認ください。
コーキングのヒビ割れや剥離
パネルを張り合わせて仕上げるサイディングでは、隙間にコーキング材を充填して埋めていきます。コーキング材はゴムのように弾力性のある材質で、サイディング材の隙間の防水性能を高めるだけでなく、サイディング同士がぶつかり合うのを防止します。
コーキング材は、経年劣化によりヒビ割れや剥離が起きます。その結果、サイディングの目地に雨水が侵入し、サイディングの内部の劣化につながるおそれがあります。
コーキングとサイディングの劣化スピードは同じではありません。サイディングに問題がなくても、コーキングが先に劣化するとサイディングの寿命が縮まる原因になります。サイディングの劣化だけでなく、コーキングの劣化についても目視で確認が必要です。
コーキングの補修方法や費用については関連記事をご確認ください。
反りや浮き
サイディングに水分が染み込み始めると、膨張や収縮を繰り返すことで、反りや浮きが発生します。一度反りや浮きが発生したサイディングをもとに戻すことは困難です。
反りや浮きの症状が軽度であれば、クギや金具を打ち付けて固定します。しかし、症状が重度になると、補修ができません。放置すれば、断熱材や柱材などに雨水が染み込み、カビやシロアリが発生する原因になるため、サイディングの張り替えが必要です。
サイディングを長持ちさせる方法
サイディングの寿命を延ばすには、「塗装の塗り替え」と「コーキングの打ち直し」を定期的に行うことが重要です。一般的に10年をめどに必要といわれていますが、家の周辺環境によって大きくかわります。
コーキングの打ち直し
コーキング部分にひび割れや剥離が発生すると、隙間から雨水が侵入してサイディングの内部を劣化させる原因になります。そのため、打ち直しをしてメンテナンスをします。
打ち直しの方法は、コーキングの状態に応じて変わります。
ひとつは、既存のコーキング材の上から新しくコーキング材を充填する方法です。コーキング材のヒビ割れが軽度な場合は、この方法でメンテナンスをします。
一方、コーキング材のヒビ割れがひどく、剥離などが起きている状態では、既存のコーキング材を剥がしてから新しいコーキング材を充填します。
サイディングに問題がなくても、コーキングが劣化することでサイディングの寿命を縮める原因になるため、早めのメンテナンスが必要です。
塗装の塗り替え
サイディングの寿命を延ばすために効果的なのが、塗装の塗り替えです。塗装を塗り替えることで、サイディングの劣化を防ぐだけでなく防水性能も回復できるため、劣化による症状を抑えることができます。
塗り替えに使う塗料にはさまざまな種類があります。汚れが付きにくいものや耐久年数が長いものがあるため、このような塗料を選ぶことで、サイディングの寿命を延ばせるだけでなく、家のメンテナンスにかける費用や手間も抑えられます。
サイディングの塗装の塗り替えについては、関連記事をご確認ください。
劣化したサイディングには効果が薄い
サイディングの劣化が進み、補修が難しくなった状態では、塗装を塗り替えても寿命を延ばせる可能性は低いです。サイディングが劣化して、ひび割れや反り、浮きなどがひどくなると隙間が大きく、塗装を塗り替えても雨水の侵入を防げないためです。
寿命がきたサイディングは張り替える
サイディングの劣化が進みメンテナンスで対応できなくなった場合、サイディングの寿命のため張り替えが必要です。
サイディングの張り替えは、既存のサイディング材を撤去してから新しく張り替える方法と、既存のサイディングの上から新しいサイディング材を張るカバー工法(重ね張り)と呼ばれる方法の2種類があります。
カバー工法の方が費用を抑えられますが、既存のサイディングによっては利用できません。サイディングの張り替えについては、関連記事をご確認ください。
放置すると補修に高額な費用がかかることも
張り替えが必要なほど劣化したサイディングを放置し続けると、雨水の侵入によって柱材や断熱材まで被害が広がり大規模修繕を行うケースもあります。
サイディングの張り替えには、高額な費用がかかりますが、放置すればさらに高額な補修費用がかかるため、早めの対策が必要です。
サイディングに異常があればすぐに施工業者に相談を
サイディングの寿命を延ばすには、塗装の塗り替えやコーキングの打ち直しといったメンテナンスが不可欠です。もし、すでにサイディングになにかしらの症状が出ている場合、放置すると被害が拡大するおそれがあるため、すぐに施工会社に依頼しましょう。
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