セメント瓦とはセメントと砂で作られた瓦のことです。セメント瓦自体に防水効果がないため塗装した状態で製品化されており、定期的な塗り替えが必要です。
しかし、屋根にセメント瓦を使用する家は徐々に減っているため、セメント瓦の塗り替えにかんする情報も減ってきています。
そこで本記事では自宅の屋根がセメント瓦の方へ、セメント瓦の塗り替え時期の目安やセメント瓦の塗装におすすめの塗料と塗料の費用、塗装費用と費用を削減するコツを紹介します。
セメント瓦の塗装時期を判別する方法
セメント瓦は、瓦の中ではメンテナンス頻度が高い製品です。瓦自体の交換が難しいので、できるだけ長持ちさせたい場合は、塗料が劣化したら早めに塗装を行いましょう。
ここでは、セメント瓦の塗装時期の目安や塗装時期が来たかどうかの判別方法を紹介します。
セメント瓦における塗装の寿命
セメント瓦自体の寿命は30～40年と比較的長めです。しかし、塗料の寿命は5～15年が平均なので、瓦が寿命を迎えるまでに2～3回は塗り直しが必要です。
さらに、家が建っている環境などによっても寿命は平均を上下します。以下は、セメント瓦の塗装が寿命を迎えるときに現われる症状です。
- 退色や変色
- カビやコケの繁殖
- 瓦の膨れや剝がれ
退色や変色
セメント瓦に塗装された塗料が劣化する原因は複数ありますが、もっとも大きな原因は紫外線です。屋根には日陰がないので、特に紫外線の影響を強く受けやすい場所です。
紫外線によって塗料の成分が破壊されると、変色や退色が起こります。退色や変色は均一に起こることはなく、多くは部分的に起きます。
瓦の色がまだらになったり、一部だけ色が変わったりしている場合は変色や退色が起こっていると考えて、再塗装を検討しましょう。
カビやコケの繁殖
セメント瓦自体に防水性はありません。雨が降れば水分を含み、雨漏りにつながります。塗料が劣化して防水性が低下するとセメント瓦が水分を含み、カビやコケが繁殖しやすいです。
瓦のうえに灰色・茶色・緑色の汚れが見られた場合は、カビやコケが発生している可能性が高いでしょう。長期間雨が降ったあと、茶色の汚れが緑がかった色に変わったら、ほぼ間違いなくコケです。
瓦の膨れや剝がれ
セメント瓦が劣化してくると、瓦の表面が膨らんだり剥がれたりします。
瓦の表面がボコボコしていたり、虫食いのようにところどころ色が変わっていたりするように見える場合は、セメント瓦の寿命のサインです。
一部でも瓦の表面に劣化が起こると、そこから雨水が入り込み劣化が屋根全体に広がるため、早急に塗り替えたほうがよいでしょう。
セメント瓦の塗装におすすめの塗料と塗料の費用
セメント瓦の塗装に使われる塗料は、外壁塗装に使われる塗料と同様の塗料です。防水性と
セメント瓦の塗装におすすめの塗料は次のとおりです。
- シリコン塗料
- ラジカル塗料
- フッ素樹脂塗料
- 遮熱無機塗料
以下で詳しく解説します。
シリコン塗料
シリコン塗料は、外壁塗装向けの塗料として長い間人気だった塗料です。製品の種類や色も豊富で、個性的な色合いにしたい場合に適しています。
以下はシリコン塗料の耐用年数と1平方メートルあたりの費用相場です。
- 耐用年数：10～13年
- 費用相場：1平方メートルあたり2,500～3,500円
ラジカル塗料
ラジカル塗料とは、「ラジカル制御型の酸化チタン」を使用した塗料の総称です。正式名称をラジカル制御型塗料といい、「ラジカル制御型シリコン塗料」「ラジカル制御型フッ素塗料」などがあります。
ノーマルなシリコン塗料やフッ素塗料に比べ、耐候性（変形、変色などを起こしにくい性質）が高いのが特徴です。そのため、紫外線が強い地域など塗料の耐用年数が平均より短くなりやすい屋根に適した塗料です。
ただし、酸化チタンは白色顔料なので濃い色では効果が発揮できないため、色が限られています。また、比較的新しい塗料のため、取り扱っている工務店は少なめです。
以下はラジカル塗料の耐用年数と1平方メートルあたりの費用相場です。
- 耐用年数：10～15年
- 費用相場：1平方メートルあたり2,200～4,000円
フッ素樹脂塗料
フッ素樹脂塗料とは、耐久性が高く東京スカイツリーなど高層の建物にも使われている塗料です。
親水性（水のなじみやすさ）、耐摩耗性（表面のすり減りにくさ）、防藻性（カビにくさ）にも優れており、長期間雨風にさらされても劣化しにくいです。台風がよく通る地域など、瓦にとって厳しい気候環境に向いています。
以下はフッ素樹脂塗料の耐用年数と1平方メートルあたりの費用相場です。
- 耐用年数：15~20年
- 費用相場：1㎡あたり3,500～5,000円
費用は高めですが耐用年数がシリコン塗料、ラジカル塗料に比べ長いため、長期間きれいにセメント瓦を維持したい方におすすめです。
遮熱無機塗料
遮熱無機塗料とは外から太陽光を防ぎ、家の中から熱がもれるのを防ぐ効果のある塗料です。断熱性の高い塗料といってもよいでしょう。
遮熱性無機塗料を使えば室内の温度を2～3度下げることも可能なため、光熱費の節約につながります。なお、無機塗料とは無機物が成分に入っている塗料の総称であり、耐久性が高く特に紫外線に強いのが特徴です。
紫外線に強い一方で、つや消しの製品がなく、ひび割れしやすいため、きれいに塗るには職人の技術が必要です。
以下は遮熱無機塗料の耐用年数と1平方メートルあたりの費用相場です。
- 耐用年数：20年以上
- 費用相場：1平方メートルあたり3,800～5,000円
セメント瓦の塗装にかかる費用相場
セメント瓦の塗装にかかる費用は、塗料の料金だけではありません。かかる費用の内訳は、以下のとおりです。
| 内訳 | 費用相場（円） |
|---|---|
| 足場代 | 700～1,000/m2 |
| 屋根の高圧洗浄 | 100～400/m2 |
| 飛散防止ネットなど養生代 | 250～400/m2 |
| 現場管理費用 | 3万～5万 |
| 廃棄物処理費用 | 1万～3万 |
上記費用に加えて、人件費と塗料の費用がかかります。屋根の塗装費用の相場は、総額約30万～80万円です。
費用に幅があるのは、建物の面積によって費用が変わるためです。同じ条件、同じ塗料を使っても大きな家の方が足場代や洗浄代、塗料の費用などがかかります。また、高機能な塗料を使うほど費用が高くなる傾向にあります。
セメント瓦の塗装費用を削減するコツ
セメント瓦の塗装の塗り直しは、それなりに費用がかかります。少しでも費用を抑えたいと考える方は多いでしょう。
ここでは、セメント瓦の塗装費用を抑えるコツを紹介します。
塗料の寿命が来たら早めに塗装を行う
塗料の寿命が来ても、すぐに瓦が壊れたり雨漏りが始まったりすることは、そうないため「まだ大丈夫」と瓦を放置してしまう人もいます。
しかし、塗り替えをせずに放っておくと、セメント瓦自体が劣化します。雨水を含んだセメント瓦は膨張し、乾燥すると縮みます。それを何度かくり返すと、最終的に瓦が割れてしまいます。
割れた瓦は交換が必要ですが、現在、セメント瓦は新製品が製造されていません。そのため、施工会社に在庫がない場合、屋根全体の葺き替えが必要です。
屋根を葺き替えると、数百万円の費用がかかります。塗料の劣化に気づいたら、できるだけ早く施工会社に屋根の状態をチェックしてもらい、瓦の塗り替えをしましょう。
塗装技術のある優良会社に依頼する
塗装を依頼する施工会社は、希望する塗料で塗装を行った実績が豊富な塗装技術のある会社にしましょう。
無機塗料やフッ素塗料などの屋根塗装に使う塗料は、塗装に技術が必要です。技術のない施工会社が塗装を行うと、仕上がりが劣るだけでなく劣化も早まります。その結果、トータルで支払うコストが増えてしまうのです。
現在は、ホームページを開設している会社も多く、実績もそこで公開されているケースがあります。
なお、料金の安さを利点にしている会社の中には、塗料の使用量を減らしている会社もあります。屋根塗装に使う塗料は、2回塗り、3回塗りをしないと効果を発揮しない塗料が大部分です。
このような施工会社に依頼するのを避けるには、必ず見積もりを作成してもらい、不明点は何でも質問することが大切です。
相見積もりする
地域の屋根塗装の相場を知ったり、施工会社の特徴を把握したりするには相見積もりがおすすめです。相見積もりとは、複数の施工会社に見積もりを依頼することです。
しかし、自分で複数の会社を探して見積もりを依頼するのは大変です。そこで利用したいのが屋根塗装の一括見積もりサイト「ぬりマッチ」です。
ぬりマッチを利用すれば、塗り替えたい屋根の状態や希望する条件を入力するだけで、完全無料で相見積もりができます。時間がない方も初めての方も、簡単に相見積もりができますので、お気軽にご利用ください。